ある日仕事帰りに神様の手違いがあったが無事に転移させて貰いました。

いくみ

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新たな町へ

657話 パクってるし

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 受付をしてくれた男が、カウンターの後ろに移動すると出入り口に顔だけ入れて声をかけた。すると奥から人の返事が返ってきた。

「はーい。お待ち下さい」

 と女性の声がしてのっそりと奥から顔を出して来た。

「おい、早くしないか。お客様をご案内して差し上げろ。三階の三〇一号室だ」

 受け付けの男性が、女性に部屋の鍵を渡して部屋番号を告げる。
 それを訊いた女性は、俺を案内するためにカウンターからホールへ出てくると、俺に話し掛けてきた。

「承知しました。ではお客様ご案内しますね」

「よろしく」

 一言告げて女性スタッフの後ろを歩き始める。

 女性の後ろを歩き着いて行く。
 ホールを抜けて階段を上がって行くのだが。
 三階まで行く階段は辛かった。
 でも、女性スタッフは当然慣れていらっしゃるのかな?トントントンと軽い足取りで登って行った。

「ふぅ~お客さん大丈夫ですか?」

 そのスタッフは、三階の踊り場まで上がると振り向いて俺に話し掛けてきた。

「ええ、これしきの事ではなんともないですね」

「へぇ~体力があるのですね?」

「ええ、まあ、そうですね」

《やせ我慢!》

『煩い』

 そんなことを話して三階に着くと、部屋の鍵を開け中へと案内された。

「さ、ここが、お部屋です。ごゆっくりどうぞ。あ、訊いてますか?」

「えっと、なにを?」

「訊いてないんですね? それでは、一階の左手は大浴場なので、お気軽にどうぞ。それから同じく、一階の右手は食堂になってますので、此方もご利用下さい」

「そう、ありがとう。お姉さんこれよかったら」

 階段を上がる最中にお姉さんに渡すチップを用意。そして、渡した。
 まあ額は大銀貨一枚だけどな。

「あら、気前が良いわねお客さん。ありがとう」

「ハハ、どういたしまして。ねえ、少し訊きたいんどけどさ」 

「あら、何かしら?」

「ここの食堂で、出してるうどんって、前からここで出してるの?」

「あんた、うちの宿屋のうどん食べたことがないの?」

 なんか警戒されてるし。
 何で、たかがうどんだぜ?

「いや、そんなに構えないで下さいよ。
私はこの町には初めて来てので。食べたことはないです。それに、うどんの事は、冒険者ギルドの、マスターがお勧めしてくれたから、どんな物かと思って訊いてみたんだよ。そうどんな物かと思ってね」

 二度言った。

「だったら、食堂へ行って食べてご覧よ。うちの亭主の自慢のうどんだよ」

「へぇ~。それって、誰かに教わったのかい?」

「ああ、何でも隣の国の町に行った知り合いが、うどんと言う物の作り方を教わって来たんだとか。で、うちの亭主もその人に教わって作ったのが、うちの宿屋自慢のうどんだよ」

「へ、へぇ~」

 それは完全にパクりだ。
 これはあれだ、特許権侵害?
 あれ違う……なんだっけ?
 

 まあ、あれだ。
 どっかの国の御家芸と同じ感じだな。
 
 パトリックさんこんな隣国で、あんたのうどんがパクられてるぞぉ~。

 見つけてしまったが、騒いでも仕方ないしな。


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