元奴隷の半吸血鬼少女はのんびり旅をしたい

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初めての人里

街での食事は姦しい

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 ――グレイルの酒場

 その、店長の名前を冠しただけの、ユーモアのカケラもない店は、しかし酒場ながら料理は美味く、量も十分と評判の、夜遅くに帰ってくる冒険者御用達な店だった。

 そんな店に、アッシュ達四人は食事を取りに来ていた。

「オヤジ、ハンバーグステーキの普通と小盛り一つずつ、ソーセージのミックスグリル、チキンソテーのソイソース掛け、あとエール一つ頼む」
「……あいよ」

 皆を代表し注文を告げたアッシュを、ジロリと睨むようにして返事をする店主。その様子に相変わらず愛想無ぇなあと苦笑しながら、席に戻る。すると……

「おいおいアッシュ、綺麗どころを三人も連れて飯とは羨ましいじゃねぇか!」
「馬鹿言ってろ! こいつは連れと、その連れを面倒見てくれた奴への礼だからそんなんじゃねぇよ!」

 周囲からの茶化しの声に、怒鳴り返すアッシュ。
 口は悪いが、そこに険悪な雰囲気は無い。皆、冒険者の顔見知りだった。

「はっ。まぁ、お前は女絡みだととんだ腰抜けだからな」
「けけけ、ちげぇねぇ。せっかく寄ってきた女も、あんまり鈍くて愛想尽かされて、逃がしてばっかだもんなぁ!」
「……おい、待て、俺はそんな話知らねぇぞ?」

 酒飲み達の発言に、真顔で聞き返すアッシュ。彼自身には、女にモテた記憶などまるでない。
 その様子に……顔見知りらしき男達が皆、はぁぁぁああ……と大きな溜息を吐いた。

「……なんだってんだ?」

 釈然としない様子で席に腰掛けるアッシュ。

「……ほんと、朴念仁なのねぇ、ユスティ?」
「……ええ、全くです」

 追撃とばかりに双子の少女達から飛ばされる呆れの視線に、ただひたすら首を傾げるアッシュなのだった。

 ちなみにフィアは……食事のことで頭がいっぱいで、皆の話の内容などわからないのだった。





「……あいよ、ハンバーグお待ち」

 無愛想な店主が、両手に持ってきたじゅわじゅわとトマトソースが熱で弾ける音を響かせている鉄板を、フィアとユスティの目の前に置く。

「おぉぉ……っ!」

 鉄板の上に鎮座しているのは、挽肉を捏ねたものを丸めてこんがり焼いた、重厚感のある肉の塊。目を輝かせ、早速食べようとナイフとフォークを掴むフィアだったが……

「フィアちゃん。ナイフとフォークの使い方は分かりますか?」
「……ん? わかんないけど、適当じゃダメなのか?」

 その言葉を予想していたように、ユスティは席を寄せ、周りに聞こえないよう小声で話しかける。

「これは、極端な例えなのですが……例えば、食器に乗せられた食べ物をテーブルにぶちまけて、手でぐちゃぐちゃに握り潰しながら食べている人が居たらどう思います?」
「それは……せっかくの料理なのに、もったいないって思うかな……」
「不快に思いますか?」
「そりゃ、まぁ……」
「ええ。そういう事なのです。いわゆる食事マナーというものなのですが……それが必要な理由の最も根幹にあるのは、人に不快な思いをさせない事、言い換えれば『皆で美味しく食事をする事』です」
「あ、なるほど……おれが汚い食べ方をすると、周りが美味しく食べられないのか。それは困るぞ」

 周囲に迷惑をかける事が困る、というフィアに、ふっと表情を緩めるユスティ。

「ええ。あまり口うるさく言うつもりはありませんが……最低限できるところから、少しずつ勉強もしていきましょう?」
「ユスティお姉さん……おれの方こそ、よろしくお願いします」
「はい。それではまず、私の真似をしてみてください」

 そう言って、綺麗な所作で、よく焼けた挽肉の塊へとナイフを入れ、一口ぶんを切り分けるユスティ。その口に運ぶ所作まで綺麗な様子を、フィアがおぉ……と感嘆の声を上げて眺める。

「と、まぁこんな感じです。やってみてください」
「う、うん……!」

 その真似をしようと悪戦苦闘するフィアに、ナイフとフォークの持ち方などをアドバイスしたりしているユスティ。

 その様子を見て、どうやら自分の出番はなさそうだとアッシュは判断し、やや遅れて配膳された、まだ熱々の鉄板で焼ける音を立てている自分の分の腸詰を、フォークを突き立て口に運ぶ事にした。

「ん……こんな感じでいいのか?」
「ええ、大丈夫、上手に出来ています。美味しいですか?」
「うん、柔らかくて、噛むと美味い汁がじゅわって出てきて、こんな美味いもの、初めて食べた……」
「ふふ、良かったですね。それじゃ、あとは自分で頑張ってみて?」
「うん、ありがとう、ユスティお姉さん!」

 そうして教えるのをやめ、見守ることに専念すると決めたらしいユスティ。
 その視線の先ではまだぎこちないながらも、しっかりとナイフとフォークが使えているフィアの姿があった。

「……やっぱり、美味そうに食うってのがなによりも一番のマナーじゃねえかなぁ」
「……確かに」

 四苦八苦しながらも肉を口に入れるたび、花が綻ぶような満面の笑顔を見せるフィア。
 そのあまりにも美味しそうに食べる様子に、アッシュとユスティはしみじみと呟くのであった。

「はー、でも、お姉ちゃん、教えるの堂に入っていてすごいなぁ」
「ああ……『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ』……か」
「アッシュさん、何ですか、それ?」
「有名な格言だよ、昔の偉い騎士様の言葉さ。ユスティの指導はそれに忠実だ。若いのに大したもんだな……熱っ」

 会話で気が散っていたせいか、まだ熱々なソーセージを口に運んだアッシュが小さく悲鳴を上げる。

 そんな様子を困った人を見るような目で見ながら、苦笑するユスティ。

「もう……おだてても何も出ませんよ」
「……ん……ぐっ……。いや、おだてなんかじゃないさ。ユスティは、将来きっと良い母親になると思うぞ」

 火傷した舌をエールで冷やしつつ、ふっと笑って、何気なくそう褒めるアッシュ。だが……

「……フィアちゃん。こういう男に引っかかったら駄目ですからね?」
「おい、何でだ!」
「あはは、私も自覚無しでそれならどうかと思うわー」
「……くそ、勝手に言ってろ!」

 返ってきたのは、ユスティの冷たい視線と、腹を抱えて笑うリスティの声。そんな二人の反応にむくれて更にエールをあおるアッシュ。

 ただ一人話についていけてないフィアは、もう一口切り分けた肉の塊を咀嚼しながら、頭に疑問符を浮かべるのであった。



「ったく……何なんだ一体。あ、フィア、こっちも一口食うか?」
「……んぉ? 良いのか?」
「おう、食え食え。ほれ、あーんしろ、あーん」
「あー……」

 アッシュが一口大に切り分けたソーセージの一本をフォークで刺し、小さな口を精一杯開けて待ち構えるフィアの口へと運ぶ。

「え? アッシュさん、それ……っ!」

 ふと、何かに気が付いたように慌てた声を出すリスティ。しかし……

「んっ」
「どうだ、美味いか?」
「うん、美味い! ぷりっとして、しょっぱ辛い味が口に広がって……!」
「……え、あれぇ?」

 何事もなく幸せそうにソーセージを頬張るフィア。
 その姿に、拍子抜けを喰らったように、リスティがパチパチと目を瞬かせる。

「ん? どうしたリスティ?」
「どうって……さっきのソーセージ、大蒜にんにくをいっぱい使っているやつよねぇ……フィアちゃんは大蒜とかは大丈夫なんですか?」
「ん、何でだ? 匂いがキツくて辛くはあるけど……別に何ともないぞ?」

 リスティの疑問に、更に疑問符を浮かべるフィア。

「あー、元々、大蒜だの十字架だのは、こっちの偉いさんが『吸血鬼はこんな弱点が沢山あるんですよ』って広めて味方を煽るためのプロパガンダだからな」
「……え、そうなんですか? 初耳です」
「ああ。魔王が凄まじい力のある吸血鬼だったからな。兵の戦意を高揚させるため言い出した、昔の指揮官の虚言なんだが……すっかり間違って広まってしまって、無駄な対策練って余計な被害を増やしまくったのは皮肉だな」

 そう言って、肩をすくめるアッシュ。

「例えば……炎で焼けば再生しない。確かに連中の再生能力は高いが、生物である以上そりゃ、火で焼かれ灰になったらそうだろ。心臓に杭もそうだ。逆に、それで生きてる生き物ってなんだろうな」
「そ、それはそうですが……あれ、案外吸血鬼って、普通の生き物なのですか?」
「……蝙蝠になったり霧になったり、再生力は高かったり……芸が多い奴らだが、まぁそうだな。一時はアンデット扱いされていたが、それも誤解だ。奴らも、殺されたら死ぬんだ」
「はぁ……」

 どこか釈然としないという様子で、自分のチキンソテーの最後の一切れを突いているリスティ。どうやら物語で散々驚かされた話がまるでガセだったと聞いて、面白くないらしい。
 そんな妹の様子にクスリと笑いながら、ユスティが口を開く。

「ただし……色々と挙げられる弱点の中で、『銀に弱い』というのは真実です。教会で清められたもの限定ですが」
「ああ、銀は光の魔力を宿しやすいからな、自己再生能力を阻害するんだ。それと……」

 そこでアッシュは、フィアの方をちらっと一瞥する。

「……半吸血鬼ダンピールの血。それも、連中にとっては猛毒だ」
「……ん? おれ?」
「ああ、そうだ……ただ、この辺りはどんどん胸糞悪い話になるからな、飯の時はやめとこう」
「アッシュさん……」

 沈んだ表情を浮かべるアッシュと、鎮痛な面持ちでそんな彼を見つめているユスティ。その様子に、事情を知らぬ残る二人が、首を傾げながら顔を見合わせる。

「それで……アッシュさん、フィアちゃんの呪いを解く予定とは言いましたが、この後、どうするつもりなのですか?」

 そんな雰囲気に耐えかね、ユスティが話題を変える。

「おっと。そうだな……なるべく早く、レオヘイム聖王国に行きたいところなんだが」
「……聖女様の所ですか?」
「ああ。だが、その為には峠を抜けないといけないんだよな……」
「アッシュさんならば承知だと思う上で言っておきますが……峠道はあと二か月は、雪によって封鎖されていますよ?」

 現在、レオヘイム聖王国に通じているルートは閉鎖されている。山間部に大量に降り積もる、大量の積雪のためだ。

「ああ、だから……ルインロードを使うつもりだ。あれならあと半月もあれば入り口までいけるだろ」
「るいんろーど?」
「俺も詳しくはないんだが……山脈を所々地面に潜りながら抜ける、大昔の先史文明の巨大な遺構らしい」
「ただ、魔物の巣になっていまして……入り口が解放されると、両国間共同の大規模な討伐依頼が出るんです……ああ、なるほど」

 ユスティが、納得の声を上げ、ぽんと手を叩く。

「そうだ。俺たちも、それに便乗は出来そうか?」
「分かりました。明日にでも、お二人も参加者に登録させていただきますね」
「ああ、頼む……という訳で、出発は半月後だ、いいな?」
「ん、分かった」

 すっかり自分のハンバーグを平らげ、満足そうにぽこんと膨らんだお腹をさすっていたフィアが、アッシュの言葉に頷く。

「では、それまで時間を見つけては、色々勉強しましょうか」
「あ、それなら私も、冒険者道具の使い方とか色々教えてあげるわね」
「ユスティお姉さん、リスティお姉さん……うん、よろしくお願いします!」

 そう言って、嬉しそうに頭を下げるフィアに、微笑ましい視線を向けるユスティとリスティ。

 そんな少女らの仲睦まじい様子に、アッシュは一人、見守るような暖かい視線を送るのだった――……
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