勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第5章 ここから始まる女神様?

四十八日目⑧ 鍛冶師の優劣 ~ぼったくりあらわる~ 

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「なぁ。鉄鉱石ってキロ銀貨1枚でギルドに卸してるだろ?売値っていくらになるんだ?」
「そうね、いまだったらここに入る人が少し減ってるから、キロ銀貨3枚くらいかしら。」

 ちょ、ギルドぼったくりじゃね?
 キロ銀貨2枚の儲けじゃんよ。

「いま阿漕だと思ったでしょ?でもね、ギルドの運営費とか新人育成とか考えると、そうでもないのよ。考えてみてよ、カイトが暮らしていたギルド隣の宿舎。F・Gランクが無料だったでしょ?それもその運営費に含まれているのよ?だから、こういったことで稼がないと新人育成とかに支障をきたしちゃうのよ。」

 なるほどね、最初に良くしてもらった分をこうやって返していって、それがまた下の人間に還元されていくって感じなのか。
 それなら納得だな。
 そんな話をしていると、そのおっちゃんが俺たちを見つけ猛ダッシュで突撃してきた。
 それはもう、イノシシが突進してくるんじゃないかってくらい勢いよく突っ込んできたよ。

 皆の前に進み出たポールがそのおっさんをひょいっとつかみ上げると、ペイッて音が聞こえる感じで、緩~く近場へ投げ飛ばしていた。
 しかし、おっさんは姿勢を崩したのか、ゴロゴロとボーリングの玉の如く転がって行ってしまった。
 ストラーーーーイク?
 うん、なんか可哀想。

「大丈夫か?」

 ポールはデイジーとリサを心配して前に出たらしい。
 うん、どこまで行ってもポールは男前!!

「カイトもそうできればねぇ……」

 エルダからそんなことがボソッと聞こえたけど、はっきり聞こえたわけじゃないので、聞き返しづらかった。
 うん、俺には無理だからね?

「ま、ま、待ってくれ!!頼む、俺の話を聞いてくれ!!」

 そのおっさんはポールに投げ飛ばされたのもあるけど、既に薄汚れていて、あまり上等な服装をしているわけではないように見えた。
 何やら切羽詰まっているように思えて、少し不憫な気がしてしまった。
 どうやら俺の同情を引き出せたと確信したのか、おっさんはさらに身の上話を始めてしまった。

 やれ、仕入れが困難になり鍜治場が閉鎖しそうだ。
 やれ、いくら良い物を作っても売れない。
 やれ、このままでは店が潰れちまう。
 やれ、家族を養えない。

 うん、なんか可哀想すぎるな……

「そ、そこでだ。無理を承知で頼みがある!!どうかどうか!!俺に鉄鉱石を譲ってくれ!!」

 おっさんはベストオブ土下座とでもいえるような感じで、見事に土下座をしていた。
 なんか、少し助けても良いかなって思えて来てしまった。

「どうする皆。鉄鉱石なら問題無いと思うけど……」
「カイトさん、ここは救いの手を差し伸べてあげましょう。それが神の導きになるやもしれません。」

 おっと、完全に教祖モードに入ったナンディーが迷える子羊を救おうとする感じになってしまったな。
 まあ、話だけだったら聞いてやってもいいかもしれないな。

「じゃあ、話だけなら聞いてあげるから……。で、どのくらい必要なのさ?」
「おぉ!!それは助かる!!良質な鉄鉱石が20kgほど必要なんだ!!それと玉鋼も必要なんだが、それもどうにも手に入らない。鍛冶師ギルドにも相談したが、全く相手にされなかった。しかたなしに、冒険者ギルドに頼みに行ったが、門前払いもいいところだ……。だからこうしてここで頭を下げているってわけだ……」

 なんと、冒険者ギルドでも門前払いって……
 これ完ぺきにやばいやつじゃないか?
 俺は若干不安を抱えながら、取引条件を確認することにした。

「で、キロいくらでの取引を持ち掛けたのさ。」
「鉄鉱石が20キロ金貨一枚だ。玉鋼はあるだけ買い取らせてもらいたい。」

 ん?なんかおかしくないか?
 鉄鉱石ってキロ銀貨1枚がギルドでの引き取り価格だろ?
 だったら、20キロだと銀貨20枚……つまりは金貨2枚だ。
 そりゃ誰だって断るわな。
 だって半値で譲ってくれって言っているんだから。
 しかも冒険者はギルドに収めることで、貢献度が上がっていく。
 ゆくゆくはランク昇格に響いてくるんだから。

 俺は皆を見渡してみたけど、全員が顔を横に振っていた。
 まあ、答えはNOになるよな。

「おっさん、さすがにそれは無理だよ。」
「な、なんでだ!!金貨一枚だぞ?駆け出しの冒険者なら泣いて喜ぶ金額じゃないか!!」

 おっさんはいきなり立ち上がると、顔を真っ赤にして起こり始めた。
 むしろこっちの高圧的な態度の方が、本来の姿かもしれないな。

「あのさ、確かに俺はおっさんに譲れるくらいの鉄鉱石が配収してきた。しかしだ……冒険者ギルドに卸せば金貨2枚と貢献度が付くっていうのに、その半値で譲ってくれって言うのはあまりにも虫が良すぎる。」
「なんだと!!この人でなし!!この俺が困っているんだから、助けたらいいだろうが!!それにだ!!冒険者は武具がなくちゃ、何にもできんだろうが!!俺がそれを支えてやってんだから、敬え!!」

 ダメだこいつ。
 おそらく、ガンテツのおっちゃんが言っていた、淘汰された鍛冶師の一人なんだろうな。
 自分の腕をろくに磨かず、適当な装備品をだますように売りつける。
 そして、メンテナンスって言って高額請求するような奴ら。
 そんな奴らはやがて淘汰されるだろうけど、それがこのおっさんなんだろうな。

「いや別にあんたに頼る気はないよ?必要最低限は俺ができるし、出来ない範囲はガンテツさんに頼んでいるから。じゃあ、この話はなかったことで。」
「が、が、ガンテツだと!!あのやろ~~~~!!あいつのせいで俺がどんだけクソみたいな人生を送ってると思ってんだ!!腕だってあいつよりも上なんだ!!それをそれを!!」

 なんか、火に油を注いでしまったようだな…
 ま、俺には関係の無い話だからさっさと帰ることにしよう。
 皆にそっと帰ることを伝えると、首を縦に振って肯定してくれたので、その場を後にすることにした。

 後ろからずっと罵倒する声が聞こえて来たけど、構うのが面倒に思えた。
 今度ガンテツさんの店に行ったら一応話はしておこうと思う。
 まあ、話は既に知ってそうだけどね。

 こうして俺たちは〝無事何事もなく〟【森のアナグマ亭】に帰ることができた。
 明日はいよいよ、自宅工事の開始日だ。
 最後の別れを言いに皆でいこうと思う。





 
——————

「くそ!!くそ!!くそ!!おのれ、ガンテツ~~~~!!いつもいつもいつもいつも俺の邪魔をする!!兄弟子の俺をコケにしやがって!!絶対許さんぞ!!」

 遠くの空で呪詛をまき散らす男が一人……
 その男のせいでまたもトラブルに巻き込まれるとは、この時は思いもしなかった……
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