勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

文字の大きさ
238 / 246
第7章 ここから始まる雁字搦め

五十七日目⑯ 不測の事態

しおりを挟む
「それじゃあ行くとしますか。」
「そうだな。忘れ物もないはずだし、問題ないだろう。買い物も万全だったんだろ?」

 冒険者ギルドを後にした俺たちは、荷物の最終確認を行い東門へと向かった。
 ちなみに、ジルさんたちにはそっと解毒ポーション(低)を渡しておいた。
 そうしないといつまでも酒場に屍が転がっていることになりそうだったから。
 エルダの目が尊敬から虫を見る目に変わっていたのは気にしてはいけないのだろう。



 【湿原のダンジョン】に到着した俺たちは、受付を済ませるとすぐに中に入ることにした。
 その際受付の魔族の男性から耳打ちをされたんだけど、どうやら中で問題が発生していそうなんだとか。
 それも魔物が関係している事ではないという話だった。
 つまり人族同士の問題。
 うん、絶対面倒ごとだ。
 俺たちは互いに目を合わせると、言葉をかけることなく意思疎通を完了させた。
 〝絶対関わらない〟
 そう心に誓ったのだった。


 それから順調に第3層まで進むことが出来、俺の中でさっきの話が頭の片隅に追いやられていった。
 此処まで順調なんだから、その問題というやつも解決したんじゃないかって。
 でも油断は禁物、忘れたころにやってくるって言うのはまさにこのことだったんだろうな。
 どう見ても人族同士での戦闘行為が行われていたのだった。



「くそ油断した!!」
「アレックス!!こいつら普通じゃない!!」

 俺たちはさすがに見て見ぬふりは出来ないと感じ、とりあえず様子見をすることにした。
 明らかにヤバそうなら介入はさせてもらうつもりでいた。
 そんな中緊迫した会話が続く。

 アレックスと呼ばれた男性は……うん、獣人族、それも狼とか犬とかそんな感じだな。
 もう一人の女性も獣人族で、こっちは恐らく猫。
 どっちも既に傷を負っており、大分劣勢だ。
 その後ろには後衛職の弓士……こっちも獣人族だろうね。
 ただ気になるのは……あれは……羽?
 あとさらにその後ろに倒れている盾持ちとそれを介抱している回復職かな?
 あとは一人……こっちはすきを窺っているからどっちの仲間かは分からない。

「ちっ!!ミリア!!ジャックの回復は間に合うか⁈」
「アレックス慌てさせないで!!あと少しよ!!ジャック行ける⁈」

 後方支援でも緊迫状態で、大分いら立っているようだった。
 盾職がジャックで回復職がミリアか。
 そんな感じで状況確認していると、相手方の様子がおかしいって話に合点がいった。
 なんせ目が血走り、口から泡を吹いている。
 どう見ても普通じゃない。
 これはどっちに味方するかは一目瞭然だな。


「ただいま。」
「おかえりカイト、どうだった。」

 俺はスキルを全発動させて状況偵察を行っていた。
 その甲斐もあって判断材料には事欠かない。

「エルダ、皆、あっちの獣人族たちのパーティーのフォローをしよう。どうもあっちの人族パーティーは普通じゃない。薬でも決めてるんじゃないかってくらい異常だ。」
「そうだね、私が見ても異常なのはわかったよ。はっきりとは見えなかったけど、どうも操られているって感じもするね。」

 俺の意見に賛成したデイジーが追加で情報を上げてくれた。
 さすがデイジー、良い目をしているよ。

「それでは私の出番というわけですね。」

 やる気満々のナンディーは何か不敵な笑みを浮かべていた。
 まさかと思うけど、ここでも勧誘活動をしようって言うんじゃないだろうな?
 あれだけおとなしくしろって陛下に言われたばかりじゃないか……

「よし、一気に介入して制圧するぞ。相手は正気じゃない。無理に生け捕りにしようとは考えなくていい。こちらの損害はなるべく出さないように!!」

 ポールの言葉に一瞬緊張が走る。
 それはそうだ、言外に〝生死問わず〟と言っているんだから。
 ナンディーもエルダもデイジーも覚悟は決まっているようだった。
 あとは俺とアリサ。
 でもそれも杞憂に終わった。
 アリサの目にも迷いはなかった。
 うん、大丈夫、行ける!!

「俺とカイトで人族パーティーを抑える。アリサとナンディーは獣人族パーティーの保護と回復。エルダとデイジーは各自援護を。行くぞ!!」
「おう!!」

 こうして突発的な対人戦闘が始まったのだった。
 見事にフラグ改修となったわけだ。
 だけどこの時俺は重大なミスを犯していた。
 そう、もう一人の存在。
 獣人パーティーは5人。
 人族パーティーは6人。
 もう一人は〝獣人族パーティーの残り一人〟と思い込んでしまっていたのだ。
 これが後になって俺たちを苦しめるとはこの時の俺は予想だにしていなかった。



「助太刀する!!」

 ポールがタワーシールドでシールドバッシュを行い、人族パーティーの前衛を一気に押し出した。
 俺もそれに追従し、剣を振るう。
 さすがに対人戦だけあって魔物とは違った感じがしたけど、操られているせいなのか、こいつらの動きはかなり単調だった。
 そのおかげで俺もその攻撃を捌き切ることが出来たんだけど。

 後方ではナンディーが回復を行っており、アリサもポーションを使いまくっていた。
 そのおかげで獣人族パーティーのメンバーは回復が完了し、戦線に復帰する事が出来た。

「助力感謝する!!!!」
「さっさと制圧するぞ!!」

 こうして戦力が一気に増した俺たちは、人族パーティーを制圧したのだった。
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。