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三回目
第5話
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——————
今日は20✕✕年8月5日の朝です!!朝です!!起きるのです!!
——————
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
はぁはぁはぁ……
「いき……てる?」
あぁ、これは夢じゃない……
絶対夢なんかじゃない……
夢なんかであるものか!!
僕は慌てて、犯人に刺された左わき腹を触る。
やはり傷跡は無く、血の跡すら無かった。
目覚まし時計が知らせるように、今日は20✕✕年の8月5日。
もしかしてこれは……タイムリープ?
まさか……ね。
そんな非科学的なことが起こるはずなんて……
そう否定しようと思ったけど、現実問題僕の身に降りかかってきた問題だ。
でもどうして……
いくら考えても埒が明かないな。
——————
今日は20✕✕年8月5日の朝です!!朝で
——————
「うるさいって……」
僕はまたなりだした目覚まし時計を乱暴に止める。
外では騒がしくサイレンが鳴り、恐らくこの後見るニュースの内容通りの事件が起こているんだろうな。
朝日が差し込むカーテンを開け、窓を解放する。
生温かな風が部屋に入り込んで、嫌な空気を一掃していく。
ただ逆に、生温かな空気のせいで不快感は増したのはご愛敬だ。
理解しがたい現状。
これをどう考えていいものか……
一旦思考を止めようとしたけど、どうしても気になってしまって仕方がない。
いまだ覚めやらぬ意識のまま部屋を出ると、ちょうどルリも自室から出てきたようだ。
「おはようお兄ちゃん……朝からおっきい声出してどうしたの?」
「あ、いや、おはようルリ。騒いじゃってごめん。ちょっと夢見が悪くてさ……」
ルリは心配そうに声をかけてくれた。
僕がそう言って謝ると、ルリは「別にいいわよ」と言いながら一階に降りていった。
いったい何が怒っているんだ……
——————
臨時ニュースです。昨夜○○県✕✕市の路上で、男性の遺体が発見されました。
状況から殺人とみて警察が捜査を開始した模様です。
詳細については……
——————
テレビから流れてきたニュース。
僕の住む○○県○○市……
男性の遺体……
間違いない、ここまでくれば夢なんかじゃない。
僕は間違いなく20✕✕年の8月5日を繰り返している。
でもどうして?
僕はリビングから聞こえたニュースに、これが現実であると突き付けられる。
なんで僕が……
「どうしたのお兄ちゃん?なんか悩み事?コイバナ?だったら話くらい聞くよ?」
僕が思考の渦に呑まれていると、ルリの言葉で現実に引き戻された。
そう言うルリは、ニマニマしながら手でお金のマークを作っていた。
いつの間にかませてきて、ついには守銭奴って……
僕はルリの行動のおかげで、少しだけ肩の力が抜けた気がした。
「僕の恋愛より自分の事を心配してろよ。そもそもテスト大丈夫なのか?この前赤点ギリギリだったんだろ?」
「ちょ!!なんで知ってるのよ!!」
そりゃ知ってるも何も、今日学校に行くって言う事は、受験生の僕たちならいざ知らず、それ以外は確実にテストの補習授業だからね。
「今度勉強見てやるから、早くそこどいてくれないか?」
ルリは僕をからかう前まで、鏡の前で鼻歌交じりで身支度をしていた。
それが一転してワタワタとし始め、今は意気消沈……
なんとも我が妹ながら面白い女の子に育ったものだよね。
「あ、お兄ちゃん笑ったでしょ⁈ねぇ、笑ったよね!!」
「笑ってないって……」
「あなたたち……兄妹仲がいいわね。」
僕たちが洗面台で騒いでいた為か、朝食を作っていた母さんが様子を見に来たみたいだ。
ただ、喧嘩をしていたわけではないと分かったからか、どこか呆れ気味にため息をつかれてしまった。
「お母さん聞いてよ!!お兄ちゃんがね~」
ルリは母さんに愚痴をこぼすためか、キッチンに急いで向かったみたいだ。
やっとあいた洗面台で見た自分の顔に、僕はなんとも言えない気持ちになってしまった。
目の下には隈が出来上がっていた。
生まれてこの方、隈なんてできたことなかったのにな。
どうしてこうなった……
僕は食事を済ませると、自分の部屋に戻って学校へ行く準備を始める。
そう言えば、前回も前々回も〝必ず左の脇腹を刺された〟んだっけ……
確か誰かにぶつかられて。
まさか殺人犯のせい?
さっき見たニュースが僕の頭を過る。
まさか……とは思いつつも、完全に否定することが出来い。
だからと言って、積極的に肯定するものでもない。
こんな都会とは程遠い街で起こった、殺人事件。
もしかして犯人は、通り魔?
そうなると、誰が次に狙われるかなんて想像もつかない。
つまり僕は、〝たまたま狙われた被害者〟ってことになるのか?
さて、どうしようか。
僕は辺りを見回すと、何か対応できるものは無いかと探してみた。
枕……は邪魔。
テレビ……は重すぎるってか、そんなの持ってあの坂登れるわけがない。
「ナイフを防げるものなんてあるはずはないよね……」
ついこぼれた言葉に、僕は一瞬ドキッとしてしまう。
どうしてナイフだって分かったんだ?
確かに刺されたけど、何で刺されたかなんて見てないはず。
通り魔殺人の可能性が有るから、凶器はナイフだって言う思い込み?
だとしてもだ、はっきりとナイフだって僕は認識している。
そう考えると、背中に何か嫌な汗が流れる……
あ、そうだ……前回の時……
一瞬だけちらっと見えたんだ……
刺されるちょっと前に、左から歩いてきた黒いフードを被った人物を。
そしてその手にあった、鈍鉄色のナイフを。
僕は気休めとばかりに、慌てて左の脇腹付近の制服の下に、何冊かの雑誌をしまい込む。
うん、なんとも頼りないな。
そうだ、カバンを今日は左にかけていこう。
いつもは右だけど、これなら何とかなるかもしれない。
僕はこうしてなけなしの抵抗を試みた。
ピンポーン
いつもと同じ時間に玄関のチャイムが鳴る。
輝は時間通りに僕の家にやってきた。
これも前回通りの展開だ。
「おはよう輝」
「おはよう悠一。あの目覚まし気に入ってくれたかい?」
玄関を出ると、親友の輝の姿があった。
気に入るわけないだろうに……
なんと言おうとあの音が、僕がループ世界に囚われているってことを印象付ける最初の要因なんだから。
輝はさらりとした前髪が少し邪魔だったのか、手で軽く払いのける。
あぁ、もう!!
そのしぐさもいつも通り、イケメン万歳!!
「それじゃあ行ってきます」
「ちょっと待ってよお兄ちゃん!!もう、先行かないでよね!!」
そして僕はいつも通りに登校した。
とは言え前回とは違い、ルリと玄関を出たんだけど。
これは少しの変化なんだろうか。
今日は20✕✕年8月5日の朝です!!朝です!!起きるのです!!
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「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
はぁはぁはぁ……
「いき……てる?」
あぁ、これは夢じゃない……
絶対夢なんかじゃない……
夢なんかであるものか!!
僕は慌てて、犯人に刺された左わき腹を触る。
やはり傷跡は無く、血の跡すら無かった。
目覚まし時計が知らせるように、今日は20✕✕年の8月5日。
もしかしてこれは……タイムリープ?
まさか……ね。
そんな非科学的なことが起こるはずなんて……
そう否定しようと思ったけど、現実問題僕の身に降りかかってきた問題だ。
でもどうして……
いくら考えても埒が明かないな。
——————
今日は20✕✕年8月5日の朝です!!朝で
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「うるさいって……」
僕はまたなりだした目覚まし時計を乱暴に止める。
外では騒がしくサイレンが鳴り、恐らくこの後見るニュースの内容通りの事件が起こているんだろうな。
朝日が差し込むカーテンを開け、窓を解放する。
生温かな風が部屋に入り込んで、嫌な空気を一掃していく。
ただ逆に、生温かな空気のせいで不快感は増したのはご愛敬だ。
理解しがたい現状。
これをどう考えていいものか……
一旦思考を止めようとしたけど、どうしても気になってしまって仕方がない。
いまだ覚めやらぬ意識のまま部屋を出ると、ちょうどルリも自室から出てきたようだ。
「おはようお兄ちゃん……朝からおっきい声出してどうしたの?」
「あ、いや、おはようルリ。騒いじゃってごめん。ちょっと夢見が悪くてさ……」
ルリは心配そうに声をかけてくれた。
僕がそう言って謝ると、ルリは「別にいいわよ」と言いながら一階に降りていった。
いったい何が怒っているんだ……
——————
臨時ニュースです。昨夜○○県✕✕市の路上で、男性の遺体が発見されました。
状況から殺人とみて警察が捜査を開始した模様です。
詳細については……
——————
テレビから流れてきたニュース。
僕の住む○○県○○市……
男性の遺体……
間違いない、ここまでくれば夢なんかじゃない。
僕は間違いなく20✕✕年の8月5日を繰り返している。
でもどうして?
僕はリビングから聞こえたニュースに、これが現実であると突き付けられる。
なんで僕が……
「どうしたのお兄ちゃん?なんか悩み事?コイバナ?だったら話くらい聞くよ?」
僕が思考の渦に呑まれていると、ルリの言葉で現実に引き戻された。
そう言うルリは、ニマニマしながら手でお金のマークを作っていた。
いつの間にかませてきて、ついには守銭奴って……
僕はルリの行動のおかげで、少しだけ肩の力が抜けた気がした。
「僕の恋愛より自分の事を心配してろよ。そもそもテスト大丈夫なのか?この前赤点ギリギリだったんだろ?」
「ちょ!!なんで知ってるのよ!!」
そりゃ知ってるも何も、今日学校に行くって言う事は、受験生の僕たちならいざ知らず、それ以外は確実にテストの補習授業だからね。
「今度勉強見てやるから、早くそこどいてくれないか?」
ルリは僕をからかう前まで、鏡の前で鼻歌交じりで身支度をしていた。
それが一転してワタワタとし始め、今は意気消沈……
なんとも我が妹ながら面白い女の子に育ったものだよね。
「あ、お兄ちゃん笑ったでしょ⁈ねぇ、笑ったよね!!」
「笑ってないって……」
「あなたたち……兄妹仲がいいわね。」
僕たちが洗面台で騒いでいた為か、朝食を作っていた母さんが様子を見に来たみたいだ。
ただ、喧嘩をしていたわけではないと分かったからか、どこか呆れ気味にため息をつかれてしまった。
「お母さん聞いてよ!!お兄ちゃんがね~」
ルリは母さんに愚痴をこぼすためか、キッチンに急いで向かったみたいだ。
やっとあいた洗面台で見た自分の顔に、僕はなんとも言えない気持ちになってしまった。
目の下には隈が出来上がっていた。
生まれてこの方、隈なんてできたことなかったのにな。
どうしてこうなった……
僕は食事を済ませると、自分の部屋に戻って学校へ行く準備を始める。
そう言えば、前回も前々回も〝必ず左の脇腹を刺された〟んだっけ……
確か誰かにぶつかられて。
まさか殺人犯のせい?
さっき見たニュースが僕の頭を過る。
まさか……とは思いつつも、完全に否定することが出来い。
だからと言って、積極的に肯定するものでもない。
こんな都会とは程遠い街で起こった、殺人事件。
もしかして犯人は、通り魔?
そうなると、誰が次に狙われるかなんて想像もつかない。
つまり僕は、〝たまたま狙われた被害者〟ってことになるのか?
さて、どうしようか。
僕は辺りを見回すと、何か対応できるものは無いかと探してみた。
枕……は邪魔。
テレビ……は重すぎるってか、そんなの持ってあの坂登れるわけがない。
「ナイフを防げるものなんてあるはずはないよね……」
ついこぼれた言葉に、僕は一瞬ドキッとしてしまう。
どうしてナイフだって分かったんだ?
確かに刺されたけど、何で刺されたかなんて見てないはず。
通り魔殺人の可能性が有るから、凶器はナイフだって言う思い込み?
だとしてもだ、はっきりとナイフだって僕は認識している。
そう考えると、背中に何か嫌な汗が流れる……
あ、そうだ……前回の時……
一瞬だけちらっと見えたんだ……
刺されるちょっと前に、左から歩いてきた黒いフードを被った人物を。
そしてその手にあった、鈍鉄色のナイフを。
僕は気休めとばかりに、慌てて左の脇腹付近の制服の下に、何冊かの雑誌をしまい込む。
うん、なんとも頼りないな。
そうだ、カバンを今日は左にかけていこう。
いつもは右だけど、これなら何とかなるかもしれない。
僕はこうしてなけなしの抵抗を試みた。
ピンポーン
いつもと同じ時間に玄関のチャイムが鳴る。
輝は時間通りに僕の家にやってきた。
これも前回通りの展開だ。
「おはよう輝」
「おはよう悠一。あの目覚まし気に入ってくれたかい?」
玄関を出ると、親友の輝の姿があった。
気に入るわけないだろうに……
なんと言おうとあの音が、僕がループ世界に囚われているってことを印象付ける最初の要因なんだから。
輝はさらりとした前髪が少し邪魔だったのか、手で軽く払いのける。
あぁ、もう!!
そのしぐさもいつも通り、イケメン万歳!!
「それじゃあ行ってきます」
「ちょっと待ってよお兄ちゃん!!もう、先行かないでよね!!」
そして僕はいつも通りに登校した。
とは言え前回とは違い、ルリと玄関を出たんだけど。
これは少しの変化なんだろうか。
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