14 / 18
少女の手には攻略本
しおりを挟む
RINEでいくつかの事実を夏海さんに確認しました。
犬に噛まれたのは犬上さんが原因。
プールに閉じ込められたのは八雲さんが画策したこと。
腕をギプスで固めるほどの怪我の原因は蛇塚さんによるもの。
すべて『そう』というお返事をいただきました。
重ねて質問を投げかけます。
放課後、犬上さんの下顎を蹴った。
同じ時に、八雲さんの胸部に正拳を突き立てた。
『何で知ってるの?』
質問に質問で返されてしまいましたが、驚愕は肯定の証です。
私は、夏海さんに裏図書室の存在と物語の内容を理解が得られるまでお話ししました。
その結果得られた仮説は2つです。
RINEを送ります。
『1つ。物語の魔物は真尾さん、犬上さん、八雲さん、蛇塚さんが当てはめられている。
2つ。本の内容は実際に起こる。しかし、ファンタジーすぎるものは現実で起こりうるものに改変される。』
文字を打つのが焦ったくなったのか夏海さんからの着信が入りました。
「根拠はあるの? 信じられないんだけど」
「根拠としましては、夏海さんが勇者だと仮定した場合、犬上さんは戯れるように犬を模した手で噛んでいます」
「順番がおかしくない? 私は犬に噛まれてから犬上に噛まれる真似をされたよ」
「きっと犬上さんに噛まれるという事実と犬に噛まれて怪我をするという結果の順番はどちらが先でもいいのだと思います。原因と結果の順番はあまり意味を成さないのかもしれません」
スマホ越しですと夏海さんが納得したのか分かりませんが、推理のお披露目を続けていきます。
推理小説の探偵が推理を止めないのは楽しいからなのですね。
「八雲さんは、蜘蛛の魔物で石造りの古い廃城に住んでいました。校舎内の石造りの古い建物と言ったら——」
「プールの更衣室。確かにあそこはブロック塀を積み重ねてあるしコンクリートの打ちっぱなしだけど」
「虫がいっぱいいます」
「ひぃい」
虫という単語に反応した夏海さんが悲鳴を上げます。
それが可愛くて可愛くて癖になってしまいそうです。もしかしたら、真尾さんたちも初めは夏海さんの反応が可愛くてついからかってしまったのかもしれません。それがだんだんエスカレートしてしまったのでしょうか。
私は気をつけなくては。気持ちを引き締めます。
「おそらく、[虫による恐怖や不快感]がキーワードなのです」
「それなら、納得。死ぬほど怖かった」
「それに本の中で蜘蛛の魔物は胸に聖剣を突き立てられて絶命していました」
「いや、流石に私は剣でなんか人を刺したことないよ? 弟とヒーロ玩具でチャンバラなら時折やるけどさ」
「いえ、夏海さんは間違いなく正拳を突きたてています」
「……ひょっとして正拳突き?」
「はい」
「駄洒落じゃん……」
「駄洒落ですが、裏図書室の本は文字は読めないんです。意味が分かるだけなので……なので、同じ音であれば許容されてしまうのかもしれません」
聖剣と正拳。
流石に苦しいでしょうか。
「ゴルゴーンによる石化は石膏で固められたことで再現されたのだと思います」
「裏図書室のことは大体わかった。その本は妥当魔王のための攻略本に近いわけだ」
「攻略本ですか?」
「そ。これから起こることと相手の倒し方がのってる本。かなりのアドバンテージだね」
そのような考え方もできるのですね。私はずっと呪いの本だと思っていました。書いてあることが現実に起きてしまう呪われた一冊。それを攻略本だなんて。
なんて前向きなのでしょう。
それから色々と脱線しながらも話し合い、遂に妥当真尾さんのための秘策を思いつきました。
ですが、できるかどうかの確証がないので夏海さんには黙っていることにします。
犬に噛まれたのは犬上さんが原因。
プールに閉じ込められたのは八雲さんが画策したこと。
腕をギプスで固めるほどの怪我の原因は蛇塚さんによるもの。
すべて『そう』というお返事をいただきました。
重ねて質問を投げかけます。
放課後、犬上さんの下顎を蹴った。
同じ時に、八雲さんの胸部に正拳を突き立てた。
『何で知ってるの?』
質問に質問で返されてしまいましたが、驚愕は肯定の証です。
私は、夏海さんに裏図書室の存在と物語の内容を理解が得られるまでお話ししました。
その結果得られた仮説は2つです。
RINEを送ります。
『1つ。物語の魔物は真尾さん、犬上さん、八雲さん、蛇塚さんが当てはめられている。
2つ。本の内容は実際に起こる。しかし、ファンタジーすぎるものは現実で起こりうるものに改変される。』
文字を打つのが焦ったくなったのか夏海さんからの着信が入りました。
「根拠はあるの? 信じられないんだけど」
「根拠としましては、夏海さんが勇者だと仮定した場合、犬上さんは戯れるように犬を模した手で噛んでいます」
「順番がおかしくない? 私は犬に噛まれてから犬上に噛まれる真似をされたよ」
「きっと犬上さんに噛まれるという事実と犬に噛まれて怪我をするという結果の順番はどちらが先でもいいのだと思います。原因と結果の順番はあまり意味を成さないのかもしれません」
スマホ越しですと夏海さんが納得したのか分かりませんが、推理のお披露目を続けていきます。
推理小説の探偵が推理を止めないのは楽しいからなのですね。
「八雲さんは、蜘蛛の魔物で石造りの古い廃城に住んでいました。校舎内の石造りの古い建物と言ったら——」
「プールの更衣室。確かにあそこはブロック塀を積み重ねてあるしコンクリートの打ちっぱなしだけど」
「虫がいっぱいいます」
「ひぃい」
虫という単語に反応した夏海さんが悲鳴を上げます。
それが可愛くて可愛くて癖になってしまいそうです。もしかしたら、真尾さんたちも初めは夏海さんの反応が可愛くてついからかってしまったのかもしれません。それがだんだんエスカレートしてしまったのでしょうか。
私は気をつけなくては。気持ちを引き締めます。
「おそらく、[虫による恐怖や不快感]がキーワードなのです」
「それなら、納得。死ぬほど怖かった」
「それに本の中で蜘蛛の魔物は胸に聖剣を突き立てられて絶命していました」
「いや、流石に私は剣でなんか人を刺したことないよ? 弟とヒーロ玩具でチャンバラなら時折やるけどさ」
「いえ、夏海さんは間違いなく正拳を突きたてています」
「……ひょっとして正拳突き?」
「はい」
「駄洒落じゃん……」
「駄洒落ですが、裏図書室の本は文字は読めないんです。意味が分かるだけなので……なので、同じ音であれば許容されてしまうのかもしれません」
聖剣と正拳。
流石に苦しいでしょうか。
「ゴルゴーンによる石化は石膏で固められたことで再現されたのだと思います」
「裏図書室のことは大体わかった。その本は妥当魔王のための攻略本に近いわけだ」
「攻略本ですか?」
「そ。これから起こることと相手の倒し方がのってる本。かなりのアドバンテージだね」
そのような考え方もできるのですね。私はずっと呪いの本だと思っていました。書いてあることが現実に起きてしまう呪われた一冊。それを攻略本だなんて。
なんて前向きなのでしょう。
それから色々と脱線しながらも話し合い、遂に妥当真尾さんのための秘策を思いつきました。
ですが、できるかどうかの確証がないので夏海さんには黙っていることにします。
1
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
烏孫の王妃
東郷しのぶ
歴史・時代
紀元前2世紀の中国。漢帝国の若き公主(皇女)は皇帝から、はるか西方――烏孫(うそん)の王のもとへ嫁ぐように命じられる。烏孫は騎馬を巧みに操る、草原の民。言葉も通じない異境の地で生きることとなった、公主の運命は――?
※「小説家になろう」様など、他サイトにも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる