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第二十六話 久しぶりの学院
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久しぶりに学院に戻った俺たちは、あれから何事もなく、平和な日々を過ごしていた。そんな俺たちは前期の試験的存在である振り分け戦が行われる魔力演習場にいる。
もう少しで夏休みということもあり、夏の暑い日差しにセミが鳴く声が聞こえてきくる。
リリーとイリアを横目に見ると、表情は振り分け戦当日だというのに普段と変わらない。というのは、あれから俺たちはユニ先生の補習をうけることになり、未知の技などを習得できるようにまでなったのでA組だと確信しているからだ。
「いよいよ振り分け戦が行われるな」
「ええ、前期の試験ね。これによって2学期の組み分けが行われるわ! 今の実力なら、イツキならA組に余裕で行けると思うわ!」
「そうだな。こんな短期間で火、水、土、風の4魔素を発現させるとはな」
「それはユニ先生やグランズ先生の補習のおかげだよ」
そうだ。グランズ先生とユニ先生の猛特訓のおかげで、短期間で4魔素を発現することができた。まだ完全に使いこなしてるわけではないが、簡単な技であればだせるようになっていた。そんな俺は魔素を発現させたからなのか、それとも偶然なのかは分からないが、魔力の高まりや、わからないオーラみたいなものを感じるようになっていた。
「よし、全員揃っているな。今から5試合の振り分け戦を行う。試合は二日間行われるから、体調管理を怠るなよ」
グランズ先生はいつものように、ズボンのポケットに手を突っ込んでだるそうに言っている。
「いつものように我々がきめた対戦相手との試合になる。では、早速だが始めるぞ!」
グランズ先生がそういうと、次々と試合が行われていく。皆真剣な表情で試合を見守っていた。だが、俺たちは余裕しゃくしゃくで、皆の試合を見ていた。この3か月間の間に色々な出来事や、厳しい特訓をしてきた俺たちは勝つことを、A組になることを確信しているのだ。
「次に、1位 リリー vs 7位 イツキ の試合を始めるよ! 握手したらはじめだ」
ユニ先生は楽しそうにいう。
「イツキ! 正々堂々勝負よ!」
「ああ、全力で行く!」
俺たちはそういうと、互いに握手を交わす。リリーの表情は緊張したそれではなく、楽しんでいる様子だった。
リリーに勝っても負けてもA組は確定だろう。そんな俺たちが今思っていることは、今までしてきた特訓の成果がここで出るということだ。思う存分に力を発揮できる相手と戦える。それは楽しいことだった。
「光よ力を貸して 天使の衣!身体強化! 予知! 付与! 光明力!」
「闇よ力を貸してくれ! 悪魔の衣身体強化! 予知! 付与! 暗黒力! 光明力!」
「じゃあ、私からいくわよ!! 光よ力を貸して 天光 光矢」
リリーはそういうと、身体強化の力で俺の近くまで接近してきて天光を至近距離から放ち光矢を上から放つつもりだろう。だが、今の俺ならそれすらかわさずに受け止めることができる気がする。魔力の高まりを感じるのだ。
予想通り、リリーは近づくと技を放っていた。だが、放ったその技は 悪魔の衣によって魔素そのものに分解されていた。
「なっ!! イツキ、あなたまた魔力が上がったわね!」
「そういうリリーだって上がってるじゃないか! 天使の衣!を発動できるなんて」
「そうよ! 魔力が上がった今の私の技なら防がれないと思ったの!! 悔しいわ! ならこうするべきね!」
を出現させると、天光をいくつも発現させている。
なるほど。至近距離の攻撃であればたしかに防げないかもしれない。ならば
「暗黒剣暗黒波!」
俺は暗黒剣を振ると、暗黒波が天光を打ち破りリリーに向かって行く。リリーはおそらく簡単に避けると俺の後方に移動し、攻撃してくるはずだ。
予想通りリリーは俺の攻撃をかわすと、跳躍し後方に着地しようとしている。
「ここだ!!」
俺は跳躍中のリリーに暗黒剣を振りかざす。
「うっ。降参だわ。まだ力を残してたでしょ!! こんなの勝てないもん......」
傷を負ったリリーはそう言っていた。たしかに俺はまだ使ってない技や手加減して剣を振っていたが、やはり本気で戦ったほうがよかったかもしれない。
「すまない! 次は全力で戦うよ!」
「いや、いいの! 全力で戦ったところで勝てないし、ぼろぼろになるだけだわ! さ! 次の試合が始まるわ、戻りましょう!」
リリーと観客席に戻るとイリアとユニ先生が待っていた。
「お前たち! 随分と成長したなー! あたしは感心したよー! この短期間でほぼ全ての技を覚え、魔力まで上がっているからな!」
「これもすべてユニ先生が、未知の魔力を教えてくれたおかげです! ありがとうございます!」
俺たちはユニ先生に感謝を伝えると
「いや! いいってことよ! これは必要なことなんだろうし! ま! まだ試合は残ってるからゆっくり体を休めるんだね」
ユニ先生はそういうと、俺たちに食堂で買ったスペシャルドリンク(ココナッツ風味)を渡す。
「んじゃ! あたしは進行役があるから」
そういうと去っていた。
「ユニ先生って不思議な人だけど、意外と優しいよね」
「そうですね。私も前からそう思っていました」
俺たちはユニ先生の意外な一面に驚いていると
「次に 2位 イツキ vs 1位 イリア 中央に向かいなさい」
「なに!? さっきの試合からまだ時間がたっていないぞ!」
「なーに。イツキなら試合間隔が狭くても勝てるだろう? 私にもハンデが必要だしな」
イリアはウインクしながら俺をみて、頼むぞと言わんばかりの表情をしている。イリアが相手でハンデは厳しいが、やるしかないだろう。
俺はイリアと共に演習場中央に行き、互いに握手を交わす。
「全力でこい!」
「ああ、もちろんだ! イリアも全力でこい!」
俺たちは互いに鼓舞し合う。イリアはどこか嬉しそうに笑っている。
俺もリリーとの試合と同じように力を出せる相手と戦うのは楽しみだ。
「闇よ! 我に力を与えたまえ! 悪魔の衣身体強化! 予知! 付与! 暗黒力! 光明力!」
イリアは闇系統の魔素を扱うのだったな。ならば
「光よ、俺に力を貸してくれ! 天使の衣!身体強化! 予知! 付与! 光明力!」
「私からいくぞっ! 闇よ、我に力を与えたまえ 暗黒剣! 黒炎」
なるほど。周囲を炎で覆いその炎に隠れて不意打ちするつもりだろう。それならば、
「風よ 俺に力を貸してくれ! 風飛行」
俺は風魔素を足元に集中させ空中に浮遊すると、地面から鋭い土のスピアが何本も襲い掛かってくる。だが、この技であれば天使の衣!によって防ぐことができるだろう。
「クッ イツキ! 降りてこい! 私の技が当たらないじゃないか! いや、あたったとしても効かないのでは意味がない!!」
「イリア! 悪いが、これは真剣勝負だ! 次は俺がいかせてもらうぞ!」
俺は身体強化と風の魔素のおかげで、凄まじい速度でイリアに近づき、天剣を振る。すると、光の波が斬撃となりイリアを襲う。
「これしき!」
イリアは俺の斬撃を避けると、暗黒剣を俺の横腹めがけ振っていた。
「そう来ると思ったよ! 闇よ 俺に力を貸してくれ! 悪魔盾!!」
俺は剣を振るより早く詠唱すると、右側に盾を出現させる。今のイリアの状態は、渾身の一撃を右わき腹に喰らわせようとしているので体勢が悪い。がら空きになった、左側に剣を振れば倒せるだろう。
俺はイリアの足をめがけ剣をふる。
「勝者! イツキ!!」
「おおー! あのイリアとリリー姫をこんな短期間で倒すとは」
会場からはどよめきが起こっている。
「くっ! 流石はイツキだ! 私がす、すきになるだけあ、ある......」
「なんだって!? 聞こえないな」
「いや、いいんだ! 何も言っていないからな...... それより、早く席にもどるぞ!」
そういうとリリー同様、俺の手を強引に握ると歩幅を大きく歩いていく。
リリーもイリアも負けたから怒っているのかもしれない。後で学食でも奢ったほうがいいだろう。俺はそう思いながら観客席に戻った。
その後いろいろと試合が進み、俺は全戦全勝で学年一位で突破、リリーは2位、イリアは学年3位となった。
もう少しで夏休みということもあり、夏の暑い日差しにセミが鳴く声が聞こえてきくる。
リリーとイリアを横目に見ると、表情は振り分け戦当日だというのに普段と変わらない。というのは、あれから俺たちはユニ先生の補習をうけることになり、未知の技などを習得できるようにまでなったのでA組だと確信しているからだ。
「いよいよ振り分け戦が行われるな」
「ええ、前期の試験ね。これによって2学期の組み分けが行われるわ! 今の実力なら、イツキならA組に余裕で行けると思うわ!」
「そうだな。こんな短期間で火、水、土、風の4魔素を発現させるとはな」
「それはユニ先生やグランズ先生の補習のおかげだよ」
そうだ。グランズ先生とユニ先生の猛特訓のおかげで、短期間で4魔素を発現することができた。まだ完全に使いこなしてるわけではないが、簡単な技であればだせるようになっていた。そんな俺は魔素を発現させたからなのか、それとも偶然なのかは分からないが、魔力の高まりや、わからないオーラみたいなものを感じるようになっていた。
「よし、全員揃っているな。今から5試合の振り分け戦を行う。試合は二日間行われるから、体調管理を怠るなよ」
グランズ先生はいつものように、ズボンのポケットに手を突っ込んでだるそうに言っている。
「いつものように我々がきめた対戦相手との試合になる。では、早速だが始めるぞ!」
グランズ先生がそういうと、次々と試合が行われていく。皆真剣な表情で試合を見守っていた。だが、俺たちは余裕しゃくしゃくで、皆の試合を見ていた。この3か月間の間に色々な出来事や、厳しい特訓をしてきた俺たちは勝つことを、A組になることを確信しているのだ。
「次に、1位 リリー vs 7位 イツキ の試合を始めるよ! 握手したらはじめだ」
ユニ先生は楽しそうにいう。
「イツキ! 正々堂々勝負よ!」
「ああ、全力で行く!」
俺たちはそういうと、互いに握手を交わす。リリーの表情は緊張したそれではなく、楽しんでいる様子だった。
リリーに勝っても負けてもA組は確定だろう。そんな俺たちが今思っていることは、今までしてきた特訓の成果がここで出るということだ。思う存分に力を発揮できる相手と戦える。それは楽しいことだった。
「光よ力を貸して 天使の衣!身体強化! 予知! 付与! 光明力!」
「闇よ力を貸してくれ! 悪魔の衣身体強化! 予知! 付与! 暗黒力! 光明力!」
「じゃあ、私からいくわよ!! 光よ力を貸して 天光 光矢」
リリーはそういうと、身体強化の力で俺の近くまで接近してきて天光を至近距離から放ち光矢を上から放つつもりだろう。だが、今の俺ならそれすらかわさずに受け止めることができる気がする。魔力の高まりを感じるのだ。
予想通り、リリーは近づくと技を放っていた。だが、放ったその技は 悪魔の衣によって魔素そのものに分解されていた。
「なっ!! イツキ、あなたまた魔力が上がったわね!」
「そういうリリーだって上がってるじゃないか! 天使の衣!を発動できるなんて」
「そうよ! 魔力が上がった今の私の技なら防がれないと思ったの!! 悔しいわ! ならこうするべきね!」
を出現させると、天光をいくつも発現させている。
なるほど。至近距離の攻撃であればたしかに防げないかもしれない。ならば
「暗黒剣暗黒波!」
俺は暗黒剣を振ると、暗黒波が天光を打ち破りリリーに向かって行く。リリーはおそらく簡単に避けると俺の後方に移動し、攻撃してくるはずだ。
予想通りリリーは俺の攻撃をかわすと、跳躍し後方に着地しようとしている。
「ここだ!!」
俺は跳躍中のリリーに暗黒剣を振りかざす。
「うっ。降参だわ。まだ力を残してたでしょ!! こんなの勝てないもん......」
傷を負ったリリーはそう言っていた。たしかに俺はまだ使ってない技や手加減して剣を振っていたが、やはり本気で戦ったほうがよかったかもしれない。
「すまない! 次は全力で戦うよ!」
「いや、いいの! 全力で戦ったところで勝てないし、ぼろぼろになるだけだわ! さ! 次の試合が始まるわ、戻りましょう!」
リリーと観客席に戻るとイリアとユニ先生が待っていた。
「お前たち! 随分と成長したなー! あたしは感心したよー! この短期間でほぼ全ての技を覚え、魔力まで上がっているからな!」
「これもすべてユニ先生が、未知の魔力を教えてくれたおかげです! ありがとうございます!」
俺たちはユニ先生に感謝を伝えると
「いや! いいってことよ! これは必要なことなんだろうし! ま! まだ試合は残ってるからゆっくり体を休めるんだね」
ユニ先生はそういうと、俺たちに食堂で買ったスペシャルドリンク(ココナッツ風味)を渡す。
「んじゃ! あたしは進行役があるから」
そういうと去っていた。
「ユニ先生って不思議な人だけど、意外と優しいよね」
「そうですね。私も前からそう思っていました」
俺たちはユニ先生の意外な一面に驚いていると
「次に 2位 イツキ vs 1位 イリア 中央に向かいなさい」
「なに!? さっきの試合からまだ時間がたっていないぞ!」
「なーに。イツキなら試合間隔が狭くても勝てるだろう? 私にもハンデが必要だしな」
イリアはウインクしながら俺をみて、頼むぞと言わんばかりの表情をしている。イリアが相手でハンデは厳しいが、やるしかないだろう。
俺はイリアと共に演習場中央に行き、互いに握手を交わす。
「全力でこい!」
「ああ、もちろんだ! イリアも全力でこい!」
俺たちは互いに鼓舞し合う。イリアはどこか嬉しそうに笑っている。
俺もリリーとの試合と同じように力を出せる相手と戦うのは楽しみだ。
「闇よ! 我に力を与えたまえ! 悪魔の衣身体強化! 予知! 付与! 暗黒力! 光明力!」
イリアは闇系統の魔素を扱うのだったな。ならば
「光よ、俺に力を貸してくれ! 天使の衣!身体強化! 予知! 付与! 光明力!」
「私からいくぞっ! 闇よ、我に力を与えたまえ 暗黒剣! 黒炎」
なるほど。周囲を炎で覆いその炎に隠れて不意打ちするつもりだろう。それならば、
「風よ 俺に力を貸してくれ! 風飛行」
俺は風魔素を足元に集中させ空中に浮遊すると、地面から鋭い土のスピアが何本も襲い掛かってくる。だが、この技であれば天使の衣!によって防ぐことができるだろう。
「クッ イツキ! 降りてこい! 私の技が当たらないじゃないか! いや、あたったとしても効かないのでは意味がない!!」
「イリア! 悪いが、これは真剣勝負だ! 次は俺がいかせてもらうぞ!」
俺は身体強化と風の魔素のおかげで、凄まじい速度でイリアに近づき、天剣を振る。すると、光の波が斬撃となりイリアを襲う。
「これしき!」
イリアは俺の斬撃を避けると、暗黒剣を俺の横腹めがけ振っていた。
「そう来ると思ったよ! 闇よ 俺に力を貸してくれ! 悪魔盾!!」
俺は剣を振るより早く詠唱すると、右側に盾を出現させる。今のイリアの状態は、渾身の一撃を右わき腹に喰らわせようとしているので体勢が悪い。がら空きになった、左側に剣を振れば倒せるだろう。
俺はイリアの足をめがけ剣をふる。
「勝者! イツキ!!」
「おおー! あのイリアとリリー姫をこんな短期間で倒すとは」
会場からはどよめきが起こっている。
「くっ! 流石はイツキだ! 私がす、すきになるだけあ、ある......」
「なんだって!? 聞こえないな」
「いや、いいんだ! 何も言っていないからな...... それより、早く席にもどるぞ!」
そういうとリリー同様、俺の手を強引に握ると歩幅を大きく歩いていく。
リリーもイリアも負けたから怒っているのかもしれない。後で学食でも奢ったほうがいいだろう。俺はそう思いながら観客席に戻った。
その後いろいろと試合が進み、俺は全戦全勝で学年一位で突破、リリーは2位、イリアは学年3位となった。
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