平凡学生の俺が転移したら潜在能力最強だった件~6色の魔素を使い世界最強~

カレキ

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第二十八話 夏休み2

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コテージに入ると、木でできた家に革のソファーや高級そうなテーブルが配置されていた。照明の光が木に反射して優しい色合いで辺りを照らしている。

「すごくいいところね! 照明もきれいで」
「ああ、そうだな。それにしても、本当に俺と一緒でいいのか?」
「だ、大丈夫だ! 細かいことは気にするな!」
「ならいいんだが。寝る場所はどこだろう?」

俺がそういうとリリーは「こっちにあるわ!」と言い俺たちに合図をする。俺たちはリリーのいるほうに向かうと、そこには大きなベッドが一つあるだけであった。

「ま、まさか! 一緒に寝るのか......??」
「そ、そうみたいね...... 3人でも余裕な大きさだし大丈夫じゃないかしら?」

たしかに3人が川の字で寝ても、もう一人寝れそうなほどには大きいが、俺の理性の器が決壊してしまう。それにしても、このベッド、本来このコテージにあるものだろうか。キングサイズのベッドならありそうだが、それよりも一回り大きいのだ。会長がにやにや笑っていたのはこのせいだったのかもしれない。

「イリア、イツキ。 会長たちはもうディナーの用意をしているみたい」

俺はリリーの言う通りに窓の外をみると、焚火にダッチオーブンが取り付けられ煙がもくもくとしていた。会長たちはもうすでに部屋を確認して、ディナーの用意をしているようだ。

「私たちもすぐに向かったほうがよさそうだ」

俺たちは素早くコテージを出ると、会長たちのいるように向かう。

「あ! 来たわね! 私が用意した特製ベッドはどうだったかしら??」

意味深長な笑みを浮かべる会長にリリー達は恥ずかしそうに俯いている。

まさか! リリー達もこのことを知っていたのだろうか。いやまて。そんなわけがない。そうだとしたら、あの時会長とこそこそ話していた内容はベッドの話だということになる。そんなはずがない。他にもっと理由があるだろう。

「会長! あれはいくらなんでもやりすぎですよ!」
「あら? 二人を手籠めにしてそんなことを言うのは野暮よ。それに、本当は嬉しいんじゃないかしら?」

嬉しくないわけがない。俺は今まで生きてきてこれほどまでに心躍る瞬間はあっただろうか。

「まあ、エルもそこまでにしたらどうだ。あまり新人をいじめるな」

ロドリゴ先輩がそういうと会長は唇を尖らせて焚火をじっと見ている。

「先輩方、肉がやけましたよ」

一人黙々と、肉を焼いていたルルは俺たちを見上げている。

「ルルは本当にかわいいわね! 本当に高等部1年なのかしら? 中等部くらいにしか見えないわ」

会長はそういうと、ルルをよしよしと撫でまわしている。

「焦げてしまっては美味しくないからな。早くいただこう」

グランズ先輩は肉をみんなの皿にのせると

「ところで、学院の噂でお前たちは未知の技を使うと聞いたが本当なのか」

そういえば、クリルの一件はまだ公にされていない。先輩たちが知らないのは当然だろう。特に内密にとは言われていないし、この3人なら話しても大丈夫だろう。

俺はクリルの一件のことを包み隠さず話した。

「そんなことがあったのね。ということは、近いうちに神々がまたこの地を踏むことになりそうね。その時は戦争のためにでしょうけど」

会長が言ってることは間違っていないだろう。ミラの遺跡のときの天使のあの表情や、クリルの悪魔の言動は俺たちを憎んでいる様子だった。もしそんな神々と戦争になれば俺たちに勝ち目はないだろう。なぜなら、あの悪魔でさえ魔力は4万近いのだ。

「ねえ、イツキ! 会長たちに技を教えるのはどうかしら?」

リリーが真剣な表情で言う。

会長と副会長とルルの3人程度なら、短期間で教えることができそうだし、戦力は多いほうがいい。リリーの提案はもっともだ。

「そうだな! 会長! 技の訓練をしませんか?」
「そうね、お願いできるからしら?」

会長がそういうと、ルルが心配そうな表情で

「私にもできるでしょうか? まだ一年生ですし......」
「大丈夫よ! ルルちゃんは優秀なんだから!」

会長がそういうと、ルルは安心したのか微笑んでいる。
会長の言う通り、1年生だとしても、エリート中のエリートであるルルができないわけがない。俺ができたくらいだ。

「じゃあ、明日から早速始めましょう!」

俺がそういうと、会長たちは頷いている。

「真面目な話はここまでよ! 今は食事を楽しみましょう!」

会長はそういうと、皿にこれでもかというくらいの肉を取り分けている。

会長の一言で緊張が解けた俺たちは、第一回バーベキューを楽しんだ。



「はぁー! 今日は楽しかったわね!」
「そうですね! 姫様。こんなに楽しい日を過ごしたのは久しぶりです」

コテージに戻った俺たちは、風呂に入り、ソファーに座ってゆったりしていた。

そんな俺は今日一日充実した日を過ごして疲れているのかぼっーと天井を見ている。

そういえば、何か忘れているような気がするな......

そうだ。今夜からしばらくリリーたちと同じベッドだということを忘れていた。同じベッドで寝るなんて俺は理性を保てそうにない。ここは早めに寝ることにしよう。

「ちょっと早いけど、俺は疲れたから寝るよ」
「そうか。じゃあ、私も寝るとしよう」
「わ、私も一緒にねる!」
「そ、そうか...... じゃあ、先に行ってるよ」

二人も疲れているのだろう。何とか二人が来る前に寝ようとする作戦も失敗に終わったようだ。

俺は先にベッドに向かい寝ていると、足音が聞こえてくる。足音は大きくなり、俺の両隣で止まると、ベッドがきしみ柔らかい感触が俺の腕や足を刺激する。

「なあ、もう少し離れて寝てくれないか......」
「女の子にそういうことを言うもんじゃないぞ! イツキ。私だって恥ずかしいのだ......」
「そ、そうよ! まぁ、嫌ならいいけど!!」

リリーはふんっというと、俺に背中を向けて寝始めた。

「いや、嫌じゃないんだが、その、な、なんというか......」

そうだ。この状況で理性が保てる自信がないのだ。そんな俺の聖戦を気にもせず「嫌じゃないのね!」というとリリーは俺に再度抱き着いてくる。

こうなったら、ただひたすらに無心でいるしかないだろう。俺は目を瞑り色欲を追い出すべく瞑想していると、温かく、柔らかい感触が俺の唇を刺激する。

この感触を俺は味わったことがない。だが、なんとなくキスだということはわかった。俺は確かめるべく目を開ける。

「んっ 目を開けちゃだめだからね! もう終わり!」

これはリリーの声だ。その声が聞こえなくなったと同時に唇の感触も消えていた。

「姫様! ずるいです! 私も! はふっ」

イリアの声が聞こえてきたと思ったら、再び唇は温かく柔らかい感触に包まれる。

「目を開けるなよ! 開けたらころす!」

殺されるのは嫌だから、目は閉じておくしかない。

「もう開けていいぞ......」

イリアはそういうと、さっきまでの湿った感触はなくなっていた。

「キスもできたことだし! もう寝ましょう!」

リリーはそういうと満足そう目を瞑り抱き着いている。イリアも同様に満足そうに俺に抱き着いている。どうやらさっきの感触は唇で間違いないようだ。

だが、どうして二人は俺にキスをしてきたのだろうか。この二人は俺の事が好きなのかもしれないというナルシスト的な考えを一瞬頭をよぎったが、そんな都合よく二人が好きになるだろうか。

いや違う。キスの意味はこのイースでも同じはずだ。つまり、この二人は俺の事が好きだということになる。逆に俺はどうだろうか。二人とは今まで長い間過ごしてきたし、好意を持っているのは間違いない。

しかも、その行為は恋愛感情としての好きで間違いないだろう。

二人が行動で示したのだ。俺も行動で示さなくては男ではない。

俺はそっと二人の唇にキスをした。
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