平凡学生の俺が転移したら潜在能力最強だった件~6色の魔素を使い世界最強~

カレキ

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第四十話 目覚め

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「ここはいったい......」

 俺は目を覚ますと、周囲を見渡す。周りには花瓶に入った花や、回復詠唱アイテムが置いてある。どうやらここは病院のようだ。

 なぜ俺は病院にいるのだろうか。記憶が断片的に飛んでいて思い出せない。俺はたしかアミルの街でリリーとイリアを救おうと館に侵入したはずだ。それで、館に侵入すると奇妙な男がたしかお楽しみ中だとか何とか言っていたような......

「そうか!! リリーとイリアが危ない!」

 俺はここがどこなのか確かめるために上半身を起こし、ベッドの横に置いてあった靴を履いていると病室の扉が静かに開いていた。

 俺はその扉の先にいる人物を目にして驚愕したが、すぐに安心に変わった。

「イツキ! 起きたのね! 心配したのよ」
「起きたのか! 死ぬんじゃないかと心配したぞ! よかった!」

 リリーとイリアがドアを開けると驚愕しているようだ。

「リリーとイリアこそ大丈夫なのか? その...... 館の主人になにかされていたようだから......」

 俺がそういうと二人は顔を赤く染めていた。

「たしかにあいつは私たちに淫らな行為をしようとしていた! でも、なにもないぞ!......」
「イリアの言う通り、たしかにあの豚男は私たちを犯そうとしたけど、必死に抵抗していたの。抵抗していたら、大きな音が聞こえてきて。って! イツキの方こそ大丈夫なの?」
「実は侵入したところまでは覚えているのだが、その先を覚えていなくてな。何があったのか教えてくれないか?」
「そうか...... 覚えていないのだな。覚えていないほうがいいのかもしれない」
「そうね......」
「頼む! 教えてくれ!」

 俺が懇願するとリリーとイリアは「そこまで言うなら」というと話してくれた。

 聞けば、俺は魔力が暴走し、ラムースの騎士やガリアの騎士を殺し、虹色の光を発し館を焼き払ったようだ。その後、俺は重傷を負い病院に運ばれらしい。普通の人なら死んでいるのに死んでいない俺をみて、回復専門の騎士は驚いていたとか。

「そんなことがあったのか......」
「まだ続きはある。館が跡形もなく焼き払われた後、近くに駐屯していた騎士1000人ほどが攻め込んできてな」
「1000人だって!?」
「ああ。だが、エル会長率いるA組の生徒によって1000人強の騎士に勝つことができた」
「それはそれは悲惨な光景だったわ。街中に死体があって、私たちA組も無傷ではなかったの。生徒10名ほどが重傷を負ったわ」
「そんなことが......」

 どうやら俺が寝ている間に色々なことが起こったらしい。リリーとイリアの瞳は輝きがなく、どんよりとしている。

「さらに続きがあるの...... ユーミール連合が東のマルーク王国とアラド王国を征服したの。これによって、我がアムステリアは東西そして、南から攻め込まれているの」

 リリーとイリアの話を聞く限りではアムスリア側は敗北目前のようだ。東西、そして南から攻め込まれているアムステリアは帝国10騎士を派遣し持ちこたえているが、それもいつまでもつか分からない。

「まぁ! 暗い話はやめましょ! 目を覚ましたばかりなのだから!」
「そうですね、姫様!」
「それより、体のほうは大丈夫なの?」

 二人曰く、俺は重傷を負っていたはずだが体を見てもそれらしい傷はない。その原因はわからないが、体調がいいに越したことはない。俺の体調は良く、傷も一つもなかった。

「ああ! 万全とはいかないが、魔力も前より増しているようだし、体調はいいぞ!」

 俺がそういうと二人は「今日はゆっくり休んで。明日会長が来るから」のような感じの言葉を俺に伝えると病室を後にしていた。


 ◇

 リリーとイリアが去ってから、体力が有り余っていた俺は寝ることができず、数十分後には会長のもとに向かっていた。

「あら? イツキ君! なんでここに?」
「リリーたちから会長が俺に用があるって聞いてきました」

 俺がそういうと会長はため息をついていた。

「ちゃんと休まないとだめじゃないの! 全く..... あと、私の話は大したことじゃないわ。A組の戦力を計るために魔道具で魔力を計りたかっただけよ」

 会長は俺にそういうとA組の現状を話してくれた。

 曰く、アムステリア側は北の王国とアムステリアしか残っておらず、各地で苦戦を強いられているらしい。なので、リーシュ陛下は非常事態宣言を発令すると3年生や2年生は国土を維持するための緊急措置として、騎士に昇格。もちろん我らがA組も例外ではなく、皇帝直属の部隊となるとアミルの防衛の任に就いたのだ。

「そういうことだから、体力が回復したら教えてちょうだい」
「エル会長。俺の体はもう大丈夫です」
「本当かしら?」

 会長はジト目で見つめていたが、俺が動揺することなくじっとしていると諦めたのか「まぁ、いいわ! 私についてきて」といった。

 会長についていくと色々な種類の魔道具が置いてある部屋につく。ここは学院より規模が小さいが、間違いなく魔力探知室だ。

 俺は初めて学院に来た時のことを思い出す。あの時突然異世界に飛ばされリリーに助けられなかったらどうなっていたのだろうか。英雄アカギのように魔力を暴発させてこの世界を滅ぼしていた可能性もある。そう。全ては偶然で、必然などではない。俺がここにいるのも、会長に出会ったのも努力と偶然の結果なのだ。

「イツキ君。どうかしたのかしら?」

 会長は俺に近づくと俺の顔を覗き込んでいた。優しい洗剤の匂いが俺の鼻を刺激する。

「いえ! 何でもないです!」
「そう! じゃあ、始めましょう!」
「その前に皆の結果はどうだったんですか?」
「そうね。リリーさんは魔力6万。イリアさんは魔力5万。私やルルやロドリゴも大体5万前後だわ。他のA組の生徒も大体4万前後の魔力を保有しているわ」

 俺は会長の言葉に驚いた。古代の技を覚えると魔力が上がるのはわかっていたが、これほど魔力が向上しているとは思わなかった。きっとこれは一生懸命特訓した影響もあるのだろう。

「さ! この魔道具に手をいれてちょうだい」
「わかりました!」

 俺は前回同様手を入れると術式が発動すると光り輝いていた。魔道具の数値は手を入れた途端、急上昇して、ある値でとまった。

「えっと...... 魔力は15万強ね!」
「15万ですか!?」
「そうね。イツキ君ならこれくらいの数値をたたき出すと思っていたわ。ともあれ、これで作戦が決行できそうね!」
「エル会長! その作戦って――」
「ふふ。今は内緒! 後日陛下から早馬が送られてくるの。その時におしえてあげるわ!」
「会長! 」

 会長は人差し指を唇に当てるとそう言い「じゃあ、私は仕事があるから。ゆっくり休みなさいよ」というと魔力探知室を後にしていた。

 全く、作戦内容を内緒にしなくてもいいじゃないか。会長はたまに子供じみたいたずらをしてくる。それは俺に対してだけでなく、誰に対しても子供っぽいところを見せるのだ。そんな会長だからこそ皆の信頼を得ているのかもしれない。

「まぁ、後でわかることだしな」

 俺は独り言を言うと、体力を持て余していた俺は寝ているだけでは暇なのでアミルの街を楽しむためにリリーとイリアを誘いに向かった。
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