平凡学生の俺が転移したら潜在能力最強だった件~6色の魔素を使い世界最強~

カレキ

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第四十一話 旅の無事を祈って

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会長が言っていた作戦の内容をA組の皆が知ることになったのは、あの日から数日たってからだ。ここ数日敵が攻めてくることもなく、平和な日々を過ごしていた。そんな幸せな日々を過ごしていたある日、早馬ではなく騎士の軍団がこの街に接近したのだ。そして、その先頭にいたのは帝国10騎士、ユリウス ハイラルだった。


「久しぶりですリリー姫」
「ユリウス、遠路はるばるご苦労様」

 ユリウスは門を通り、その統率のとれた騎士団を先導すると、待っていた俺たちの前で止まるとリリーに話しかけていた。

「ありがとうございます。姫様」

 ユリウスはそういうとリリーに跪いていた。

「立ちなさいユリウス。ここで話すのもあれだから、騎士達は休ませて私たちと共に来てくれるかしら?」
「もちろんです」

 俺たちは館がなくなったので、街一番の豪邸を買いとっていた。その場所はアミル領の機能を果たす場所になっている。おそらく、そこで話し合いが行われるのだろう。

 俺の予測通り、本拠地につくと俺たちは無言で椅子に座り、誰かが口火を切るのを待っていた。というのは、本来ここには早馬が来ている予定だ。だが、早馬ではなく帝国10騎士であるユリウス ハイラルが来ている。リーシュ陛下の懐刀であるユリウス ハイラルが来ているということは、何か悪い情報を持ってきたのではないかと考えているのだ。

「んっんっ! それでユリウス様。リーシュ陛下は私の作戦に何とおっしゃっていましたか?」

 しびれを切らしたエル会長が話していた。

「陛下は押され気味の現状を打開する策を欲していました。ですが、打開策はなく困窮していました。そんなとき、エル アルジャンテ様の報告を受けた陛下は、喜んでいました」
「どういうことユリウス?」

 リリーが怪訝な表情で尋ねていた。

「ユーミール小国連合の首都ユーミール行くことを許可すると仰りました」

 俺はその言葉を聞いて酷く混乱した。首都ユーミールに俺たちだけで行くということなのか。だとしたら、自殺行為ではないか。生徒会の他のメンバーも俺と同じように混乱しているのか、口をぽかんと開けていた。

「会長、どういうことですか?」
「ふふふ! 私の作戦はユーミールの首都ユーミールに行き、ユーミールの指導者であるルーサーを討つことよ!」

 俺たちは会長の言葉を聞き、再び混乱した。

「おい、エル! 俺たちだけでどうやって首都まで近づき、それも指導者を討つというんだ」

 ロドリゴ先輩が尋ねると会長は得意げに話していた。

「ユーミールもガリアもアムステリアを征服するためにこの地に騎士を多数派遣しているわ。そのためユーミールにはあまり多くの騎士は残っていないはずよ。だから容易に我々は首都まで近づけるってことよ!」
「会長。つまり、首都まで近づいた後は少数の部隊で城に潜入し、指導者ルーサーを討つということですか?」

 イリアがそういうと、会長は流石と言いたげな顔をしていた。

「その通りよ! 正確にはイツキ君とリリーさんそれに私が城に潜入するわ。その他の皆は首都近郊で戦闘を起こし騎士達をおびき寄せてほしいの」

 なるほど。だが、この作戦はうまくいくだろうか。いくらアムステリアに主力を送っているとはいえ、その国の象徴であり中枢である首都の防衛が薄いということはないだろう。

「会長! いくら主力部隊がいないとはいえ、首都の警備が薄いということはないと思うのですが」

 俺の短絡的な考えに会長は答えていた。

「私は前回の戦闘で、この部隊の強さをしったわ。この部隊なら数千の騎士でも勝てると思っているわ。それに、イツキ君もいるでしょ! 貴方がいればどの部隊でも勝てそうだもの」

 たしかに俺の魔力は前代未聞の数値をたたき出していた。だが、魔力だけが上がっていても光と闇魔素以外の魔素は未だにうまく扱えていないのだ。

 そんな俺の顔を察したのか会長は再び話し始めた。

「ここまでは概要よ。詳細な作戦内容は......」

 聞けば、ユーミールまでは舗装された交易路を通らずに、山道や普段は通らない道を通るそうだ。そうすることで、騎士達に見つからないようにするとか。それから首都近郊につけば本隊は近郊で暴れ回り、分隊である俺たちはその隙に首都に侵入する。そこでユニ先生が首都ユーミールで暴動を起こすというわけだ。どうやらユニ先生は任務のためにユーミールにいるらしい。運よくこの作戦が立てられたのも、ユニ先生のおかげだ。

「なるほどです...... さすがエルちゃん。天才なのです......」
「ふふふ! ありがとうルルちゃん」

 会長はルルに抱き着くと頭を撫でている。リリー、イリアそれにロドリゴ先輩も納得したのか微笑みながらその光景を見ていた。

「そういえば、ユリウス様はなぜこの地に?」

 ロドリゴ先輩が尋ねていた。

「私の役割はアミルの街の防衛です。南からはユーミールとラムースが、西からラムースがアムステリアに侵入してから連戦連勝で、首都アムステリアに迫っています。それに北のバッジ共和国とビスク王国も降伏寸前でしょう。そういう状況において、唯一防衛できているのがここアミルの街です。ここアミルを防衛できていれば、南から皇都に迂闊に進軍できないでしょう」
「まずはアミルを敵は落とさなければいけないということね。ユリウス。この街の防衛は任せたわよ」
「お任せを」


 ◇


 俺たちはユリウス ハイラルとの談合を終えると、酒場で旅の無事を祈って宴会をしていた。

「イツキ! お前あの時の虹色の技はなんなんだ??」
「私も知りたいなー、あれは何だったの?」

 どうやら酒が回ったのか、普段はあまり話さない3年生が尋ねていた。だが、虹色のあれが何だったかは俺にもわからない。唯一わかることと言えば、この世界に転移するときに見た光もまた虹色だったということだ。これは偶然ではないだろう。何か関係があるはずだが、調べようがない。

「すみません先輩方、あれが何だったか俺にもわからないんです」

 異世界に来た時のことを説明できるはずもなく、俺は無難な答えをしていた。

「えー、本当に~」

 ある3年生の女子はそういうと体が密着しそうな距離まで近づき、尋ねている。酒が回って距離感がおかしいだけだろうが、正直に言って、この距離は近すぎる。リリーとイリアに見られれば、誤解されるだろう。

「んっ! んっ!」

 どこからだろう。咳払いが聞こえてくる。

 俺はその音の発生源に目を移すとイリアがジト目で立っていた。どうやら俺は運が悪いようだ。

「お、おまえ! 私たちがいながら何をやっている!」

「これは不可抗力で! 酔った先輩が普通ではない距離まで近づいてるだけであって、何もないぞ!」
「どうだかな! それに、そういうことなら私に頼めばいいだろう......」
「なんだって!?」
「しるか! 私は姫様と遊んでくるから、楽しめばいい!」

 イリアは頬を赤く染め膨らますと足早に去っていった。

 どうやら冷静になるまで時間がかかりそうだ。俺は先輩たちに「用事があるので」というとイリアを追いかけた。
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