最強の召喚魔法を駆使して生きて!〜亡命の召喚騎士、生き延びるため必死に抗う~

DORA

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召喚騎士と【カルラ教官】

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この世界には召喚魔法を使える存在とそれ以外の2つしかない。

実際に身分問わず、生後まもない赤子は帝国の『機関』により選別を受ける。
召喚魔法を使えるか、否か。
その一点のみでの選別だ。

召喚魔法を使えるものは帝国の戦略級の兵器として、国家ぐるみでの運用がなされる。
ようするに、召喚騎士は国家クラスの『レアな存在』という位置づけだ。



「分かったか?俺だって好きでティナを殺したいわけではなかったんだ」
「いや全然わかんないから」
「えっ」
「だいたい召喚って何!?モンスター召喚のことでしょ!」



いっておくが召喚に、『モンスター』という概念はない。

なるほど、そうか。
召喚騎士は、その強力な影響力から存在を秘匿とされる。
そのため、一般人は召喚の概要さえも知らない、というわけか。

どこで一人歩きしたか知らないが、召喚は世間では低級雑魚なモンスターを使役する程度に認知されているらしい。



「いや、モンスター召喚ではない。そもそもモンスターにも2種類いる」
「2種類?」
「1つは自らの意志で動くモンスター。もう1つは…」


「…操られるモンスター。操魔術、精霊術、死霊術を媒介としてな」
「誰だっ」



俺がティナに言いかけたところで、1つの影が現れた。
急な登場に俺は思わず声を荒げた。


「カルラ教官!?」


ティナは安心と不安が交差した表情で声をあげた。

そういや開幕にいた気がする。
この教官の号令で、卒業試験という名目の無惨な殺戮ショーが始まったのだ。


「…今さらなんのようだ?教官。そもそも職務を放棄して何をやっていた?」


俺は少し苛立ちながら教官に話しかけた。

実際、職務怠慢及び放棄だ。
なぜなら、生徒たちに安全面でバックアップがないどころか、そのほとんど全部が死亡に至っている。
この卒業試験、教官の立場としてはクビどころでは済まされない大失態といえよう。


「講釈の前にまずは生徒である俺とティナに謝るべきでは?」
「カーズくん…」


ティナからしたら殺そうとした俺も当然敵なのだろうが。
俺の問い詰めに、さすがに今はティナも止めない。

特にティナは、俺と違い学園生活を楽しんでいたはずだ。
仲の良い友人もできていただろう。
しかし恐らく、今回の卒業試験でその友人たちは死んでしまっている。

つまり、ティナの目からは教官さえも今は敵に見えている。


「残りはお前らだけだ」


教官のカルラは俺の問いかけを無視し、話した。



「残り?」
「生き残りの数だ」

「カルラ教官…嘘ですよね?ティアラもケインも…本当はみんな生きてますよね?」



ティナは涙目になりながら言った。
無理もないが、卒業試験の突然の惨状にいまだ現実を受け入れれない様子だった。


「それで。俺たちは合格なのか?」
「合格…?」
「卒業試験だよ。生き残れば合格なんだろ」


俺はこれまでのいきさつをあえて無視し、極めて生徒的に言った。

教官の表情をみるに生徒達の死亡はどうでもいい、といった感じだ。
話にならない。
このイカレた卒業試験と教官に正面から付き合ってやる道理はどこにもない。


「そうだな。合格でいいよ」
「…」
「そして、死ね!」

「カーズくん!?」


ブ…ン…


教官の予想できた攻撃に、俺は造作もなく『回避』した。



「やっぱりな。リザードマンの件でこの卒業試験の裏の目的を理解したんだよ」

「スキル『残像剣』!?なぜイチ生徒のおまえごときが!?」
「だからその残像剣ってなんだよ!」



俺は教官にツッコみをいれつつ、最優先事項のリリスのほうを確認した。

リリスは…大丈夫だ。
リリス固有の闇の魔法『インビジブル』によって完全に視界から姿を消している。
リザードマンの時は、俺を助けるというよりティナに興味があって姿を現したのだろう。

気まぐれなリリスの存在は、俺にとってイラつきしかない。


「ならばこれならどうだ!炎魔法ヘルファイアー」
「!」


教官の手のひらに巨大な炎が出現する。
その炎の大きさに、ティナは驚愕した。



「なんて大きな炎!さすが教官、ほかの生徒の魔法とは比べ物にならない!?」
「死ねー」
「カーズくん!?」



教官の放った魔法は、即座に俺を直撃した。
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