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学園生活と【残像剣】
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「で、ここか」
「そうだ」
リリスの問いかけに俺は自信をもって答える。
目の前に見えるのは王立ヴリドラ騎士学校。
俺がこの国で拠点にしようとしているのは、冒険者ギルドでも王宮騎士団でもなく、また学園だった。
「王宮に例のモノがあるなら騎士団に入ればいいのに。栄えある召喚騎士だろあるじは」
「それができたら苦労はしてない」
あの卒業試験のことは思い出したくもない。
だが不幸中の幸いか、あのイカれた卒業試験後、校長の部屋で学園の『卒業証書』を見つけた。
校長を殺した証拠隠滅のため動いていたが、思わぬ形で欲しいものを手に入れたこととなる。
ちなみに証拠隠滅はリリスに手伝ってもらい、我ながらよくできたはずだ。
「…たしかに聖トリスアーナ学園の卒業証書を頂きました。それでは入学および編入の手続きは以上となります」
「よろしくたのむ」
「推薦状のルールにもとづき、入学試験はありません。あしたよりさっそく、本校の実戦コースにさんかして頂きます。それでは王立ヴリドラ騎士学校へようこそ」
卒業証書さえあれば騎士学校はかんたんに入れる。
というのも一般的な学校を卒業し、専門的な学校へすすむのが平和なこの世界のルールだ。
それにともなって、騎士学校はうってつけの存在。
学生としてなら、当然訓練のめいもくで王宮へ入ることも容易となるのだ。
ようするに、卒業証書は身分証明書がわりになるということ。
素性を隠している俺が欲しかったものである。
ただしあくまで、学園関係でしか通用しない身分証明書だが。
「王宮に俺の求めているモノがある…」
「めんどくさいあるじだな。忍び込んでさっさと奪ってしまえばいいのに」
「捕まったらどーすんだよ」
「わらわがいるだろ」
「話にならん。お前みたいな便利な存在じゃないんだよ俺は。そんなことより良い物を身につけた貴族の生徒が多いな?ここ。さすが首都の学園」
「楽しそうだなあるじ」
リリスの雑感は本当で、とにかく少しワクワクした気分だ。
王宮に入ることが目的だから真面目に学園にでなければならない。
今度は友人ができるかもしれない。
あいそうもよくしないと…
いわゆる『学園生活』というヤツだ。
ティナもこういう楽しい気分で日々の生活を送っていたのだろうか。
俺はま明日からの学園生活を期待しつつも、街中の宿へと帰路につこうとした。
その時、後ろから一人の制服を着た男に呼び止められた。
「おーい…ちょっと待ってください?」
「あ、はい」
さっそく良い練習になる。
というのも悪目立ちしないためにも出だしの印象は肝心だ。
先輩にあたるであろう生徒に俺はあいそう良く返答した。
「カーズくんだよね?」
「そうです。よろしくお願いします」
「よろしく。では、死んでね!」
「なにっ」
ズサッ…!
生徒の想像がつかない、まさかの行動に俺は思わず声をあげた。
ブ…ン…!
「当然回避だ」
「…」
サッ
俺のキルに失敗すると男は即座に姿を消した。
強い。
いきなりの暗殺に驚いたのもビックリだが、それ以上に男の動きに感心してしまった。
なぜなら素晴らしく速い一撃と、そして素晴らしい引き際だったからだ。
「あの動き、帝国のアサシンか」
「なぜ帝国だと?」
何事もなかったかのようにリリスが問いかける。
実際俺は殺されかけたんだが…
いちおうお前の召喚主だぞ、俺は。
不満を覚えつつも俺は答える。
「1つ、この国にあのレベルのアサシンがいるとは考えづらい。2つ、俺の回避に驚いていなかった」
「回避?」
「この回避には名前があってスキル『残像剣』というらしい」
「残像剣?」
「ああ、ティナとかこの国の奴らは驚くようだ」
「へえ。回避はただの回避だけどな」
たしかにリリスのいう通りだ。
回避はあくまでただの回避というのがリリスの考えで、俺もそれに同意。
なぜなら人間がいくら回避能力を高めてスキルとしたところで、リリスをはじめとする『召魔』に到底回避能力は及ばないからだ。
ようするにスキルは所詮、召魔の前ではただの戯言にすぎないということだ。
「人間はなんにでもスキル名をつけたがる。弱い証拠だ」
「それについては悔しいがリリスに同意だな…」
召喚騎士特有の価値観だ。
間近でリリスの力を見てしまうと、こちらは人間の可能性全てを冷めた目で見てしまうようになるのだ。
もっとも魔界から召喚されたリリス本人は当初から『異世界召喚だ』と、こちらの世界を楽しそうにしているが。
「そうだ」
リリスの問いかけに俺は自信をもって答える。
目の前に見えるのは王立ヴリドラ騎士学校。
俺がこの国で拠点にしようとしているのは、冒険者ギルドでも王宮騎士団でもなく、また学園だった。
「王宮に例のモノがあるなら騎士団に入ればいいのに。栄えある召喚騎士だろあるじは」
「それができたら苦労はしてない」
あの卒業試験のことは思い出したくもない。
だが不幸中の幸いか、あのイカれた卒業試験後、校長の部屋で学園の『卒業証書』を見つけた。
校長を殺した証拠隠滅のため動いていたが、思わぬ形で欲しいものを手に入れたこととなる。
ちなみに証拠隠滅はリリスに手伝ってもらい、我ながらよくできたはずだ。
「…たしかに聖トリスアーナ学園の卒業証書を頂きました。それでは入学および編入の手続きは以上となります」
「よろしくたのむ」
「推薦状のルールにもとづき、入学試験はありません。あしたよりさっそく、本校の実戦コースにさんかして頂きます。それでは王立ヴリドラ騎士学校へようこそ」
卒業証書さえあれば騎士学校はかんたんに入れる。
というのも一般的な学校を卒業し、専門的な学校へすすむのが平和なこの世界のルールだ。
それにともなって、騎士学校はうってつけの存在。
学生としてなら、当然訓練のめいもくで王宮へ入ることも容易となるのだ。
ようするに、卒業証書は身分証明書がわりになるということ。
素性を隠している俺が欲しかったものである。
ただしあくまで、学園関係でしか通用しない身分証明書だが。
「王宮に俺の求めているモノがある…」
「めんどくさいあるじだな。忍び込んでさっさと奪ってしまえばいいのに」
「捕まったらどーすんだよ」
「わらわがいるだろ」
「話にならん。お前みたいな便利な存在じゃないんだよ俺は。そんなことより良い物を身につけた貴族の生徒が多いな?ここ。さすが首都の学園」
「楽しそうだなあるじ」
リリスの雑感は本当で、とにかく少しワクワクした気分だ。
王宮に入ることが目的だから真面目に学園にでなければならない。
今度は友人ができるかもしれない。
あいそうもよくしないと…
いわゆる『学園生活』というヤツだ。
ティナもこういう楽しい気分で日々の生活を送っていたのだろうか。
俺はま明日からの学園生活を期待しつつも、街中の宿へと帰路につこうとした。
その時、後ろから一人の制服を着た男に呼び止められた。
「おーい…ちょっと待ってください?」
「あ、はい」
さっそく良い練習になる。
というのも悪目立ちしないためにも出だしの印象は肝心だ。
先輩にあたるであろう生徒に俺はあいそう良く返答した。
「カーズくんだよね?」
「そうです。よろしくお願いします」
「よろしく。では、死んでね!」
「なにっ」
ズサッ…!
生徒の想像がつかない、まさかの行動に俺は思わず声をあげた。
ブ…ン…!
「当然回避だ」
「…」
サッ
俺のキルに失敗すると男は即座に姿を消した。
強い。
いきなりの暗殺に驚いたのもビックリだが、それ以上に男の動きに感心してしまった。
なぜなら素晴らしく速い一撃と、そして素晴らしい引き際だったからだ。
「あの動き、帝国のアサシンか」
「なぜ帝国だと?」
何事もなかったかのようにリリスが問いかける。
実際俺は殺されかけたんだが…
いちおうお前の召喚主だぞ、俺は。
不満を覚えつつも俺は答える。
「1つ、この国にあのレベルのアサシンがいるとは考えづらい。2つ、俺の回避に驚いていなかった」
「回避?」
「この回避には名前があってスキル『残像剣』というらしい」
「残像剣?」
「ああ、ティナとかこの国の奴らは驚くようだ」
「へえ。回避はただの回避だけどな」
たしかにリリスのいう通りだ。
回避はあくまでただの回避というのがリリスの考えで、俺もそれに同意。
なぜなら人間がいくら回避能力を高めてスキルとしたところで、リリスをはじめとする『召魔』に到底回避能力は及ばないからだ。
ようするにスキルは所詮、召魔の前ではただの戯言にすぎないということだ。
「人間はなんにでもスキル名をつけたがる。弱い証拠だ」
「それについては悔しいがリリスに同意だな…」
召喚騎士特有の価値観だ。
間近でリリスの力を見てしまうと、こちらは人間の可能性全てを冷めた目で見てしまうようになるのだ。
もっとも魔界から召喚されたリリス本人は当初から『異世界召喚だ』と、こちらの世界を楽しそうにしているが。
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