9 / 161
変化とはあまりにも速い
9話 変わってしまった朝
しおりを挟む
丸一日も眠ってしまった
すぐに入浴を済ませ、朝食に向かう
廊下を歩いていると、偶然ハルジオンに会った
条件反射で逃げようとしてしまったがなんとか踏み留まる
とりあえず挨拶だけでもしておかないとと思い、お辞儀をしようとした時
ハルジオンはたった一言
「これからは食事を別にしよう」
とだけ言った
それを伝えるだけ伝えて直ぐに立ち去ってしまった
反応を見るに、アズはハルジオンに伝えても信じてもらえなかったのだろうか
実の兄弟間にヒビが入っていない事を願った
そんな願いに意味は無かった
食事をどこで取ればいいか分からずに部屋に戻った
どうせ食欲も無い
食事も栄養食のようなものだけで済ませばいい
そう思っていた矢先にノックが聞こえた
「私です、姉上」
「アズ様?」
ドアを開けると長い髪を後ろで高くまとめたアズがいた
威圧感が薄まり、少し爽やかに見える
ハルジオンはキリッとした逞しい男性のような顔立ちだが、アズは反対に透明感と秀麗さで『美』をそのまま形にしたようだ
「兄上が姉上と朝食を別にすると言っていたので、よかったら私と食べませんか?」
「いいのですか?ではお言葉に甘えて」
「ありがとうございます。出来れば質素で多少汚れてもいい服で来ていただけると」
「?」
アズには部屋の外で待ってもらい、1番質素な小貴族のようなスカートにほとんどボリュームの無いドレスを着た
上からショールを羽織り質素間を多少カバーした
流石に王宮の廊下を質素な服で歩くわけにはいかない
アズの案内で向かったのは上級使用人が泊まる別棟
小さなホテルのような場所だ
「みなさんおはようございます」
「はい、おはようございます。あら?今日は1人多いと聞きましたがもしかして……」
「えぇ、私の姉上ですよ」
別棟に入って最初に会った老婆
格好からして恐らくメイド
そして場所的に考えるとメイド長だろう
「あら、お初にお目にかかります。わたしはメイド長のガーベラです」
「はじめまして、私はアイリスです」
「知ってますとも。結婚式を見てましたからね」
暖かい雰囲気を纏ったメイド長、ガーベラ
久しぶりのほのぼのとした空気だ
とても落ち着く
案内のもと別棟の食堂に入ると、執事長がいた
正確には元、執事長だ
彼のことは少しだけ聞いたことがあった
体の都合で執事を辞めざるを得なくなってしまったが、その手腕から執事を引退した後は教育係として雇われていると言う
「お初にお目にかかります。リンドーと申します」
「はじめまして」
この人はガーベラと違い少し堅い
どうしても少し緊張してしまう
「姉上、どうぞ座ってください」
「ありがとうございます。ところでここは……?」
メイド長や執事の教育係がいる食堂
アズを含めた4人でテーブルを囲んでいる状況
貴族が使用人と当たり前のように食卓を囲むのは珍しい
何故、アズはここでの食事に誘ってくれたのだろうか
すぐに入浴を済ませ、朝食に向かう
廊下を歩いていると、偶然ハルジオンに会った
条件反射で逃げようとしてしまったがなんとか踏み留まる
とりあえず挨拶だけでもしておかないとと思い、お辞儀をしようとした時
ハルジオンはたった一言
「これからは食事を別にしよう」
とだけ言った
それを伝えるだけ伝えて直ぐに立ち去ってしまった
反応を見るに、アズはハルジオンに伝えても信じてもらえなかったのだろうか
実の兄弟間にヒビが入っていない事を願った
そんな願いに意味は無かった
食事をどこで取ればいいか分からずに部屋に戻った
どうせ食欲も無い
食事も栄養食のようなものだけで済ませばいい
そう思っていた矢先にノックが聞こえた
「私です、姉上」
「アズ様?」
ドアを開けると長い髪を後ろで高くまとめたアズがいた
威圧感が薄まり、少し爽やかに見える
ハルジオンはキリッとした逞しい男性のような顔立ちだが、アズは反対に透明感と秀麗さで『美』をそのまま形にしたようだ
「兄上が姉上と朝食を別にすると言っていたので、よかったら私と食べませんか?」
「いいのですか?ではお言葉に甘えて」
「ありがとうございます。出来れば質素で多少汚れてもいい服で来ていただけると」
「?」
アズには部屋の外で待ってもらい、1番質素な小貴族のようなスカートにほとんどボリュームの無いドレスを着た
上からショールを羽織り質素間を多少カバーした
流石に王宮の廊下を質素な服で歩くわけにはいかない
アズの案内で向かったのは上級使用人が泊まる別棟
小さなホテルのような場所だ
「みなさんおはようございます」
「はい、おはようございます。あら?今日は1人多いと聞きましたがもしかして……」
「えぇ、私の姉上ですよ」
別棟に入って最初に会った老婆
格好からして恐らくメイド
そして場所的に考えるとメイド長だろう
「あら、お初にお目にかかります。わたしはメイド長のガーベラです」
「はじめまして、私はアイリスです」
「知ってますとも。結婚式を見てましたからね」
暖かい雰囲気を纏ったメイド長、ガーベラ
久しぶりのほのぼのとした空気だ
とても落ち着く
案内のもと別棟の食堂に入ると、執事長がいた
正確には元、執事長だ
彼のことは少しだけ聞いたことがあった
体の都合で執事を辞めざるを得なくなってしまったが、その手腕から執事を引退した後は教育係として雇われていると言う
「お初にお目にかかります。リンドーと申します」
「はじめまして」
この人はガーベラと違い少し堅い
どうしても少し緊張してしまう
「姉上、どうぞ座ってください」
「ありがとうございます。ところでここは……?」
メイド長や執事の教育係がいる食堂
アズを含めた4人でテーブルを囲んでいる状況
貴族が使用人と当たり前のように食卓を囲むのは珍しい
何故、アズはここでの食事に誘ってくれたのだろうか
14
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる
ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。
この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。
ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。
時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!?
※表紙のイラストはたかだ。様
※エブリスタ、pixivにも掲載してます
◆4月19日18時から、この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」を1話ずつ公開予定です。そちらも気になったら覗いてみてください。
◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる