【完】悪女と呼ばれた悪役令息〜身代わりの花嫁〜

輝石玲

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新しい生活

130話 重症

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自ら望んで人以上の力を持って生まれた僕
自ら望んで人以上の力を手に入れた男
本来なら僕が相手に負けることは無いはずだ
でも今は消耗した後
グドがいない今は神子の力を維持することで精一杯だ
それでも…僕がやらないと

「どうした神子、顔色が優れないな」
「神子と言えど消耗はするからな。でも僕が薬漬けの人間に負けるわけが無い」

わかってる、これは強がりだ
それでも隙を見せれば終わり
反動は覚悟の上で、完全に限界以上の力を使った
ここまですれば、力と体と頭のバランスが取れずに暴走する可能性だってあった
それでも僕は何より相手を殺すことを優先する




……本当に、何も見えなかった
自分自身ですら理解出来ない
剣がぶつかり合うような金属音がしたかと思うと、僕はいつの間にか男の背後にいた
体から全ての力が消えていく
剣が持てない
立ってられない……

僕が倒れた後、目の前に微かに見えた
折れた剣と倒れている男
そして少しずつ広がる血の海
男と僕の血
その光景を最後に僕の目の前は暗転した





ーーーーーーーーーー




カメリアは組織のトップと思われる男の首を落とした
男は剣でカメリアの剣を防いだが、その剣はあまりにも簡単に切れた
しかし、カメリアは血を流して倒れている
あの男は右手に剣を、左手に拳銃を持っていた
カメリアは気付かなかったのだろう
腹部に弾丸を喰らいながらも剣を振っていた
それに、さっきは力を全て振り切ったようにも見えた
魔力も体力も消費してしまっているこの状態では、少しでも遅れれば死んでしまう
私はカメリアと、彼が助けようとしていた男を連れて城に転移した
グドは死んでしまったが、生きてる人だけでも助けないと
……死んでしまった
2回目の死、か……


転移してすぐに城の治療班によって2人は治療された
それでもやはりかなりの重症で、なかなか目が覚めない
カメリアが助けようとした男は、城にいた彼の妹を名乗る人物によると『レイディン』と言う者だそうだ
レイディンの妹を名乗るエルシードは今、アイリス様に保護されてるとか

レイディンは複数斬りつけられていて、最大限治療しても回復するかは危うい
少なくとも、彼の左腕は既に壊死していて動くことは二度と無いだろう
悪化すれば腕を切り離さなければならない
カメリアは弾丸が深く打ち込まれていたらしいが、治療が早かったため命に関わることはない
しかし、魔力と体力が回復する様子は無く、このままだと生きたまま永遠に眠り続けるかもしれない
なんとか毎日魔力を与えてはいるが、どれだけ大量に渡しても目覚める様子は無い
やはり、ただの人間では力及ばずか…?
それでも何もしないよりはいい


そして、カメリア達が眠り続けて二週間が経った
未だ顔色が悪いカメリアを見るたびに焦りを感じる

「……アズ様?」
「っ!カメリア!私がわかりますか?」

何の前触れもなく、顔色が悪いままの彼は目覚めた
体に力が入らない以外は特に異常無いようだ
何事も無く無事に目が覚めた彼の姿を見て、私は胸を撫で下ろした
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