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復讐の旅、開始!
23.行動力の塊みたいなヴィンス
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リットと朝帰り…まぁ合ってるか。兎獣人の変身薬が切れるくらいの朝に城に帰り、グルーはめちゃくちゃ心配して俺を抱きしめてしばらく離さなかった。
応接室で四人、またそれぞれ席に着くと、グルーもヴィンセントも嫌な顔をしていた。外泊したのがそんなに心配だったのか、嫌だったのか?
「……ぐ、グルー?」
「ヴィンセント陛下、どうなさいました……?」
「「…………」」
無言の圧が怖すぎる!そりゃあ二人とも(片方は元)王様だもんな!
「ヤト、これはどういうことですか?」
「リット…テメェ、なんかやらかしてねぇか?」
「「なんで性の匂いがするん だ?」ですか?」
………ば、バレてる。隠しても無かったけどそりゃあ怒るよな。
グルーは俺に惚れてるから、他の人と性的なことをしてるのを知りたくは無いのかもしれない。ヴィンセントは昨日自分がやらかしてることをリットがやらかしたかもしれない心配があるんだろう。
「えっと……」
「申し訳ありません両陛下!私が抑制剤を忘れたばかりに、ヤト様に無礼を致してしまいました…!」
そう言って頭を下げたリット。
えっ…いや、リットは悪く無いだろ!だって俺が無理に発情期を終わらせた方がいいって言ったから…!それってこの国じゃマズいことだったか?それとも、リットが俺を被害者に…守られる立場にしようとしてるのか?
「リット…抑制剤は持ち歩けとキツく言いつけていたよな?それを…」
「待ってくれヴィンセント!リットに非は無い!むしろ俺の方から頼んだんだ」
「「何?」」
グルーまで声を揃えて……そんな、怒るような目で見られるとグサグサくるな。俺ですら威圧を感じるのに、赤い目に耐性の無いリットはガクガク震えている。
「……同意の上だったんだな?」
「同意って言うか…リットはむしろ拒んでたし、何度も泣いて謝ってた」
「や、ヤト様…!」
嘘では無い。リットは全部自分が悪いみたいに言ってたし、ちょっとした仕返しに今度は俺が悪者になってやる。冤罪も嫌だけど、俺の非を他の人が全部被るのも嫌だし。
「リット、ヤトの言ったことは本当か?」
「え?えぇっと、その、嘘では……でも!最終的には合意でしたので……!」
ヴィンセントはため息を吐き、リットは涙目で俺を睨んだ。
「はぁ…無理矢理じゃねぇならいいぜ。オレと違って、な」
言葉に棘しかないな!?自分の失態をズルズル引き摺るタイプか!……まぁ、今となったらいきなりじゃなくて事情を知っていて、知り合いなら手を出されてもいいからくらいに思ってるけど…俺ってやっぱり淫らだよな…。こんなんでも未経験とか………
ヴィンセントの不機嫌が落ち着いてから、これからの事を話すことになった。とりあえず俺達はグルーの言ってた通り、一度悪魔の国に行くことになった。目的は、人間の国の情報を今の王と共有すること。そして協力を頼むこと。
悪魔の国に行った時、グルーは俺に隠してた事を教えてくれると言った。何を隠してるかとか、何があったとかさっぱり分からない。けど、俺も(仲間として)グルーが好きだから、出来る限りを受け止めたいと思ってる。
「それでは今すぐにでも出発しましょうか。ヴィンセント、また仲間が集まり次第、収集をかけます。それまでそちらで準備をしつつ待機してください」
「はぁ?オレも悪魔の国に着いて行くんじゃねぇのか?」
…………え?いやいや、王様だろうが!国を開けていいのか!?
って思ったのをグルーが全部言ってくれた。やっぱり王様だったことがあるから思うことがあるのだろう。
そういえば、十六年前にグルーとヴィンセントが会ってたんだよな。で、その時はグルーは悪魔の国の王だった。それから退位して人間の国の兵士になった。短くても…五年前にアル坊が全員の顔を覚えたなら、五年以上前に退位している。
もしかして、人間の城に潜入するために退位したんじゃないのか?だとしたらヴィンセントも同じように退位して旅に行くことになるんじゃ……
「王が少し国を開けてたくらいで崩れるような、軟弱な国にしたつもりねぇぞ。リットも、他の臣下もいるんだ。出来るだろ?」
「……貴方の命であれば、必ず」
つまり、王のまま国を出ると?なんて行動力の塊だ。たぶん戦場にも自ら赴くタイプの王様なんだろうな。なんていうか…無謀だけどカッコいいな。
それに、この二人の連携もすごい。兄弟みたいに育ったからとは言え、こんな風に信頼して尊敬して、家族であり主従でもある不思議な関係だからことなり得るものなんだろうな。なんか、この国なら本当に大丈夫かもなんて思う。王様の仕事を大して理解してない俺が言える事じゃ無いけどな。
兄弟、か………。異世界に残した弟達も、いるはずなのに会えない兄も、会いたくなるな。
●●●
返り血で汚した服は新しいものに買い替えられ、元の服装に戻った。それに町で買った黒いパーカーみたいなコートを着た。着替えが済んで準備が整い、部屋を出るとすぐ目の前にヴィンセントが立っていた。
いつも通りの白い服の上から、肋骨くらいの丈の皮ベストを着ている。低い位置で縛っていた銀髪の癖っ毛は高い位置のポニーテールに変わっていて、腰のベルトには小さなポーチが付いている。
「よっ、準備出来たぜ」
「いつの間に…って、ヴィンセントは最初から着いてくる気だったもんな」
「……ヴィンスでいい」
え?それって愛称だよな。呼んでいいのか?
「…これからよろしくな、ヴィンス!」
「あぁ、頼むぜヤト、グルージア」
「よろしくお願いしますね、ヴィンス」
「テメェは愛称で呼ぶな気色悪りぃッ!」
………ヴィンスってグルーが苦手なんだな。十六年前のトラウマだけじゃなくて、普通に苦手なタイプなのかもしれない。
何はともあれ、次は悪魔の国だ!
応接室で四人、またそれぞれ席に着くと、グルーもヴィンセントも嫌な顔をしていた。外泊したのがそんなに心配だったのか、嫌だったのか?
「……ぐ、グルー?」
「ヴィンセント陛下、どうなさいました……?」
「「…………」」
無言の圧が怖すぎる!そりゃあ二人とも(片方は元)王様だもんな!
「ヤト、これはどういうことですか?」
「リット…テメェ、なんかやらかしてねぇか?」
「「なんで性の匂いがするん だ?」ですか?」
………ば、バレてる。隠しても無かったけどそりゃあ怒るよな。
グルーは俺に惚れてるから、他の人と性的なことをしてるのを知りたくは無いのかもしれない。ヴィンセントは昨日自分がやらかしてることをリットがやらかしたかもしれない心配があるんだろう。
「えっと……」
「申し訳ありません両陛下!私が抑制剤を忘れたばかりに、ヤト様に無礼を致してしまいました…!」
そう言って頭を下げたリット。
えっ…いや、リットは悪く無いだろ!だって俺が無理に発情期を終わらせた方がいいって言ったから…!それってこの国じゃマズいことだったか?それとも、リットが俺を被害者に…守られる立場にしようとしてるのか?
「リット…抑制剤は持ち歩けとキツく言いつけていたよな?それを…」
「待ってくれヴィンセント!リットに非は無い!むしろ俺の方から頼んだんだ」
「「何?」」
グルーまで声を揃えて……そんな、怒るような目で見られるとグサグサくるな。俺ですら威圧を感じるのに、赤い目に耐性の無いリットはガクガク震えている。
「……同意の上だったんだな?」
「同意って言うか…リットはむしろ拒んでたし、何度も泣いて謝ってた」
「や、ヤト様…!」
嘘では無い。リットは全部自分が悪いみたいに言ってたし、ちょっとした仕返しに今度は俺が悪者になってやる。冤罪も嫌だけど、俺の非を他の人が全部被るのも嫌だし。
「リット、ヤトの言ったことは本当か?」
「え?えぇっと、その、嘘では……でも!最終的には合意でしたので……!」
ヴィンセントはため息を吐き、リットは涙目で俺を睨んだ。
「はぁ…無理矢理じゃねぇならいいぜ。オレと違って、な」
言葉に棘しかないな!?自分の失態をズルズル引き摺るタイプか!……まぁ、今となったらいきなりじゃなくて事情を知っていて、知り合いなら手を出されてもいいからくらいに思ってるけど…俺ってやっぱり淫らだよな…。こんなんでも未経験とか………
ヴィンセントの不機嫌が落ち着いてから、これからの事を話すことになった。とりあえず俺達はグルーの言ってた通り、一度悪魔の国に行くことになった。目的は、人間の国の情報を今の王と共有すること。そして協力を頼むこと。
悪魔の国に行った時、グルーは俺に隠してた事を教えてくれると言った。何を隠してるかとか、何があったとかさっぱり分からない。けど、俺も(仲間として)グルーが好きだから、出来る限りを受け止めたいと思ってる。
「それでは今すぐにでも出発しましょうか。ヴィンセント、また仲間が集まり次第、収集をかけます。それまでそちらで準備をしつつ待機してください」
「はぁ?オレも悪魔の国に着いて行くんじゃねぇのか?」
…………え?いやいや、王様だろうが!国を開けていいのか!?
って思ったのをグルーが全部言ってくれた。やっぱり王様だったことがあるから思うことがあるのだろう。
そういえば、十六年前にグルーとヴィンセントが会ってたんだよな。で、その時はグルーは悪魔の国の王だった。それから退位して人間の国の兵士になった。短くても…五年前にアル坊が全員の顔を覚えたなら、五年以上前に退位している。
もしかして、人間の城に潜入するために退位したんじゃないのか?だとしたらヴィンセントも同じように退位して旅に行くことになるんじゃ……
「王が少し国を開けてたくらいで崩れるような、軟弱な国にしたつもりねぇぞ。リットも、他の臣下もいるんだ。出来るだろ?」
「……貴方の命であれば、必ず」
つまり、王のまま国を出ると?なんて行動力の塊だ。たぶん戦場にも自ら赴くタイプの王様なんだろうな。なんていうか…無謀だけどカッコいいな。
それに、この二人の連携もすごい。兄弟みたいに育ったからとは言え、こんな風に信頼して尊敬して、家族であり主従でもある不思議な関係だからことなり得るものなんだろうな。なんか、この国なら本当に大丈夫かもなんて思う。王様の仕事を大して理解してない俺が言える事じゃ無いけどな。
兄弟、か………。異世界に残した弟達も、いるはずなのに会えない兄も、会いたくなるな。
●●●
返り血で汚した服は新しいものに買い替えられ、元の服装に戻った。それに町で買った黒いパーカーみたいなコートを着た。着替えが済んで準備が整い、部屋を出るとすぐ目の前にヴィンセントが立っていた。
いつも通りの白い服の上から、肋骨くらいの丈の皮ベストを着ている。低い位置で縛っていた銀髪の癖っ毛は高い位置のポニーテールに変わっていて、腰のベルトには小さなポーチが付いている。
「よっ、準備出来たぜ」
「いつの間に…って、ヴィンセントは最初から着いてくる気だったもんな」
「……ヴィンスでいい」
え?それって愛称だよな。呼んでいいのか?
「…これからよろしくな、ヴィンス!」
「あぁ、頼むぜヤト、グルージア」
「よろしくお願いしますね、ヴィンス」
「テメェは愛称で呼ぶな気色悪りぃッ!」
………ヴィンスってグルーが苦手なんだな。十六年前のトラウマだけじゃなくて、普通に苦手なタイプなのかもしれない。
何はともあれ、次は悪魔の国だ!
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