召喚され救世主じゃないと言われたが、復讐の旅でなぜか身体を狙われている

輝石玲

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復讐の旅、開始!

43.世界の記憶の地へ

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 スッキリしたような疲れたような朝。尻に感じる違和感が凄いが、だからと言って休んでるわけにもいかない。……まぁ、アキトが加減してくれなかったら休まざるを得なかっただろうけど。



 顔を洗って着替え、ダイニングに移動してからの朝食となった。今までは部屋に食事を持ってきてもらっていたから新鮮だ。

 ダイニングテーブルに俺、アキト、グルー、ヴィンスが着き、今後の予定を練りながら朝食を食べた。

「さて、これからの事だが……」
「待ってくださいアキト、何故あなたが話を進めているんです?」
「ヨルとちゃんと話し合ったことだ」
「なら進めてください」

 グルー、いくら何でも俺のことだと信用しすぎじゃねぇか?俺がこの場にいるから疑ってないだけかも知れないが、俺の名前を出されたら何でも信じそうな勢いだ。


「で、これからの事だが古龍の国…って呼ばれてる『歴史の国』に行って、ヨルの能力の覚醒と他種族の協力要請をすることになる。異論は認めない」
「ふーん、異論を唱えたらどうなるんだ?」
「置いてくだけだ。なんだヴィンセント、行きたくないのか?」
「いや…あの国への入り方は誰も知らないだろ?オレらが立ち入ってもいいものか……」

 た、確かに?でも俺は昔その…歴史の国にいたみたいなことは聞いたし、アキトも行き方を知ってるらしいし、完全に禁足地ってわけでは無いんだろう。
 っていうか、ヴィンスもそんなことを考えるんだな。

「安心しろ、あの国は言わば『許可制』だ。たとえ目の前で入り方を見てたってお前らには無理だ。あの国の鍵は四季龍と俺とヨルだけだからな」

 えっ、俺も!?

「魔法で閉じられてるからな。そもそもその魔法が見えるのが決められた奴だけだからな」

 その中に俺も含まれてるってことか。はぁ、何が何だかさっぱりだ。俺に記憶があればもっと色々手伝えたかもしれないが…記憶を戻す方法、探さないとな。




 どこに向かうにしても準備が必要だが…グルーもヴィンスも昨日のうちに準備を終わらせていたらしい。つまり、今日中に出発できるということだ。『善は急げ』ってことで、朝食後に出発することになった。





 ーーって、

「あ、アキト!?」
「何だよ、この程度で驚くことないだろ」

 この程度…!?

 各自準備が出来次第、最上階のベランダに集合って言われたけど……まさかアキトがデカい鳥の姿になってるとか想定外!それもなんかメラメラ燃えてるし!……って、近くの木製家具が燃えてないってことは炎に見えるだけってことか。流石に本物の炎だったら大火事だもんな。

「ヨルだってこれくらいのカラスになれるだろーって、今は無理か。まぁいい、とりあえず飛んでくから全員背中に乗れ」

 俺もデカい鳥になれるのかよ!しかもカラス!?
 とか俺は戸惑ってる間に、ヴィンスに軽々と担がれてアキト(鳥)の背中に乗った。わっ、あったかいな。まだ月初めで体温が低い時だからぬくいのは嬉しいな。

「よし、しっかり捕まってろよ!それじゃあ…しゅっぱーつッ!」

 なんかヤケに上機嫌だな。こんな時は大抵ロクなことが起きな


 ビュンっ!


 ふぁっ!?

 いやおい速すぎだろ!?グルーが押さえてくれなかったら吹き飛んでたんじゃ……。

「危ないですよ、ヤト」
「わ、悪い、ありがとう」

 そうだ、上機嫌の時のコイツは周りが見えなくなって加減が分からなくなるんだった!ガキかよマジでええぇぇぇ………!!





 ●●●




 つ、着いた………。乗ってるだけで疲れた……。どんなアトラクションだよこれ………。

「なっさけ無いなぁ、ちょっとトばして飛んだだけなのに」
「ちょっと…?どこが…………?」

 人型に戻ってケラケラ笑うアキトは、歴史の国を囲む壁を思いっきり蹴った。
 爆発音のような音と共に崩れる壁。ガラガラと崩れるとそこには狭いトンネルが現れた。蹴っただけで崩れるのか……?

「俺ら『鍵』は入り口を『作る』ことが出来る。どこであろうと強く攻撃すればトンネルが出来るんだ。もちろん他の奴らじゃ傷も付けられないけどな」

 な、なるほど……?



 それにしても、このトンネル結構距離あるな……?真っ暗で先は見えないけど、音は反響してるし冷気を感じる。とりあえず行くしかないか。


 アキトが先頭に立ちトンネルを進んだ。
 アキト、俺、ヴィンス、グルーの順で一列になりトンネルに入ると、突然背後からガラガラと音が聞こえた。日の光も来ない程真っ暗に……って、塞がってんじゃねぇかよ!?
 今度は入ってきた方とは反対から光が発せられた。光源は…アキトの襟足のように伸びた炎だ。フワフワして俺に触れているけど、暖かいだけで燃えはしない。

「アキト、これは?」
「ただの燃えてる襟足だが?」
「それは見れば分かる。そうじゃなくて突然塞がっただろ」
「そりゃあ俺が開けたんだから俺が閉められる」

 遠隔ロック……の、リモコン無しか。思ってた以上に何でもアリかも知れない。いちいち驚かないように覚悟しておくべきか。




 アキトの襟足の明かりを頼りにしばらくトンネルを直進した。何時間も歩いてるはずなのにあまり疲れないのは人間離れしてきているからだろうか。
 途中から寒さに耐えきれなくなった俺は温かいアキトの髪で暖を取りながら進んだ。


「さて、もう少しで到着だ。………ほら、出口が見えてきた」


 向こうに小さく見え始めた眩しい光。その方に向かって行くと、トンネルの出口までようやく到着した。
 目が潰れそうな眩い光に少しずつ目を慣らしてトンネルを出ると、そこは目的地、歴史の国を囲む崖の高い場所だった。そこから見える光景は全てが新鮮で、どこか懐かしく感じる。


 いくつもの空に浮かぶ島。一つの大地に集まる砂漠や火山、雪原やジャングル。ちょうど夕方になり太陽と月が同時に見える茜空。


 あぁ…俺はここを知っている。俺は確かにここにいた。


 気付けば俺は涙を流していた。感動とも違う、自分でも分からない涙を。ここで何があったのか覚えていないから当たり前だろうけど、それでも心がぐちゃぐちゃと掻き乱されるようだ。

「着いたぞ。我らが故郷、世界を記録する大地。龍神が支配する歴史の国だ」

 そこは、他の国とは全く違う異質……特別な地だった。
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