召喚され救世主じゃないと言われたが、復讐の旅でなぜか身体を狙われている

輝石玲

文字の大きさ
55 / 108
復讐の旅、開始!

55.急に幸せな時間

しおりを挟む
 行為の後、後始末を簡単に終わらせて三人で風呂に入った。洞窟内に男三人でも広々使える風呂があるのは未だに感心する。

「そういえば、ずっと気になってたがお前の髪……」
「ん?長いの似合わないか?」
「別に似合うが……って、やっぱなんでもねぇ」

 一瞬素直になると我に返ってすぐ真っ赤になるヴィンス。これで俺より十も歳上か……何かに目覚めそう。

「長髪も似合いますが見慣れはしませんね。長くなったのは襟足だけなので正面から見ればいつもと変わり無いのですが」
「ま、それはそうだよな」

 話しながら俺の髪を掬うグルー。そういえば風呂に髪の毛入るのってよくないんだっけか?ずっと短いから自分には関係無いと思ってたが、まさか髪の毛を気にする時が来るとは。

「……ヤト、なぜ噛み跡をけさないのです?」

 あぁ、そういえば二人に噛まれてたな。グルーに噛まれて体が痺れ、ヴィンスに噛まれ絶頂を禁止された。今思うと二人もなかなかのことをしてる気がするんだが。
 この噛み跡………

「消さないとダメか?」
「……い、いえ、既に害の無いただの傷跡ですが………」
「グルージア冷静になれ、ただの傷跡なら残っていいワケじゃねぇだろうが」

 おお、珍しくヴィンスの方が冷静で的確だ。まぁ当たり前だけどグルーは悪魔だもんな、欲望に忠実っていうか分かりやすい。
 ……本当はもっと俺のことぐちゃぐちゃにしたいクセに、透けて見えてるんだよなぁ。行為に身体が慣れて負担が少なくなったら、グルーの要望に応えないとな。……恋人だし。

「~~ッ!」
「おいヤト?」
「どうしました?」

 二人と恋人になったことを再認識して恥ずかしくなった俺は、思わず両手で顔を覆い隠した。いやだっっって恋人だぞ!?



 昔、まだ俺の心も幼かった時は背伸びして恋人を作ったもんだからいい思い出が無い。ある種トラウマですらある。
 な!の!に!俺が恋人が出来て浮かれてる!?

「ふ、二人とも、俺の…こ………こいびと…………なんだよな……?」
「ええ、そうです」
「今更取り消しは聞かないからな?」

 あーもー……、絶対に断る!とか、本当に恋としての好きか分からない!なんて考えてたのが理解出来ないくらい愛されて情緒がぐっちゃぐちゃだ……。俺はウブなガキか………。
 とか一人で悶々としてると、グルーが俺の頬を押さえてキスをしてきた。あ、それはダメ。咄嗟にグルーの頬を向こうへ押し返した。

「グルー、風呂くらいゆっくりさせろ」
「そんな……口付けも許されませんか?」
「ダメに決まってるだろ、俺はそれで終われる自信無いからな……ンっ!?おいヴィンス!」

 今度はヴィンスが俺にキスをした。まったく、この二人は………!

「なぁんだ、ヤトも満足してねぇなら我慢の必要も無かったんだな」
「え……?」
「そうですね、まだ口付けだけでその気になれるのなら………クスっ」
「ヒェッ………」


 そういう事で俺の意思は無視され風呂でもう1ラウンド。怒った俺は二人に風呂とトイレの掃除を押し付けた。体力が残ってるならヤっていい訳じゃ無いからな!?この悪魔と獣!




 そんな感じで幸せなイライラとかいう意味の分からない気持ちで出来上がった昼食。
 鶏肉が冷凍してあったから焼いて米に乗っけて、乾燥ワカメと高野豆腐で吸物を作った。味噌があれば味噌汁にしたんだけど、無かったから冷凍されてた魚からアラを切り取り出汁を取った。


 焼き鳥丼と吸物、それからその辺で漬けてあった白菜をグルーとヴィンスの部屋に運んだ。

「お、それなんだ?」
「とてもいい匂いがしますね」

 二人は俺が作った食事に興味津々だ。使い慣れない道具と何があるのか分からない材料で即席で作ったにしては我ながら上出来だからな。
 焼き鳥はムネ肉、もも肉、ささみで味付けを変えてみた。ムネ肉はネギ塩レモン、もも肉は照り焼き、ささみは大葉で味をつけた。生卵を落としても美味しそうだったけど、流石に生卵は無かった。


 三人で机を囲み、少し遅い昼を食べた。二人とも満足してくれたようで、グルーは特にささみ(大葉)を、ヴィンスはもも肉(照り焼き)がお気に召したようだ。うん、解釈一致ってやつだな。



 洗い物を終えて薪を割っていると、グルーとヴィンスが自主的に手伝いに来てくれた。グルーにお使いを、ヴィンスに洗濯物を頼むと二人は渋々手伝った。え?手伝いに来たんだよな?

「……お前の近くにいる口実のつもりだったんだがな」
「まぁでもヤトらしいかもしれませんね」

 あっ……そういう意図で言ってたのか。まぁまぁごめんって。ここ結構広いし忙しくなりそうだからさ。

「……今日、二人と同じ部屋で寝るつもりだから」
「おや、」
「それって……」
「ただの添い寝だからな!」

 この二人は……!本っ当に加減してくれ!俺が持たない!





 そして1日が終わり、告げていた通り二人の部屋で横になった。
 布団二組を繋げてシーツを被せ、俺は二人の真ん中に挟まれている。けど二人があまりにもベッタリで正直眠れるか心配だ。正直狭いし動けないからな。変な意味は無いぞ!
 ……って、誰に弁明してるんだ俺は。


「それじゃあ、二人ともおやすみ」
「おう」
「おやすみなさい、良い夢を」


 なんだか浮かれた一日はあっという間に終わった。朝は心配事ばっかだったのに変な感じだ。凄く、幸せな気がする。

 そんなことを噛み締めて、俺は一晩中眠れずに二人の寝顔を見ていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

悪役令息の兄って需要ありますか?

焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。 その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。 これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

処理中です...