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復讐の旅、開始!
56.この国の平和は龍神のおかげ
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アカツキとヒイラギがモミジを連れ戻しに行き、俺とグルーとヴィンスが恋人になってから二週間も経った。未だに誰一人として戻って来てはいない。
このまま待ち続けてもいいのか、いつまで待てばいいのか、アカツキ達の状況が一切分からないせいか日々不安は募って行った。せめて連絡くらい寄越してくれればいいのに。
グルーもヴィンスも家事の手伝いに慣れて来たようで、昼過ぎにはやる事が全てなくなってしまった。とは言え怠けていたら戦い方を忘れるだろうし、手頃なモンスターがいれば戦いたいな。
「ヤト?どちらへ?」
「戦う感覚を取り戻しにモンスター探し」
「なるほど、私もお供しても?」
「もちろんいいけど、獲物の横取りは勘弁な」
そんな軽いジョークを言ってグルーと洞窟を後にした。
●●●
おかしい、運動も兼ねて二時間くらい走ったはずなのにモンスターが一体もいない。
「不思議ですね…気配すら見つからないなんて」
「もしかしてこの国ってモンスターいない?」
その可能性を感じて洞窟近くの町にいる人間に聞いてみた。そうしたら
「モンスター?あー、外の国にはいるらしいよね。ここは龍神様に守られてるからそんな危険は無いけど」
と返ってきた。龍神……ヒイラギ達の力だったのか。まぁ、安全に越したことはないか。
仕方ないから洞窟に戻ることにした。洞窟付近でグルーと戦えばそれも訓練になるだろうし。
どこかいい場所はないかと洞窟の近くを歩いてると、湖の近くで日向ぼっこする狼の姿のヴィンスがいた。あまりにも心地良さそうに眠るヴィンス。しゃ、写真を撮りたい…この姿、愛らしすぎる…………!
「記録したいですね…」
「あぁ……」
どうやらグルーも同じことを考えていたようだ。まぁ、日向でぐっすり眠る狼ってなんか無防備で可愛く見える。もしかしたら恋人補正があるのかもしれないけど、こんなに愛らしいと起こすのも躊躇う。
「……ん、くぁあ……!おーい、どうかしたのか?さっきからジロジロ見やがって」
「え、起きてたのか?」
「微睡んでただけだ。ここはいいぞ、来るか?今なら気分もいいし枕になってやるぜ?」
まじで!?やった!
訓練なんてそっちのけでまさかのお昼寝タイム。
言い訳に聞こえるかもしれないけど、やっぱ恋人との時間は大切にしたいしさ?明日…いや、日が落ちてお昼寝が終わったら訓練はちゃんとするし……
…………
本音を言うならモフモフの誘惑に耐えられなかった。そりゃそうだろ……
「あ、グルージアはダメ………いや、やっぱ今日くらいはいいか」
ヴィンスが上機嫌なのが見て分かる。グルーに甘いなんて珍しいな。
せっかくだし甘えてグルーと二人、ヴィンスの背中に寄りかかった。俺の知ってる狼より明らかにヴィンスの方が大きいから、二人で寄りかかっても広々だ。このサイズ感…昔の有名なアニメの喋る狼くらいじゃないか?
あぁ…ぬくい……穏やかだ…。穏やか……なんだけどさ、さっきからパタパタと動く尻尾が気になるんだよな。機嫌がいいのはいい事なんだけどさ、目で追っちゃうんだよな。
「ふっ、ヴィンスご機嫌だ」
「な、なんだよ悪ぃかよ……」
「んーん、そうじゃ無くてさ」
可愛いなって、言ったら恥ずかしがって日向ぼっこを強制終了されるかもしれないから黙っておこう。
「あぁ、不思議ですね……」
「なにが?」
俺の顔をじっと見つめるなり優しく微笑んだグルー。凄く幸せそうな顔で発した言葉は………
「こんなにも爽やかに笑う貴方と、夜に淫らになる貴方が同じ人だなんて。これがギャップというものなんでしょうね」
「おい」
煩悩だらけもいいとこだな悪魔め。一回を身体が壊れない程度に抑える代わりに毎日ヤってるだろ。最近はそこまで乱れてるつもりは無いぞ?
「あーあ、グルージアの余計な言葉のせいで爽やかな空気が台無しだ」
「その割には楽しそうな声を出すじゃありませんか」
「気のせーだ」
やっぱりこの二人も仲いいな。恋人と恋人がじゃれてるの見てて凄く楽しい。愛い、とても尊い。
●●●
のんびりした後はしっかりと訓練をして洞窟に戻った。以外にも戦いの感覚は忘れていなかった…どころか、勝手に体が動くように簡単に戦えた。これも神器の影響なのか?
模擬戦の最中、使ったことの無い知らない力まで勝手に使いこなしていた。明日から今度は自分の戦い方をちゃんと理解できるように確認しないといけないだろう。
戦えない苦労じゃなくて、戦えるが自分で理解できない苦労が来るなんて思いもしなかった。
外が暗くなり洞窟に戻ると、奥からドンッと何かが強く衝突するような音が聞こえてきた。誰かいる?アカツキ達か?でも、今の鈍く響いてきた音は何の音だ?
洞窟内の異変に気付いた俺達三人は急足で奥の屋敷に向かった。
屋敷の手前、聞こえてきた音の正体は一目で分かった。
壁に打ち付けられたかのように力無く座り込む一人の龍神。
毛先に向かって赤く染まった金髪、幼さがわずかに残る丸い赤眼、髪色と同じ色の角と尾。緋色の着物を着て長髪を一本の三つ編みに編んでいる背の高い男。
そして、左頬を赤く腫らして泣き出しそうな顔をしている。
一目見て分かった。ヒイラギに殴り飛ばされ睨み合っている彼は、四季の龍、秋のモミジ。神器・望月の御杖をしばらく持っていた張本人だ。
このまま待ち続けてもいいのか、いつまで待てばいいのか、アカツキ達の状況が一切分からないせいか日々不安は募って行った。せめて連絡くらい寄越してくれればいいのに。
グルーもヴィンスも家事の手伝いに慣れて来たようで、昼過ぎにはやる事が全てなくなってしまった。とは言え怠けていたら戦い方を忘れるだろうし、手頃なモンスターがいれば戦いたいな。
「ヤト?どちらへ?」
「戦う感覚を取り戻しにモンスター探し」
「なるほど、私もお供しても?」
「もちろんいいけど、獲物の横取りは勘弁な」
そんな軽いジョークを言ってグルーと洞窟を後にした。
●●●
おかしい、運動も兼ねて二時間くらい走ったはずなのにモンスターが一体もいない。
「不思議ですね…気配すら見つからないなんて」
「もしかしてこの国ってモンスターいない?」
その可能性を感じて洞窟近くの町にいる人間に聞いてみた。そうしたら
「モンスター?あー、外の国にはいるらしいよね。ここは龍神様に守られてるからそんな危険は無いけど」
と返ってきた。龍神……ヒイラギ達の力だったのか。まぁ、安全に越したことはないか。
仕方ないから洞窟に戻ることにした。洞窟付近でグルーと戦えばそれも訓練になるだろうし。
どこかいい場所はないかと洞窟の近くを歩いてると、湖の近くで日向ぼっこする狼の姿のヴィンスがいた。あまりにも心地良さそうに眠るヴィンス。しゃ、写真を撮りたい…この姿、愛らしすぎる…………!
「記録したいですね…」
「あぁ……」
どうやらグルーも同じことを考えていたようだ。まぁ、日向でぐっすり眠る狼ってなんか無防備で可愛く見える。もしかしたら恋人補正があるのかもしれないけど、こんなに愛らしいと起こすのも躊躇う。
「……ん、くぁあ……!おーい、どうかしたのか?さっきからジロジロ見やがって」
「え、起きてたのか?」
「微睡んでただけだ。ここはいいぞ、来るか?今なら気分もいいし枕になってやるぜ?」
まじで!?やった!
訓練なんてそっちのけでまさかのお昼寝タイム。
言い訳に聞こえるかもしれないけど、やっぱ恋人との時間は大切にしたいしさ?明日…いや、日が落ちてお昼寝が終わったら訓練はちゃんとするし……
…………
本音を言うならモフモフの誘惑に耐えられなかった。そりゃそうだろ……
「あ、グルージアはダメ………いや、やっぱ今日くらいはいいか」
ヴィンスが上機嫌なのが見て分かる。グルーに甘いなんて珍しいな。
せっかくだし甘えてグルーと二人、ヴィンスの背中に寄りかかった。俺の知ってる狼より明らかにヴィンスの方が大きいから、二人で寄りかかっても広々だ。このサイズ感…昔の有名なアニメの喋る狼くらいじゃないか?
あぁ…ぬくい……穏やかだ…。穏やか……なんだけどさ、さっきからパタパタと動く尻尾が気になるんだよな。機嫌がいいのはいい事なんだけどさ、目で追っちゃうんだよな。
「ふっ、ヴィンスご機嫌だ」
「な、なんだよ悪ぃかよ……」
「んーん、そうじゃ無くてさ」
可愛いなって、言ったら恥ずかしがって日向ぼっこを強制終了されるかもしれないから黙っておこう。
「あぁ、不思議ですね……」
「なにが?」
俺の顔をじっと見つめるなり優しく微笑んだグルー。凄く幸せそうな顔で発した言葉は………
「こんなにも爽やかに笑う貴方と、夜に淫らになる貴方が同じ人だなんて。これがギャップというものなんでしょうね」
「おい」
煩悩だらけもいいとこだな悪魔め。一回を身体が壊れない程度に抑える代わりに毎日ヤってるだろ。最近はそこまで乱れてるつもりは無いぞ?
「あーあ、グルージアの余計な言葉のせいで爽やかな空気が台無しだ」
「その割には楽しそうな声を出すじゃありませんか」
「気のせーだ」
やっぱりこの二人も仲いいな。恋人と恋人がじゃれてるの見てて凄く楽しい。愛い、とても尊い。
●●●
のんびりした後はしっかりと訓練をして洞窟に戻った。以外にも戦いの感覚は忘れていなかった…どころか、勝手に体が動くように簡単に戦えた。これも神器の影響なのか?
模擬戦の最中、使ったことの無い知らない力まで勝手に使いこなしていた。明日から今度は自分の戦い方をちゃんと理解できるように確認しないといけないだろう。
戦えない苦労じゃなくて、戦えるが自分で理解できない苦労が来るなんて思いもしなかった。
外が暗くなり洞窟に戻ると、奥からドンッと何かが強く衝突するような音が聞こえてきた。誰かいる?アカツキ達か?でも、今の鈍く響いてきた音は何の音だ?
洞窟内の異変に気付いた俺達三人は急足で奥の屋敷に向かった。
屋敷の手前、聞こえてきた音の正体は一目で分かった。
壁に打ち付けられたかのように力無く座り込む一人の龍神。
毛先に向かって赤く染まった金髪、幼さがわずかに残る丸い赤眼、髪色と同じ色の角と尾。緋色の着物を着て長髪を一本の三つ編みに編んでいる背の高い男。
そして、左頬を赤く腫らして泣き出しそうな顔をしている。
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