【完】ゲームの世界で美人すぎる兄が狙われているが

輝石玲

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はじめまして見知った異世界!

8.意外と誠実なモフモフさん

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 朝食を食べ終わって、片付けだけでも手伝った。食べるのが遅いみつ兄の食器以外を先に洗って、みつ兄が食べ終わったら最後の皿も洗う。みつ兄は洗い終わった皿を拭いて、ガルさんがその皿を食器棚にしまった。


 片付けが終わり、ガルさんに言われて俺とみつ兄はソファーに座った。すると、ガルさんは突然頭を下げた。

「ガルさん!?」
「昨夜は悪かった」
「えっ!?な、何が……?」

 突然のことであたふたしてると、状況を理解したらしいみつ兄が淡々と応え始めた。

「待ってください。僕は貴方と弟の間に何があったのか知りません。なのでなんの謝罪か、何があったのか教えてください」
「……これは二人に対しての謝罪だ。善意で動いたことは確かだが、行き過ぎた行動をとった」

 ガルさんはみつ兄に、昨夜俺とガルさんに何があったのかを簡単に説明した。
 ガルさんが俺の性処理を手伝う為に性的に触れた事。そして、途中で盛って、挿入は無いものの襲うような形になってしまったと。

「善意だってのは十分伝わってるし、俺もみつ兄も気にして無いから別に謝る事じゃ……!」
「ううん、兄さんは良く思ってないよ。……ガルさん、僕の事は気にする事ありません。僕は自分からお願いしましたから。でも、まだ子供の弟には何と言われても大人の貴方が抑えるべきです」

 みつ兄が良く思って無いのは俺のためだった。
 ……あれ、寝起きが悪いとは言えみつ兄も大人なのに抑えて無かったような……。うーん、まぁ兄弟だからノーカンか。

「それもそうだが、それを言うなら兄の方も同じだ。何も最後まですること無かった。正気じゃ無かったと知っていながら俺は甘えたことになる。結局は俺が抑えられなかった。それが全てだ」

 なんか、申し訳なく感じるな。俺は大人じゃ無いからそんな責任感だとか常識だとか分からないことが多い。でも、大人だからってこんなに気にする事なのだろうか。
 ……そう言えば、かみつぐのストーリーにもあったな、こんなシーン。まだ幼い主人公たちに大人が頭を下げて許しを乞うシーンが。
 確かにこれは、どこか怖さがある。

「ガルさん、もういいから………」
「だが、こんなことしておいて謝らないワケにも……」
「怖いから!大人に頭を下げられるの怖いから、やめて!もう十分に伝わってるって言った!」

 身長高いしガタイもいいから余計に威圧感がある。謝るって、言葉だけじゃ駄目だったのだろうか。昨夜のガルさんの印象が大きいせいで、下手に回られると動揺して落ち着かない。

「わ、悪かった。怖かったか?」

 焦ってきょとんって感じのガルさん。やっぱり印象が違いすぎる。
 ……なんだろう、みつ兄の言う通りガルさんはどっちかと言うと犬かもしれない。耳が垂れ下がって尻尾が下にくるんってなってる。



 なんとも言えない空気。気不味い。
 ガルさんも頭は上げたけど、ずっと困ったような顔をして若干俯いている。みつ兄はみつ兄で警戒して俺の肩を抱いてるし…。

「……ガルさん」
「なんだ」
「たぶん何を言っても気にするだろうし、今回はガルさんが悪いって事でいい」

 ……これは卑怯かもしれない。でも、俺も耐えられなかった。昨日はここまで気にならなかったのに。
 やっぱり………

「……ガルさんが悪いから、耳と尻尾を触らせてくれたら全部許す!」
「………………はぁ!?」

 やっぱりモフモフの誘惑には耐えられない!
 野良でもよその子でも動物に逃げられがちだから、叶うのであれば思う存分モフりたい!しかも体格がいいからか大型犬の尻尾よりもデカい!

「……こう君やっぱり天才?僕もそれならまぁ許そっかな」
「いやあのだな」
「大型犬を思いっきりモフって見たかったんだよなぁ!」
「おい待て誰が犬だゴラァ!」

 あ、狼だっけ。でもまぁ大型犬とほぼ同じだからいっか!
 俺もみつ兄もさっきの空気を忘れて良い笑顔。ガルさんは牙を剥き出してなんか唸ってるけど、苦悶の表情を浮かべてからため息を吐いた。

「わ、分かった。後でな………」
「ぃよっしゃー!」
「その前にこれからどうするかの話をさせてくれ………」

 モフモフの約束をなんとかもぎ取り勝利した。…何の勝負かは分からないけど、なんか勝った気がする。



 ……で、これからどうするか、だっけ。確かに最優先はそれだな。ちょっと抜けかけてたよ。

「とりあえず、お前たちを近くの孤児院に連れて行こうと思う。国が管理してる信用できる場所だ。そこでしばらくは世間のことを勉強しろ。警備隊も知らねぇなんて外に出りゃあ笑いモンだ」

 それもそうだなぁ。素性を知られる訳にもいかないし、素直に従った方がいい。ゲームでこの世界のことは結構知ってても家が無いからな。
 ……そう言えば最初から諦めてたけど、元の家に…元の世界に帰る方法ってあるのかな。

「とりあえずそんなトコだろ。孤児院までは送る」
「ありがとう、ガルさん。……本当に何から何まで」
「気にすんな」

 あれ、そう言えば近くの孤児院って……。
 この森で出会った警備隊の鎧は青色。つまり、ゲームで最初の町と呼ばれる場所が近いはず。近くの孤児院は主人公たちが育った場所くらいだ。
 こ、これって…聖地巡礼ってやつ!?主人公たちの育ったとこに行けるのか!?そう思うと一気にワクワクして来た!

「………何だお前、さっきからひとり百面相して」
「こう君、なんだか目がキラキラしてる?」

 おっと、考えてる事が顔に出ちゃった。家無しでこんな生き生きしてたら怪しまれるよな。

「ちょ、ちょっと考え事してただけ。この話がまとまったらモフモフ出来るって思って………」
「ふふっ、それは目がキラキラしてもおかしく無いね」
「なんだお前ら…」

 その後は、出発の時間を決めたり持ち物をまとめたりと準備をした。歩きだと朝に出発すれば夜には着くらしい。それも余裕を持って考えて、だ。



 話が終わってお昼を食べたら、ついにモフモフ!
 ガルさんは完全に狼の姿に変わって、床にペタンと伏せた。おぉ、なんて嬉しいサービス…!

 手入れされた銀色の毛並みは、お日様の匂いがしてふわふわだ。体温も高めで触ってるだけで癒される。
 みつ兄は毛並みを整えるように背中をゆっくりと撫でている。それに対し俺は首元や尻尾、頭なんかをわしゃわしゃしている。怒ってるのか途中でガルさんから唸り声が聞こえてたけど、特に何か言われたり抵抗されたり噛まれたりした訳じゃ無いから続けた。
 はぁ~♡癒される……♡


 結局モフモフは夜まで続き、夕飯を食べることもなくそのままモフモフの隣で寝落ちて、一日が終わった。
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