club-xuanwu extra

一園木蓮

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未来への招待状

2話

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 やはり自分にはあの店を背負って立つ資格はないのだろうか、そんなふうに思ってもいた。氷川の言うとおり、彼の傍でのみ生きていくことが一番いいのではなかろうか。無論、彼に囲われるような形で養われて過ごすのは、男としては面目のないことである。だが、”仕事”という形ではなくとも、自分にできることが何かあるかも知れない。例えば氷川の為に彼の身の回りの世話をするでもよし、精神的な癒しになるもよし、それはまるで世間で言うところの”嫁”のような立場になるのかも知れないが、それもまたひとつの幸せの形なのかも知れない。
 両親の元で暮らすことを許されなかった自分を引き取って育ててくれた香港の黄氏が亡くなった時に、住み慣れた地を離れ、単身でこの日本にやって来た。一目でいいから会いたいと願った父に会うことは叶わず、腹違いの兄である菊造から金を無心され、途方に暮れるようにして入ったホスト業界だ。頼るところのなかった自分をあたたかく受け入れてくれたxuanwuという店が、冰にとっては家のようであり、そこで一緒に働く仲間たちは家族さながらだった。
 そんな店を離れるのは、やはり寂しい。できることならずっとここで働いていたい。そんな葛藤の中、冰は代表を辞する考えを、今日この場で氷川に告げる心づもりでいたのだった。

 別荘のテラスで少し遅めの昼食を囲む。
 竹林に囲まれた萌ゆる緑を縫って、初夏の日射しがキラキラと輝きを見せている。

 和やかな会食が済み、食後の珈琲が運ばれてきた時、冰は思い切って話を切り出そうとした――その時だった。
「冰、それに遼二と紫月も聞いてくれ。お前らに大事な話がある」
 先に切り出したのは氷川の方だった。
「今回のことは全て俺の甘さが引き起こしたことだ。お前らには本当にすまないことをした」
「龍……そんな……」
 冰は無論のこと、遼二と紫月も驚き顔で氷川を見つめた。
「大阪への出張で一晩家を空けるってのに、東京の冰の元に護衛の一人も残さず――、しかも遼二までもを連れて行ったことで隙を作っちまったんだ。完全に俺の手落ちだ」
「……そんな! お前は悪くない……! 元はといえば俺の過去のことで……こうなったわけだし……」
 冰はとんでもないといったふうに、氷川の責任を否定した。
「いや――お前のせいじゃねえ。というより、誰が悪いとか悪くないというわけじゃない。とにかく大事に至らなくて良かったが、もしも偶然帝斗が店を訪れてくれていなかったとしたらと思うと、後悔どころではすまされない。そこで、今後の体勢を見直したいと思っている」
 氷川はそう前置きをしてから、少々驚くような内容の提案をした。
「先ずは紫月――お前にはホストの職を辞してもらい、この冰の秘書として勤めてもらいたい」
「……! 俺が……代表の秘書を……?」
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