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極道恋浪漫 第一章
7 遊郭街での捜索開始
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数日後――。
日本から鐘崎遼二がやって来ると、二人はすぐに遊郭街へと向かった。
「ふむ、これが雪吹冰か――。確かに見目のいい息子だな。顔立ちの印象からして性質も素直そうに見えるし、仮に男娼という目線で見るならば、この手を好みそうな客も多かろうな……」
焔から受け取った写真を片手に遼二が小さな溜め息を漏らす。
「焔、お前もこの息子に会ったことはねえんだな?」
「ああ。十七というなら普段は高校に通う学生だからな。この地下街でも行動範囲は住居区の中が主だろうし、歓楽施設やカジノがある区域には滅多に出歩かんだろう。俺自身カジノで爺さんの姿を見掛けたことはあるが、その爺さんとも面と向かって口をきいたこともねえしな」
「なるほど。それで――既にこの息子が男娼として客を取らされている可能性はあるのか?」
「そこのところは何とも言えんな。遊郭について下調べをした限りじゃ、新人の場合は男娼として売り出す前に教育期間というのが設けられることになっているようだ」
「――教育期間?」
「ここへ来る客は知識人も多い。単に色を売るだけじゃなく、世情や政治経済の話にもある程度は付き合えないといけないらしいからな」
「その為の教育期間というわけか」
「そのようだ。他にも茶道に舞いなどの稽古もさせられると聞いた。特にこの雪吹冰という息子のように見目の良い者には高く売る為の様々な教養を身につけさせるようだ」
ということは、まだ本格的な男娼として客を取っている可能性は低いと想像できる。
「この息子が行方不明になってからひと月と言っていたな? 運良く教育期間中だといいんだが――」
今はそうであることを祈るしかない。
「――で? まずはこの遊郭街を仕切っている頭目に会いに行こうってか?」
「そうできれば話は早いのだがな。頭目は滅多に人前に姿を現さないと評判の男だ。俺もここへ来て五年になるが、挨拶すらただの一度として交わしたことがねえ」
「そいつはまた奇妙な話だな。お前さんはこの城内を統治する周家の人間だ。普通に考えるならば裏の世界の者同士、懇意とまではいかずともツラを合わせるくらいはして当然と思うがな」
ここに移って来てから挨拶のひとつもないわけかと遼二は首を傾げた。
「確かに――遊郭街以外の者たちとは顔を突き合わせているし、俺がここを任されるようになった際にも皆の方から一度は挨拶に出向いてくれたものだ。まあ、俺が年若いこともあってか、向こうから頭を下げる必要はねえと思っているのだろうな」
つまり、頭目としては如何に周一族であろうが、青二才の若造に頭を下げる謂れはないといったところなのか――。
日本から鐘崎遼二がやって来ると、二人はすぐに遊郭街へと向かった。
「ふむ、これが雪吹冰か――。確かに見目のいい息子だな。顔立ちの印象からして性質も素直そうに見えるし、仮に男娼という目線で見るならば、この手を好みそうな客も多かろうな……」
焔から受け取った写真を片手に遼二が小さな溜め息を漏らす。
「焔、お前もこの息子に会ったことはねえんだな?」
「ああ。十七というなら普段は高校に通う学生だからな。この地下街でも行動範囲は住居区の中が主だろうし、歓楽施設やカジノがある区域には滅多に出歩かんだろう。俺自身カジノで爺さんの姿を見掛けたことはあるが、その爺さんとも面と向かって口をきいたこともねえしな」
「なるほど。それで――既にこの息子が男娼として客を取らされている可能性はあるのか?」
「そこのところは何とも言えんな。遊郭について下調べをした限りじゃ、新人の場合は男娼として売り出す前に教育期間というのが設けられることになっているようだ」
「――教育期間?」
「ここへ来る客は知識人も多い。単に色を売るだけじゃなく、世情や政治経済の話にもある程度は付き合えないといけないらしいからな」
「その為の教育期間というわけか」
「そのようだ。他にも茶道に舞いなどの稽古もさせられると聞いた。特にこの雪吹冰という息子のように見目の良い者には高く売る為の様々な教養を身につけさせるようだ」
ということは、まだ本格的な男娼として客を取っている可能性は低いと想像できる。
「この息子が行方不明になってからひと月と言っていたな? 運良く教育期間中だといいんだが――」
今はそうであることを祈るしかない。
「――で? まずはこの遊郭街を仕切っている頭目に会いに行こうってか?」
「そうできれば話は早いのだがな。頭目は滅多に人前に姿を現さないと評判の男だ。俺もここへ来て五年になるが、挨拶すらただの一度として交わしたことがねえ」
「そいつはまた奇妙な話だな。お前さんはこの城内を統治する周家の人間だ。普通に考えるならば裏の世界の者同士、懇意とまではいかずともツラを合わせるくらいはして当然と思うがな」
ここに移って来てから挨拶のひとつもないわけかと遼二は首を傾げた。
「確かに――遊郭街以外の者たちとは顔を突き合わせているし、俺がここを任されるようになった際にも皆の方から一度は挨拶に出向いてくれたものだ。まあ、俺が年若いこともあってか、向こうから頭を下げる必要はねえと思っているのだろうな」
つまり、頭目としては如何に周一族であろうが、青二才の若造に頭を下げる謂れはないといったところなのか――。
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