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極道の姐
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二日後、十分に休養を取った一同は、採掘場の視察の任務へと戻る為にマカオを後にした。張らもわざわざ見送りに来てくれて、特に冰はまた会える機会を心待ちにしていますと言って張らの厚意に礼を述べたのだった。
そんな彼を驚かせたのは鉱山で待っていた人物だ。
「兄貴! じゃなかった……姐さん! 姐さーん!」
作業着姿の男が満面の笑みを讃えながら駆け寄って来る。
「……! あなた……ロンさん!? ロンさんじゃないですか!」
なんと、男は静雨と一緒にいたロンだったのだ。
「ど、どうしてロンさんがここに?」
ワケが分からずといった調子で冰が目を丸くしている。そんな様子に苦笑しながら、周が横から説明を口にした。
「こいつはこの鉱山で働くことになったんだ」
「ここで? 何でまた……」
どうやらこの采配は周の父親である隼からのお達しらしい。冰の人間性に感銘を受けてしまったロンがどうしても舎弟にして欲しいとごねたのは記憶に新しいが、実はあれは冰の芝居であったことと、彼が周焔の伴侶であると告げてもまったく諦める様子がなかったという。それどころか、身体を張って愛する亭主を助けにやって来た冰の行動に、ますます尊敬の念を抱いたようだ。
とはいえ、さすがに周兄弟を拉致して殺すとまでうそぶいた男だ。本気ではなかったにしろ、拉致自体は実際に行った主犯格であるし、周一族がそんな男をホイホイと大事な冰の舎弟にするわけもない。それでも諦めが悪いこの男に、隼が下した制裁が今後三年の間、この鉱山で採掘員として勤めるということだった。
採掘の仕事は体力もいるし、正直なところ過酷である。三年の間真面目に勤めることができたあかつきには、今回のことを水に流してもいいと隼が言ったのだ。
ロンと共に拉致に加わった男たちにも同様の罰が課され、だが彼らは見張りだけで直接犯行に手を下したわけではないので、期間はロンよりも短い一年間ということで制裁としたのだそうだ。
ロンにとっては厳しい罰ともいえるが、本来ならば即刻闇に葬られてもおかしくはないことをしたわけだ。マフィアのファミリーに喧嘩を売ったわけだから、こうして生きていられるだけでも御の字どころか、非常に甘い沙汰といえる。彼自身もそれは重々分かっているのか、有り難くその制裁を受け入れたのである。
「頭領・周には感謝しています。こうして生かしておいてもらえただけでも奇跡なのに、給金までいただけるってんですから!」
「そ、そうだったんですか」
「俺、姐さんみてえに粋で、頭領・周のようなでっけえ懐を持った男になれるように頑張ります! だから姐さん、ここでの修行を無事に終えることができたら、その時は舎弟にしていただくことを考えといていただけませんか! 俺、精一杯頑張りますんで!」
どうやら舎弟の件はまだ諦めていないらしい。これには周も苦虫を噛み潰したような気にさせられてしまった。
「それについてはここでのてめえの働き如何によってだ。ただ闇雲に三年の時間だけをダラダラと過ごすんじゃ、舎弟なんぞは到底夢のまた夢だな」
周にガッチリと押さえ込まれて、ロンはタジタジと頭を掻きながら苦笑した。
そんな彼を驚かせたのは鉱山で待っていた人物だ。
「兄貴! じゃなかった……姐さん! 姐さーん!」
作業着姿の男が満面の笑みを讃えながら駆け寄って来る。
「……! あなた……ロンさん!? ロンさんじゃないですか!」
なんと、男は静雨と一緒にいたロンだったのだ。
「ど、どうしてロンさんがここに?」
ワケが分からずといった調子で冰が目を丸くしている。そんな様子に苦笑しながら、周が横から説明を口にした。
「こいつはこの鉱山で働くことになったんだ」
「ここで? 何でまた……」
どうやらこの采配は周の父親である隼からのお達しらしい。冰の人間性に感銘を受けてしまったロンがどうしても舎弟にして欲しいとごねたのは記憶に新しいが、実はあれは冰の芝居であったことと、彼が周焔の伴侶であると告げてもまったく諦める様子がなかったという。それどころか、身体を張って愛する亭主を助けにやって来た冰の行動に、ますます尊敬の念を抱いたようだ。
とはいえ、さすがに周兄弟を拉致して殺すとまでうそぶいた男だ。本気ではなかったにしろ、拉致自体は実際に行った主犯格であるし、周一族がそんな男をホイホイと大事な冰の舎弟にするわけもない。それでも諦めが悪いこの男に、隼が下した制裁が今後三年の間、この鉱山で採掘員として勤めるということだった。
採掘の仕事は体力もいるし、正直なところ過酷である。三年の間真面目に勤めることができたあかつきには、今回のことを水に流してもいいと隼が言ったのだ。
ロンと共に拉致に加わった男たちにも同様の罰が課され、だが彼らは見張りだけで直接犯行に手を下したわけではないので、期間はロンよりも短い一年間ということで制裁としたのだそうだ。
ロンにとっては厳しい罰ともいえるが、本来ならば即刻闇に葬られてもおかしくはないことをしたわけだ。マフィアのファミリーに喧嘩を売ったわけだから、こうして生きていられるだけでも御の字どころか、非常に甘い沙汰といえる。彼自身もそれは重々分かっているのか、有り難くその制裁を受け入れたのである。
「頭領・周には感謝しています。こうして生かしておいてもらえただけでも奇跡なのに、給金までいただけるってんですから!」
「そ、そうだったんですか」
「俺、姐さんみてえに粋で、頭領・周のようなでっけえ懐を持った男になれるように頑張ります! だから姐さん、ここでの修行を無事に終えることができたら、その時は舎弟にしていただくことを考えといていただけませんか! 俺、精一杯頑張りますんで!」
どうやら舎弟の件はまだ諦めていないらしい。これには周も苦虫を噛み潰したような気にさせられてしまった。
「それについてはここでのてめえの働き如何によってだ。ただ闇雲に三年の時間だけをダラダラと過ごすんじゃ、舎弟なんぞは到底夢のまた夢だな」
周にガッチリと押さえ込まれて、ロンはタジタジと頭を掻きながら苦笑した。
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