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遠い日のあたたかな思い出 メリークリスマス
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※クリスマス読み切り(鐘崎&紫月編)です。
それはとある年の暮れ――クリスマスが三日後に迫った午後のことだった。
もうすぐ冬休みを控えて学校の授業も午前中のみ。当時小学校の三年生だった鐘崎は、帰宅後昼ご飯を済ませると、いつものように一之宮道場へと向かった。
放課後、特に今日のように早く帰れた日には、たいがい幼馴染の紫月の家へ遊びに行くか、もしくは紫月が遊びに来るかのどちらかだ。いつもは学校から帰る途中でどうするか決めるのだが、今日に限って紫月から遊びの誘いがなかった。
何か用事があるのかも知れないとも思ったのだが、普段は紫月の方から『今日はどうする?』と聞いてくれるのにそれが無かったことが少々気になっていたのだ。
まあ父の飛燕とどこかへ出掛けることもあるだろうし、留守ならば諦めて帰って来ようと思ってもいた。
ところが道場に着くと紫月は庭先で遊んでいた。一人地面にしゃがみ込んで、何やら夢中になっているのかこちらに気付く気配もない。鐘崎は遠慮がちに遠目から声を掛けてみることにした。
「紫月……。なあ紫月ってば……」
二度ほど呼び掛けると、紫月は驚いたようにして振り返った。
「あ……遼――!」
大きな瞳を更に大きく見開いて、何やら慌てた様子でいる。どうやら見られては困る物があるのか、何かを隠すように再び地面へとしゃがみ込んだ。
「えっと……来ちゃまずかった? だったら俺……」
今日は帰る――そう言おうと思った矢先、紫月はパアっと満面の笑みを浮かべてみせた。
「出来た! 完成ー!」
バンザイというように両手を大きく広げると、
「遼、ちょうど良かった! 今からお前ン家に迎えに行こうと思ってたんだぁ」
そうして自身の後ろに隠した物を披露するようにパッとその脇へとよけた。
「メリークリスマス、遼!」
「え……?」
よく見ると、地面には土を固めて作ったのか、ケーキのような形の立体――。
「んと、ちょっと早えけどさ。これ、俺から遼へのクリスマスプレゼント! ケーキ作ってみた」
「俺……に?」
「うん!」
しゃがみ込んでよく見ると、なるほどケーキに見える。もちろん土で作った『おままごと』だが、丸いケーキの台の真ん中には小さな赤い実が詰められていて、確かにケーキに見える。
「これ、南天の実なんだ。苺のつもり!」
土で固めたスポンジとスポンジの間に南天の赤い実が散りばめられて、まさに苺がサンドしてあるようだ。丸い台の上には赤く色付いた紅葉の葉が飾られていて、確かに豪華なホールケーキが完成していた。
「ホントはクリスマスイヴの日に見せようと思ってたんだけどさ。父ちゃんが明日の天気予報、雨みてえだって言うから。崩れちゃう前に見せたくてさ! 完成したら呼びに行くべって思ってたんだぁ」
紫月は泥だらけの手でポリポリと鼻を掻きながら照れ臭そうに頬を染めている。
「実際には食えないけどさ……。俺が大人になったら……いつか遼の為にちゃんと食えるケーキ作ってやっから。今はこれで勘弁な?」
はにかむ笑顔に胸がジーンと熱くなる。鐘崎はしばし言葉にならないくらい感激してしまい、ともすればジワっと目頭が潤みそうにさせられてしまったのだった。
「紫月――おめえ……」
思わず涙がこぼれそうになり、それを隠さんと思い切り目の前の華奢な身体を抱き締めてしまった。
「わ……っ、遼……」
「ありがとな紫月……! すっげ嬉しいわ! 最っ高のプレゼントだ……!」
生まれてこの方、こんなに美味しそうなケーキを貰ったのは初めてだと言って、鐘崎は大感激に身体を震わせた。
「そうだ! 紫月、ちょっと待っとけ!」
そう言うと、一目散に道場の門を出て行った。
「え……? ちょっ、遼……」
「すぐ戻る! ケーキまだ食うなよ! そのままにしといてくれ!」
まるでタイフーンのような慌てぶりで駆け出して行ってしまった。
「まだ食うなって……。つか、これ土だし……食えねえってば……」
何が何やら訳のわからない紫月はポカンと口を開けたまま立ち尽くす。そこへ父の飛燕が部屋の奥から顔を出し、縁側へとやって来た。
「どうした紫月? 遼二坊の声がしたようだが――。ケーキ見せたのか?」
「うん……嬉しいっつってくれたけど……」
数分後、息せき切らした鐘崎が組番頭の源次郎を引き連れて戻って来た。源次郎は小さな鐘崎に手を引かれ、まるで引き摺られる勢いで連れて来られたようだった。
「待たせてすまねえ……。写、写真を……写真を撮ろうと思って」
どうやらこの土で作ったケーキの写真を撮りたくて、カメラを取りに帰ったようだ。戻って来るなりまずは自身の小さな手で大きな一眼レフのカメラを構えては、土製のケーキを様々な角度から撮影していった。
「源さん、頼む」
一通り撮り終えると、今度は自分たちも入って記念撮影をするつもりのようだ。源次郎へとカメラを預けて紫月に向かい手招く。
「紫月、ほら記念撮影だ」
二人並んでケーキの後ろにしゃがみ込む。
「はい、では撮りますぞ!」
源次郎の朗らかな掛け声に合わせて紫月の肩に腕を回した。
「はい、もう何枚か撮りますぞー。お二人とも笑ってー!」
そう言われてチラリと互いを見やる。
「ほ、ほら……笑え紫月」
口ぶりはぶっきらぼうながらも、鐘崎の頬は真っ赤に染まっていて、まるでケーキに挟んだ南天の実のようだ。そんな様子から喜んでもらえたんだと悟った紫月もまた、とびきりの笑顔をカメラに向けたのだった。
「はい、チーズぅー!」
花曇りの冬の午後、土で出来たクリスマスケーキを見つめる鐘崎の視線は至福といったように揺れ、作った紫月もまた心から嬉しそうで――そんな子供たちの尊い瞬間は源次郎によってしっかりとカメラに収められたのだった。
その日、夕方になって天気予報通りにポツポツと雨音が屋根を打ち付け始めた。
「やっぱ降ってきちゃったな……」
鐘崎は自室の窓から外を眺めながら、昼間のケーキを思い出していた。あの後、飛燕がせっかくだから二人で切り分けろと言って、ケーキは紫月と一緒にシャベルで切り分けた。飛燕が紅茶を淹れてくれたので、土製のケーキを目の肴に源次郎と四人で楽しいティータイムを満喫したわけだが、鐘崎にとっては紫月が自分の為に一生懸命作ってくれたケーキが崩れてしまうのが酷く名残惜しく感じられてならなかったのもまた事実だった。
飾りで付いていた紅葉の葉っぱだけは貰って帰って来たので、それで押し花を作って額に飾るのが唯一の楽しみだ。幸い、少し前に学校の授業で押し花の作り方を教わっていたので、鐘崎は持ち帰るとすぐに下準備を始めたのだった。
夕飯前、父の僚一が帰って来ると、鐘崎は待ち切れずに玄関まで飛んで行って出迎えた。
「親父! 待ってたんだ。なあ、明日か明後日……親父、仕事?」
必死という形相でそう訊いた。僚一は驚いていたものの、普段は手の掛からない息子がこうも必死にそんなことを言ってくるには何か訳があると思ったのだろう、
「どうした遼二? 何か用なら明日でも明後日でも、お前のいい日に都合をつけるぞ」
そう言って子供の目線までしゃがみ込み、頭を撫でる。
「んと……ありがと親父。その……ちょっと買い物……行きたくて」
「買い物? いいぞ。何か欲しいモンがあるのか?」
そういえばクリスマスだなと言って僚一は微笑んだ。
「まあお前ももうサンタクロースが俺だってことは分かってる歳だしな。サンタオヤジが何かプレゼントしてやるぞ」
不敵に微笑みながらそんなことを言った父に、鐘崎は照れ隠しの為か気まずそうにして頬を染めた。
「じゃ、じゃあ……二十四日の日でいい?」
「いいとも。空けておく。それで――何が欲しいんだ?」
「んと……ケーキ」
「ケーキ――?」
僚一は思わずパチクリと瞳を見開いてしまった。息子は普段から率先して甘い物を食べたがらないからだ。
「ケーキなら――忠さんに言えば焼いてくれるだろうが。何か他に――クリスマスっぽいプレゼントを買ってやるぞ。欲しいおもちゃとかゲームとかはねえのか?」
「ん、おもちゃもゲームも要らね。俺、ケーキが欲しいんだ……。なんちゅーか、すっげ綺麗な飾りとか付いてる……テレビとかでやってる豪華な感じのやつ。それ、俺の小遣いで買いたい。だからデパートとか……連れてって欲しいなって……」
「デパート?」
ますます不思議そうに僚一は首を傾げてしまった。
その夜、源次郎から昼間の話を聞いた僚一は、ようやくと息子がケーキを欲しがった理由に納得させられることとなった。
「なるほど――。それであいつ、自分の小遣いで買いたいなんて言い出しやがったんだな」
クスクスと僚一は笑い、微笑ましそうにしながら源次郎の撮ってきた写真を眺めていた。画面の中の息子は土のケーキを感慨深そうに見つめ、熟れるほどに頬を染めてモジモジとした表情でいる。
「そういや飛燕のところのボウズは甘いモンに目がなかったな」
甘い物好きの紫月の為にケーキを贈りたいというわけか――そう思うと、僚一もまた、とびきりやさしげに瞳が細まってしまうのだった。
「ふ――いつまでもガキかと思いきや」
友達の為にプレゼントを贈りたい年頃になったかと、頼もしさが込み上げる。夜半になって本降りになった雨音を聞きながら、成長していく息子たちの未来に思いを馳せる、そんな夜が静かに更けていったのだった。
翌々日、クリスマスイヴの日の朝になると、すっかり雨も上がって雲一つない晴天となった。鐘崎は父に連れられて日本橋を訪れていた。
「百貨店で選ぶならここは種類も豊富だ。他にも個々のケーキ店もある。銀座あたりまで見て回って好きなのを選べばいい」
「う、うん……!」
鐘崎は貯金箱から取り出してきた札を大事そうに握り締めては、緊張の面持ちでいる。
「あいつ、どんなのが好きかな……」
紫月はよくチョコレートの菓子を好んで食べている。ビスケットやクッキーもチョコチップなどが入った物などが好きだったはずだ。
僚一と共に広い百貨店の地下食品売り場を巡りながら、どの店のケーキもものすごく綺麗で溜め息の連続だ。自分自身は甘い物を進んで食べないから、これまではあまり興味がなかったものの、こうして見ているだけでも飽きないほどに豪華で綺麗で美しい。
「ほええ……ケーキってこんなに種類があるんだ」
「どうせ食うのは夜だろう? だったら銀座まで歩いていろんな店のを見てみればいい」
「……いいの?」
親父は時間大丈夫なのか? と、仕事の都合を気遣う視線が可愛らしい。
「心配ない。今日は丸一日休みだからな。とことん付き合うぞ!」
「マジ? あ、ありがと」
パッと瞳を輝かせたと思いきや、すぐに照れ臭そうにして頬を染める。息子とのこんなひと時もいいものだと、しみじみ――。普段は『忙しい忙しい』ばかりで、ろくにこうした買い物にすら付き合ってやれていなかったことを思い知る。
「遼二、時間はたっぷりある。遠慮なく見て回れ」
スイと頭に手をやって、ポンポンと撫でた。
「うん! ついでに親父の食いたいケーキもあったら一個プレゼントする! 今日付き合ってくれたお礼だ!」
鐘崎はとびきり嬉しそうに満面の笑顔でそう言った。
「お! 父さんにもご馳走してくれんのか? そんじゃ遠慮なく選ばしてもらうとするか」
「うん、好きなの言って!」
「頼もしいな、息子!」
僚一は爽やかに笑い、親子水入らずで丸一日ケーキ店巡りを満喫したのだった。
結局日本橋から銀座まで歩いていろいろな店を見て回り、そんな中でいっとう目を惹かれたケーキは生チョコクリームでデコレーションされたホール状の物だった。見た目も豪華で、何よりも紫月の大好きなチョコレート系だ。大きなホール状のケーキは値段もそれなりに張ったが、鐘崎は準備してきた小遣いを叩いてそれにすることに決めたようだ。
支払いの際に子供が自分の財布から札を出したのを見て、レジにいた女性が微笑ましそうにこう言った。
「あら、偉いのねボク! もしかして好きな子へのプレゼントかしら?」
「そ、そうゆうわけじゃ……。ってか、ダチだよ、トモダチ……」
「まあああ! そうなのー。お友達へのプレゼントなのねぇ?」
レジの女性はニコニコ顔で、「じゃあこれ、お姉さんからのオマケね!」そう言ってシュガーで出来たサンタクロースとトナカイのトッピングを付けてくれた。
「あ、ありがと……お姉さん」
「うふふ、楽しいクリスマスを過ごしてねー!」
ゴージャスな赤と金色のレースでできたリボンを掛けて、しっかりとした厚めの袋に入れてくれた。
鐘崎は大事そうにそれを両手で受け取ると、ペコりと頭を下げた。
「ありがとう! お姉さんも良いクリスマスを!」
「まあ! ありがとうボク!」
そんなやり取りにも心浮き立つクリスマスイヴ――店を出ると西の空が夕陽で染まり、宵闇が降りてくる中に眩い街の光がキラキラと輝いて、それはそれは美しい光景だった。
逸る気持ちで僚一の運転する車の助手席から飛んでいく景色を眺め、川崎の一之宮道場に着いたのはすっかり日も暮れた午後六時。玄関のチャイムを鳴らすと、仔犬のようにパタパタと軽快な足音をさせた紫月が出迎えてくれた。
「遼ー! 今、お前ン家に電話したトコ!」
「あ、うん……。悪い、遅くなった」
今日は父子四人で一緒にクリスマスを祝おうと約束していたのだ。
「僚一おじちゃんもいらっしゃい! 待ってたよー」
部屋の奥からは料理のいい匂いがしていて、思わず腹の虫が鳴りそうだ。
「今日はさ、父ちゃんがチキンを焼いてんだ! 昨夜遼ン家のおじちゃんが届けてくれたって!」
「そうなの……?」
鐘崎は驚いたように父を見上げてしまった。
「ああ。飛燕は料理が得意だからな。鶏モモを買って届けておいたんだ」
「そうだったんだ。さんきゅな、親父」
そんなふうに気を回してくれた父に胸があたたかくなる。
「まあ上がってよ! 外寒かったべ」
紫月が小さな手でスリッパを二つ取り出して並べてくれる。ダイニングには美味しそうに焼けたチキンの他にスープやサラダなども用意されていた。
「うわー、旨そう……!」
「おう、遼二坊! よく来てくれたな。僚一も、鶏モモありがとうな!」
皆揃ってテーブルにつき、父親たちはグラスにワインを注ぎ合い、子供たちはジュースで乾杯だ。
「えっと……その、紫月。これ……お、俺からのメリークリスマス」
おずおずとケーキの箱を差し出すと、紫月も飛燕もその大きさに目を丸くしながら驚いていた。
「これ……?」
「開けてみて。気に入ってくれると……いんだけど」
ドキドキとしながら反応を待つ。
「すっげえ豪華……! リボン、綺麗なぁ! 解いちゃうのもったいない感じ」
いったい何が入っているのかと、紫月が可愛らしい手つきで丁寧に丁寧にリボンを解いていく。
「わ……ッ! おわ……ッ、すっげ! すっげえー……!」
まるで瞳の中に大きな煌めきがバチバチと浮かぶコミックさながらの顔つきで紫月が感嘆の声を上げては、椅子の上でピョンピョン飛び跳ねる勢いでいる。
「うわ……! 見て見て父ちゃん! すっげえケーキ! こんなでっけえの!」
「おお! めちゃくちゃゴージャスじゃねえか!」
紫月と飛燕は大興奮で手を取り合ってはしゃいでいる。
「遼二がな。紫月に贈りたいと言ってな」
今日一日中探し歩いて選んできたのだと説明する。モジモジしてばかりでなかなか言葉にならない息子に代わって僚一が話して聞かせた。
「マジかー。俺ン為に?」
「う、うん……。おめえ、チョコレート好きだと思ってさ」
だからそれにした――と、頬染めながらうつむいた鐘崎のそこ、まさに染まった頬に紫月の柔らかい唇が飛んできた。飛びつくようにして抱きつきながら、感激余っての『頬っぺたにチュウ』――だ。
「遼ぉー、ありがとなぁ! めちゃくちゃ嬉しいわ!」
紫月はそれこそ転げ回る勢いで喜んで、何度も何度も頬っぺたにチュウを繰り返した。鐘崎はもう茹蛸どころではない。熟れて落ちるほどに顔中真っ赤っかに染め上げては、父親二人によって、「なんだ、酒も飲んでねえのになぁ」と冷やかされる始末。
「お、おめえが作ってくれた……ケーキが……う、嬉しかったから。だから俺……」
穴があったら入りたいというくらいの勢いで染まった頬の熱を隠さんとうつむいたまま顔を上げられないでいる――そんな鐘崎に紫月は再び抱きついた。
「遼ぉー、ありがとー! 俺ンなんか、土で作った食えないやつだったのに」
「く、食えなくてもいい。俺には……どんなモンより……嬉しかったから」
「マジかぁ? うん、分かった! 俺が大人になったら――マジでお前にケーキ焼いてやる! 今度はちゃんと食えるやつ!」
「マジ……?」
「うん! 大マジ! 遼、大好きだぁー!」
「あ……えっと……うん。さ、さんきゅ紫月。お、俺も……」
大好きだ――!
そんな子供たちを眺めながらフっと微笑み合う、父親二人のあたたかな視線に見守られて幸せなクリスマスの夜が更けていくのだった。
「さあ! それじゃ冷めねえ内に食べるか!」
飛燕の掛け声で皆一斉にグラスを掲げる。
「メリークリスマス!」
「いっただきまぁーす!」
鐘崎遼二、九歳と半年。
一之宮紫月、八歳と十ヶ月。
二十年後、同じようにクリスマスの食卓を囲む時、幼子たちの姓はひとつに、そして父子四人は本当の意味で家族親戚となることを、この時の誰もまだ知らない。
だが、いつの日かそんな未来が訪れることを脳裏の片隅にぼんやりと描く父親二人だったに違いない。
余談だが、この年のクリスマスに幼い紫月が作った土のケーキに飾られていた紅葉の葉は、同じく幼き鐘崎の手で押し花にされて、大切に額に飾られた。遠い日の――土のケーキを囲む子供たちの笑顔と共に、二十年後はもちろん、末長く鐘崎組の壁に飾られ続けていくのだった。
遠い日のあたたかな思い出 メリークリスマス - FIN -
それはとある年の暮れ――クリスマスが三日後に迫った午後のことだった。
もうすぐ冬休みを控えて学校の授業も午前中のみ。当時小学校の三年生だった鐘崎は、帰宅後昼ご飯を済ませると、いつものように一之宮道場へと向かった。
放課後、特に今日のように早く帰れた日には、たいがい幼馴染の紫月の家へ遊びに行くか、もしくは紫月が遊びに来るかのどちらかだ。いつもは学校から帰る途中でどうするか決めるのだが、今日に限って紫月から遊びの誘いがなかった。
何か用事があるのかも知れないとも思ったのだが、普段は紫月の方から『今日はどうする?』と聞いてくれるのにそれが無かったことが少々気になっていたのだ。
まあ父の飛燕とどこかへ出掛けることもあるだろうし、留守ならば諦めて帰って来ようと思ってもいた。
ところが道場に着くと紫月は庭先で遊んでいた。一人地面にしゃがみ込んで、何やら夢中になっているのかこちらに気付く気配もない。鐘崎は遠慮がちに遠目から声を掛けてみることにした。
「紫月……。なあ紫月ってば……」
二度ほど呼び掛けると、紫月は驚いたようにして振り返った。
「あ……遼――!」
大きな瞳を更に大きく見開いて、何やら慌てた様子でいる。どうやら見られては困る物があるのか、何かを隠すように再び地面へとしゃがみ込んだ。
「えっと……来ちゃまずかった? だったら俺……」
今日は帰る――そう言おうと思った矢先、紫月はパアっと満面の笑みを浮かべてみせた。
「出来た! 完成ー!」
バンザイというように両手を大きく広げると、
「遼、ちょうど良かった! 今からお前ン家に迎えに行こうと思ってたんだぁ」
そうして自身の後ろに隠した物を披露するようにパッとその脇へとよけた。
「メリークリスマス、遼!」
「え……?」
よく見ると、地面には土を固めて作ったのか、ケーキのような形の立体――。
「んと、ちょっと早えけどさ。これ、俺から遼へのクリスマスプレゼント! ケーキ作ってみた」
「俺……に?」
「うん!」
しゃがみ込んでよく見ると、なるほどケーキに見える。もちろん土で作った『おままごと』だが、丸いケーキの台の真ん中には小さな赤い実が詰められていて、確かにケーキに見える。
「これ、南天の実なんだ。苺のつもり!」
土で固めたスポンジとスポンジの間に南天の赤い実が散りばめられて、まさに苺がサンドしてあるようだ。丸い台の上には赤く色付いた紅葉の葉が飾られていて、確かに豪華なホールケーキが完成していた。
「ホントはクリスマスイヴの日に見せようと思ってたんだけどさ。父ちゃんが明日の天気予報、雨みてえだって言うから。崩れちゃう前に見せたくてさ! 完成したら呼びに行くべって思ってたんだぁ」
紫月は泥だらけの手でポリポリと鼻を掻きながら照れ臭そうに頬を染めている。
「実際には食えないけどさ……。俺が大人になったら……いつか遼の為にちゃんと食えるケーキ作ってやっから。今はこれで勘弁な?」
はにかむ笑顔に胸がジーンと熱くなる。鐘崎はしばし言葉にならないくらい感激してしまい、ともすればジワっと目頭が潤みそうにさせられてしまったのだった。
「紫月――おめえ……」
思わず涙がこぼれそうになり、それを隠さんと思い切り目の前の華奢な身体を抱き締めてしまった。
「わ……っ、遼……」
「ありがとな紫月……! すっげ嬉しいわ! 最っ高のプレゼントだ……!」
生まれてこの方、こんなに美味しそうなケーキを貰ったのは初めてだと言って、鐘崎は大感激に身体を震わせた。
「そうだ! 紫月、ちょっと待っとけ!」
そう言うと、一目散に道場の門を出て行った。
「え……? ちょっ、遼……」
「すぐ戻る! ケーキまだ食うなよ! そのままにしといてくれ!」
まるでタイフーンのような慌てぶりで駆け出して行ってしまった。
「まだ食うなって……。つか、これ土だし……食えねえってば……」
何が何やら訳のわからない紫月はポカンと口を開けたまま立ち尽くす。そこへ父の飛燕が部屋の奥から顔を出し、縁側へとやって来た。
「どうした紫月? 遼二坊の声がしたようだが――。ケーキ見せたのか?」
「うん……嬉しいっつってくれたけど……」
数分後、息せき切らした鐘崎が組番頭の源次郎を引き連れて戻って来た。源次郎は小さな鐘崎に手を引かれ、まるで引き摺られる勢いで連れて来られたようだった。
「待たせてすまねえ……。写、写真を……写真を撮ろうと思って」
どうやらこの土で作ったケーキの写真を撮りたくて、カメラを取りに帰ったようだ。戻って来るなりまずは自身の小さな手で大きな一眼レフのカメラを構えては、土製のケーキを様々な角度から撮影していった。
「源さん、頼む」
一通り撮り終えると、今度は自分たちも入って記念撮影をするつもりのようだ。源次郎へとカメラを預けて紫月に向かい手招く。
「紫月、ほら記念撮影だ」
二人並んでケーキの後ろにしゃがみ込む。
「はい、では撮りますぞ!」
源次郎の朗らかな掛け声に合わせて紫月の肩に腕を回した。
「はい、もう何枚か撮りますぞー。お二人とも笑ってー!」
そう言われてチラリと互いを見やる。
「ほ、ほら……笑え紫月」
口ぶりはぶっきらぼうながらも、鐘崎の頬は真っ赤に染まっていて、まるでケーキに挟んだ南天の実のようだ。そんな様子から喜んでもらえたんだと悟った紫月もまた、とびきりの笑顔をカメラに向けたのだった。
「はい、チーズぅー!」
花曇りの冬の午後、土で出来たクリスマスケーキを見つめる鐘崎の視線は至福といったように揺れ、作った紫月もまた心から嬉しそうで――そんな子供たちの尊い瞬間は源次郎によってしっかりとカメラに収められたのだった。
その日、夕方になって天気予報通りにポツポツと雨音が屋根を打ち付け始めた。
「やっぱ降ってきちゃったな……」
鐘崎は自室の窓から外を眺めながら、昼間のケーキを思い出していた。あの後、飛燕がせっかくだから二人で切り分けろと言って、ケーキは紫月と一緒にシャベルで切り分けた。飛燕が紅茶を淹れてくれたので、土製のケーキを目の肴に源次郎と四人で楽しいティータイムを満喫したわけだが、鐘崎にとっては紫月が自分の為に一生懸命作ってくれたケーキが崩れてしまうのが酷く名残惜しく感じられてならなかったのもまた事実だった。
飾りで付いていた紅葉の葉っぱだけは貰って帰って来たので、それで押し花を作って額に飾るのが唯一の楽しみだ。幸い、少し前に学校の授業で押し花の作り方を教わっていたので、鐘崎は持ち帰るとすぐに下準備を始めたのだった。
夕飯前、父の僚一が帰って来ると、鐘崎は待ち切れずに玄関まで飛んで行って出迎えた。
「親父! 待ってたんだ。なあ、明日か明後日……親父、仕事?」
必死という形相でそう訊いた。僚一は驚いていたものの、普段は手の掛からない息子がこうも必死にそんなことを言ってくるには何か訳があると思ったのだろう、
「どうした遼二? 何か用なら明日でも明後日でも、お前のいい日に都合をつけるぞ」
そう言って子供の目線までしゃがみ込み、頭を撫でる。
「んと……ありがと親父。その……ちょっと買い物……行きたくて」
「買い物? いいぞ。何か欲しいモンがあるのか?」
そういえばクリスマスだなと言って僚一は微笑んだ。
「まあお前ももうサンタクロースが俺だってことは分かってる歳だしな。サンタオヤジが何かプレゼントしてやるぞ」
不敵に微笑みながらそんなことを言った父に、鐘崎は照れ隠しの為か気まずそうにして頬を染めた。
「じゃ、じゃあ……二十四日の日でいい?」
「いいとも。空けておく。それで――何が欲しいんだ?」
「んと……ケーキ」
「ケーキ――?」
僚一は思わずパチクリと瞳を見開いてしまった。息子は普段から率先して甘い物を食べたがらないからだ。
「ケーキなら――忠さんに言えば焼いてくれるだろうが。何か他に――クリスマスっぽいプレゼントを買ってやるぞ。欲しいおもちゃとかゲームとかはねえのか?」
「ん、おもちゃもゲームも要らね。俺、ケーキが欲しいんだ……。なんちゅーか、すっげ綺麗な飾りとか付いてる……テレビとかでやってる豪華な感じのやつ。それ、俺の小遣いで買いたい。だからデパートとか……連れてって欲しいなって……」
「デパート?」
ますます不思議そうに僚一は首を傾げてしまった。
その夜、源次郎から昼間の話を聞いた僚一は、ようやくと息子がケーキを欲しがった理由に納得させられることとなった。
「なるほど――。それであいつ、自分の小遣いで買いたいなんて言い出しやがったんだな」
クスクスと僚一は笑い、微笑ましそうにしながら源次郎の撮ってきた写真を眺めていた。画面の中の息子は土のケーキを感慨深そうに見つめ、熟れるほどに頬を染めてモジモジとした表情でいる。
「そういや飛燕のところのボウズは甘いモンに目がなかったな」
甘い物好きの紫月の為にケーキを贈りたいというわけか――そう思うと、僚一もまた、とびきりやさしげに瞳が細まってしまうのだった。
「ふ――いつまでもガキかと思いきや」
友達の為にプレゼントを贈りたい年頃になったかと、頼もしさが込み上げる。夜半になって本降りになった雨音を聞きながら、成長していく息子たちの未来に思いを馳せる、そんな夜が静かに更けていったのだった。
翌々日、クリスマスイヴの日の朝になると、すっかり雨も上がって雲一つない晴天となった。鐘崎は父に連れられて日本橋を訪れていた。
「百貨店で選ぶならここは種類も豊富だ。他にも個々のケーキ店もある。銀座あたりまで見て回って好きなのを選べばいい」
「う、うん……!」
鐘崎は貯金箱から取り出してきた札を大事そうに握り締めては、緊張の面持ちでいる。
「あいつ、どんなのが好きかな……」
紫月はよくチョコレートの菓子を好んで食べている。ビスケットやクッキーもチョコチップなどが入った物などが好きだったはずだ。
僚一と共に広い百貨店の地下食品売り場を巡りながら、どの店のケーキもものすごく綺麗で溜め息の連続だ。自分自身は甘い物を進んで食べないから、これまではあまり興味がなかったものの、こうして見ているだけでも飽きないほどに豪華で綺麗で美しい。
「ほええ……ケーキってこんなに種類があるんだ」
「どうせ食うのは夜だろう? だったら銀座まで歩いていろんな店のを見てみればいい」
「……いいの?」
親父は時間大丈夫なのか? と、仕事の都合を気遣う視線が可愛らしい。
「心配ない。今日は丸一日休みだからな。とことん付き合うぞ!」
「マジ? あ、ありがと」
パッと瞳を輝かせたと思いきや、すぐに照れ臭そうにして頬を染める。息子とのこんなひと時もいいものだと、しみじみ――。普段は『忙しい忙しい』ばかりで、ろくにこうした買い物にすら付き合ってやれていなかったことを思い知る。
「遼二、時間はたっぷりある。遠慮なく見て回れ」
スイと頭に手をやって、ポンポンと撫でた。
「うん! ついでに親父の食いたいケーキもあったら一個プレゼントする! 今日付き合ってくれたお礼だ!」
鐘崎はとびきり嬉しそうに満面の笑顔でそう言った。
「お! 父さんにもご馳走してくれんのか? そんじゃ遠慮なく選ばしてもらうとするか」
「うん、好きなの言って!」
「頼もしいな、息子!」
僚一は爽やかに笑い、親子水入らずで丸一日ケーキ店巡りを満喫したのだった。
結局日本橋から銀座まで歩いていろいろな店を見て回り、そんな中でいっとう目を惹かれたケーキは生チョコクリームでデコレーションされたホール状の物だった。見た目も豪華で、何よりも紫月の大好きなチョコレート系だ。大きなホール状のケーキは値段もそれなりに張ったが、鐘崎は準備してきた小遣いを叩いてそれにすることに決めたようだ。
支払いの際に子供が自分の財布から札を出したのを見て、レジにいた女性が微笑ましそうにこう言った。
「あら、偉いのねボク! もしかして好きな子へのプレゼントかしら?」
「そ、そうゆうわけじゃ……。ってか、ダチだよ、トモダチ……」
「まあああ! そうなのー。お友達へのプレゼントなのねぇ?」
レジの女性はニコニコ顔で、「じゃあこれ、お姉さんからのオマケね!」そう言ってシュガーで出来たサンタクロースとトナカイのトッピングを付けてくれた。
「あ、ありがと……お姉さん」
「うふふ、楽しいクリスマスを過ごしてねー!」
ゴージャスな赤と金色のレースでできたリボンを掛けて、しっかりとした厚めの袋に入れてくれた。
鐘崎は大事そうにそれを両手で受け取ると、ペコりと頭を下げた。
「ありがとう! お姉さんも良いクリスマスを!」
「まあ! ありがとうボク!」
そんなやり取りにも心浮き立つクリスマスイヴ――店を出ると西の空が夕陽で染まり、宵闇が降りてくる中に眩い街の光がキラキラと輝いて、それはそれは美しい光景だった。
逸る気持ちで僚一の運転する車の助手席から飛んでいく景色を眺め、川崎の一之宮道場に着いたのはすっかり日も暮れた午後六時。玄関のチャイムを鳴らすと、仔犬のようにパタパタと軽快な足音をさせた紫月が出迎えてくれた。
「遼ー! 今、お前ン家に電話したトコ!」
「あ、うん……。悪い、遅くなった」
今日は父子四人で一緒にクリスマスを祝おうと約束していたのだ。
「僚一おじちゃんもいらっしゃい! 待ってたよー」
部屋の奥からは料理のいい匂いがしていて、思わず腹の虫が鳴りそうだ。
「今日はさ、父ちゃんがチキンを焼いてんだ! 昨夜遼ン家のおじちゃんが届けてくれたって!」
「そうなの……?」
鐘崎は驚いたように父を見上げてしまった。
「ああ。飛燕は料理が得意だからな。鶏モモを買って届けておいたんだ」
「そうだったんだ。さんきゅな、親父」
そんなふうに気を回してくれた父に胸があたたかくなる。
「まあ上がってよ! 外寒かったべ」
紫月が小さな手でスリッパを二つ取り出して並べてくれる。ダイニングには美味しそうに焼けたチキンの他にスープやサラダなども用意されていた。
「うわー、旨そう……!」
「おう、遼二坊! よく来てくれたな。僚一も、鶏モモありがとうな!」
皆揃ってテーブルにつき、父親たちはグラスにワインを注ぎ合い、子供たちはジュースで乾杯だ。
「えっと……その、紫月。これ……お、俺からのメリークリスマス」
おずおずとケーキの箱を差し出すと、紫月も飛燕もその大きさに目を丸くしながら驚いていた。
「これ……?」
「開けてみて。気に入ってくれると……いんだけど」
ドキドキとしながら反応を待つ。
「すっげえ豪華……! リボン、綺麗なぁ! 解いちゃうのもったいない感じ」
いったい何が入っているのかと、紫月が可愛らしい手つきで丁寧に丁寧にリボンを解いていく。
「わ……ッ! おわ……ッ、すっげ! すっげえー……!」
まるで瞳の中に大きな煌めきがバチバチと浮かぶコミックさながらの顔つきで紫月が感嘆の声を上げては、椅子の上でピョンピョン飛び跳ねる勢いでいる。
「うわ……! 見て見て父ちゃん! すっげえケーキ! こんなでっけえの!」
「おお! めちゃくちゃゴージャスじゃねえか!」
紫月と飛燕は大興奮で手を取り合ってはしゃいでいる。
「遼二がな。紫月に贈りたいと言ってな」
今日一日中探し歩いて選んできたのだと説明する。モジモジしてばかりでなかなか言葉にならない息子に代わって僚一が話して聞かせた。
「マジかー。俺ン為に?」
「う、うん……。おめえ、チョコレート好きだと思ってさ」
だからそれにした――と、頬染めながらうつむいた鐘崎のそこ、まさに染まった頬に紫月の柔らかい唇が飛んできた。飛びつくようにして抱きつきながら、感激余っての『頬っぺたにチュウ』――だ。
「遼ぉー、ありがとなぁ! めちゃくちゃ嬉しいわ!」
紫月はそれこそ転げ回る勢いで喜んで、何度も何度も頬っぺたにチュウを繰り返した。鐘崎はもう茹蛸どころではない。熟れて落ちるほどに顔中真っ赤っかに染め上げては、父親二人によって、「なんだ、酒も飲んでねえのになぁ」と冷やかされる始末。
「お、おめえが作ってくれた……ケーキが……う、嬉しかったから。だから俺……」
穴があったら入りたいというくらいの勢いで染まった頬の熱を隠さんとうつむいたまま顔を上げられないでいる――そんな鐘崎に紫月は再び抱きついた。
「遼ぉー、ありがとー! 俺ンなんか、土で作った食えないやつだったのに」
「く、食えなくてもいい。俺には……どんなモンより……嬉しかったから」
「マジかぁ? うん、分かった! 俺が大人になったら――マジでお前にケーキ焼いてやる! 今度はちゃんと食えるやつ!」
「マジ……?」
「うん! 大マジ! 遼、大好きだぁー!」
「あ……えっと……うん。さ、さんきゅ紫月。お、俺も……」
大好きだ――!
そんな子供たちを眺めながらフっと微笑み合う、父親二人のあたたかな視線に見守られて幸せなクリスマスの夜が更けていくのだった。
「さあ! それじゃ冷めねえ内に食べるか!」
飛燕の掛け声で皆一斉にグラスを掲げる。
「メリークリスマス!」
「いっただきまぁーす!」
鐘崎遼二、九歳と半年。
一之宮紫月、八歳と十ヶ月。
二十年後、同じようにクリスマスの食卓を囲む時、幼子たちの姓はひとつに、そして父子四人は本当の意味で家族親戚となることを、この時の誰もまだ知らない。
だが、いつの日かそんな未来が訪れることを脳裏の片隅にぼんやりと描く父親二人だったに違いない。
余談だが、この年のクリスマスに幼い紫月が作った土のケーキに飾られていた紅葉の葉は、同じく幼き鐘崎の手で押し花にされて、大切に額に飾られた。遠い日の――土のケーキを囲む子供たちの笑顔と共に、二十年後はもちろん、末長く鐘崎組の壁に飾られ続けていくのだった。
遠い日のあたたかな思い出 メリークリスマス - FIN -
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