裏極(極道恋事情番外編)

一園木蓮

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BL系ファンタジーゲームにハマる男たち

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※周焔&鐘崎の旦那組がBL系ゲームにハマる話です。



「しかし今時のゲームってのは恐ろしく良く出来ているものだな」
「ああ、まさかこんなに細かくストーリーが作り込まれてるとは驚きだ」
 周と鐘崎がテレビ画面に張り付きながらそんなことを言っている。例の張敏が送ってきたファンタジーゲームのことである。苦労して難易度最高でクリアし、新しいキャラクターを出した途端に旦那二人がすっかりゲームに夢中になり出したのだ。
 二人が感心している通り、アクション要素はさることながら物語の展開が実に興味を引くように作られていて、つぎはどうなるのだろうと思わされる。いわばBL系ファンタジーゲームだから、キャラクターたちが戦闘を共にしながら絆を深め、次第に親密な仲に発展していく様子が何となく自分たちに重なるわけだろう。ビジュアル的にも確かに冰や紫月を思わせる美青年キャラを見ているのも楽しいようで、大の男が少年さながらハマり込んでしまった――と、まあそんなわけだった。

 これまでも週末になるとよく四人で会っていたものの、ここ二週ばかりはお茶にも買い物にも出掛けずにゲームに没頭中だ。嫁たち二人は半ば付き合わされているといった調子で、これでは当初と真逆である。
「おーし! ついに次で最終ステージだな。どんなエンディングが見られるか楽しみだ」
「トリセツによるとエンディングはいくつかパターンがあるらしいぞ。どれが出るか分からんが、バッドエンドってのは無えらしいから」
 それだけはラッキーだなと旦那二人で鼻の下を伸ばし合っている。
 どうやらエンディングは三パターンほどあるようで、
 1 最高のバディとなって諸国を旅する
 2 恋人になって幸せに暮らす
 3 生涯のパートナーとなって結婚する
 という三つが存在するらしい。
 当然、最高の「結婚する」エンディングを期待している旦那たちだが、実はそれを見るにはやはりか難易度最高ランクでのクリアが条件のようだ。今トライしているのは難易度が中くらいのレベルだから、見られるとしても「恋人になる」パターンがせいぜいだろう。
 というよりも、その「恋人」エンディングを見た後は難易度最高でまた最初からやろうと言い出すのではないかと、実のところ嫁二人は内心ハラハラものでいる。
 冰も紫月もゲームが嫌いというわけではないのだが、ずっと缶詰ではさすがに飽きる。息抜きに買い物に出掛けたりお茶しに出たりもしたいわけで、だがしかし珍しくも少年のように夢中になっている亭主たちのことも愛しく思えてしまうあたりは愛情といったところだろう。まあこういうこともたまにはいいかと苦笑ながらも付き合っているわけだ。
 コントローラーは二つしかないので、ワンステージクリアする毎に二人ずつ交代でプレイしながら進めていくのだが、手の空いた方はゲーム画面を一緒に観ながら真田の淹れてくれたお茶で喉を潤すといった塩梅だ。

 最終ステージはどうやら旦那二人でフィニッシュするようだ。冰と紫月はそれぞれ亭主の傍らに座ってプレイを見守りながらエンディングを待った。
 難易度中だから、予想通り「恋人になる」パターンで終わったのだが、そのエンディングムービーがことの他美しい映像で驚かされた。
 龍王の周と美少年キャラの冰は、龍の背に乗って空を飛びながら想いを告げ合うというパターン。虎王の鐘崎は美青年キャラの紫月と小高い丘の上から自分たちの国を見下ろしながら夕陽に染まってしっかりと肩寄せ合うという感じだったが、とにかくどちらも映像が美しい。これは是非とも最高エンディングの「結婚」を観たいと思わされることとなった。
「ほええ、マジでロマンチックっつーかさ。綺麗な映像だったな!」
「ですねぇ。龍に乗って空を飛ぶとか臨場感最高でした!」
「結婚エンディングも期待大だわな!」
「そうですね!」
 早速また一から難易度最高で始めるかと思いきや、亭主二人から飛び出した提案に嫁たちはほっこりとさせられることと相成った。
「今、何時だ? ずっとゲームばかりじゃ肩が凝るだろう。茶でもしに出掛けるか」
「そうだな。三時半か――。少し早いが散歩がてら夕飯ってのもいいんじゃねえか?」
 亭主らの言葉に嫁二人は万々歳だ。
「やったな、冰君!」
「ええ! 楽しみですね」
 二月半ば、外はまだ寒いが、日に日に長くなる日没が春を告げている。
 コートを手に取り、マフラーを巻いていざ外へ――。
 今日は周の社も休みだし、誰もいないツインタワーの中庭をこっそり手を繋いで歩くのもいいかも知れない。ゲーム画面のエンディングのようにしっかり肩寄せ合って初々しい恋人気分も悪くない。
「お、寒ッ!」
「わ! ほんと。今日は結構風強いんですね」
 外に出た途端に北風が頬を打った。
「寒いなら――ほら」
 くっ付いていいぞとばかりに亭主たちは腕を差し出して不敵に笑う。
 見慣れた笑顔が今日はまた一段と男前に思えるのは、先程見たエンディングの影響だろうか。
「ん! じゃ、あっためてもらうべかー」
「えへへ、白龍あったかーい!」
 差し出された腕にぶら下がるようにして、それぞれギュッと身を寄せる。そうされて、満足げな笑みを讃えた男前の頬が心なしか朱に染まるのがまさに初々しい。

 幸せだな、俺たち!

 誰もが言葉に出さないまでも、きっと四人が四人とも同じことを思ったに違いない、そんな温もりに包まれた――まさに幸せに満ちた午後だった。

BL系ファンタジーゲームにハマる男たち - FIN -
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