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太陽が民衆の頭上、天高く上ろうとしている。
時刻はまもなく午前十時。
島根県庁から災害における発表がなされる時間だ。
地震発生からまだ一日もたっていない中知事が何を発表するのか、多くの県民が注目していた。
特に県庁周辺に押し寄せる人々は気が気ではない。
彼らは一刻も早い事態の解決に向けて自治体が動いてくれるのを熱望していた。
その思いを自治体で働く人々へ伝えるため、わざわざ自分たちから足を運んだのだ。
だがそれも当然だろう。
県外との移動も通信も遮断されてしまえばたとえ一日でも生活に大きな支障が出てしまう。
県外で働いたりそこに家を持っていたりそこに家族が住んでいたり、島根において周辺県とのかかわりは欠かせない。
現在起きている出来事に対して少しの妥協も許されないという点で、県民たちが焦るのも無理はなかった。
そんな彼らが一縷の望みとしていた県庁の対応。
この不確かで不安定な現状を変えてくれるのではないかと皆が期待していた。
そしてついにその時が訪れる。
島根各地に設置された防災事務局。
災害時に速報などを伝える目的で設置されたそれは、県内各地のスピーカーを通じて一斉に放送を始めた。
『みなさんこんにちは、島根県知事の寺山です』
突如響いた寺山の挨拶に、ざわついていた人々は徐々に静まり返る。
そして放送の聞こえてくる方向を向き、寺山の言葉に耳を傾けた。
『今回、昨日に発生した地震及びそれらの被害に関して島根県庁として公式声明を発表いたします』
地震、被害。
それらの単語が聞こえてくると、群衆は再びざわつき始めた。
『昨日の午前11時47分、島根全土で震度3から4を観測する地震が発生しました。現在島根県内における被害状況を確認中なのですが、地震の発生に伴い大規模な通信障害と土砂災害が発生したことが確認されました。この件につきまして県として速やかに災害対策本部を設置し、全容の把握と対処に努めております。昨日の段階で地震による被害が甚大だと思われる区域につきましては、当初警察と消防で対処に当たっておりました。しかしこれまでの報告により、想定を大きく上回る規模の被災地が確認されており、自衛隊災害対策部隊を現地に派遣して事態の収束に努めております』
刻々と語られる内容を大衆はかたずをのんで見守る。
発生した被害に対して現在どの程度復旧できているのか、県民たちの関心はそこへ向けられていた。
『本来このような状況下において日本政府から支持を仰ぐのが通常ですが、通信障害のため政府との交信が困難な状況にあります。そのため県独自の判断を多分にとり入れておりますのはご容赦いただきたいと思っています。そのうえで県民の皆様にはこの災害における安全確保を目的として以下のような対応をしていただきたいと思います。まず一つは通行規制です。県境近くの被災地において大規模な土砂災害が発生しており、通行が非常に危険だと考えられるため、当面の間全面通行止めとさせていただきます。詳しい通行止め個所は全県民に配布される資料をご覧ください』
当該地域の通行止めと聞いて、皆は不安の色を浮かべる。
大規模な災害が起きれば通行止めは当然起こりうる。
だが普段から通勤や買い物でその場所を通る人は多くいるという点で、それは深刻な影響を及ぼすことになる。
それに昨日の時点で通行止めになった個所に出くわした人もちらほらと見られた。
日常生活に悪影響が出る前に出来る限り早く復旧してほしいと、彼らは一様に願っていただろう。
時刻はまもなく午前十時。
島根県庁から災害における発表がなされる時間だ。
地震発生からまだ一日もたっていない中知事が何を発表するのか、多くの県民が注目していた。
特に県庁周辺に押し寄せる人々は気が気ではない。
彼らは一刻も早い事態の解決に向けて自治体が動いてくれるのを熱望していた。
その思いを自治体で働く人々へ伝えるため、わざわざ自分たちから足を運んだのだ。
だがそれも当然だろう。
県外との移動も通信も遮断されてしまえばたとえ一日でも生活に大きな支障が出てしまう。
県外で働いたりそこに家を持っていたりそこに家族が住んでいたり、島根において周辺県とのかかわりは欠かせない。
現在起きている出来事に対して少しの妥協も許されないという点で、県民たちが焦るのも無理はなかった。
そんな彼らが一縷の望みとしていた県庁の対応。
この不確かで不安定な現状を変えてくれるのではないかと皆が期待していた。
そしてついにその時が訪れる。
島根各地に設置された防災事務局。
災害時に速報などを伝える目的で設置されたそれは、県内各地のスピーカーを通じて一斉に放送を始めた。
『みなさんこんにちは、島根県知事の寺山です』
突如響いた寺山の挨拶に、ざわついていた人々は徐々に静まり返る。
そして放送の聞こえてくる方向を向き、寺山の言葉に耳を傾けた。
『今回、昨日に発生した地震及びそれらの被害に関して島根県庁として公式声明を発表いたします』
地震、被害。
それらの単語が聞こえてくると、群衆は再びざわつき始めた。
『昨日の午前11時47分、島根全土で震度3から4を観測する地震が発生しました。現在島根県内における被害状況を確認中なのですが、地震の発生に伴い大規模な通信障害と土砂災害が発生したことが確認されました。この件につきまして県として速やかに災害対策本部を設置し、全容の把握と対処に努めております。昨日の段階で地震による被害が甚大だと思われる区域につきましては、当初警察と消防で対処に当たっておりました。しかしこれまでの報告により、想定を大きく上回る規模の被災地が確認されており、自衛隊災害対策部隊を現地に派遣して事態の収束に努めております』
刻々と語られる内容を大衆はかたずをのんで見守る。
発生した被害に対して現在どの程度復旧できているのか、県民たちの関心はそこへ向けられていた。
『本来このような状況下において日本政府から支持を仰ぐのが通常ですが、通信障害のため政府との交信が困難な状況にあります。そのため県独自の判断を多分にとり入れておりますのはご容赦いただきたいと思っています。そのうえで県民の皆様にはこの災害における安全確保を目的として以下のような対応をしていただきたいと思います。まず一つは通行規制です。県境近くの被災地において大規模な土砂災害が発生しており、通行が非常に危険だと考えられるため、当面の間全面通行止めとさせていただきます。詳しい通行止め個所は全県民に配布される資料をご覧ください』
当該地域の通行止めと聞いて、皆は不安の色を浮かべる。
大規模な災害が起きれば通行止めは当然起こりうる。
だが普段から通勤や買い物でその場所を通る人は多くいるという点で、それは深刻な影響を及ぼすことになる。
それに昨日の時点で通行止めになった個所に出くわした人もちらほらと見られた。
日常生活に悪影響が出る前に出来る限り早く復旧してほしいと、彼らは一様に願っていただろう。
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