彼女と別れないと死ぬ。

１０

「そうだったのか…、なんだか最近、アカリの様子がおかしいと思っていたんだ。てっきり浮気をしてるのかと思っていたんだけど…そうか、子供か…」
「私のこと疑ってたの？」
「ごめん」
素直にアカリに謝り、何だか少し気まずい思いを残しながら、2人で夕食を食べた。
急に子供ができたと告げられ、その日の夕食の味は全く感じなかった。
それから、俺とアカリは結婚した。
アカリは慣れない子育てに奮闘し、俺も家族のためにストレスの多い仕事も頑張った。
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俺は仕事を終え、アカリと子供の待つ家へ向かう。
アカリと俺が結婚して、もう１３年の月日が流れていた。
帰宅した知らせも兼ねてインターホンを押すが、誰も出てこない。
仕方なく、鍵を使ってドアを開ける。
玄関に入ると、リビングから娘の笑い声がした。
「ただいま」
リビングに入って声をかけるが、娘はチラッとこちらを見ただけで、すぐにテレビに目を戻した。
キッチンで洗い物をしているアカリにも声をかける。
「今日のご飯は何かな？」
振り返った妻は、眉間に皺を寄せてから、ため息をついた。
「……食べるの？」
「……うん」
アカリは再び、深いため息をつくと、洗っていた食器を乱暴に流しに置き、手を拭いた。
そして、棚に向かうと、何かを手に戻ってきた。
「ん」
そう言って、カップ麺が差し出される。
「え……これ？」
「何？何か文句あんの？あ、お湯は自分で沸かしてよ」
それだけ言うと、アカリは洗い物に戻った。
娘は相変わらず、テレビを見て笑っている。
俺はどこで選択を誤ってしまったのだろう。

【人生の墓場END】