2 / 17
ダイエットサプリ
しおりを挟む
[ファット@語り部 20XX年6月13日 23:15]
語り部に指名されました。ファットと申します。
よろしくお願いします。
私が体験した怖い話は、ダイエットにまつわるものです。
HNからもわかると思いますが、私は子供の頃から太っていて、それがコンプレックスでした。
高校生になった私の体重は3桁にはいかないまでも、女子高生の平均体重を大きく上回っていました。
高校で私は同じように太っている友人Kと出会いました。同じような身長に同じような体重。太り方は、私がお腹から太るタイプで、Kはお尻から太るタイプと、違いはあったものの、同じく増え続ける体重に悩む同志として、ダイエット情報などを共有し、2人で体重を落とすため、さまざまな努力をしていました。
ダイエットダンスがいいと聞けば、2人で動画を見てチャレンジしてみたり、プロテインがいいと聞けば、2人でドラッグストアにプロテインを選びに行ったり、特別価格でできる痩身エステに行ったこともあります。
その時は私が危うく高額美容機器を契約させられそうになって、Kに止めてもらったりと、体重はなかなか減りませんでしたが、私たちの楽しい思い出はどんどん増えていきました。
100グラム、200グラムでも体重が減れば、「やったね! すごいよ!」と大袈裟に喜び合い、1キロ、2キロの増加は「そんな日もあるよ、昨日、食べすぎたんでしょ」と慰め合いました。
そうして、高校時代を共に過ごしたKとも、別れの時が来ました。
私たちは共に、進学を希望していましたが、私は地元の大学、Kは他県の専門学校への進学が決まっていました。
「連絡するからね」「離れても友達だよ」
私たちはそう約束して、別々の道を歩み始めました。
最初は、こまめに取っていた連絡も、そのうち数が減り、半年もするとKと連絡を取ることはなくなっていました。
仲が悪くなった訳ではないけれど、お互いに新しい環境で忙しく、それまで培ってきた関係もあり、連絡を取らなくても大丈夫だろうという安心感もありました。
年末が近づき、久しぶりにKから連絡がありました。地元に帰ってくるから会おうという連絡でした。
Kとは久しぶりに会います。話したいことはいっぱいありました。
私はワクワクしつつ、それでいて、少し緊張しながらKに会いに行きました。
待ち合わせ場所の駅に行くと、まだそれらしい人はおらず、私は駅のシンボルである、像の前で、Kを待つことにしました。
そこは、待ち合わせによく使われる場所で、その日も、結構な人が、1人あるいはグループで人待ちをしているようでした。
スマホで『着いたよ』と、Kに連絡を入れると、隣でピロンと電子音がしました。おやっと思い、隣を見ると、そこにはほっそりとした女の人が立っていました。
私が着たら雪だるまのようになってしまうだろう、白いダウンを着て、冬だというのにミニスカートを履いています。タイツは履いてましたが、肉の薄い足はとても寒そうでした。ブーツの足が、こちらを向いたので、私は視線をあげて、女性の顔を見ました。頬のこけた女性の顔にどことなく見覚えがあります。
誰だっけ?
そう考えていると、女性が「ふふふ」と笑いました。
「わたしだよ! Kだよ!」と女性が言います。
私は驚きました。高校生の時は、私と同じように太っていたKは、ダイエットに成功して、すっかり痩せていたのです。
「え? すごい! どうやって痩せたの?」と訊いても、Kはにやにや笑ってばかりで教えてくれません。
駅で立ち話していても仕方ないので、カフェに入ることにしました。Kはサンドイッチにパスタ、甘い飲み物も頼み、デザートにパフェまで食べていました。食べる量は太っていた頃と変わっていません。
「どうやって、痩せたの? 教えてよ」
私が言うと、Kはカバンからカプセル錠を出して飲みました。
「このサプリを飲むだけ」とKは言いましたが、私は訳がわかりません。
Kの説明では、どうやらその薬を食後に飲むだけで、みるみる痩せていくという話でした。
「嘘、やっぱり、何か運動とかしてるんでしょ? ジムに行ってるとか?」
「本当にこれだけだよ、試してみる?」
そう言って、Kはカバンからカプセル錠を取り出して私に差し出します。それはなんの変哲もない、ただの白いカプセル錠でした。
私は半信半疑で話を聞いていましたが、せっかくもらえるならと、試しにサプリをもらって飲んでみることにしました。カプセル錠なので味はありませんでした。
その日は、Kとたくさん話をして別れました。Kは痩せて、見た目は変わってしまったけれど、中身は変わっておらず、相変わらず食べることが大好きで、話していて本当に楽しかった。
すみません、少し休みます。Kとの楽しかったことを思い出して、辛くなってしまいました。
[トイレの華子@管理人 20XX年6月13日 23:45]
ゆっくりで大丈夫ですよ。ここはファットさんのスレッドです。あなたのペースであなたの怪談を語ってください。
[夕暮れ 20XX年6月14日 00:03]
ここからどうホラーになっていくのか楽しみにしています!
[ゆいちゃん 20XX年6月14日 00:04]
ゆいちゃんは、痩せるサプリが気になるなぁ~⭐︎本当に痩せるなら、ゆいちゃんも飲みたいなっ♪
[ジェインソ@管理人 20XX年6月14日 00:09]
続きを楽しみにお待ちしております。
語り部に指名されました。ファットと申します。
よろしくお願いします。
私が体験した怖い話は、ダイエットにまつわるものです。
HNからもわかると思いますが、私は子供の頃から太っていて、それがコンプレックスでした。
高校生になった私の体重は3桁にはいかないまでも、女子高生の平均体重を大きく上回っていました。
高校で私は同じように太っている友人Kと出会いました。同じような身長に同じような体重。太り方は、私がお腹から太るタイプで、Kはお尻から太るタイプと、違いはあったものの、同じく増え続ける体重に悩む同志として、ダイエット情報などを共有し、2人で体重を落とすため、さまざまな努力をしていました。
ダイエットダンスがいいと聞けば、2人で動画を見てチャレンジしてみたり、プロテインがいいと聞けば、2人でドラッグストアにプロテインを選びに行ったり、特別価格でできる痩身エステに行ったこともあります。
その時は私が危うく高額美容機器を契約させられそうになって、Kに止めてもらったりと、体重はなかなか減りませんでしたが、私たちの楽しい思い出はどんどん増えていきました。
100グラム、200グラムでも体重が減れば、「やったね! すごいよ!」と大袈裟に喜び合い、1キロ、2キロの増加は「そんな日もあるよ、昨日、食べすぎたんでしょ」と慰め合いました。
そうして、高校時代を共に過ごしたKとも、別れの時が来ました。
私たちは共に、進学を希望していましたが、私は地元の大学、Kは他県の専門学校への進学が決まっていました。
「連絡するからね」「離れても友達だよ」
私たちはそう約束して、別々の道を歩み始めました。
最初は、こまめに取っていた連絡も、そのうち数が減り、半年もするとKと連絡を取ることはなくなっていました。
仲が悪くなった訳ではないけれど、お互いに新しい環境で忙しく、それまで培ってきた関係もあり、連絡を取らなくても大丈夫だろうという安心感もありました。
年末が近づき、久しぶりにKから連絡がありました。地元に帰ってくるから会おうという連絡でした。
Kとは久しぶりに会います。話したいことはいっぱいありました。
私はワクワクしつつ、それでいて、少し緊張しながらKに会いに行きました。
待ち合わせ場所の駅に行くと、まだそれらしい人はおらず、私は駅のシンボルである、像の前で、Kを待つことにしました。
そこは、待ち合わせによく使われる場所で、その日も、結構な人が、1人あるいはグループで人待ちをしているようでした。
スマホで『着いたよ』と、Kに連絡を入れると、隣でピロンと電子音がしました。おやっと思い、隣を見ると、そこにはほっそりとした女の人が立っていました。
私が着たら雪だるまのようになってしまうだろう、白いダウンを着て、冬だというのにミニスカートを履いています。タイツは履いてましたが、肉の薄い足はとても寒そうでした。ブーツの足が、こちらを向いたので、私は視線をあげて、女性の顔を見ました。頬のこけた女性の顔にどことなく見覚えがあります。
誰だっけ?
そう考えていると、女性が「ふふふ」と笑いました。
「わたしだよ! Kだよ!」と女性が言います。
私は驚きました。高校生の時は、私と同じように太っていたKは、ダイエットに成功して、すっかり痩せていたのです。
「え? すごい! どうやって痩せたの?」と訊いても、Kはにやにや笑ってばかりで教えてくれません。
駅で立ち話していても仕方ないので、カフェに入ることにしました。Kはサンドイッチにパスタ、甘い飲み物も頼み、デザートにパフェまで食べていました。食べる量は太っていた頃と変わっていません。
「どうやって、痩せたの? 教えてよ」
私が言うと、Kはカバンからカプセル錠を出して飲みました。
「このサプリを飲むだけ」とKは言いましたが、私は訳がわかりません。
Kの説明では、どうやらその薬を食後に飲むだけで、みるみる痩せていくという話でした。
「嘘、やっぱり、何か運動とかしてるんでしょ? ジムに行ってるとか?」
「本当にこれだけだよ、試してみる?」
そう言って、Kはカバンからカプセル錠を取り出して私に差し出します。それはなんの変哲もない、ただの白いカプセル錠でした。
私は半信半疑で話を聞いていましたが、せっかくもらえるならと、試しにサプリをもらって飲んでみることにしました。カプセル錠なので味はありませんでした。
その日は、Kとたくさん話をして別れました。Kは痩せて、見た目は変わってしまったけれど、中身は変わっておらず、相変わらず食べることが大好きで、話していて本当に楽しかった。
すみません、少し休みます。Kとの楽しかったことを思い出して、辛くなってしまいました。
[トイレの華子@管理人 20XX年6月13日 23:45]
ゆっくりで大丈夫ですよ。ここはファットさんのスレッドです。あなたのペースであなたの怪談を語ってください。
[夕暮れ 20XX年6月14日 00:03]
ここからどうホラーになっていくのか楽しみにしています!
[ゆいちゃん 20XX年6月14日 00:04]
ゆいちゃんは、痩せるサプリが気になるなぁ~⭐︎本当に痩せるなら、ゆいちゃんも飲みたいなっ♪
[ジェインソ@管理人 20XX年6月14日 00:09]
続きを楽しみにお待ちしております。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる