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エコバックの中には、ローストビーフの材料が入っている。
オレはエコバックに手を突っ込み、あるものを取り出した。
「逃げる、つもり?」
すぐ背後まで迫っていた少女の霊が、辛うじて人間の言葉とわかる音で言った。
振り返ると、少女の霊は口も耳も鼻も無く、ギリギリのところで人の形を保った闇になっていた。
ただ、赤い瞳だけがかつて人間だったことを証明するように、輝きを放っていた。
「誰が逃げるもんか!」
オレはエコバックから取り出したものを、霊に向かってふりかけた。
「う! うぅ……!」
明らかにオーラの威力が弱まり、霊はその場に膝をついた。
オレの手に握られているのは、岩塩のボトルだ。
「残念だったな、こだわるオレはローストビーフを塩でいただく!」
「ぐぅ、くそ……!」
立っているのも辛いのか、霊はオレを睨みつけながら、重力に負けるように、地面に臥した。
その上から、塩をふりかけてやる。
霊はみるみる小さくなっていき、声を発することもできなくなった。
塩をかけられて縮むなめくじのように、霊は消滅した。
わずかに地面に汚れのようなものが残ったが、悪霊は祓われた。
オレは額の汗を拭い、岩塩のボトルを目の高さまで持ち上げた。
「気になっていた、高い岩塩を買っておいて良かったぜ」
オレは車に乗り込み、廃墟を後にした。
もう2度とここに戻ることはないだろう。
廃墟を出て、しばらく走り、オレの気持ちも落ち着いてきた。
まさか、心霊体験をするとは思いもしなかった。
幽霊なんて信じていなかったのに、オーラを纏った霊から大慌てで逃げる自分を思い出して、笑いが込み上げてくる。
くつくつと笑いながら大通りに出る道にハンドルをきった時、後部座席が軋む音がした。
【除霊?END】
オレはエコバックに手を突っ込み、あるものを取り出した。
「逃げる、つもり?」
すぐ背後まで迫っていた少女の霊が、辛うじて人間の言葉とわかる音で言った。
振り返ると、少女の霊は口も耳も鼻も無く、ギリギリのところで人の形を保った闇になっていた。
ただ、赤い瞳だけがかつて人間だったことを証明するように、輝きを放っていた。
「誰が逃げるもんか!」
オレはエコバックから取り出したものを、霊に向かってふりかけた。
「う! うぅ……!」
明らかにオーラの威力が弱まり、霊はその場に膝をついた。
オレの手に握られているのは、岩塩のボトルだ。
「残念だったな、こだわるオレはローストビーフを塩でいただく!」
「ぐぅ、くそ……!」
立っているのも辛いのか、霊はオレを睨みつけながら、重力に負けるように、地面に臥した。
その上から、塩をふりかけてやる。
霊はみるみる小さくなっていき、声を発することもできなくなった。
塩をかけられて縮むなめくじのように、霊は消滅した。
わずかに地面に汚れのようなものが残ったが、悪霊は祓われた。
オレは額の汗を拭い、岩塩のボトルを目の高さまで持ち上げた。
「気になっていた、高い岩塩を買っておいて良かったぜ」
オレは車に乗り込み、廃墟を後にした。
もう2度とここに戻ることはないだろう。
廃墟を出て、しばらく走り、オレの気持ちも落ち着いてきた。
まさか、心霊体験をするとは思いもしなかった。
幽霊なんて信じていなかったのに、オーラを纏った霊から大慌てで逃げる自分を思い出して、笑いが込み上げてくる。
くつくつと笑いながら大通りに出る道にハンドルをきった時、後部座席が軋む音がした。
【除霊?END】
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