【R18】かみさまは知らない

Cleyera

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3 おれ

20 ※ スペラ 前戯

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 スペラがなにを気に病んでるのか。
 ……そいつは今、聞くことじゃないよな。
 確実に雰囲気も悪くなるだろう。

 地雷に気を付けて歩くんじゃなく逆に踏みまくって、そんなもん地雷じゃないぞと傷口を埋めてやった方が早い気がしてきた。
 地雷は除去するより防御力あげて爆破処理したほうが早いらしいし?

 人生は悲喜こもごもだけどな、感情の振り幅が大きすぎるとスペラも疲れちゃうだろ。

「アウトだぞ、さまは付けない」
「ん、~~~っ」

 べそをかくスペラの顎を持ち上げて、おれの思いつく限りのえろいキスをした。
 怯えたように縮こまる舌をからめとるようにしごき、おれの短い舌で届く範囲を舐め回してやった。
 なんか舌が筋肉痛になりそう。

 口を離せば、目の前にはびっくりした表情のスペラ。
 少しは顔色も良くなったかな。

「おれがスペラにされて嫌なことは一つだけ、それ以外で悲しまれると傷つく」
「……それはなに?」
「スペラがおれを置いていなくなること」
「そんなこと絶対しないっ」

 顔は涙でぐっちゃぐちゃでしゃくりあげすぎてんのに、美形だ。
 おれを置いていなくならない、ってとこには絶対の自信があるのかよ。
 なんかすげー嬉しい。

 依頼でゼンを一人にすることはあっても、絶対に戻る。
 手足がもげても戻る、死んでも戻る、って熱弁された。
 ……おれゾンビとか苦手だから想像させないでくれる?

 背が大きくて逞しい上に手足の長い夫に縋り付かれたが、出会った時に少年だったスペラはおれにとって可愛いイメージが強い。

 ここでよしよししないのは勿体無いよな。

 撫でた髪の毛がするっするのさらっさらで、指通りの良さに夢中になった。
 お前は悪くないよ、と猫可愛がりしたのがいけなかったらしい。

「ふわぁっっ!?」

 気がついた時には、おれの腕に絡まるように伸びてきたスペラの腕が、クラゲになっていた。
 いきなりすぎる。
 こんなに滑らかに姿が変わるのかよ。

 柔らかいフリルで縁取ったような口腕が、おれの全身を包み込もうと絡みついてくる。
 あったかくってぬとぬとするぅ、うひぃ、撫でられると気持ちよくってぞわぞわするっ。

「ゼンさま」
「はい、アウト」

 腕から腹にかけて白銀色のラメ入りクラゲになっていき、とろけそうな笑顔でおれの名を呼ぶスペラ。
 揺らぐその体がゆっくりと形を変えて透けていき膨らんでいく。

 どこに罰のキスをしようかなと悩んで、唇に一つ。
 そう言えば、前の時は全身がクラゲになってた事を思い出す。

「スペラ、一つ頼みたいことがあるんだけど」
「はい」
「姿は変わっても会話できると嬉しいな」
「っは、はいっ」

 意思疎通できないと困る。
 いきなり突っ込まれた時は泣くしかないと思ったからな。

 ふー、これで今回は前みたいに一方的な展開にならないに違いない。
 と安心したおれは、まだまだスペラを見くびっていたようだ。



 ぬとぬとの粘液をまとった口腕が、全身にからみついてくる。
 スペラはおれよりも体温が高いので、湯船に入っているようで心地よい。
 ぞわっぞわするけどな。

 撫でてくる腕の優しさに、ほっとする。
 体温が馴染んできても、そこにあるのは自分の腕ではないから、不意に与えられる快感を逃すのは難しい。

「ぁふ、んっ……んんっ」
「甘え声、かわいい」
「かわいいとかそーゆーの恥ずいからやめろ、んんっ」

 おれが会話をしたいと頼んだからなのか、頭部は人のままだけれど、それ以外の場所がぐずぐずと崩れていく。
 クラゲにイケメンの頭が生えてるのは、バランスが悪くてなんだか笑える。

 あれだ、巨大な風船から頭だけ出してるやつに似てる。
 面白い姿をしているはずなのに、スペラのキスと腕の動きが執拗で、気持ちよさに流される。

「気持ちいい?」
「ん、うんっ、きもちぃいっ」

 何本もある口腕をフル活用して、おれの股間周辺や乳首をこねこねしゅこしゅこしてくるので、もうかなり追い詰められている。
 もう出てしまいそうだ。

「ゼンが気持ちいいって顔してるの、たまんない」
「ぅあ、あっっ」

 ぐにっと息子さんの先端を柔らかく押されて、腰が逃げそうになる。
 腰を支えられて、竿がすっぽりと温もりに包まれる。
 全身をからめとっている何本もの腕が、逃がさないと言うように肌を撫でていく。

「もっと気持ち良い顔を見たいな」
「ん、うん、もっと、うんっ」

 耳元で囁かれて、なにか頼まれたのは分かった。
 こんなにあっさり射精したくない、と必死で我慢していたので、頷くだけで精一杯だって!

「ゼンを堕としてしまった罪をボクは未来永劫償い続けるつもりだったのに、これまでに穢れを受け入れたのはボクだけで、もっと穢れても構わないなんて」

 すごい嬉しい。
 そう囁かれながら、かぷりと耳たぶを食みつつ竿をしごかれ、目の前が白くなった。

「!っ、でる、でてる、からっ、やめ、ろぉ~~っっ」
「ゼンの体が肉欲に弱いのはボクが穢してしまったからだと思うと、最低な考えなのにすごく興奮する」

 達している絶頂でびく、びく、と全身が震えているのに、スペラが動きを止めてくれない。
 もっと出るはずだと言わんばかりに、竿をしごかれて苦しい。

 これ以上は駄目だと言いたいのに、うまく言葉が出ない。
 イってる時に話すとか、無理だからっ。

 ぴちゃくちゅと聞こえる耳たぶを舐められる音で、背中がぞわぞわする。
 くにくにと引っ張られて、痛いと思う前になだめるようにこねられる乳首で快感を覚える羞恥心に悶える。

 引き伸ばされた達した余韻が消えてからも、動きは止められなかった。

 睾丸を柔らかく揉み込まれて、揺さぶるように転がされて、可愛がるように撫でられて。
 乳首を引っ張られて、弾かれて、こねられて。
 首筋を舐められて、唇ではさむようにねぶられて、歯を立てて甘噛みされて。
 腰骨周辺を撫でられて、確かめるようにびくついてしまう場所を押されて。
 脇の下の気持ち良い場所を探すように、何度もくすぐられ。
 背中のどこに反応しているのか、舐めてついばまれて確かめられ。
 へそをつつかれて、なにかを確認するようにくるくるとほじられて。
 何度も何箇所も太ももの内側に吸い付かれ。
 どろどろに甘く囁かれる耳の奥で、自分の心音がおかしな速さになっていると知らされて。

 手足の指の間まで一本残さず、余すことなく舐めるように刺激され終わった頃には、おれは二度目の射精に導かれていた。

 翻弄されて声を上げ過ぎた喉が乾いて、息が苦しい。
 出しきった虚脱感と、ばくばく鳴り響く心臓を宥めるために、必死になって空気を取り込む。

「はーっ、はーぁっ」
「大丈夫?」
「だいじょぶじゃないっ」

 他人の手で短時間に二度は気持ちがもたない。
 自慰と違って羞恥心がすごい。
 なんでこんなに上手いんだよ、男の性感帯を調べたことでもあるのか?

 あ、腕が多いから?!

「そっか、それなら出して達するのはもうやめておこうか」
「そう、そうしてくれっ」

 おれさ、一応何百歳の爺さまだよ。
 水面に写した顔は若いままで髭も生え揃わないけど、気持ち上ではもう爺さまだから。
 気持ちいいのは好きだけど、おれだけ一方的に何度もは無理だって。

「こちらで気持ちよくなるために、今から丁寧に慣らすよ」
「うぎゃわ、わわっ」

 にゅる、と尻の穴を撫でられて、分かっていたのに変な声が出た。

「絶対に痛くないようにする、ゼンが望むだけたくさん、だからずっとこの先もボクを側に置いてね?」

 ちょっと待て、そんな言い方をされると、おれがド淫乱みたいに聞こえるぞ!?
 おれは別にセックスがしたいわけではなくて、スペラと新婚夫夫らしく過ごしたいと思っただけで。
 ……あれ、それって結局、したがってるってことになるのか?

 
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