【R18】かみさまは知らない

Cleyera

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6 ボク

38 ※ ディス、(スペラ) 口淫

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 ゼンさまがお粥を食べ終わり、歯を磨きたいと言うので用意して、食後に体調を崩さないかを見て落ち着かれた頃。

 体が動かない、のは間違いないけれど。
 体調が悪くないのも本当だと確信を持てた。

 優しいゼンさまの事だから体調不良時でも願ったら叶えてくれそうだ、だからこそボクらが弁えるべきだ。
 これは二人の共通認識だ。

 ボクはあいつと視線を交わした。
 了承の意が返ってくる。

 ゼンさまの目に入らぬように気をつけていたけれど、ボクもあいつも布に押さえつけられて痛いほどに股間が反応している。

 ボクらを誘っている。
 ゼンさまが。
 絶対に違うと頭では理解しているのに、体が言う事を聞かない。

 ゼンさまから香る匂いではない甘さ、柔らかな眼差し、小鳥が囀るような愛らしい声、全てがボクらを魅了して興奮させている。

 今までと変わらない、のに。

 起きている時のゼンさまは、これほどに鮮烈な雰囲気をお持ちだっただろうか?
 配膳やお世話で触れて腹の中は真っ白になっているのに、欲望がこれっぽっちも消えない。

 眠っている間は御力を使うことが出来ないのか、周囲の浄化はされていても、簡単にもやもやで誤魔化せる程度だった。
 その反動なのか?

「ゼン」
「なに……え、あれ?、二人ともどうした?」

 情欲に塗れているのを隠そうともしていないボクらを見て、ゼンさまが戸惑っている。

 ボクらも、目覚めてすぐのゼンさまに無理をさせる気はなかったのだけれど、どうにも堪えることが出来そうにない。
 あいつの腹に溜まっていくもやもやの勢いが、気持ち悪いほどに早い。

「きすしたい」
「ぼくもしたい」
「えっ?」

 かみさまの言葉で口づけを表す〝きす〟をねだると、ゼンさまが目を瞬かせる。
 視線をさまよわせてから口をもにもにと動かし、なにも言わずに息を吐いた。

「……良いけど、おれ、体が動かせないぞ」
「ひどくしない」
「痛いことはしません」

 示し合わせたわけでもないのに、あいつと言葉がかぶる。
 いつもなら腹が立つのに、今この場においてはボクらの意見は同じだ。

 ゼンさまを抱きたい。
 柔らかくてぬるい腹の中に生殖器を埋めて肉の鞘に優しく抱きしめられながら、真っ白な腹の中にあふれるほどの精を注いで染めてしまいたい。
 達して歓喜に浸っているゼンさまの愛らしさをもっと知りたい。
 か細い声で快楽を歌う御姿を見たい。

「そーゆー意味じゃないんだけど、んんん、分かった、痛いのは無し、な?」
「はい」
「もちろん♪」

 力なく背もたれに体重を預けているゼンさまが、黒い眉尻をへにょりと下げた。

 匂いではないのに甘い。
 ゼンさまの存在そのものが優しく甘いから、腹にもやもやを溜め込みすぎた者が許されたいと、解放されたいと誘因されるのかもしれない。



 背もたれにしていた諸々を取り上げて、近くの長椅子に放った。
 空いた場所に滑り込んでゼンさまの細い背中を胸元にもたれさせると、びくりと体を震わせられた。

「スペラ……あ」
「なに?」
「……腰に当たってる」

 なにが、と思った直後に気がついて笑いそうになった。
 そうだよ、と言えばいいのか。
 さっきからずっと痛いほど勃起してる、触れたら誤魔化せないほど。

「失礼します」

 ボクが後ろからゼンさまの上半身が倒れないように抱え込むのを見てから、あいつが前に滑り込んだ。
 寝台に力なく伸びていたおみ足をそっと広げ、手際よく服と下着を取っ払った。

「うわぁっ!?」
「焦りすぎだ、ゼンを困らせるな」
「……すいません」

 絶対悪いことしたと思ってないよな、と思う口調で答えたあいつは、ボクに視線を向けた。
 分かってる、と頷く。

 シンシ同士なら、言葉を交わさなくてもなんとなく意思が通じると気づいたのは、数ヶ月前の事だ。

 口数少なくお互いに単語で罵倒しながら、二人でゼンさまを守るための決まりを作っていった。
 目覚めまでに決めておくことがいっぱいあった。
 そしてこいつは、ついでのようにとんでもないものを望みやがった。

 〝ぼくもなにかゼンさまの初めてをもらいたい〟だとさ、腹立たしい。

 初めてのシンシに選ばれたのがボク。
 初めてその体内に受け入れた生殖器はボクのもの。
 初めての夫もボク。
 全てボクのものにしてしまいたいのに。

 それが何であれ、ゼンさまの初めてをこいつにくれてやる?
 考えるだけで拒絶したい気持ちでいっぱいになったけれど、もしもゼンさまがボクより先にこいつに出会っていたら、と思うと……。

 ボクは、理不尽なことだけはしたくない。
 話しあって、ゼンさまの生殖器を初めて体内に受け入れる、をあいつに譲ってやることにした。

 ボクはゼンさまに触れると興奮しすぎて、すぐにシンシの姿になってしまう。
 生殖器には百三十四回触れているし可愛がらせて頂いているけど、ボクの中に受け入れた事はない。

 という訳でこいつは今、ゼンさまの人に似せられた生殖器を可愛がる機会を得たことが嬉しすぎて、頭がおかしくなっている最中だ。

 とはいえ、ボクもあいつも抱かれる側になるつもりはない。
 感覚として、それは違うな、とお互いに感じているようなので、ボクらがお側にいる限りゼンさまが男を抱く味を知る日は来ないだろう。
 ゼンさまご自身も望んでいない気がする。

「きす、するね♪」
「え、そんなとこっ、んっっ」

 ボクはゼンさまの顎をわずかに左に向け、口を自分の唇で塞いだ。
 愛らしい声は大好きだけど、あいつがその声を上げさせているのかと思うと腹が立つから。

「~~っぅ」

 直後、ボクの腕の中でゼンさまが体を震わせる。
 あいつがゼンさまの生殖器にきすをしているのだと察して、ボクも小さくて柔らかな唇を覆った。

 羨ましい。
 素直にそう思った。
 ゼンさまに触れているのに人の姿を保てるこいつが。
 興奮状態で人の姿を保つこつを教えて欲しい。
 絶対に聞かないけど。

 ボクもゼンさまの生殖器を口内で可愛がりたい。
 口を覆っているのに甘い喘ぎが微かに聞こえて、悔しいのに興奮する。

 ぴちゃぴちゃじゅるじゅるとわざとらしいほどの水音がして、ゼンさまがボクの腕の中でひくひくと震える。
 手足が萎えて動かせないのだから強引にするな、と睨みつけようとして、唖然とした。

 ゼンさまの両足を左右の肩に担いで、あいつはひざまづいていた。
 渇きに苦しみ水を求める者のように、ゼンさまの生殖器にしゃぶりついていた。
 命の水をゼンさまが与えてくださる事を知っていて、必死になっているのが分かった。

 ほっそりとした生殖器の先端から黒い体毛の生えている根元付近まで、あいつは全てを味わい尽くすと決めたように奉仕をしている。

 咥えて、しゃぶって、すいついて、やわやわと指先で生殖嚢をあやして。
 申し訳程度に性器を飾る黒い体毛を執拗に舐めて。

 精一杯背伸びしたゼンさまの生殖器は、どんな味がするのだろう。
 唾液と同じように甘いのか。

 悔しくなって、ゼンさまの口の中を舌で舐め尽くしてやろうと決める。
 ふす、ふす、と苦しそうに鼻を鳴らし、黒い瞳を溶けそうに潤ませている顔を見ているのはボクだけだと思えば、少し溜飲も下がった。

 ボクの対抗意識を感じたのだろう。
 あいつは、優しくしながら激しく愛撫するという暴挙に出た。

 可愛らしい生殖器をゆっくりとねばっこい動きで根元まで咥え込み、わざとらしくじゅずずうぅぅうと音を立てて吸い込むと、ゼンさまの腰ががくがくと震えた。

「ん、んんんっっっ!」

 達してしまわれたのか。
 たったこれだけで。
 ボクの手で達する事を何度も経験しているはずなのに、与えられる快感にいつまでも未経験の少年のような反応をする所は、本当に愛らしい。

 
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