【R18】かみさまは知らない

Cleyera

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7 おれ

ココロノスイイ

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 分かっていた。
 初めから。

 ぼくが唯一で特別になるためには、前任者がいなくなることが最低限で必須条件だと。

 お仕えすべきかみさまを見つけ、侍る幸福と誉れを与えられたものの、半年間の動けない時間ができた。
 かみさまが眠っている間に、こいつを消せば解決する。

 実際に思考の中では何度も模倣実験した。
 現実ではやらない。
 それなりに長く生きて辛酸舐めてきたつもりだ、若造の恋に付き合ってやるほど酔狂じゃない。

 かみさまに本気で恋をしている姿は眩しい。
 憧れを覚えるほどだ。

 自分にもそんな頃があったのか、思い出せない。

 好きな奴か。
 いたかな、そんなん。

 祭司仲間は信用できない、普通の人間は薄汚くて近づきたくもない。
 やっと見つけた心地よい場所は、もう席が埋まっていた。
 自分の場所は用意されても、唯一では無いもので満足する世間知らずのふりもできない。

 祭司としては失格。

 かみさまは誰かのものじゃない。
 そう教わってきたのに、あの笑顔を自分だけのものにしたくて、腹の奥が熱くなる。

 自分の音は聞こえないが、今のぼくはひどい不協和音を響かせているだろう。
 きっと耳障りで汚くて、吐き気がするような音だ。



 子供に付き合ってやるつもりでからかって、なんだか楽しくなってきた頃。
 かみさまが目を覚まされた。

 本気じゃなかった。
 本気になんぞなるもんかと決めていた。
 かみさまに〝幸あれかし〟なんて呼ばれてる奴と対等になれるなんて、信じられなかった。

 でも、まさか、泣かれるとも思ってなかった。

「スペラは、どうして……スペラ?」

 逃げ出したあいつの気持ちは分かるが、かみさまの反応は読めなかった。
 かみさまは半年前にぼくも受け入れてくれた、それが間違いだと拒絶された気がした。

「ディス、おれ、なんかした?、怒らせるようなこと、した?」

 子供のようにぽろぽろと涙をこぼす姿を見て、思い知る。

 幸福な奴め。
 かみさまに特別に愛されているのに無自覚とか許せん!!

「大丈夫ですよゼン、少し話を聞いてくれますか?」

 意趣返しに全部ばらしてやることにした。
 あいつがぼくに嫉妬していることをかみさまに知らせてやる。

 特別な幸福野郎め。
 ぼくも特別が欲しい、だから、これは貸し一つだ。

 負けているのは一緒に過ごした時間の長さと信頼の重さ。
 どちらもこれから挽回できる。

 覚悟してろ〝幸あれかし〟、〝機を見るに敏 ぼく〟に居場所を奪われないように鍛え上げてやる。
 いつか正しくぼくの敵になるように。

 子育てを任されて燃える父親の気分になりながら、ゼンさまにぼくらの協定を話した。

 
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