【R18】Fall into the sky

Cleyera

文字の大きさ
7 / 16

7 竜に乗る ※

しおりを挟む
 

 さっきは勢いでなんとなったが、二回目もうまく入れられるか不安になる前に、てらてらと濡れる穴が求めるように口を開いて俺を招き入れた。

『あ゛あっ、入ってくるぅっ♡……ぅう゛んっ』

 すでに中で出した後だからなのか、俺をねっとりと包み込んでくる。
 最高だ。

 きゅっ、きゅむっ、と挿入されたことを喜ぶように抱きしめられ、精を搾り取ろうとするように、中がうねうねと震えた。

 すごいな。
 締め付け具合が、理想的だ。
 まるで俺のために用意された特注品みたいだ。
 思い上がりすぎ、だろうか。

『ぅぁあ゛あぁっ♡』

 勢いでぬるー、と突き入れて、ぺたん、と間抜けな音をたてて俺の肌が黒い鱗に包まれた尻にぶつかると、竜が低い声で幸せそうに喘ぐ。

 尻を撫でてやると、ひく、ひく、と腹の中が動く。
 腰を引くと、行かないでと縋りつかれて、根元まで押し込むと、もっと奥まで、と誘い込まれる。

『やぁあ゛っ……のばなちゃんっ……あ゛ぅうっ……』

 可愛いなぁ。
 見た目には可愛い要素が欠片もないのに、ものすごく可愛い。

 長い首を曲げて、濁った黄色い瞳が俺を見つめてくる。
 俺がお互いの結合部分を見ていると知るなり、瞳孔が開いて、うっとりと歌うように鳴いた。

『のばなちゃん、いっぱいきもちよくなってぇ♡』
「うん、もうすげーきもちいい」
『あはぁ、うれしい♡、ずっとのってほしかったのっ』

 なんだこれは。

 俺の下にいるのは、竜だ。
 間違いなく騎士団に現れた黒い竜の……ちっこいやつ。
 さっき陰茎らしきものを確認したから、雄だ。
 雄だよな。

 鳴き声は人の言葉に聞こえないのに、なぜか意味がわかる。
 気絶してこの部屋に来るまでの記憶が飛んでるから、ここはどこで、こんなことしていて良いのか、と思うのに、腰が止まらない。

 一回、出したのに、簡単に復活してしまったのは、この竜が可愛いからだ。
 雄だけどな。
 可愛いから、いけないんだ。

 俺は竜が大好きだ。
 大好きな竜に「乗って」と言われて、断れるわけがない。
 どっからどう見ても、望まれているのが性行為でしかなくても。

 全身が真っ黒い鱗に包まれた竜なのに、可愛い。
 小さくなったからかな。
 いいや、大きい時も可愛かったな。

 俺を見つめる瞳で、ゆらゆら燃える青い火のせいかもな。
 焚き火とか、見つめていたくなるし。

 ぬるぬるとつやめく鱗が燃える。
 小さな青い火が、ぽ、ぽ、と増えて消えて、そんな所にまで興奮する。

「もっと、お前に乗っていいのか?」
『いっぱいのって♡、のばなちゃんは私にのるために生まれてきたんだから、いつでも、すきなだけのってぇ♡』

 その言葉に、思い出す。
 俺にその言葉を言った男の姿を。
 一度しか会ってないのに、強烈な印象を残していった全裸男の姿を。

 この竜は、あいつと関係があるのか?

「俺が、乗るために生まれたって、どういう意味?」
『そのままのいみ、だよ』

 返ってきた答えが、いまいち要領を得ない。
 もう少し聞き出せないかな、と懐柔を試みてみることにした。

 腰だと思う場所をがっしりと掴んで、ぱん、ぱん、と腰を叩きつける。

『あう゛っ……ふぁう゛ぅっ……きもちぃ、そこ、すき……あ゛あっ』

 人の男でも突っ込まれて気持ちよくなれる者がいるように、竜の雄も気持ちよくなれるようだ。

 痛めつける気はないので、安心しながらもう一度〝乗る〟の意味を聞くと、竜は背中の羽根の皮膜をゆらゆらと広げたり閉じたりしながら、低く鳴いた。
 ぴしゃ、ぴしゃっと床に液体がこぼれる音がしてるが、もしかしてこの竜が射精してるのか?

『あゃうっ……わっ、私、わた、しはっえんどくりゅうで、ずっとっ、つがい、さがして、あ゛あっ、そこ、しゅき、きもちいいっ、もっとしてぇ♡』

 最後の方とか、うわ言になってんだけど。
 可愛いな。
 もっと可愛い姿が見たい。

 俺から見て下側というか、腹側を中からこするようにしてやると良いのか、悲鳴じみた鳴き声が上がった。
 竜の腹の下から、ぽたぽたと水が垂れる音が耳に届く。

『やっ、そこ、しょこ、あぁ、っきもちいぃの、のばなちゃんとつがいになれてうれしいっ、しゅきぃっ、すき、しゅきいいっっ』
「っっ……」

 なんかもうすっげー可愛いな、と二度目も余さずに注ぎ込んた。

 二回連続とか、初めてなんだけど。
 中で出すのも。

 呼吸を整えながら、目の前の尻を撫でる。
 見た目はぬめぬめとした光沢があるのに、触ると陶器のようにつるりとしている。

 撫でながらぼんやりして、やっとその言葉の意味を理解できた。

「……え、つがい?、おい、嘘だろ」

 動きを止めてしまった俺を、長い首を伸ばした竜が振り返る。
 黄色い瞳がぱち、ぱち、とまばたく。
 まぶたの内側で動く透明な瞬膜が見えてしまって、やっぱりこいつは本物の竜なんだな、と思った。

『ふぁ……のばなちゃん?』

 声が溶けてる。
 腹に響くほど低い声なのに、可愛い。

 俺がこの竜を溶かしてしまった、と分かっているからこんな気持ちになるんだろうな。

 誇り高い空の王者。
 伝説の中に生きる、最強の種族。
 それが竜。
 竜には番がいるのか。

 つがい?
 番。
 それって、動物でいうところの、夫とか、嫁とか。
 そういう扱いの呼び方だよな。

 俺が、こいつの、この〝えんどくりゅう〟とかいう竜の番?
 生まれも育ちも、ありふれた孤児の俺が?

 種族も性別も、釣り合ってないのに。

 くたん、と磨き上げられた石の床に伏せていた竜が、半身を起こす。
 はふ、と息をついて、青い燐光を身に纏い、俺へと上半身を向けた。

 可愛い。

 下半身が立たない、みたいにぷるぷる震えてる。
 気づいてないと思ってんのかな。

 尻穴や竜自身の外性器から、今もとろとろと床に垂れているものについては、追求しない方が良さそうだ。

 はふ、はふ、と息を整えたらしい竜が、こてん、と首を傾げた。
 鋭い牙を見せながら、鳴いた。

 途端に、竜の姿が全裸の男性になった。

 浅黒い肌と、黒い髪の美しい男だ。
 床に座り込んでいて、股間付近がどろどろのままだが。

「私は〝リサンデ〟。
 本当の名前は違うけれど、番だけに教えるものだから、二人きりの時に言うね、野花ちゃん」

 含みなく甘えているようにしか聞こえない声は、快楽の名残でかすれて震えている。

 俺が顔を上げると、不透明な乳黄色の瞳に、青が揺れているのが見えた。
 瞳孔の奥で、青い火が燃えている。

炎毒エルド・オ・ギフを司る私に近づけて、乗ることが出来るのは、番の野花ちゃんだけ」

 とんでもなく不穏な台詞に、なんかめちゃくちゃ大事なことを間違えたんじゃないか。
 そう気がついた俺に、リサンデが告げた。

「私の中に種を注いだ以上、他の竜に乗ることは許さないから、ねえ、野花ちゃん?」

 ふしゅるぅ、と音を立てて、リサンデが口から白いモヤを吐くと、吹きつけられた壁紙が真っ黒に染まった。

 同時に壁の向こうで、絶叫と共になにかが倒れるような音がして、悲鳴と誰かの名前を叫ぶ声が聞こえた。
 なにが起きてるんだ。

「野花ちゃんがいるから、私はここにいるんだよ」

 「だから、これからもたくさん私に乗ってね」と心を捕える甘い声が、どこか脅迫じみて聞こえてしまうのは、俺の被害妄想なのか。


 斯くして俺は、炎毒竜の騎士に選ばれた。
 そして、ヒデランテ竜王国で唯一の、本物の騎竜騎士となった。

 なんか違う気がするんだが、幸せなので、気にしないことにした。





   了






ここで終わりの予定でしたが、興が乗ったので、明日からおまけ二話+いちゃいちゃするだけのせかんどしーずん?に入ります!
よろしければ、お付き合いくださいませ
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

処理中です...