【R18】ポンコツ第二王子のやりなおし奮闘記

Cleyera

文字の大きさ
11 / 46
本編

11 大好きぺろぺろするおれ ※

しおりを挟む
 

 この一件から、兄は二人で一緒になにかする時は、おれがしてはいけないことを、説明してくれるようになった。

 今までは、おれが兄を守りたいと思っても、空回りしている気がして、虚しくなる事があった。

 幼いから仕方ない。
 そう思っていても、おれだけが兄にべったりとくっつきたがっているようで、悲しい気持ちになる時があった。

 小さい体が憎かった。
 硬くて鋭い牙と爪が欲しかった。
 自分が無理の効かない子供であることが辛かった。

 それが、説明してもらえることで、予定を調整してもらえるようになった。
 これまでのように一緒にいるだけでなく、気持ちも兄に近づけた気がする。

 おれと兄の間には、お互いの考えていることを伝える意思が、会話が足りなかったことが知れた。
 三歳児に全てを説明する十歳児がいるはずもないので、これは当然か。

 兄が歩み寄ってくれたなら、おれももっと変われるはずだ。
 分からないこと、理解できないことを何度も聞き直して、納得するまで兄と話すようにした。

 兄が勉強しているのを(うたた寝しながら)横で聞き、兄に作法を教わって(できないままだけど)、兄が剣を振る横で(ころころ転がされながら)体術を習うようになった。

 何人かだが、おれに対して嫌悪を見せない護衛がいる。
 その中の一人が、おれには剣術よりも体術が向いていると言いだしたのだ。

 全身けむくじゃらの獣人であるおれの手は、人の手と形が違うから剣を振ることは難しい。
 指をバラバラに動かせないので、人用に作られている剣の柄がうまく握れない。
 長い鉤爪が邪魔になって、食器もうまく使えないままだ。

 護衛に言われて、武器を使えないなら自分の肉体を武器にすれば良い、と気がついた。

 前のおれは、栄養が足りていなくてガリガリだった。
 戦い方なんて知らなかったのに、護衛を吹っ飛ばすことができた。

 知識と経験を積めば、もっと強くなれる。
 兄を守れるようになる。

 兄が見ている前だけという約束で、護衛に体術を教えてもらっている。
 ドジばかりふむから、兄はおれが痛い目に遭わないか、心配で仕方ないらしい。

 体術を習うようになってから、おれはこれまで丸く削ってもらっていた手の爪の手入れをやめた。
 訓練場内を四つ足で走ったり歩いたりしているうちに、自然に削られて尖っていくだろう。

 その代わり、普段の生活では、兄が用意してくれた手袋をはめるようにした。

 鉤状に曲がった爪先だけを覆う形で、手のひらは出ている。
 爪が当たる先端の内側には小さな金属片が縫い込んであって、外側を綿と柔らかい革で覆ったそれは、外から見るとぬいぐるみの手に似ている。

 兄が襲われた時のために、外し方も練習した。
 ……でも最終的には、革紐を食いちぎる事になりそうだ。

 はめたまま平手で殴っても、大人をよろめかせるくらいはできる。
 兄からの大切な贈り物だから、できれば壊したくない。
 襲ってこないで欲しい。

 ただ、一つ困惑していることがある。
 この手袋をはめていると、兄が「すっごくかわいい」と言って、鼻先に大好きのぺろぺろをたくさんしてくるのだ。

 初めは戸惑っていた鼻先への口付け。
 今も好きとは言えない。
 むきだしになった弱点だから、本能的な恐怖を感じて硬直してしまう。

 でも、兄がおれに触れてくれるのは大好きだ。
 おれから触れるのも。

 手袋は、鋭く尖った鉤爪で兄を傷つけないために、絶対に必要なものだ。
 兄にぺろぺろして欲しいから、はめてるわけじゃない。
 違う。





 夜中。
 ふと目が覚めた。

「ん、っはぁ、っ」

 なんだろう。
 苦しそうな声が聞こえる。
 誰の声だろう。
 ……一人しかいないだろ!

「あにうえっ!!」

 がばり、と体を起こすと、寝台の近くに置かれている長椅子に兄がいた。
 座面が寝台の方を向くように置いてあるので、前屈みになっていた兄の姿がよく見える。

 兄の寝室の中は、常夜灯があるのでほんのりと明るい。
 さらにおれは獣人だからなのか、暗いところでもけっこう見える。

「っ、スノシティ、どうしたの、お手洗いかい」

 慌てたように、長椅子の上でひざを抱える兄。
 ほとんど体毛のない、すべすべとした真っ白い足が曲げられている。

 隠したいんだろうけど、おれは兄が下半身に何も履いていないのを見てしまった後だ。
 さらに、何をしていたのかも。

 処刑された時のおれは、ちんこを排泄にしか使ってなかった。

 浮いて、国王と王妃に苦しめられる兄の姿を見て。
 表情を失っていく姿を見たことから、ちんこに触れることは薄汚い行為だ、と思っていた。

 でも、今はちょっとだけ違う気がしてる。

 兄と一緒に行動するようになって、少しずつ文字が読めるようになって。
 国王や王妃が兄に強要した、薄汚いと思っていた行為は、好きな人とするもの、と知った。

 兄が毎日、鼻先をぺろぺろしてくれるのは、おれのことを好きでいてくれるから。
 可愛い、ってほめてくれるのも。
 抱きしめてくれるのも。
 洗ってくれて、全身の毛づくろいをして、揉んでくれるのも。

 兄は自分が努力するのは普通だと思ってるようなのに、おれが努力すると、すごくたくさん褒めてくれる。

「スノシティ?」
「あにうえ」

 寝台から降りて長椅子に近づくと、兄が体を強張らせて向きを変えようとした。

「あにうえ、おれもだいすきってぺろぺろしたい」
「えっ?」

 これまではずっと、兄がおれに好きだよと言ってくれた。
 おれからは言えてない。

 おれも、兄に〝好き〟を伝えたい。

 弱点をぺろぺろするのが、好き、を伝える行為なら、人の弱点はそこしかないと思う。

 まったく隠せてない、いつでもぶらぶらしてるちんこ。
 体を守る被毛も、肉を食いちぎる牙も、引き裂く爪もない、人の肉体はどこもかしこも弱そうにしか見えないから、他に思いつかない。

 就寝時は手袋をはめていないから、鉤爪で兄のやわらかい肌を傷つけないように気をつけて、ほっそりとした足へ手をかけた。

「あにうえ?」

 足を開いて欲しいんだけど。
 そう思いながら見上げると、兄の顔に見たことのない表情が見えた。

 目を見開いてさまよわせながら、あうあうと口を開けたり閉じたり。

 なにを悩んでいるんだろう。
 ま、いっか。
 両足の間に、爪が兄のちんこに当たらないように手を入れて、鼻先を無理矢理ねじこんだ。

 うわ、兄の肌すべすべー。
 このまますりすりしても気持ちいいかも。
 兄がおれの腹毛に顔をすりすりするのと同じだよな。

「すっすのしてぃっっ!?」

 なぜか慌てている兄の声が降ってくるけれど、おれは目の前でぴこん、と背伸びして主張しているものを見た。
 やっぱり、見間違えじゃなかった。

 兄のちんこが立ってる。

 おれのより大きい気がする。
 腹の中にしまえないし、被毛がなくて丸見えだからかな。

 そんなことを思いながら、舌を伸ばして兄の股間をなめた。
 牙が当たらないように、気をつけて、丁寧に。

 ぺろり、ぺろり、となめると、先端からとろりと垂れてきた汁が舌に触れた。
 なんだろう、汗かな?

「っあ、だめ、だめだよすのしてぃっ、や、だめだからっ」

 しょっぱいけど、なんか、それ以外にも兄の匂いと不思議な味がする。
 ……おれ、この味を知ってる気がする。
 なんだろう。
 どこでだろう。

 夢中になってぺろぺろなめた。
 しょっぱいの美味しい。

 兄の匂いがして、心が気持ちいい。

 舌をからめるようにのばして、ぺろりとなめたら、唐突に思い出した。
 おっぱいの味がする。
 兄のおっぱい、ここにあったんだ。
 どうして見つけられなかったんだろう?

 ぽわぽわと、兄がおっぱいを飲ませてくれていた頃の幸せな気持ちを思い出す。

 ……あれ、これちんこだよな、おっぱいじゃないのかな。
 ま、いいや。
 幸せだから。

 う゛く、う゛く、と赤ん坊のようにのどが鳴ってしまう。

「あにうえ、すき、だいすきぃ」

 ぺろぺろとなめる合間に、一生懸命、告げる。
 兄が大好きだってこと、守ってあげたいこと。
 いつもおれを守ってくれてありがとう、ってこと。

 たくさん言いたいことがあるのに、うまく言葉にできないことがもどかしかった。


  ◆





兄王子殿下の剣術鍛錬の相手をする護衛騎士たちの会話

護衛騎士1 「どうする、鍛錬とはいえ弟君オトウトギミに触れると殿下が怖いぞ」
護衛騎士2 「いや、でもよ、鍛錬無しって言うと弟君が泣くぞ?」
護衛騎士3 「弟君に触れて殿下に睨まれるより、弟君が泣く方が怖いだろ」
護衛騎士1、2 「「殿下がな!」」
護衛騎士3 「というわけで、弟君の相手、頑張れよ~」
護衛騎士1、2 「「こら、一人だけ逃げるな!」」
スノシティ 「あ、ほんじつもおねがいしましゅ!」 緊張しつつおててをそろえてぺこり
護衛騎士1、2、3 「(あ、かんだ、かわええ)……はぁい、ひっ!?」
兄王子殿下 「本日も、お願い、します、ね?」 きれいすぎるにっこり
護衛騎士1、2、3 「はいっっ!!」

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

水泳部合宿

RIKUTO
BL
とある田舎の高校にかよう目立たない男子高校生は、快活な水泳部員に半ば強引に合宿に参加する。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~

荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。 弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。 そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。 でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。 そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います! ・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね? 本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。 そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。 お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます! 2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。 2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・? 2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。 2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。

処理中です...