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本編

23 王妃勉強を続けるおれ ※

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 宣言通り、その日からおれは延々と兄に乳首を揉まれるようになった。

 初めは今までの弱点探しと同じで、全く気持ちよくなかった。
 むずむずするだけで、そんなところよりちんこが良いとねだってしまった。

 乳首を見つけるまでも大変で、余計に好きになれなかった。
 みっしりと生えそろった腹の毛が邪魔で、探すのに苦労しているから。

 兄が毎朝一生懸命、胸元から腹まわりの毛を掻き分ける姿を見かねて「毛がない方が良い?」と聞いてしまったのはおれからだ。
 完璧に墓穴を掘った。

 今のおれは、左右で六個あった乳首周辺だけ毛を剃られて、なんともおかしな姿になっている。
 兄の乳首は二個だったのに、おれは六個もある。
 なんに使うんだ、これ。

 毛がなくなって見えるようになったから、乳首というものはどんなものなのかと、必死で覗き込んでみたけれど、乳首はおっぱいではないと思う。
 本当に乳首がおっぱいだったとしても、あまりにも小さすぎる。

 あんなに小さないぼみたいなものから、しょっぱくて良い匂いの美味しいおっぱいが出るとは思えない。

 毛を剃られた時は、すごく情けない気持ちになった。
 おれから言い出したから、拒否できない。
 動いたら危ないよと言いながら、なぜかものすごく上機嫌な兄の手で剃られた。

 おれの毛並みは白くて、肌の色の方が濃いから、無毛の乳首周辺が目立って恥ずかしい。
 等間隔に六箇所、ハゲができたみたいだ。

 うぐぐ、見た目が屈辱的すぎる。

 ほら、乳首の周りがすべすべになったよ、とか言われても反応に困る。
 自分の腹にそんなものがあった事すら知らなくて、兄が喜ぶならいいかーとしか思えなかった。 

 兄には悪いけれど、おれは兄の股間のちんこのおっぱいが好きだ。
 自分の乳首に興味が持てない。
 股間をなめさせてほしくて狙っているが、兄には「王妃になったらね」と言われているので、お利口に待っている。

 こういう状態を〝こしたんたん〟というらしい。

 腰とんとん、と同じだと思う。
 兄に玉とかちんこを揉んでもらいながら、腰をとんとんしてもらうと気持ちいいのと同じくらい、おっぱいが美味しいから期待して待つという意味だ、きっと。

 昼寝中にうとうとしている時に、文官が兄に言っていたんだよ。
 おれが兄のこしたんたんをを虎視眈々と狙ってるって。

 兄のちんこのおっぱいをなめたいと思ってるのが、見抜かれてた。
 ちょっと恥ずかしい。

 兄の表情は見えなかったけれど「心配無用さ、あの子が僕を傷つけることはあり得ない」と言ってくれた。

 夢ではないと思う。
 めちゃくちゃ嬉しくて、さらに兄が大好きになった。
 おれはどこまで兄を好きになれば良いんだ。

 その時の文官は、前におれに「兄上に気をつけろ」って言ってきた男性だった。
 顔は覚えてないけど、匂いでそうだと思う。

 また兄のところに来てくれるなら、前に聞きたかったことを聞けるんだけどな。
 ただ問題があって、聞きたいことがあったことは覚えているのに、何を聞くつもりだったかを忘れてる。



 腹に兄の手によるハゲができてから、まん丸パンツの他に、乳首を隠すための丈長の袖なし上着が増えた。
 動きにくいけれど、二足歩行や仰向けになった時に乳首だけ露出しているのを、護衛や使用人や文官に見られるのは、おれが嫌だ。

 そして、おれは全く学ばない。
 弱点探しで、分かっていたはずなのに。

 いつでも、なんでも、変わってしまうってことを。

「あっぐ、ぐぅっっ」

 兄の指でくりくりと乳首を転がされることを、気持ちいいと感じるようになったのは、いつからなのか。

「気持ちよさそうだね、もっと?」
「ひぎっ、あにぅえぇ」

 乳首を撫でられ、つままれ、こすられ、こねられると、おれは兄の手に縋って泣いて喜ぶ毛玉になるしかなくなる。

 そして、これが王妃の勉強だというのだから、この国はやっぱりおかしい。
 おかしいのに、嫌ではない。
 相手が兄だから。

 嫌ではないけれど、乳首を気持ちよく感じるようになってから、一番低い位置の乳首とちんこを同時に撫でられたりして、逃げ出したい気持ちでいっぱいだ。

 温室内が明るいから!
 全部、丸見えなんだよ。
 日除けの屋根があっても、しっかりと見えてる。

 寝室でちんこを揉んでもらっていた時は、常夜灯のみが明かりの暗い部屋だった。

 以前の兄は、おれの反応は聞こえていても、あまり見えていなかっただろう。
 温室で過ごすようになってから、じっとおれの顔を見つめてくることが増えた。

 気持ちよくて、腰をへこへこ振っている時の顔なんて見られたくない。
 兄が頬を緩めて、きらきらの笑顔でおれに言うんだ。

「とっても可愛いよ」

 かっこいいって言われたい!!
 おれ、もうすぐ成人するのに。

 可愛いと言われて嬉しいけど、素直に喜べない。
 だっておれ、兄よりも頭ひとつ以上大きくなったんだよ。
 しかもまだ成長中だ。

「あにうえ、おれ、あかるいのやだ」
「僕はスノシティの可愛い姿を見れて、とても幸せな気持ちなのだけど、嫌なのか」

 兄が、しょんぼりして、しまった。
 困った。

「いやじゃない、ないよ」

 仕方ない、諦めるか。
 兄の執務室は、おれが扉を壊してしまったので使えない。
 国王になると執務室も私室も変わるらしくて、新しい部屋は現在準備中。

 病気療養中の前国王と、王妃、ええと前王妃はどこにいるのか、知らない。
 王妃も、国王の療養についていって離宮ってとこに行った、だったかな。

 とりあえず、今はもう国王も王妃も城の中にいないらしいのに、どうして温室にいないといけないのか。
 兄の寝室だけ、先に改装を終わらせてもらえないかなー。

 聞こうとするたびに話をはぐらかされる。
 笑顔の兄に、ちんこや玉や乳首を揉まれてしまうと、何も考えられなくなってしまう。

 過ごしにくいと思っていた温室は、意外にも快適に過ごせた。
 日除けの天井と、クッションが積まれた場所のみを囲む、低いついたては増えたけれど、風がよく通る。

 いつでも水が飲めて、果汁たっぷりの果実にかぶりつける。
 温室内に水やり用の水場があるので、行儀悪いけれど水浴びもできるのだ。

 水の中で仰向けになって、ちんこを揉んでもらうの気持ちいい。
 でも、温室の植物にかける水が汚れてしまうから、水の中に子種を出すのはだめだって。

 びしょぬれの体をぶるぶるっとして、兄に水をかけて穏やかな口調で注意されるまでが流れだ。
 体が勝手に動くんだよー。

 食べて遊んで、兄に揉まれて、体術の訓練も忘れずに。
 場所は変わったけれど、兄の仕事は前より増えている。
 王様になるなら、これから先、仕事が減ることはないだろう。

 おれが兄の役にたてることはないのだろうか。
 頭を悩ませるけれど、文官の仕事はおれにはできない。

 王妃になったら、今以上に兄のためにできることが増えるだろうか。
 このまま何も起きないといいな、とのんびり日々を過ごしていた。



   ◆



 花が咲く時期真っ盛りの頃。
 だんだんと黄緑の葉っぱの色が濃くなってくると、おれの体がおかしくなってきた。

 なんだか、体がいつもと違う。
 むずむずする。
 
 ちんこや玉がむずむず。
 兄のことを考えると乳首までむずむずする。

 なんだこれ。
 落ち着かない。

 兄が仕事でいないと、誰にも聞けない。
 温室の外を囲むように護衛は何人もいる。
 でもこいつら、入ってこないから。

 使用人を呼ぶことはできるけれど、おれが来て欲しいのは兄なんだよ。
 むずむずしながら、クッションの上で身をよじる。

 背中を擦り付けて、お腹を擦り付けて……あ、気持ちいいかも。
 もちもちのクッションに伸びかけのちんこを擦りつけると、楽になるかも。

 うつ伏せの体勢でクッションに股間を押し付けて、はやく兄が来てくれないかなーと腰を振っていたら、温室の扉が勢いよく閉められる音が響いた。

「うえ?」
「なにしてるんだい」

 気持ちよさでぼんやりしたまま振り返る。
 なぜかけわしい表情をしていた兄が、おれの顔を見るなり目を見開いて、ひどく驚いた顔になった。

 
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