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本編

29 愛しあうを知るおれ ※ 初めて♡

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 朝食を終えて。
 今日はいつもよりも奥まで薬を入れたから、馴染むのに時間がかかるらしくて、寝室に移動することになった。

 兄と、愛しあう。

 言葉にするとすごく簡単に聞こえるけれど。
 どうやって愛しあうんだろう。

 わざわざ〝愛しあう〟なんて宣言をするんだから、今までみたいに好きだよと言ってくれて、ぎゅっと抱きしめるとか、優しく背中とんとんとか、そんなのとはきっと違うんだろう。

 成人した後にしかできない、大人の秘密かな。
 浮いていた時に見たかな。

 大人と言ったら力が強いよな。
 体術で、相手に抱きついて背骨をへし折る技みたいに、すごく力強い抱擁とかするんだろうか。
 体の大きなおれの得意技だけど、人にやると死んでしまうから、木偶デク人形以外にしたことはない。

 おれからやるわけにはいかないけれど、兄からされるなら、痛くても我慢できるはずだ。
 でも、今のおれの体を抱きしめてもらうとなると、兄の腕の長さが足りないよな。

 んー、おれが太り過ぎなのかも。
 今すぐ!
 一瞬で激痩せする方法とかないかな。
 そんなもん、ないよな。

 おれが〝愛しあう〟が分からなくて、そんなことを考えている間に、兄は手際良く準備を進めていた。

 寝室の中から兄が鍵をかけ、いつのまにか中央に広げられている、絨毯とクッションの小山に手を引かれて移動する。
 いつも兄と一緒に、この寝床としかいえない山で寝てるけれど、今日は、見覚えのある凸凹シートが敷かれていた。
 前のよりすっごく大きい。

 あと、なんだか部屋の中に初めて嗅ぐ匂いがする。
 鼻を鳴らしてみればくらくらするような、すっごいいい匂いだ。

 過去に、教師から愛しあう方法とか聞いたかな。
 覚えがないよ。
 寝てたんだろうな、おれ。
 どうしよう。
 なにするのか、ぜんぜん分からない。

 シートに腰を下ろしたおれの顔を、兄が両手でそっと包む。

「スノシティ」
「はい」

 おれは胴体が長いから、座っているのに、立っている兄が軽く腰をかがめて、膝を折るだけで高さがあわせられる。

「まだ朝だけど今すぐ愛しあいたい、婚前だけれど、今から初夜のつもりでも良いかな?」
「……う、うん」

 ごめん兄。
 おれ、しょや、も知らない。
 それをここで口にしたら、きらっきらになっている兄がしゅんとなって、ひどく落胆させてしまうだろう。

 大好きな兄のために、今のおれが出来そうなことは一つだけ。
 何もかも分かっているふりをして、兄に全部任せるのみ。

 大丈夫。
 兄がおれを傷つけることはない。

 頷いたおれに、兄のきらきらの笑顔がさらにまぶしさを増した。
 おっほぉ、目がちかちかするぅ。



 鼻先がふやけるほどぺろぺろされた。
 おれがぺろぺろしようとすると、させてくれない。

「今日は、僕がスノシティに触れる日だよ」

 そう言って、おれの舌を手で押さえてくる。

 納得いかないので、のどがう゛ぅ、う゛ぅと音を立てるけれど、そんなおれの姿を見た兄の目の熱がさらに上がった気がする。
 おれも兄に触れたい。
 前におれと約束したおっぱいのこしたんたんを、兄は覚えてないのかな。

 あれ、約束したかな?
 まあいい、次はおれが、兄のちんこのおっぱいをぺろぺろしてやる。

 そう心に決めている間も、兄はおれの鼻先をなめながら、ふっくらしてしまった乳首をこねて、つまんで、転がして、押しつぶして、ひっぱって、と好き勝手に手を動かしている。

「ぐ、むぐっ、あぐぅっ」
「スノシティは乳首が好きなんだね」
「うん、すき、これ、すきっ」

 まだ鼻先と乳首のおっぱいしか触れられてないのに、座っているおれの股間の毛から、ぬるりと濡れた先端が頭をのぞかせる。

 兄の指先が、腹毛をかき分けてくれたので、濡れた毛がはりつく不快感がなくなってホッとした。
 このまま手のひらで撫でてもらえるかなと期待する俺に。

「今日はここには触らないからね」
「え!?」

 ちんこないの!?

 衝撃を受けたおれの顔がおかしかったのか、兄がくふくふと笑う。
 ちんこと一緒に揉まれて一番ふっくらと大きくふくらんでしまった、一番下の乳首をくりくりと指先で転がしてから、体を起こしておれの鼻先をぺろりとなめてくれた。

「大丈夫、きちんと気持ちよくしてあげるから」
「う、うん」

 返事はしたものの、おれは不安になってきていた。
 これって、いつもの弱点探しと何が違うんだろう、と。

 ちんこに触らないことが〝愛しあうしょや〟ってやつなのかもしれない。
 つまり生殺しだ。
 愛しあうしょや、って生殺しって意味?

 そんなのひどい。
 兄を信用しているけど、生殺しはきつそうだ。

「さあ、もう準備できたかな、これまで奥には触れてこなかったから、痛かったら言うんだよ」
「おく?」

 いつもと同じように、腰だけ高く上げた姿勢になるように言われて、中がきれいになっているかを見てもらうことになった。

 あごをクッションに乗せて、両手をだらんと左右に広げる。
 腰を高く上げて、膝は出来るだけ開く。
 尻尾は兄任せだ。

 尻の入り口を、いつもの棒で押されるのかと思っていたら。
 ぬぷ、といつもより温かい細い棒状のものが、尻の中に押し込まれた。

「ふぎぃっっ」
「くふふ、可愛い」

 痛くない、いやでもない、それなのにおかしな声が出る。
 それを聞いて、可愛いと言われるのもいつも通り。
 それなのに。

「ぅむっぐぅっ!?」
「あれ、痛い?」

 なぜか突然、尻の中に少しだけ入れられている棒が、くに、と曲がったのだ。
 驚いて口を閉じたまま叫んだけれど、直後に兄の不安そうな声に小刻みに首を振った。

「あ、あにうえ、しり、ぼう?!」

 うつ伏せであごをクッションに押し付けていることもあり、うまく言葉にならないおれの驚きを、兄はいつものようにきちんと理解してくれた。

「ああ、今日は道具は使わないよ、初夜だからね」

 くるくる、と尻の穴を広げるように動く棒。
 いいや、道具ではないなら、なに?
 細くて棒状の……え?

「うん、毎日きちんとほぐしていたから、すぐ次に進められそうだ」
「ふにぁっっ!?」

 おれが、今、尻に入っているものはなんだろう、と焦っている間に、ぐに、と細いものがもう一本、尻に入ってくる。

「ほら、簡単に入ったよ」

 とても嬉しそうな声で話しかけてくる兄には悪いけれど、おれは何が起きてるのかよく分からない。
 愛しあうしょやってなんなんだ。
 道具じゃない、曲がる棒ってなんだよ。

 そして。
 おれが翻弄されている間に、二本が三本に増え。
 三本が四本に増えた。

 今日の兄は、ぐにって押されると、びくっ、となるところに触れてくれない。
 そこに触れて欲しくて、腰がゆらゆらと動いてしまう。

 一本抜けてホッとした直後。
 三本の棒が、おれの尻の穴を広げて。
 ぬるい何かが、体の中に注ぎ込まれる。

「~~~~っっ!?」

 もう驚きすぎて、声にならない。
 愛しあうしょやって、なんなんだー!!?

 ふぐ、ふくっと必死で呼吸していたその時。
 真っ白になっていた頭の中に、処刑された時の兄の姿がよぎった。
 護衛や国王に尻を貫かれ、男に抱かれる兄の姿。

 ………………あ、もしかして?

「いくよ、スノシティ」
「ぅ、ぅふーっ」

 確認する余裕なんてなかった。
 兄の、蜂の巣からしたたる蜜よりも甘い声に、おれは、ただただ、うっとりとしてしまって、身を任せることしかできなかった。



 ぬ、ぬ、と少しずつおれの中に押し込まれる太い棒。
 おれよりも少し低い体温を持った肉。

 これがなにか、見えていなくても分かる。

「ひぅ……うひぇ……ふぃぃん」
「くふ、スノシティ、ふふ、とてもかわいいよ」

 うつ伏せのまま尻を高く上げて、おれは感動して泣いていた。

 こんな日が来るなんて。
 兄が、おれを求めてくれる日が来るなんて。

 兄の完璧なちんこが、おれの中に入ってくる。
 夢じゃない。
 幻でもない。

 のしかかる兄の体重が、尻を押さえる兄の手が。
 全力で剣を振っている時のように、荒い兄の呼吸が。

 嬉しい。
 これが、好き同士でやる行為。
 前のおれが知ることのなかった、愛なんだ。

 そっか、愛しあうしょや、っていうのか。

 すごい。
 心が歓喜に吠える。
 体が幸せってむせびなく。

「あにぅえ、あいしてぅう」

 舌を噛んでしまいそうになりながら声をしぼりだすと、ぐ、とおれの尻を押さえる兄の両手に力がこもった。

 
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