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禁断の恋
禁断の恋3 - 恋スバ
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| 藤堂 未羽
「ちょっとどうしたの未羽!」
「二人とも来るなら急いでっ!」
「私は構いませんが…」
お昼休み。食堂で話しかけてきたクズは恐ろしい事実を口にした。
京介も愛香も学校に来ていないのだと。それを聞いた瞬間、背筋にゾワッと悪寒がした。
放課後、帰宅に急ぐ。居ても立っても居られないといった私の尋常じゃない態度を見た由真と響子の二人は着いていくと言ってきた。
食堂では、内心、兄妹と悟られないように振る舞いながらも放心していた。
由真と響子には中学の時から学校ではバレたくないと伝えていたため、すぐに京介のことを藤堂君呼びに変えてくれた。流石だった。
後は適当に相槌を打ってやり過ごした。
だいたい京介をリンチした奴らが何しにきたのだ。
昨日一緒に帰っているのは見てるんだ。
いや、それより。
ショックを受けた愛香は家に帰った?
京介は二度寝してしまった?
そもそも昨日はリンチも受けたし、あんなにいっぱい出した。ご飯も作ってくれた。なら身体は疲れ果てて寝てしまったのかも知れない。
なら良い。
なら良いけど、二人がもし会ってしまっていたなら。愛香が動画と私の宣言を伝えていたなら。
取り返しのつかない事態どころか、愛香とよりを戻すなんて事が起きてしまうかもしれない。
そもそもよくよく考えてみれば今朝のあれはサイコパス愛香が自殺してもいいような出来事だ。
もしかしたら自暴自棄になってるかも知れない。今朝からの高揚感は吹き飛び、焦燥だけが募っていった。
流石に、死んで欲しいわけじゃない。
そうだ、もし愛香が自殺したなんてなれば、今度は私が京介に距離を取られるかもしれない!
どっちもダメだ! どうしよう…
「なんでどっちも出ないのよっ! ぐすっ」
「ちょっと未羽、説明して!」
「未羽さん落ち着きましょう?ね?」
私は必死にコールしたが二人は出ない。
響子に腕を掴まれた瞬間、気持ちの堰を切ってしまった。そう、立ち止まり泣いてしまったのだ。
八方塞がりだった。
私は自棄になって気づけば二人に全てを打ち明けてしまっていた…
◆
「…由真さん。今日は外泊出来ますか?」
「ちょっとお家に掛けてみる」
「私も、掛けます」
二人は打ち明けた私を置いて家に電話をかけていた。私は気が動転していて、何を伝えたか、定かじゃなかった。
「未羽さん。酷い言い様ですが、成瀬さんは電話が繋がらない以上仕方ありません。この際捨て置きましょう」
「ぇ?」
「由真さん、どうでしたか?」
「大丈夫、だけど一旦帰ってきなさいって。お泊まりの準備もいるでしょって」
「あ、ああ、そうですね。私も失念していました。では一旦解散して、再度未羽さんの家に集まりましょう。未羽さんは由真さん。お願い出来ますか?」
「任せてっ!」
「未羽さん。京介さんが未羽さんをおいて何処かに行くことはありえません。家にもし居なくとも必ず帰ってきます。ですが、今の未羽さんをそのままには出来ません。ですので、今日は私と由真さんがあなたの側に居ます。そんなに思い詰めて居たなんて私……知りませんでした。そして、不謹慎にも感激してしまいました」
「…ぇ?」
「そう、私は! 感激したのです!…初めて私は禁断の恋の素晴らしさに触れたのだと…わかりましたっ!」
私は響子がわからないんだけど…
「ちょっとどうしたの未羽!」
「二人とも来るなら急いでっ!」
「私は構いませんが…」
お昼休み。食堂で話しかけてきたクズは恐ろしい事実を口にした。
京介も愛香も学校に来ていないのだと。それを聞いた瞬間、背筋にゾワッと悪寒がした。
放課後、帰宅に急ぐ。居ても立っても居られないといった私の尋常じゃない態度を見た由真と響子の二人は着いていくと言ってきた。
食堂では、内心、兄妹と悟られないように振る舞いながらも放心していた。
由真と響子には中学の時から学校ではバレたくないと伝えていたため、すぐに京介のことを藤堂君呼びに変えてくれた。流石だった。
後は適当に相槌を打ってやり過ごした。
だいたい京介をリンチした奴らが何しにきたのだ。
昨日一緒に帰っているのは見てるんだ。
いや、それより。
ショックを受けた愛香は家に帰った?
京介は二度寝してしまった?
そもそも昨日はリンチも受けたし、あんなにいっぱい出した。ご飯も作ってくれた。なら身体は疲れ果てて寝てしまったのかも知れない。
なら良い。
なら良いけど、二人がもし会ってしまっていたなら。愛香が動画と私の宣言を伝えていたなら。
取り返しのつかない事態どころか、愛香とよりを戻すなんて事が起きてしまうかもしれない。
そもそもよくよく考えてみれば今朝のあれはサイコパス愛香が自殺してもいいような出来事だ。
もしかしたら自暴自棄になってるかも知れない。今朝からの高揚感は吹き飛び、焦燥だけが募っていった。
流石に、死んで欲しいわけじゃない。
そうだ、もし愛香が自殺したなんてなれば、今度は私が京介に距離を取られるかもしれない!
どっちもダメだ! どうしよう…
「なんでどっちも出ないのよっ! ぐすっ」
「ちょっと未羽、説明して!」
「未羽さん落ち着きましょう?ね?」
私は必死にコールしたが二人は出ない。
響子に腕を掴まれた瞬間、気持ちの堰を切ってしまった。そう、立ち止まり泣いてしまったのだ。
八方塞がりだった。
私は自棄になって気づけば二人に全てを打ち明けてしまっていた…
◆
「…由真さん。今日は外泊出来ますか?」
「ちょっとお家に掛けてみる」
「私も、掛けます」
二人は打ち明けた私を置いて家に電話をかけていた。私は気が動転していて、何を伝えたか、定かじゃなかった。
「未羽さん。酷い言い様ですが、成瀬さんは電話が繋がらない以上仕方ありません。この際捨て置きましょう」
「ぇ?」
「由真さん、どうでしたか?」
「大丈夫、だけど一旦帰ってきなさいって。お泊まりの準備もいるでしょって」
「あ、ああ、そうですね。私も失念していました。では一旦解散して、再度未羽さんの家に集まりましょう。未羽さんは由真さん。お願い出来ますか?」
「任せてっ!」
「未羽さん。京介さんが未羽さんをおいて何処かに行くことはありえません。家にもし居なくとも必ず帰ってきます。ですが、今の未羽さんをそのままには出来ません。ですので、今日は私と由真さんがあなたの側に居ます。そんなに思い詰めて居たなんて私……知りませんでした。そして、不謹慎にも感激してしまいました」
「…ぇ?」
「そう、私は! 感激したのです!…初めて私は禁断の恋の素晴らしさに触れたのだと…わかりましたっ!」
私は響子がわからないんだけど…
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