異世界帰りの僕が100人斬りの勇者だなんてまだ誰にも知られていない ~帰還した元勇者の爛れたラブコメディ~

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感射祭

水着エプロン

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| 藤堂 京介


「ただいま」

 僕は愛香と朋花の二人と仲良くした後、家に帰ってきた。

 愛香は朋花の家に泊まるらしい。なんでも次は、僕をワカラセたいのだと言う。そのためには朋花という協力者が必要なのだと言う。


 思い返せば、愛香は昔から負けず嫌いだった。内気なくせに負けず嫌いだから、よく影で僕は協力させられたものだった。今回もそんなところだろう。

 まあ、僕を嫉妬させたくて別れたりするような子だから、口では尽くす、なんて言いながらも、あまりにも僕優位なのは無意識にでも我慢ならないのだろう。


 ま、可愛いから何でもいっか。

 で、だ。


 今日は未羽には何も言わずに学校を休んだから少し緊張しながらも罵倒される覚悟をもって帰ってきたのだった。

 電話も無視してたし。

 電話を取っても、嘘はつけないし本当のことを言えば角が立つし。取らないという選択肢しかなかった。

 罵倒は構わないが、スネるのは勘弁して欲しかった。パーティメンバーの姫巫女たちの機嫌を取るのにも一苦労した事があった。
 察しろと言われても困ってしまう。異世界にしろ元世界にしろ女の子の察しろほど難解なことはないのだった。


 で、だ。

 これは、どう察すれば良いんだ。


「ささ、京介くん、ここに座って」

「京介さん、ご飯が出来るまでマッサージさせてください」


 帰宅した僕を出迎えたのは、水着エプロンの三人だった。

 流石に予想していない。正に想定外だった。ただの感謝祭だからと、たまたま水着があったからと、顔を真っ赤にしながら、あれよあれよとリビングのソファに座らされ、歓待を受けていた。


「わたしは手をマッサするね」

「では私は首から肩へ掛けてマッサージします」

「私はご飯の用意する」


 何これ?

 いつの間に我が家は娼館に?


 異世界で長期に渡って滞在した街の娼館では時折、こうやって接待を受けていた。

 メニューにはないが、僕が開花させた蝶たちの感謝の証だった。ホームシックになったときによく利用した、本番なしのマッサージ。

 それはまさに純然たる癒し。

 それを思い出していた。

 だいたいその後襲われたけど。

 だいたい返り討ちにしたけど。


「京介」

「何…かな?」


「気持ちいい?」

「そうだね、控えめに言っても最高だよ」


「もうすぐ出来るから待ってて」

「うん…ありがとう」


 振り向いてキッチンに向かう未羽。きれいな背中とお尻を見せつけながら花柄のビキニ姿の未羽はそう言った。

 ツンデレがデフォなのに…どしたの?

 そもそも朝のあの状態からどうやったら水着エプロンにたどり着くのか。全くもってわからなかった。

 不意に腕と肩に柔らかいものが触れる。


「京介くん、いつもありがとね」

「京介さん、いつもありがとうございます」


 そんなに感謝されることは無かったと思うけど…五年前はどうだったんだろうか?


 感謝祭という名目が、ただの真実では無いということは、わかる。確実に他の意図もあるのだろう、が、何だろうか。

 瞳の色に嫌悪や謀りは見えないし……

 それに由真も響子も久しぶりに会ったと思ったら挨拶もそこそこに水着エプロン…


 ま、気持ち良いから何でもいっか。


 魔法では達成出来ない癒しが、ここにはあった。
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