80 / 156
幕間 - 勇者無双
白日の三姫
しおりを挟む
| 白崎 莉里衣
アルバイトを始めて一月。木曜日の放課後と日曜日の半日。週2回の私の特訓の日。
元来、人付き合いが苦手な私は、高校二年生になってから一念発起し、計画を練り出した。せめて人並みに話せるようにと接客業を選んだ、と親友二人には伝えている。
表向きは。
でも本当は違う。女子校だし、こんなんじゃ彼氏も出来やしない。ファミレスで出会いとかちょっと想像と違うけど、まあお試しだ。そして、一度で良いからデートしてみたいんだ。そう、素敵な私の……。
そう思って始めてみたけど…未だに噛む。カミカミだ。なんで噛んじゃうかなー。
何でサ行ばっかり噛むかなー。ましゅってなんなのよ。でしゅってさー。はー…
親友二人は今日も来てくれている。生まれた時からの幼馴染たち。みんな3月14日のホワイトデーが誕生日。同じ日に生まれたことを特別視して以来、ずーと親友だ。高校も同じ、大前女子。
赤城麻理、マリちゃん。まっすぐとした長い黒髪を今日はポニテにしてる。実家は赤城一刀流の道場で、そのせいか刀のような凛とした佇まいが格好良い美人な女の子だ。そのせいか学校ではモテモテだ。女子校で。本人は気にしてたけど。
けど見た目とは正反対のズボラさで、いつも私とクロちゃんに怒られる。そういう時は目を開けたままだいたい貝になる。
雨宮クロエ、クロちゃん。お父さんが外国人のハーフ。小顔でふわふわ金髪、ぱっちりお目目に深緑の瞳、背は三人の中で1番低い。背だけお母さん。二人が高いだけだ!っていつも怒る。運動音痴。それを言うといつもかなり怒る。
今日は雨だから髪が決まらず機嫌が悪いはず。そして胸が1番おっきい。いつもマウントを取ってくる。
私はそれなりにある。麻理ちゃんより。
そんな昼時に不幸はやってきた。男6人のテーブル席。オーダーはぐちゃぐちゃ。テーブルの上もぐちゃぐちゃ。ドリンクバーのグラスも大量。用もないのに呼び止める。
わたしの愛想が無いのを見抜かれたのか、下げようとしたグラスを持った時、肘を押されて一人にこぼさせた。
無茶苦茶だ。この人たち…。
ずーと女学校だったから男の人は小説や漫画で想像するだけで、こんなにも野蛮だなんて思っても見なかった。はー…百合に走る気持ちがわかってしまった。
とりあえず謝ろうとしたら思っても見ないことにまた遭遇した。
この人達は出会いのきっかけを自作自演したんだ!
私がどれだけ出会いに妄想染みた思いを秘めてると思っているんだ!
ワナワナと震え、腹が立ってきた。
そう思ったらカミカミ癖は鳴りを潜め、毅然とした態度をとれた。やるじゃんわたし。
ただこの人達は諦めなかった。声も荒げ、半ば恫喝するように誘ってきた。流石にそれには昂った気持ちも萎み、怖くなってきた。女の子なら大丈夫なのに。
でもお店にいる以上、ある一線までは超えないだろうと思い、諦めてくれるまで謝ろうとした。
それに我慢ならなかったのは親友二人だった。あ!止めて。私は店員だから最悪警察呼べばいいけど、二人が関わったら帰り道になにされるかわからないよ!流石の麻理ちゃんも竹刀がないとどうしようもない。クロちゃんは運痴で逃げれない。
どうしようどうしようどうしよう………よし、この二人が嫌な目に合うくらいなら連絡先を渡そう。
そう決意した時だった。
軽い調子で話かけてきた男の子。まるで揺るがない様子で、恫喝する6人にも何にも臆することなく対峙した。私達3人を背中に回して。
私は不謹慎にもドキドキした。同じ男性店員も助けにこない。周りのサラリーマンも見て見ぬふり。男なんてこんなもんなんだなんて考えていた私の前に立ってくれた……。
まるで、あの絵本の……。
は! いけない!
相手は6人だ。勇気を持ってくれたのはいいけど、そこまで強そうには見えない。むしろ華奢で…オシャレで…清潔感があって…
は! いけない! 止めないと!
「あ、あの!」
「君が犠牲になる必要はないんだよ」
私の目を真っ直ぐ見て、朗らかに笑い、まるで今日の雨を吹き飛ばすような、そんなお日さまみたいな笑顔をして……そう言って6人と出て行ってしまった…
……なんで私の考えてたこと、わかったんだろう……
これが……夫婦?
……つまりわたしは、嫁?
「莉里衣、大丈夫?」
「大丈夫だったか?」
は! いけない!
「もう! 二人とも心配は嬉しいけど私は店員だから大丈夫なのに! 麻理ちゃんは竹刀ないと何もできないし、クロちゃんは運痴だから逃げられないのに! 心配させないで!」
「…なんかめっちゃ腹立つ。けど言い返せない」
「……竹刀ないと何もできない……」
もっと反省して! 二人に何かあったら、ほんとどうしようかと思ったよ……
「それよりさっきの人…大丈夫かな…」
「わからんが、見に行ってくる。傘もある」
「そうだね。ボクが暴行の現場を押さえるよ」
「は? 私の言うことちゃんと聞いてた?」
何言ってんの、このポンコツたちは。
─────────
| 赤城 麻理
日曜朝の稽古を終え、待ち合わせ場所に向かう。クロエはもう来ているだろう。
時間に余裕を持っていたのに、いつも足りなくなる。今日は……雨のせいだ。
今日は莉里衣のアルバイト先に観察に行く日だ。いつもいつも小言を言ってお姉さんぶる幼馴染の恥ずかしいところを眺めに行く日だ。
私は見た目より随分とだらしなく見えるらしく、いつも莉里衣とクロエに怒られてばかりだ。だから莉里衣の情け無いところを眺めて溜飲を下げるのだ。
白崎莉里衣。亜麻色の髪をセミロングに切り揃え、くっきり二重の大きな目。スタイルもよく、柔らかい表情を絶やさない、可愛い幼馴染だ。
妄想出会い厨だけど。
高校二年に進級してから何か莉里衣が悩んでいた事は知っていた。問いかけても誤魔化すばかり。そんな中、莉里衣がアルバイトを始めた。なんでもあがり症を治したいらしい。
でも私達二人にはバレている。こいつは出会いを求めていると。
待ち合わせ場所にはやっぱりクロエが先にいた。
「おそいよ」
「まだ五分しか過ぎていない」
「それを遅刻というんだよ」
「すまない、あたっ」
背が低いため、頭を叩けないからかクロエはいつも脛を蹴ってくる。それを突っ込んだらもう一回蹴ってくる。
まったくクロエは堪え症がない。少しはのんびりしたら良いのに、まるでハツカネズミだ。言ったら怒るから言わないけど。
「罰としてパフェ奢りね」
「今蹴ったじゃないか」
「それは今までの利子だよ。この見た目詐欺め」
「気にしてるからやめてくれ」
私は幼い頃から実家の道場で稽古をつけていた。だから立ち振る舞いには自信がある。だけど、性格はズボラでのんびりしていて、少女漫画を愛する読書家なのだ。よく誤解されたまま幻滅される。女子に。
「ならボクの言うことも聞いてよね」
1番ルーズそうに見えるクロエが1番時間に厳しい。見た目詐欺はお互い様ではないだろうか。
言ったら蹴られるから言わないけど。
◆
「チージュ、だって」
「なんというか、不憫だな」
莉里衣はまた噛んでいた。チラッと見た席に座っているのは男の子一人だった。困惑が見てとれる。わかる。ふふ。
あの男……どこかで見た顔だ。スマホで履歴を探る。たしか、飛鳥馬が見せてくれた写真が…あった、これだ。
もう一度見て確信した。
うちに通う門下生、飛鳥馬遊子が写真を送ってきた写真の男の子だ。なんでも見かけたら教えてほしいと言っていた。でも今日は昼から稽古に来ているはず。
まあ、見かけたと会った時に言おう。
あとやたらとモテるらしい。随分と彼との出会いを聞かされたが、同じ話を三回聞かされたら、私は貝になる。それ以降は聞いてない。
体格を見るに、そんなに強そうではない。所詮素人だ。大方、飛鳥馬の思い出補正だろう。それにナンパ男はごめんだ。
◆
「ごめんなさい!」
どうやら莉里衣が客に迷惑をかけたようだ。あんなに必死に謝っているんだから大丈夫だろうと思っていたら、何やら雲行きが怪しくなってきた。
そいつら6人組は半ば恫喝するように莉里衣に絡み出した。
「ねえ」
「ああ、わかっている。助けないと」
莉里衣は昔から度胸はあった。ただし、それは女生徒の前だけだ。私のように稽古で男に慣れているわけじゃない。しかもよく見ると震えている。よほど怖いのだろう。
諌めようとこっちも半ば脅しをかけた。今の時代、監視カメラなんかそこら中にあるんだし、すぐに引っ込むだろう。
そう思っていたら今度はこっちを誘ってきた。莉里衣から手をひくからと。
クロエを見ると溜息を吐いた。莉里衣のためなら我慢してしまうクロエの気持ちは知っている。なら仕方ないか。諦めて適当に相手しよう。
その時だった。
さっきの男が立ち上がりこちらに来た。座っている時には気づかなかったが…
これは…強い。
あんなに綺麗な足運びは見たことがない。うちで1番強い師範代の父でもできない。歩いているのにまるで巨木だ。
目が離せない。
そんなふうに呆気にとられていた私を置いて、彼は男どもを連れて行ってしまった。
莉里衣は心配して声を掛けてくる。誰が竹刀ないとただの人か。こっちが心配していたのに、地味にショックだ。
しかもあれだけの所作を見たあとだ。自分の至らなさが手に取るようにわかる。見本とは、ああいうのを言うんだな…
どこの道場の人だろう。
そうなると俄然気になってきた。彼の戦い方を。もちろん私闘などうちでは禁止されているし、何より嫌悪してるくらいだ。
彼も多分そうだろう。
それを莉里衣を助けるために、名乗り出て、尚且つ私達にも害が及ばないようにしてくれた。
莉里衣に安心させるような優しい口調で声をかけていた彼が、何でもありな野蛮な喧嘩なんて流石に他勢に無勢ではないだろうか。
何より今日は雨だ。足元も不安だ。
………よし。
「それよりさっきの人…大丈夫かな…」
「わからんが、見に行ってくる。傘もある」
「そうだね。ボクが暴行の現場を押さえるよ」
「は? 私の言うことちゃんと聞いてた?」
小言は後で貝になって聞こう。
─────────
| 雨宮 クロエ
今朝は散々だった。この国の雨季は一年で、1番嫌な季節だった。朝から何度目になるかわからないセットをしていた。
「あーまとまらない~」
でももう出ないと。でも少しくらいいいか。雨だし。いや、いくら相手が遅刻常習犯だとしても、ボクの矜持が許さない。
案の定、待ち合わせ場所には麻理はいない。知ってたよ、わかってたんだ、ボク。
伊達に長年幼馴染をしていない。
けど、昨日あんなに言ったのに、そーですか。
相変わらずの遅刻具合に髪の事は気にならなくなってきた。あーそうですか。
これは、パフェだね。
あと絶対蹴ってやる。
本当は頭を小突きたいが身長差のため難しい。ジャンプすると幼馴染二人が心配する。誰が運痴だ!胸が重くて着地のバランスが変なんだよ!
…それ言ったら戦争だし止めておくけどさ。大国の余裕でも見せつけておくか。優しいからね、ボクは。
あ、やっと来た。
「おそいよ」
「まだ五分しか過ぎていない」
こいつはいっつもそれだ。しかも何にもワルいと思っていない。それを遅刻というんだよ。やっぱり蹴ろう。
「すまない、あたっ」
麻理の家は赤城一刀流の本家。幼い頃からボクも遊びに行っていたからどれくらい辛い稽古か知っている。それを何の苦労も感じさせずに熟す彼女は才能があるんだろう。
だから立ち振る舞いは綺麗だ。だけど性格は適当で、男みたいな無頓着さだ。
莉里衣と一緒になって指導したから見た目だけは騙せるようになった。ズボラなままで。
だから幻滅されるんだよ。
◆
「チージュ、だって」
「なんというか、不憫だな」
不憫、そう、莉里衣は不憫な子だ。出会い方なんて合コンとかで良いじゃん。うちの女子校は近隣高校から引くて数多のお嬢学校なんだし。
なのに偶然を求めて止まない。いや病まないか、この場合。
この偶然出会いたい病め。
チラッと覗いた席の子は、莉里衣の接客に困惑してる。わかるよ。クスクス。あれじゃそっちも出会えないよね。くすっ。
でもあの男の子、どこかで……確か、あった、あった。やっぱりエリカの推しの子だ。一時期、騒いでいた男子だ。一応目の保養に置いてたんだ。ボクもタイプだったからね。
エリカの和光家とボクの家は昔から繋がりがあった。だからエリカとは一つ違いだけど、所謂幼馴染と言える。ただ、そのエリカの話では随分おモテになるそうで。だから興味を無くしたっけ。
しかも聞かされたライバルが全員変わり者で、むしろ彼が可哀想に思ったっけ。
エリカも変わってるし。
でも日曜日のお昼に一人飯か。モテると聞かされた子が一人寂しくお昼ご飯だなんて、なんか不憫な感じだ。いや、待ち合わせかな。
そんなことを考えていたら莉里衣が絡まれ出した。なんでも客に飲み残しをぶっ掛けたらしい。しかもそれをネタに連絡先を揺すってくる。
そんな出会い方なんて莉里衣は望んでないから!
ますます症状が悪化する!
ぶっ掛けたまではいいけど、強請り集りはナシだ。しかもグループでの、もはや恫喝だ。すぐにスマホを録画に切り替える。
「ねえ」
「ああ、わかっている。助けないと」
麻理はこういう時は早い。街でのナンパも即断即決でかわす。普段からしろよ、と思わなくもないけど、このせいで遅刻もあんまり真剣に怒れない。
莉里衣への恫喝に、そっちがその気ならとこっちも脅しをかけた。こいつらは馬鹿だ。すぐにSNSに晒してやる。
そう思っていたら今度はこっちを誘ってきた。莉里衣に手を出さないって。
ボクは溜息を一つ吐いた。莉里衣は昔から自分を犠牲にしてボクを助けてくれた。見た目と口調でだいたいの女子を敵に回してしまうボクの。
はー。こいつらが諦めるまで、適当に相手しよっか。
その時だった。
エリカの推しメンがボクらの前に立った。
しかも莉里衣に、自分を犠牲にする必要なんてない、なんて、ステキな笑顔で…
しかも、推しメンは輩達を連れて出て行った。
これは………莉里衣の偶然出会いたい病の特効薬になってしまう。
まずい!
…いや、治っていいのか…?…。
いや、駄目だだめ。
相当モテるらしいし、多分沼だ。だいたいモテるやつは腕っ節なんて大したことないやつが多い。偏見だけど。度胸は、まあ、あるな。
でも1対6なんて勝てっこない。エリカには悪いけど、警察には言わず、情けないところを撮って幻滅させようかな。
そう最低なことを思案しながら、莉里衣に声を掛けた。そしたら返ってきたのはまさかの罵倒。
「もう! 二人とも心配は嬉しいけど私は店員だから大丈夫なのに! 麻理ちゃんは竹刀ないと何もできないし、クロちゃんは運痴だから逃げられないのに! 心配させないで!」
誰が運痴だ! 略すな! 運動が少し苦手なだけだ!
せっかく心配してやったのに。ただ、腹が立つけど何にも言えない。
莉里衣の言い分も冷静に考えればわかる。
頭に血が上っていたんだ。そうだ、あの輩達を連れ出してくれたからこそ、ボク達に害はないし、そこは感謝だ。
……やっぱり現場を押さえて暴行の証拠を掴むか。感謝を込めて。借りっぱなしは嫌なんだよね。
………よし。
「それよりさっきの人…大丈夫かな…」
「わからんが、見に行ってくる。傘もある」
「そうだね。ボクが暴行の現場を押さえるよ」
「は? 私の言うことちゃんと聞いてた?」
大丈夫、ちゃんと幻滅させるから。
アルバイトを始めて一月。木曜日の放課後と日曜日の半日。週2回の私の特訓の日。
元来、人付き合いが苦手な私は、高校二年生になってから一念発起し、計画を練り出した。せめて人並みに話せるようにと接客業を選んだ、と親友二人には伝えている。
表向きは。
でも本当は違う。女子校だし、こんなんじゃ彼氏も出来やしない。ファミレスで出会いとかちょっと想像と違うけど、まあお試しだ。そして、一度で良いからデートしてみたいんだ。そう、素敵な私の……。
そう思って始めてみたけど…未だに噛む。カミカミだ。なんで噛んじゃうかなー。
何でサ行ばっかり噛むかなー。ましゅってなんなのよ。でしゅってさー。はー…
親友二人は今日も来てくれている。生まれた時からの幼馴染たち。みんな3月14日のホワイトデーが誕生日。同じ日に生まれたことを特別視して以来、ずーと親友だ。高校も同じ、大前女子。
赤城麻理、マリちゃん。まっすぐとした長い黒髪を今日はポニテにしてる。実家は赤城一刀流の道場で、そのせいか刀のような凛とした佇まいが格好良い美人な女の子だ。そのせいか学校ではモテモテだ。女子校で。本人は気にしてたけど。
けど見た目とは正反対のズボラさで、いつも私とクロちゃんに怒られる。そういう時は目を開けたままだいたい貝になる。
雨宮クロエ、クロちゃん。お父さんが外国人のハーフ。小顔でふわふわ金髪、ぱっちりお目目に深緑の瞳、背は三人の中で1番低い。背だけお母さん。二人が高いだけだ!っていつも怒る。運動音痴。それを言うといつもかなり怒る。
今日は雨だから髪が決まらず機嫌が悪いはず。そして胸が1番おっきい。いつもマウントを取ってくる。
私はそれなりにある。麻理ちゃんより。
そんな昼時に不幸はやってきた。男6人のテーブル席。オーダーはぐちゃぐちゃ。テーブルの上もぐちゃぐちゃ。ドリンクバーのグラスも大量。用もないのに呼び止める。
わたしの愛想が無いのを見抜かれたのか、下げようとしたグラスを持った時、肘を押されて一人にこぼさせた。
無茶苦茶だ。この人たち…。
ずーと女学校だったから男の人は小説や漫画で想像するだけで、こんなにも野蛮だなんて思っても見なかった。はー…百合に走る気持ちがわかってしまった。
とりあえず謝ろうとしたら思っても見ないことにまた遭遇した。
この人達は出会いのきっかけを自作自演したんだ!
私がどれだけ出会いに妄想染みた思いを秘めてると思っているんだ!
ワナワナと震え、腹が立ってきた。
そう思ったらカミカミ癖は鳴りを潜め、毅然とした態度をとれた。やるじゃんわたし。
ただこの人達は諦めなかった。声も荒げ、半ば恫喝するように誘ってきた。流石にそれには昂った気持ちも萎み、怖くなってきた。女の子なら大丈夫なのに。
でもお店にいる以上、ある一線までは超えないだろうと思い、諦めてくれるまで謝ろうとした。
それに我慢ならなかったのは親友二人だった。あ!止めて。私は店員だから最悪警察呼べばいいけど、二人が関わったら帰り道になにされるかわからないよ!流石の麻理ちゃんも竹刀がないとどうしようもない。クロちゃんは運痴で逃げれない。
どうしようどうしようどうしよう………よし、この二人が嫌な目に合うくらいなら連絡先を渡そう。
そう決意した時だった。
軽い調子で話かけてきた男の子。まるで揺るがない様子で、恫喝する6人にも何にも臆することなく対峙した。私達3人を背中に回して。
私は不謹慎にもドキドキした。同じ男性店員も助けにこない。周りのサラリーマンも見て見ぬふり。男なんてこんなもんなんだなんて考えていた私の前に立ってくれた……。
まるで、あの絵本の……。
は! いけない!
相手は6人だ。勇気を持ってくれたのはいいけど、そこまで強そうには見えない。むしろ華奢で…オシャレで…清潔感があって…
は! いけない! 止めないと!
「あ、あの!」
「君が犠牲になる必要はないんだよ」
私の目を真っ直ぐ見て、朗らかに笑い、まるで今日の雨を吹き飛ばすような、そんなお日さまみたいな笑顔をして……そう言って6人と出て行ってしまった…
……なんで私の考えてたこと、わかったんだろう……
これが……夫婦?
……つまりわたしは、嫁?
「莉里衣、大丈夫?」
「大丈夫だったか?」
は! いけない!
「もう! 二人とも心配は嬉しいけど私は店員だから大丈夫なのに! 麻理ちゃんは竹刀ないと何もできないし、クロちゃんは運痴だから逃げられないのに! 心配させないで!」
「…なんかめっちゃ腹立つ。けど言い返せない」
「……竹刀ないと何もできない……」
もっと反省して! 二人に何かあったら、ほんとどうしようかと思ったよ……
「それよりさっきの人…大丈夫かな…」
「わからんが、見に行ってくる。傘もある」
「そうだね。ボクが暴行の現場を押さえるよ」
「は? 私の言うことちゃんと聞いてた?」
何言ってんの、このポンコツたちは。
─────────
| 赤城 麻理
日曜朝の稽古を終え、待ち合わせ場所に向かう。クロエはもう来ているだろう。
時間に余裕を持っていたのに、いつも足りなくなる。今日は……雨のせいだ。
今日は莉里衣のアルバイト先に観察に行く日だ。いつもいつも小言を言ってお姉さんぶる幼馴染の恥ずかしいところを眺めに行く日だ。
私は見た目より随分とだらしなく見えるらしく、いつも莉里衣とクロエに怒られてばかりだ。だから莉里衣の情け無いところを眺めて溜飲を下げるのだ。
白崎莉里衣。亜麻色の髪をセミロングに切り揃え、くっきり二重の大きな目。スタイルもよく、柔らかい表情を絶やさない、可愛い幼馴染だ。
妄想出会い厨だけど。
高校二年に進級してから何か莉里衣が悩んでいた事は知っていた。問いかけても誤魔化すばかり。そんな中、莉里衣がアルバイトを始めた。なんでもあがり症を治したいらしい。
でも私達二人にはバレている。こいつは出会いを求めていると。
待ち合わせ場所にはやっぱりクロエが先にいた。
「おそいよ」
「まだ五分しか過ぎていない」
「それを遅刻というんだよ」
「すまない、あたっ」
背が低いため、頭を叩けないからかクロエはいつも脛を蹴ってくる。それを突っ込んだらもう一回蹴ってくる。
まったくクロエは堪え症がない。少しはのんびりしたら良いのに、まるでハツカネズミだ。言ったら怒るから言わないけど。
「罰としてパフェ奢りね」
「今蹴ったじゃないか」
「それは今までの利子だよ。この見た目詐欺め」
「気にしてるからやめてくれ」
私は幼い頃から実家の道場で稽古をつけていた。だから立ち振る舞いには自信がある。だけど、性格はズボラでのんびりしていて、少女漫画を愛する読書家なのだ。よく誤解されたまま幻滅される。女子に。
「ならボクの言うことも聞いてよね」
1番ルーズそうに見えるクロエが1番時間に厳しい。見た目詐欺はお互い様ではないだろうか。
言ったら蹴られるから言わないけど。
◆
「チージュ、だって」
「なんというか、不憫だな」
莉里衣はまた噛んでいた。チラッと見た席に座っているのは男の子一人だった。困惑が見てとれる。わかる。ふふ。
あの男……どこかで見た顔だ。スマホで履歴を探る。たしか、飛鳥馬が見せてくれた写真が…あった、これだ。
もう一度見て確信した。
うちに通う門下生、飛鳥馬遊子が写真を送ってきた写真の男の子だ。なんでも見かけたら教えてほしいと言っていた。でも今日は昼から稽古に来ているはず。
まあ、見かけたと会った時に言おう。
あとやたらとモテるらしい。随分と彼との出会いを聞かされたが、同じ話を三回聞かされたら、私は貝になる。それ以降は聞いてない。
体格を見るに、そんなに強そうではない。所詮素人だ。大方、飛鳥馬の思い出補正だろう。それにナンパ男はごめんだ。
◆
「ごめんなさい!」
どうやら莉里衣が客に迷惑をかけたようだ。あんなに必死に謝っているんだから大丈夫だろうと思っていたら、何やら雲行きが怪しくなってきた。
そいつら6人組は半ば恫喝するように莉里衣に絡み出した。
「ねえ」
「ああ、わかっている。助けないと」
莉里衣は昔から度胸はあった。ただし、それは女生徒の前だけだ。私のように稽古で男に慣れているわけじゃない。しかもよく見ると震えている。よほど怖いのだろう。
諌めようとこっちも半ば脅しをかけた。今の時代、監視カメラなんかそこら中にあるんだし、すぐに引っ込むだろう。
そう思っていたら今度はこっちを誘ってきた。莉里衣から手をひくからと。
クロエを見ると溜息を吐いた。莉里衣のためなら我慢してしまうクロエの気持ちは知っている。なら仕方ないか。諦めて適当に相手しよう。
その時だった。
さっきの男が立ち上がりこちらに来た。座っている時には気づかなかったが…
これは…強い。
あんなに綺麗な足運びは見たことがない。うちで1番強い師範代の父でもできない。歩いているのにまるで巨木だ。
目が離せない。
そんなふうに呆気にとられていた私を置いて、彼は男どもを連れて行ってしまった。
莉里衣は心配して声を掛けてくる。誰が竹刀ないとただの人か。こっちが心配していたのに、地味にショックだ。
しかもあれだけの所作を見たあとだ。自分の至らなさが手に取るようにわかる。見本とは、ああいうのを言うんだな…
どこの道場の人だろう。
そうなると俄然気になってきた。彼の戦い方を。もちろん私闘などうちでは禁止されているし、何より嫌悪してるくらいだ。
彼も多分そうだろう。
それを莉里衣を助けるために、名乗り出て、尚且つ私達にも害が及ばないようにしてくれた。
莉里衣に安心させるような優しい口調で声をかけていた彼が、何でもありな野蛮な喧嘩なんて流石に他勢に無勢ではないだろうか。
何より今日は雨だ。足元も不安だ。
………よし。
「それよりさっきの人…大丈夫かな…」
「わからんが、見に行ってくる。傘もある」
「そうだね。ボクが暴行の現場を押さえるよ」
「は? 私の言うことちゃんと聞いてた?」
小言は後で貝になって聞こう。
─────────
| 雨宮 クロエ
今朝は散々だった。この国の雨季は一年で、1番嫌な季節だった。朝から何度目になるかわからないセットをしていた。
「あーまとまらない~」
でももう出ないと。でも少しくらいいいか。雨だし。いや、いくら相手が遅刻常習犯だとしても、ボクの矜持が許さない。
案の定、待ち合わせ場所には麻理はいない。知ってたよ、わかってたんだ、ボク。
伊達に長年幼馴染をしていない。
けど、昨日あんなに言ったのに、そーですか。
相変わらずの遅刻具合に髪の事は気にならなくなってきた。あーそうですか。
これは、パフェだね。
あと絶対蹴ってやる。
本当は頭を小突きたいが身長差のため難しい。ジャンプすると幼馴染二人が心配する。誰が運痴だ!胸が重くて着地のバランスが変なんだよ!
…それ言ったら戦争だし止めておくけどさ。大国の余裕でも見せつけておくか。優しいからね、ボクは。
あ、やっと来た。
「おそいよ」
「まだ五分しか過ぎていない」
こいつはいっつもそれだ。しかも何にもワルいと思っていない。それを遅刻というんだよ。やっぱり蹴ろう。
「すまない、あたっ」
麻理の家は赤城一刀流の本家。幼い頃からボクも遊びに行っていたからどれくらい辛い稽古か知っている。それを何の苦労も感じさせずに熟す彼女は才能があるんだろう。
だから立ち振る舞いは綺麗だ。だけど性格は適当で、男みたいな無頓着さだ。
莉里衣と一緒になって指導したから見た目だけは騙せるようになった。ズボラなままで。
だから幻滅されるんだよ。
◆
「チージュ、だって」
「なんというか、不憫だな」
不憫、そう、莉里衣は不憫な子だ。出会い方なんて合コンとかで良いじゃん。うちの女子校は近隣高校から引くて数多のお嬢学校なんだし。
なのに偶然を求めて止まない。いや病まないか、この場合。
この偶然出会いたい病め。
チラッと覗いた席の子は、莉里衣の接客に困惑してる。わかるよ。クスクス。あれじゃそっちも出会えないよね。くすっ。
でもあの男の子、どこかで……確か、あった、あった。やっぱりエリカの推しの子だ。一時期、騒いでいた男子だ。一応目の保養に置いてたんだ。ボクもタイプだったからね。
エリカの和光家とボクの家は昔から繋がりがあった。だからエリカとは一つ違いだけど、所謂幼馴染と言える。ただ、そのエリカの話では随分おモテになるそうで。だから興味を無くしたっけ。
しかも聞かされたライバルが全員変わり者で、むしろ彼が可哀想に思ったっけ。
エリカも変わってるし。
でも日曜日のお昼に一人飯か。モテると聞かされた子が一人寂しくお昼ご飯だなんて、なんか不憫な感じだ。いや、待ち合わせかな。
そんなことを考えていたら莉里衣が絡まれ出した。なんでも客に飲み残しをぶっ掛けたらしい。しかもそれをネタに連絡先を揺すってくる。
そんな出会い方なんて莉里衣は望んでないから!
ますます症状が悪化する!
ぶっ掛けたまではいいけど、強請り集りはナシだ。しかもグループでの、もはや恫喝だ。すぐにスマホを録画に切り替える。
「ねえ」
「ああ、わかっている。助けないと」
麻理はこういう時は早い。街でのナンパも即断即決でかわす。普段からしろよ、と思わなくもないけど、このせいで遅刻もあんまり真剣に怒れない。
莉里衣への恫喝に、そっちがその気ならとこっちも脅しをかけた。こいつらは馬鹿だ。すぐにSNSに晒してやる。
そう思っていたら今度はこっちを誘ってきた。莉里衣に手を出さないって。
ボクは溜息を一つ吐いた。莉里衣は昔から自分を犠牲にしてボクを助けてくれた。見た目と口調でだいたいの女子を敵に回してしまうボクの。
はー。こいつらが諦めるまで、適当に相手しよっか。
その時だった。
エリカの推しメンがボクらの前に立った。
しかも莉里衣に、自分を犠牲にする必要なんてない、なんて、ステキな笑顔で…
しかも、推しメンは輩達を連れて出て行った。
これは………莉里衣の偶然出会いたい病の特効薬になってしまう。
まずい!
…いや、治っていいのか…?…。
いや、駄目だだめ。
相当モテるらしいし、多分沼だ。だいたいモテるやつは腕っ節なんて大したことないやつが多い。偏見だけど。度胸は、まあ、あるな。
でも1対6なんて勝てっこない。エリカには悪いけど、警察には言わず、情けないところを撮って幻滅させようかな。
そう最低なことを思案しながら、莉里衣に声を掛けた。そしたら返ってきたのはまさかの罵倒。
「もう! 二人とも心配は嬉しいけど私は店員だから大丈夫なのに! 麻理ちゃんは竹刀ないと何もできないし、クロちゃんは運痴だから逃げられないのに! 心配させないで!」
誰が運痴だ! 略すな! 運動が少し苦手なだけだ!
せっかく心配してやったのに。ただ、腹が立つけど何にも言えない。
莉里衣の言い分も冷静に考えればわかる。
頭に血が上っていたんだ。そうだ、あの輩達を連れ出してくれたからこそ、ボク達に害はないし、そこは感謝だ。
……やっぱり現場を押さえて暴行の証拠を掴むか。感謝を込めて。借りっぱなしは嫌なんだよね。
………よし。
「それよりさっきの人…大丈夫かな…」
「わからんが、見に行ってくる。傘もある」
「そうだね。ボクが暴行の現場を押さえるよ」
「は? 私の言うことちゃんと聞いてた?」
大丈夫、ちゃんと幻滅させるから。
4
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる