異世界帰りの僕が100人斬りの勇者だなんてまだ誰にも知られていない ~帰還した元勇者の爛れたラブコメディ~

墨色

文字の大きさ
88 / 156
悪魔の討伐

肘撃ち姫

しおりを挟む
| 初芝 朋花


 身体がじんじんする。

 お腹の奥もじんじんする。

 火照った頬は急に好きピがKISSするから…

 『心に身体を委ねて』

 しゅきピはそう言った。途端にあんなにも恐れていた葛川と下出が矮小に見えた。

 瞬間、私は飛び出し、二人の頬を殴った。

 呆気にとられ、無様な顔を晒す二人。

 ああ、なんだ…こいつら偽物だ。

 愛香の話は、ほんとだったんだ。

 メグミ、私、やるわ。





 今日のお昼休み。ミーとマーヤに初えっちの話を聞き出した。二人ともやっぱり痛くって未遂だったようだ。

 私の体験を伝えたら墓穴を掘った。


「そんなわけないじゃん! ファンタジーかょ! 痛くって途中で頬張ったし!」

「それな。妄想乙。うちも一生しなくていいし」

「……ヤッてないじゃん、二人とも」

「あ!」
「う!」


 やっぱりね。なんて思った。でも確認したかったのはそんな事じゃない。

 愛香と好きピと私の共演ビデオ。愛香が帰っても繰り返し見ていた。身体には元気がありあまり、何度果てても追いつかないくらいだった。その時の違和感。

 あんな剛直がすんなりと入って来た時の違和感。

 最初はあんなに解されたからかなとか思ってたけど、徐々に不思議に感じてきた。

 好きピには何かある。

 さっきの廊下。愛香の前で不安を口にした時の撫で撫で。明らかに細胞が喜びの声をあげていた。

 私は意識を少しずらして観察していた。元々根暗な私は幼少の頃から人の観察をずっとしてきていた。それなりに見る目には長けていると自負していた。

 それを初めて自分に意識を向けてみた。

 そうしたら、髪ツヤッツヤ。頭超スッキリ。心に爽やかな風が吹いた。細胞が喜んでいた。これだ、初めて撫で撫でされた時はこれだったんだ。

 やっぱり好きピには何かある。

 だから……メグミもきっと助かる。





 そして体育館裏での、葛川と下出が見てる前での顎クイからの突然のKISS。そして求愛の鼻ダンス。撫で撫で付き。…しゅきピ。

 唇が離れ、名残惜しく思った瞬間、身体中から立ち昇るジュワっと点火したような火照り。私が吐き出したい欲求の全てが叶うということが、何でも出来てしまうということが…わかる! 


『心に身体を委ねて』


 あは。

 あは、あは、あはははははは!


「いっでぇ! こいついきなり殴るとか…狂ってんのか?! ぶびゃ!?」

「おれの口から血が… どうなるかわかってんの?! …初芝さ、ん? ぎゃっ!?」

「あっはーん、しゅごい…」


 きんもちいぃー。何これ。何これ。何これ。葛川と下出の動きが超スロー! 亀! 

 これが…しゅきピの力の正体……KISS…つまり、私としゅきピの愛の大きさを力に変える能力…?

 ───だからこんなに力が…?

 チラリとしゅきピを見る。

 笑顔でうんうん頷いている。

 そうなんだ。やっぱりそうなんだ!

 とりあえず二人。

 メグミンの無念…しゅきピとの愛のPOWERで圧倒してやる!

 メグミ! やるよ! メグミ! 

 ……でも、メグミの事をクズ共に教えるのはまだだ。

 さっきの中田の話。しゅきピのお友達? が動いているし。邪魔しちゃいけない。

 後で何友達かキッチリ聞かないといけない。

 …蹴ってもみたいけど……こいつら如きにパンチラするわけにはいかない…見せて良いのはしゅきピだけ… 手は…後でヌコヌコしてあげたいし汚したくない。なら…でも、これ、野蛮かなぁ? しゅきピ、引くかなぁ…可愛くないかなぁ。

 あんまり見ないでね…


「お前っ!! ブホォ! く、狂ってんのか!?」

「あは、おっそ。何、クズのくせにノロマとか。狂ってんのはてめーだろ。クズ川物語、読んでこいよ。…やだ。京ピ、そんなにじっと見ないで! 恥ずかしいよ~」


「おれの血が! ボファ! また血ぃ?!」

「血くらいでなに狼狽えてんの、ダッサ。あーしらならいつもの事だっつーの。あ、京ピ、やっぱり見てて、見ててね。私の初めて、見ててね! あは! 絶対上手くするからぁ! あっはー!」


「………」





| 藤堂 京介


 ちょっと、込め過ぎたのかもしんない。

 元世界初の飛び込み営業ゆえに力が入りすぎたのかもしんない。

 ま、いっか。

 何より楽しそうだしね。うんうん。さっきの陰鬱な表情なんて似合わないよ。素敵だよ。輝いてるよ。羽ばたいてるよ。いいね! その調子だ! そう、抉るように! そこだ! いけっ!


「にゃ、んで、女ごと、きにふべっ!」


 ──おーっと朋花選手、掴もうとする葛川選手の手を叩き落とし、そのまま縦に構えた肘で下から顎に肘鉄ぅー! どうやら長く楽しむためか手加減気味だぁー!

「ぐじょぉ!」

 堪らずたたらを踏む葛川選手! 悔しさを口にするぅー! ただただ無様ぁー! イケメンが台無しだぁー!

 そしてそこに後ろから下出選手が朋花選手に掴みかかるが、つ・か・め・な・いぃぃー! 

「ごのぉ! 何で掴めない!」

「あっは」

 五感を強化された朋花選手は空間を完璧に把握しているぅぅ! 夕暮れが始まる中! 無邪気に笑い! 悪漢を軽やかに躱す姿は例えるなら、そう! まるで夜の舞踏会に舞い降りた可憐な姫っ! 両の肘を軽やかに撃ち振るう、肘鉄の姫だぁぁぁ──!!
 

「くそ、くっすんは……もう駄目か、クソッ! やってやる!」

「朋花ぁ! 舐めやがって! お前は犯して壊す! ごらぁ!」

「あは、あはっはっはー。いやーん、京ピ、怖いよ~」


 葛川選手、下出選手の攻撃、その全てが、空振りぃぃ! その全てが、空間を支配している姫の前では無駄無駄無駄ぁぁぁ──! 


「なん、で当たらない! べがっ!」


 朋花選手、下出選手の攻撃を回転しながら躱し、そのまま横からぁーやっぱり顔に肘ぃぃー! 綺麗に決まったぁぁぁー! 尻餅をつく下出選手ー! 膝が笑ってるぅぅぅ! 姫の前では頭が高いぃぃぃぃ!


「ぃやん。京ピ、見え…た?」


 そして朋花選手、フワリと舞うスカートを押さえ……ない! そのまま両の肘を正面に構え口元をグーで隠したままチラリとこちらを見ての一言は絶妙ぉぉの匙加減んんん! 初めての戦闘にも関わらず、華を添えるアクセントにも工夫を惜しまないぃぃ! あざといなんて言わせないぃぃぃ! まさに姫! ああ、これが、これが初芝朋花の真の姿だぁぁぁぉぉぉー!

 しかし彼女の肘への拘りはいったいなんなのか! いったい彼女の肘には何が宿っているというのかぁぁあー!! すでに彼女の両の肘には綺麗に血の花が仲良く咲いているぅぅー! はっ!! つまり朋花とは! そういうことだったのかぁぁぁぁー!!


「───べぎゃ」


 そしてやっぱり最後は顔面肘打ちフィニッシュぅぅぅー! 葛川選手も朋花選手の攻撃に堪えきれず尻餅をつくぅぅー! 姫の前では、頭・が・た・か・いィィィィィッ!!!

 正確な肘鉄で相手を少しずつ削り、とどめは相手の力も利用した肘打ちフィニッシュ──! ……つまり、今宵はぁ────

 肘撃ち姫の爆誕だぁぁぁぁぁ────



 いや、違くて。

 朋花とはーとかじゃなくて。

 今宵はーとかじゃなくて。

 あまりにも綺麗に肘しか使わないものだから、つい拙いながらも脳内実況してしまった。

 こう、恥じらいながらスカートに配慮している姿もまたGOOD。しかし、随分と肘に拘るんだな。これはポンポンとか持せたくなるな。


 でも、初めての飛び込み営業の割には顧客満足度は高そうだ。うんうん。僕にとっても初の営業成果だしね。うんうん。

 後は…商品の使い心地とかかな?


「朋花、…どう?」

「しゅっごく、気持ちいー! あっはー! 快・感んんっ……ほらクズ共、早く立ちなさいよ」

「うぐぅぅ」
「ひぃぃ」


「………」


 うん。この昂りは、アレだな。

 後で、アレだな。

 ま、いっか。

 索敵で探る。体育館には人は居る。

 重機の裏には人は居ない。

 火照った身体のケアも、セーフティーゾーンの確保も完璧安心サポートだ!

 思う存分、やっちゃえTOMOKA!

 GO GO TOMOKA!

 いけいけTOMOKA!


「あっはぁ────!」

「ひぃ────」

「も、う許してく──」





 朋花は一頻り満足したのか、2度、葛川と下出をダウンをさせた後に、僕の方を向いてピタリと止まった。

 右の太腿に左手を添え、そのままスルスルと制服のスカートをたくし上げだした。

 右の肘は構えたままだ。

 ……身体を捻りSラインを描くとか…

 肘の血も気にならないくらいまんざらでもない。

 あと少しで、パンチラするところまででピタリと止め、右拳を口元に当てながら、こんな事を言い出した。


「はぁーっ、はぁーっ、はぁー…、ねえ、京ピィ……身体が、奥が、じんじん、じんじん……火照って、ね? しょの…ね?…」


 ごくり。


「………在れ "タイダプ"」


 よし。ぶっ倒れてる二人に拘束かけたから大丈夫。

 そして、索敵でも大丈夫。

 洗浄もこれから大丈夫。

 そして、下が土でも大丈夫。

 我が社のスタンダードプランにオプションで入っている、立ち技。

 ……まあまあ好評なんだ。


 ちょっと重機の裏、行こっか。




「……ここで?」

「うん、大丈夫だよ」

「う、うん。少し恥ずかしいけど…あ、愛香に聞いたのして良い?」

「うん? 良いけど……あ…う"っ」

「…ちゅっ、頑張るね。で、では…んちゅ、ちゅ、ちゅぱ、あむ、じゅぷ、じゅぷ、んちゅ、ちゅ、むちゅ」





「けほ、けほ、んぐ…はー…飲んだよ。それで、その、つ、つぎはこっちに、お、お願いしましゅ…あ、整えてきたから、その、パンツ、ずらしても大丈夫…」

「なら、立って。そうそこに手をついて」

「? う、うん…あ! スカート! けっこうは、恥ずかしい!」

「とっても綺麗なおしりだよ。最初はゆっくりいくね」





「あっ、あっ、あっ、あっ──あ"っ! 声が、出ちゃうよお、あん、あっ、京ピィ」

「セーフティゾーンだから大丈夫だよ」





「何これ何これ何これ! しゅ、ごい! しゅごい、よお! 浮い、てる! わたし浮いてるよお! 飛んでるよお! あ"、 おぐに"! おぐに"っ! 突き刺さるよお! あ、あ、あ、あ、あん"ん"っ! あ、イクッ! またイキュッ! あ、また! いっくっ!」

「僕も、もうダメ…あ、イクよ!」

「! 一緒がいいのっ! お願い! しゅきしゅきしゅきい────!」





 そうしてスッキリとした僕は、薄らと意識を取り戻した葛川と下出に言う。


「葛川くん、下出くん。"檻"だっけ? そこに案内してよ」

「……ぅ、ぅ、う」

「………ぉぁ、ぅ」

「しゅきー…、しゅきー…」


 息も絶え絶えな………3人。

 やっちゃったぜ、KYOUSUKE
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...