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29話 考察会議は踊る!~部位破壊、会者定離編~
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「それでは、最初の議題ですが。
部位破壊についてにしましょうか」
お、これは俺がやったやつだな。
「いや~、私はそこにいなかったんでどんな感じでやったのか気になりますね!
狂人や蛮族と呼ばれる【包丁戦士】さんの勇姿!
この目に焼きつけたかったですね……」
それは焼きつけなくていいから……
でも、これに関しては勝利のためのだめ押しになったので、わりと頑張ったんじゃないかと俺は思っている。
「たしかによくやってくれました。
あの部位破壊が無ければもしかするとあと二人くらいは死に戻りしていたかもしれませんね。
この部位破壊ですが、そもそも今まで成功したことがあるプレイヤーがいるとは聞いたことがありませんでした。
新緑都市アネイブル討伐のトッププレイヤーだった【包丁戦士】さんですらあれがはじめてだったんですよね?」
「その通りだ。
ただ、それについて奇妙なことに気づいたんだが話してもいいか?」
「いや~、奇妙なのは【包丁戦士】さんですよ」
俺よりもお前の方が奇妙だと思うぞ。
「どっちもどっちです。
それで?何に気づいたんですか?」
「俺の攻撃以外一切のダメージを受けていなかった。
称号の効果で攻撃力が落ちていたとはいえ群を抜いてチートのような動きをする【釣竿剣士】や人格に問題はあるがプレイヤースキルには文句のつけようがない【ペグ忍者】の攻撃ですらだ」
「たしかに奇妙ですね。
違いはわかりますか?」
「【釣竿剣士】は打撃、俺は斬擊だったな。
ただ、【ペグ忍者】も斬擊だったから攻撃の種類じゃないと思う」
「なるほどです。
そうなると……やはり深度、称号、ability、スキルのようなシステム上のステータス関係ですか」
「【検証班長】もそう思うか、俺もそのどれかだと睨んでる」
「いや~、深度だったら私が比較の対象になれたのですが残念です」
そうだが、お前には設置爆弾としての役割があったからな。
検証よりも役立ってくれたと思うぞ?
「そ、そうですか!!
じゃあまた頑張らないとですね!!」
謎の決意を固める爆弾魔はさておき、深度の高さの違い、持っている称号の性質、abilityの性能くらいかな?
あの時俺はスキル持ってなかったし。
「スキルは持っていないにしても、abilityは持っていたんですね?
【釣竿剣士】さんといい、なんだかんだ皆さん情報を隠し持っていますよね……」
「か、隠していたわけじゃないぞ……?
ability手に入れたのレイドボス討伐の前日だし伝えるタイミングが無かったんだわ……」
ギロッと睨んできた【検証班長】の目が怖かったのでとりあえずの言い訳をしておいた。
この人こんな目力強かったか……?(困惑)
「……そういうことにしておきましょうか。
ちなみにどんなabilityなんですか?」
とりあえず誤魔化せたな?
さて、あのデメリットしかない情報を伝えるか。
「abilityの名前は【会者定離】、【槌鍛治士】をキルし続けたらなんか手に入ったやつだ」
「えぇ……?
いや~、入手の経緯からして物騒すぎるんですが、それは……」
うるさいぞ、そこのロリ巨乳!
「abilityの能力はフレンドリストの全解除、他のプレイヤーとのフレンド登録が出来なくなる……というデメリットだけ表示されたぞ」
その情報を聞いた2人ははっとして、それぞれフレンドリストを確認し始めた。
「ほ、本当ですね……
こまめにフレンドリストを確認する習慣などないので気づきませんでした」
ちなみにフレンドリストに登録しておくと、そのフレンドのところに意図的に死に戻りできるようになったり、フレンドの位置が分かるようになるなどメリットはそれなりにある。
そのメリットが消失したのはかなり痛い。
今更ながらちょっと残念だな……と思った。
「いや~、デメリットきついですね……
でも、それだけデメリットがあるならメリットも大きいんじゃないですか?」
ちょっと期待したような上目遣いをしながらこっちを見てくるタンクトップロリ。
そういう動作があざといって言われるんだぞ!
「確かにリターンが大きくないと、そこまでのデメリットはかけられないはずです。
それで?どんな効力があるのですか、そのabilityは?」
「それは……」
「「それは……?」」
ごくり、という音が一瞬の静寂のなかに響き渡る。
2人が期待しているのがわかる。
その期待に俺は応える。
「わからん……」
「えぇ……それはないですよ……
いや~、隠さなくてもいいじゃないですか!」
頬をぷくーっと膨らませながら睨んでくる。
お前は小動物か?
「隠しているわけじゃない。
本当にわからない、ただ、部位破壊をしたときとかレイドボスを倒したときとか、【槌鍛治士】が倒れたときとかにabilityが発動したっていうアナウンスが流れたは流れた。
ただ、それがどういう効果なのか一切流れてないから意味不明なんだ」
持っている本人すら効果不明のabilityとか怖くない?
俺は怖い。
「なるほど、推測でよければ幾つか思いつくことがありますよ?」
「ほ、本当か!?
流石【包丁次元】のブレインだ!」
「やめてください。
そのabilityの発動タイミングからして特定の条件を満たしたキャラクターが倒れたときに発動するabilityということがまず考えられます。
【槌鍛治士】さんとジェーの共通点は何かありますか?」
……ある。
ものすごく思い当たるものがある。
「2人……?いや、1人と1匹か。
ともかく1人と1匹は俺のフレンドリストに残っている」
「いや~、さっきフレンドリストは全解除されたって言ってたじゃないですか!
嘘ついたんですか!?
それにレイドボスがフレンドリストに載ってるってどういうことですか!?」
とにかく驚くロリ巨乳。
「フレンドリストはたしかに全部解除された。
ただ、別のタブで一心同体リストっていうわけのわからんものが追加されていてそこに【槌鍛治士】の名前が移動していた。
ジェーがフレンドリストに載ったのはレイドボス中だ。
他のプレイヤーとフレンド登録出来なくなったというアナウンスだったが、ジェーは他のプレイヤーじゃないからできたんだろう。
それでもレイドボスとフレンド登録出来るなんて思わなかったが」
「とんでもないことしてますね【包丁戦士】さんは……
とりあえず仮説を進める上でその条件を前提にしますか。
つまり、フレンドリストに登録されている相手が倒された扱いになると発動するみたいですね。
効果は……そうですね……部位破壊できた理由としてこじつけるならabilityが発動する度に攻撃力が上がる、もしくはそのリストに載っている相手特効がつくというのが考えられますね。
他にも仮説はありますが、この方向で今度検証してみましょう。
……【槌鍛治士】さんを犠牲にして」
南無三。
ガチムチおっさんの顔を思い浮かべながらここにいる3人は目を閉じ、手のひらを合わせた。
おっさんは犠牲になる運命なのだ……
「部位破壊できた理由は【包丁戦士】さんのabilityが鍵になったということで閉幕です。
称号に関してはボクと同じものしか持っていないので、今回は論ずるに値しないです、ボクの攻撃は一切通らなかったですからね」
ビーカーを武器にしてたから攻撃が通らなかったっていう仮説は立てなくていいんかな?
いや、そんな仮説は立てても誰も幸せにならないからよしておこう……
【検証班長】のプライドがズタズタになる予感しかない。
「さて、次の議論に移りましょうか」
会議はまだまだ躍り続ける。
あの……はやく私を顕現させてくれませんかね?(懇願)
もう条件はほとんど満たせてると思うのですが……
【Bottom Down-Online Now loading……
部位破壊についてにしましょうか」
お、これは俺がやったやつだな。
「いや~、私はそこにいなかったんでどんな感じでやったのか気になりますね!
狂人や蛮族と呼ばれる【包丁戦士】さんの勇姿!
この目に焼きつけたかったですね……」
それは焼きつけなくていいから……
でも、これに関しては勝利のためのだめ押しになったので、わりと頑張ったんじゃないかと俺は思っている。
「たしかによくやってくれました。
あの部位破壊が無ければもしかするとあと二人くらいは死に戻りしていたかもしれませんね。
この部位破壊ですが、そもそも今まで成功したことがあるプレイヤーがいるとは聞いたことがありませんでした。
新緑都市アネイブル討伐のトッププレイヤーだった【包丁戦士】さんですらあれがはじめてだったんですよね?」
「その通りだ。
ただ、それについて奇妙なことに気づいたんだが話してもいいか?」
「いや~、奇妙なのは【包丁戦士】さんですよ」
俺よりもお前の方が奇妙だと思うぞ。
「どっちもどっちです。
それで?何に気づいたんですか?」
「俺の攻撃以外一切のダメージを受けていなかった。
称号の効果で攻撃力が落ちていたとはいえ群を抜いてチートのような動きをする【釣竿剣士】や人格に問題はあるがプレイヤースキルには文句のつけようがない【ペグ忍者】の攻撃ですらだ」
「たしかに奇妙ですね。
違いはわかりますか?」
「【釣竿剣士】は打撃、俺は斬擊だったな。
ただ、【ペグ忍者】も斬擊だったから攻撃の種類じゃないと思う」
「なるほどです。
そうなると……やはり深度、称号、ability、スキルのようなシステム上のステータス関係ですか」
「【検証班長】もそう思うか、俺もそのどれかだと睨んでる」
「いや~、深度だったら私が比較の対象になれたのですが残念です」
そうだが、お前には設置爆弾としての役割があったからな。
検証よりも役立ってくれたと思うぞ?
「そ、そうですか!!
じゃあまた頑張らないとですね!!」
謎の決意を固める爆弾魔はさておき、深度の高さの違い、持っている称号の性質、abilityの性能くらいかな?
あの時俺はスキル持ってなかったし。
「スキルは持っていないにしても、abilityは持っていたんですね?
【釣竿剣士】さんといい、なんだかんだ皆さん情報を隠し持っていますよね……」
「か、隠していたわけじゃないぞ……?
ability手に入れたのレイドボス討伐の前日だし伝えるタイミングが無かったんだわ……」
ギロッと睨んできた【検証班長】の目が怖かったのでとりあえずの言い訳をしておいた。
この人こんな目力強かったか……?(困惑)
「……そういうことにしておきましょうか。
ちなみにどんなabilityなんですか?」
とりあえず誤魔化せたな?
さて、あのデメリットしかない情報を伝えるか。
「abilityの名前は【会者定離】、【槌鍛治士】をキルし続けたらなんか手に入ったやつだ」
「えぇ……?
いや~、入手の経緯からして物騒すぎるんですが、それは……」
うるさいぞ、そこのロリ巨乳!
「abilityの能力はフレンドリストの全解除、他のプレイヤーとのフレンド登録が出来なくなる……というデメリットだけ表示されたぞ」
その情報を聞いた2人ははっとして、それぞれフレンドリストを確認し始めた。
「ほ、本当ですね……
こまめにフレンドリストを確認する習慣などないので気づきませんでした」
ちなみにフレンドリストに登録しておくと、そのフレンドのところに意図的に死に戻りできるようになったり、フレンドの位置が分かるようになるなどメリットはそれなりにある。
そのメリットが消失したのはかなり痛い。
今更ながらちょっと残念だな……と思った。
「いや~、デメリットきついですね……
でも、それだけデメリットがあるならメリットも大きいんじゃないですか?」
ちょっと期待したような上目遣いをしながらこっちを見てくるタンクトップロリ。
そういう動作があざといって言われるんだぞ!
「確かにリターンが大きくないと、そこまでのデメリットはかけられないはずです。
それで?どんな効力があるのですか、そのabilityは?」
「それは……」
「「それは……?」」
ごくり、という音が一瞬の静寂のなかに響き渡る。
2人が期待しているのがわかる。
その期待に俺は応える。
「わからん……」
「えぇ……それはないですよ……
いや~、隠さなくてもいいじゃないですか!」
頬をぷくーっと膨らませながら睨んでくる。
お前は小動物か?
「隠しているわけじゃない。
本当にわからない、ただ、部位破壊をしたときとかレイドボスを倒したときとか、【槌鍛治士】が倒れたときとかにabilityが発動したっていうアナウンスが流れたは流れた。
ただ、それがどういう効果なのか一切流れてないから意味不明なんだ」
持っている本人すら効果不明のabilityとか怖くない?
俺は怖い。
「なるほど、推測でよければ幾つか思いつくことがありますよ?」
「ほ、本当か!?
流石【包丁次元】のブレインだ!」
「やめてください。
そのabilityの発動タイミングからして特定の条件を満たしたキャラクターが倒れたときに発動するabilityということがまず考えられます。
【槌鍛治士】さんとジェーの共通点は何かありますか?」
……ある。
ものすごく思い当たるものがある。
「2人……?いや、1人と1匹か。
ともかく1人と1匹は俺のフレンドリストに残っている」
「いや~、さっきフレンドリストは全解除されたって言ってたじゃないですか!
嘘ついたんですか!?
それにレイドボスがフレンドリストに載ってるってどういうことですか!?」
とにかく驚くロリ巨乳。
「フレンドリストはたしかに全部解除された。
ただ、別のタブで一心同体リストっていうわけのわからんものが追加されていてそこに【槌鍛治士】の名前が移動していた。
ジェーがフレンドリストに載ったのはレイドボス中だ。
他のプレイヤーとフレンド登録出来なくなったというアナウンスだったが、ジェーは他のプレイヤーじゃないからできたんだろう。
それでもレイドボスとフレンド登録出来るなんて思わなかったが」
「とんでもないことしてますね【包丁戦士】さんは……
とりあえず仮説を進める上でその条件を前提にしますか。
つまり、フレンドリストに登録されている相手が倒された扱いになると発動するみたいですね。
効果は……そうですね……部位破壊できた理由としてこじつけるならabilityが発動する度に攻撃力が上がる、もしくはそのリストに載っている相手特効がつくというのが考えられますね。
他にも仮説はありますが、この方向で今度検証してみましょう。
……【槌鍛治士】さんを犠牲にして」
南無三。
ガチムチおっさんの顔を思い浮かべながらここにいる3人は目を閉じ、手のひらを合わせた。
おっさんは犠牲になる運命なのだ……
「部位破壊できた理由は【包丁戦士】さんのabilityが鍵になったということで閉幕です。
称号に関してはボクと同じものしか持っていないので、今回は論ずるに値しないです、ボクの攻撃は一切通らなかったですからね」
ビーカーを武器にしてたから攻撃が通らなかったっていう仮説は立てなくていいんかな?
いや、そんな仮説は立てても誰も幸せにならないからよしておこう……
【検証班長】のプライドがズタズタになる予感しかない。
「さて、次の議論に移りましょうか」
会議はまだまだ躍り続ける。
あの……はやく私を顕現させてくれませんかね?(懇願)
もう条件はほとんど満たせてると思うのですが……
【Bottom Down-Online Now loading……
応援ありがとうございます!
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