Comet has passed

縹船シジマニア

文字の大きさ
上 下
8 / 24
夢の国の運命

7話:インフィニット・ファランクス

しおりを挟む
 さっきの疲れを取ったあと、私たちは自然をテーマとしたエリア『ネイチャーランド』へと行くことにした。

「緑が広がっていて、池もあるね。小鳥のさえずりも聞こえるこんな静かなエリアが、うるさい遊園地にあるなんて意外だなぁ」
「綾ちゃん、ここは人気ないし、なによりも異能力バトル場があるじゃん! 誰かやらないか?」
「信濃ちゃん、勝負を挑むよ! そして、存在感を返してもらうよ!」
「ふーん、いいよ。来いよ!」
「お金は負けた人が払う、これでいいね?」
「いいよ、だって負けるはずないもん!」

 お互いに負けないと思っている二人、これならばいい勝負になりそうだ!
 舞台となるのは森を模したバトル会場、柵があって、そこで魔法が跳ね返る仕組みになっている。頭脳戦になるかもしれないね。

 お互いに戦場へと足を踏み入れる。

「勝負の時だね、佳奈ちゃん、覚悟は出来ているかい?」
「……、そちらこそ。信濃ちゃん、私に殺される覚悟は出来ているのか?」
「殺したら人間的に負けだな」
「ならば精神的に殺すのみ! 行くよ、『インフィニット・ファランクス』!」

 佳奈は人形を創生し、操ることができる。創生された人形は一時間経つと消える。だから奥の手の人形は買っている。
 ところで、『インフィニット・ファランクス』は多数の槍を持った、鮮やかな色彩の服の人形を創生し、一気に攻める技である。

 質より量、それが佳奈の基本的な行動パターンである。人形を創生するだけなら魔力をそんな使わないらしいし。

「……くっ……。でも、ちょろいな……、ちょろいんだよぉ!」
「それしか言えないのか? 私の色彩豊かな服の人形にやられたのか、いつも難解な言葉で攻めるくせにさー」
「うるさいですなぁ、少しは口をふさげ!」

 図星をつかれた際、激昂げきこうしやすいのが信濃路の欠点である。一回怒りのあまり机を壊して、親を呼び出された。
 ……、あー、ダメだこれは。信濃路は手に、青き電気を溜めてやがる。もしかしたら、『アレ』をしてしまうかもしれない。
しおりを挟む

処理中です...