勇者召喚したけど、国王のわしの方が目立ってしまうんじゃが?ww 【異世界の命運を賭けた召喚……ではなく、じじいの承認欲求のためでした】

ぬんまる兄貴

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第1話 勇者のステータス、確認するぞ!」(ワシのが強いけどなwww)

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 王宮・謁見の間


 王国の最奥、玉座の間。数えきれぬほどの豪華な装飾が施され、荘厳な雰囲気を醸し出している。

 
 王国の高官、騎士団長、宮廷魔術師、そして王様の側近たちが、いまかいまかと固唾を飲んで見守っていた。


 
「さぁ、ついにこの時が来たぞ!」



 玉座にふんぞり返るのは、王国の絶対的支配者——このアヴァルガス・ザイガルド三世である。



 この身に纏うのは、王の威厳を象徴する深紅のローブ。
漆黒と金糸の刺繍が施された豪奢な装いは、ただの衣服ではない。


 王の力を象徴する特別な魔法織物であり、無数の戦場を駆け抜けた歴史の証でもある。


 風になびく白銀の髪は、年齢を超越した神々しさを放ち、鋭き琥珀の瞳は、すべてを見通すかのような威圧感を宿している。

 
 その眼差しを受けた者は、一瞬にして己の愚かさを悟るか、あるいは膝を折るほかない。


 その体躯は壮年を迎えながらも衰えを知らず、鎧すら不要と思わせるほどの鍛え抜かれた筋肉を誇る。

 
 王でありながら、剣士であり、魔導師であり、戦神の化身。

 

 ――それがわし、アヴァルガス・ザイガルド三世じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!


 
 ローブを翻しながら、胸を張り、誇らしげに語る。


 
「我が王国の未来を託すべく、伝説の勇者を召喚するぞ!」

「おおおおおおおおおお!!!」



 側近たちが一斉に歓声を上げる。
 この召喚のために、何百年も伝わる秘術を解読し、大量の魔力を費やし、ようやくその準備を整えたのだ。


 
「勇者召喚の儀、開始いたします!!」



 宮廷魔術師が高らかに宣言する。


 魔法陣が輝き、謁見の間の床に描かれた紋様がゴゴゴゴ……と不気味に振動を始める。



 
「来たぞ……!ついに勇者が降臨する!!!」



 高まる期待、膨れ上がる興奮。
 わしも胸を高鳴らせ、王座から身を乗り出した。




「勇者召喚、発動!!!」



 ――ボワァァァァァァ!!!



 まばゆい光が炸裂し、部屋中に白煙が立ち込める。
 歓声が上がる中、わしはにやりと笑った。


 
「ついに来たか……我が最強の勇者達よ!!!」


 

 煙の中から現れたのは……


 
「うわあああああ!!?」
「え、なにここ!?城!?まじで!??」
「やっば、ファンタジー世界じゃん!!」
「え、誰か実況してる?配信して?」


 
 騒然とする謁見の間。
 目の前には、黒髪の少年、金髪の美少女、メガネ男子、ギャル風の女子、筋肉自慢の体育会系男子――明らかに学校のクラスメンバー。



 わしは颯爽と立ち上がり、堂々と彼らを見据える。


 
「よく来た、勇者たちよ!!!」
 
「やった!!俺ら全員勇者!?無双確定じゃね!?」

 

 大興奮のクラスメイトたち。



 わしはそんな彼らを見て、胸の奥にこみ上げるワクワクを抑えきれなかった。
 
 

「とにかく落ち着け!!!」



 わしが王の威厳をもって声を張り上げると、クラスの連中は一瞬静かになった。


 ……が、すぐにまた騒ぎ出す。


 
「いやいや、落ち着けって言われてもさぁ!?どう見ても異世界転生じゃん!?」
「異世界召喚な! 転生じゃなくて召喚な!」
「どっちでもいいわ!!」



 全員が興奮気味でガヤガヤしている。


 
「とりあえず、お主らのステータスを確認するぞ!」

「え、ステータスとかあるの!?うわ、マジのゲーム世界じゃん!」
「俺、チート能力とかもらえるんじゃね?」
「勇者ってことは、みんな強いんじゃない?」



 まず、この世界に生きる一般的な人間のステータスはこんな感じじゃ。


 
================================
名前:???
天職:???
レベル:5
筋力:30
体力:30
耐性:30
敏捷:30
魔力:30
魔耐:30
スキル:なし
================================

 

 クラスの少年少女たちはワクワクしながら待っている。


 
「よし、ではワシが魔法で確認してやろう!鑑定!」


 
 魔法陣が光り、一人一人のステータスが浮かび上がる。

 全員が次々と自分のステータスを確認し、ワイワイと盛り上がる。

 

「おお! 剣術適正とかついてる!」

「魔法適正がある! もしかして俺、魔法使い向き!?」

「私、敏捷が高い! 盗賊タイプかな?」
 

 
 そんな中、ひとつ騒ぎが起こった。


 
「拓斗、こっちに来てもあいかわらずスゲーな!!」

「拓斗くん、すごーい!!」


 
 クラスの注目が、一人の少年へと集まる。


 

================================
名前:天野拓斗
天職:勇者
レベル:1
筋力:103
体力:130
耐性:140
敏捷:111
魔力:110
魔耐:140
スキル:言語理解、剣術適正、魔法適正、勇者の加護
================================


 
「おおおおおおお!!」



 クラスの皆がどよめく。


 
「すげえええ!最初から全ステータス100超えじゃん!!」
「しかも『勇者の加護』っていうのある!俺TUEEEE確定じゃん!!」



 ワシも、ふむふむと頷いた。


 
「ほう……なかなかの逸材じゃな。初期能力が100超えは、さすが勇者といったところか。」



 しかし――


 
「では、ワシのステータスを見てみるか」



 側近が顔を覆う。


 
「王様、やめましょうよ!!せっかく勇者様を称える流れだったのに!」

「鑑定!!」

 

 側近の制止を聞かず、ワシは魔法を発動した。

 
 
《王様のステータス》

================================
名前:アヴァルガス・ザイガルド三世
天職:国王
レベル:100
筋力:1000000
体力:1000000
耐性:1000000
敏捷:1000000
魔力:1000000
魔耐:1000000
スキル:言語理解、古代魔法、精霊魔法、竜魔法、魔法全適正、魔法無効、物理無効、時間操作、空間制御
称号:理の魔術王、龍殺し、不死殺し、魔王殺し、奇跡を起こせし者、世界探究者、神々の知恵を得し者、災害王
================================


 
「……は?」



 クラス全員が、ワシのステータスを見て沈黙しておる。


 
「いやいやいやいや!?!?!?」
 
「……いや、チートすぎません!?」



 天野拓斗がツッコミを入れた。


 
「王様がレベル100っておかしくないですか!? ていうか、全ステータス100万!?」
「しかも『魔法無効』『物理無効』って、もう無敵じゃん!!」
「こんなんいたら俺達いらなくね?」

 

 ガヤガヤと騒ぎながら、ワシのステータスに驚愕し、戦慄し、戸惑いを隠せぬ勇者軍団。


 
 ――ふ、ふふふふふ……


 
 ワシは玉座にふんぞり返りながら、腕を組み、満足げに頷いた。


 
(やはりのう……ワシの偉大さは異世界人にも通じるようじゃな……)


 
 鋭き琥珀色の瞳を細めながら、王の威厳をもって彼らを見下ろす。


 
「ほう、驚いたか?」


 
 ドヤァ……と、つい口元が緩んでしまう。


 
「むふっ……ふふふ……」



 つい、笑みを抑えられず鼻で笑ってしまう。


 
「はっはっはっ!!」


 
 最初は口を押さえておったが、抑えきれず高らかに笑い出してしまった。


 
「ふぉーっほっほっほっほ!!!」


 
 威厳ある国王らしく、高らかに笑いながら立ち上がる。

 そして、誇らしげに胸を張り、堂々と宣言する。


 
「うむ! ワシこそが、この世界の王にして最強の存在!!
アヴァルガス・ザイガルド三世じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 
 ズバァン!! とローブを翻しながら、ワシはポーズを決めた。

 その姿に、勇者軍団はさらに騒然となる。


 
「……いや、王様、ちょっと気持ちよくなりすぎじゃないですか?」

「これ、自慢したかっただけだろ!!」

「勇者召喚、いらなかった説……!!!」


 
 天野拓斗たちが必死にツッコミを入れる。

 しかし、そんなことは些細な問題じゃ。

 
 
「うむ、よき反応じゃ! さすがは勇者たち、見る目があるのう!!」


 
 ワシは満足げに頷きながら、キラリと光るポーズを取る。

 ドヤァ……!!


 だが、その時――


 
「……あれ!? 王様の称号の欄に『魔王殺し』って書いてるんですけど!!」

「――え?」

「え、ちょ、待って!? これってつまり……!」


 
 勇者軍団がどよめく。

 ワシは、ふむ、と頷いた。


 
「ああ、魔王なら既にワシが殺したわい。」

「!?!?!?」


 
 クラス全員、絶句。


 
「いやいやいや!! じゃあなんで俺たち召喚したんですか!?」


 
 天野拓斗が震えながら問い詰める。

 ワシは一瞬考え込み――


 
「――それはのう。」


 
 ゆっくりと玉座から立ち上がり、堂々と宣言する。
 

 
「若者に『すごい!』って褒められたかったからに決まっておるじゃろうがぁぁぁぁぁぁ!!!」

「俺たち、そんな理由で異世界召喚されたの!?」

「もっとこう、魔王を倒す使命とか、世界の運命とか、なんかあると思ってたのに!?」

「いやいや、理由がじじいの自己承認欲求ってどういうことだよ!!」


 
 勇者軍団、全員が絶叫。

 ワシは堂々と頷く。


 
「若者には分かるまい。年寄りにとって、若者の賞賛や羨望は何よりも気持ちがええんじゃ!!」

「やべえ、マジでクソ強いのに動機が軽すぎる……」

「異世界召喚ってこんな軽いノリでやっていいもんなの!?」

「私たちの運命、こんなおじいちゃんの承認欲求で決まっちゃったの!?」


 
 勇者軍団が混乱に陥る中、ワシは大きく腕を広げて豪快に笑った。


 
「ふぉーっほっほっほっほ!!!」


 
 さあ、これからが楽しみじゃ!!勇者軍団よ、ワシをもっともっと讃えるのじゃ!!
 
 

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