60 / 185
第60話 修学旅行20
しおりを挟むほっとした空気が流れる俺と麗華。しかし、俺たちの背後から冷たい殺気が流れ込んできた。
「麗華……」
低く、凍るような声が響く。振り返ると、そこにはアカマターが全身から邪気を放ち、凄まじい形相でこちらを睨んでいた。
「麗華、どういうことだ……?お前は私の番だぞ。私に忠誠を誓ったはずだ!!」
アカマターは怒りで震え、蛇のような目がギラギラと光り、今にも襲いかかりそうな勢いだった。あれ、これってやばくないか?
「アカマター様……いいえ、アカマター。私はもう、貴方の番ではないわ。」
麗華は静かで毅然とした態度で言い放つ。その声には、もう迷いは感じられなかった。
俺はすかさずフォローに入る。
「おいおい、アカマター、落ち着けよ。俺たちは排便とオナラの話で和解したんだ。麗華はもう俺の元に戻ったんだよ!」
その瞬間、アカマターの表情が一変。怒りで眉間にシワが寄り、地面を激しく叩きつけながら叫んだ。
「排便とオナラ!?何を言っている!!麗華はそんな低俗な話で正気に戻るべきではない!彼女は神聖なる私の妻となるはずだったのだ!!」
大地が揺れ、アカマターの怒りが周囲を震わせる。彼の姿はまるで巨大な蛇が怒り狂って暴れるかのよう。さらに、体を膨らませてその威圧感を増してくる。
「アカマター、落ち着け!俺たちは恋愛も排便も全部ひっくるめて乗り越えていくんだよ!それが家族ってもんだ!!」
「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
アカマターの咆哮とともに、巨大な蛇の体が地響きを立てながら猛然とこちらに迫ってきた。怒りに任せて全力で突進してくるその姿は、まるで暴走する列車のようだった。
「麗華は、お前なんかのものじゃない!俺たちの絆は、排便の話すら越えて強くなったんだ!!」
アカマターの巨体が目前に迫る。しかし、俺はその場から一歩も動かず、逆にポケットに手を突っ込んで、わざと肩の力を抜いてみせた。
「――――闇の盾!!」
麗華の冷静な声と共に、彼女が呪術を発動させた。
闇のエネルギーが形を取り、巨大な盾となって俺とアカマターの間に立ちはだかる。
「ぐぉっ……!」
アカマターの巨体が盾に直撃した瞬間、凄まじい衝突音が辺り一帯に響き渡った。盾とアカマターの体がぶつかり合い、その衝撃で大地が揺れ、砂埃が舞い上がる。
麗華は毅然とした表情を浮かべ、アカマターをまっすぐに見据えている。微塵も動じる気配はない。
アカマターの巨体が一瞬揺らぎ、彼の鋭い目が麗華に向けられる。
「貴様……麗華!なぜ私に逆らう!?」
怒りに燃えるアカマターの視線を受けながらも、麗華は静かに口を開いた。
「私は、貴方に従うつもりはもうないから。」
「麗華、お前は私のものだ!こんな愚かな人間の男に戻る必要などない!」
その言葉に、俺は怒りが込み上げたが、麗華が一歩前に出て毅然とした態度で言い放った。
「私は貴方の所有物じゃないわ、アカマター。勝手に『もの』扱いしないで。」
その一言で、アカマターの目が完全に怒りで燃え上がる。彼の怒気が渦巻き、周囲の空気がさらに重くなる。
「なんだと!?私を捨てて、こんな低俗な話ばかりする愚かな男を選ぶのか!?麗華、私を裏切る気か!!」
その問いに、麗華は冷静な声で応えた。
「――――そうね。都合の良い甘い幻想しか見せない貴方より、私は飯田君を選ぶわ」
その瞬間、俺の心の中で何かが弾けた。
――え?今なんて言った?俺、選ばれた?飯田君って、俺??
「俺!?お、俺を選んだ!?マジで!?俺が!?お前、俺を!?選んだ!?」
頭の中は完全にお祭り状態だった。まさか麗華が、俺を選ぶなんて。俺は正直夢の中かと思った。いや、実は今も夢見てるんじゃないかって思って、ほっぺたを軽くつねったくらいだ。
――痛てぇ!本物だ!!
「やったぁぁぁぁ!!麗華が俺を選んだぞぉぉぉ!!」
俺はもう、完全に調子に乗りまくってガッツポーズを決めた。周りの景色も見えないくらい、頭の中は麗華の言葉でいっぱいだった。
「ハーレム王、ここに誕生だぁぁぁ!見たかアカマター!!俺、選ばれたんだぞ!!お前は甘い幻想ばっか見せてたけど、麗華は俺のリアルさに惚れたんだよ!!」
アカマターはめっちゃキレてるけど、俺はもうそんなのどうでもいい。だって、麗華が俺を選んだんだぜ!?勝者は俺、雷丸だ!
「飯田君、落ち着いて。調子に乗りすぎないで」
麗華がクールに言ってるけど、そんなの聞こえない。もう俺のテンションは宇宙までぶっ飛んでる。
「いやいや、麗華!お前が俺を選んだんだぞ!?俺を!!すごいよな!?まさか俺が、お前のナイトになるなんて!」
「ナイトって……いや、もう……」
麗華がため息をついてるのは分かる。でも、全然気にしない。だって、俺は今、世界で一番幸せな男なんだからな!
「アカマター、お前はもう負け犬だ!麗華は俺のもんだぞ!俺たち、これからラブラブな未来が待ってんだよ!」
俺は完全に天にも昇る勢いで、アカマターに向かって挑発した。アカマターが今にも爆発しそうな顔をしてるけど、もうそんなの関係ない。
「麗華ぁぁぁぁ!!俺を選んでくれてありがとう!!俺たち、最高のカップルだぜぇぇぇ!!」
麗華はため息をつきながら、でもほんの少し微笑んでいた。その笑顔が、俺の中で一番の勝利の証だった。
「……本当にどうかしてるわね、飯田君。でも、まあ……悪くはないわ」
――――――そして。
「お、おおおお!!??」
その瞬間だった。俺の体の奥底から何かが湧き上がるような感覚がした。力が――いや、エネルギーが、身体中を駆け巡る。これまで感じたことのないほどの熱量が俺を包み込んでいた。
俺の体が震える。だが、それは恐怖や緊張ではない。興奮だ。内側から溢れ出す力が、俺を完全に支配していく。
「こ、これは……俺力!?」
全身が発光しているような錯覚を覚える。体中に青白い稲妻のような光が走り、それが俺の周りにオーラとなって広がっていく。気持ちが高ぶるにつれ、その光はさらに強く輝き始めた。
――俺力だ!あの異世界で目覚めた、俺だけの根源の力が、戻ってきた!
「うおおおおおおおおお!!!」
全身にみなぎる力が止まらない。拳を握ると、その感触さえも圧倒的な力の存在を証明している。これまで失っていた超人的な力が、今まさに完全復活を遂げた。
地面が俺の足元から軽く揺れる。それは俺の周囲に満ち溢れるエネルギーの影響だ。空気がビリビリと震え、俺の存在そのものが周囲に影響を及ぼしているのが分かる。
「体が……軽い!いや、軽いどころじゃねぇ!俺なら、今なら、何だってできる気がする!!」
両腕を大きく振り回すと、それだけで周囲の空気が渦を巻き、砂埃が舞い上がった。拳を軽く振り下ろすと、その衝撃で地面にひびが入る。
「これだ!この感覚だよ!!」
俺の声が自然と高ぶる。これが俺力――俺が自分自身を信じることで解放される、唯一無二の力。麗華が俺を選んでくれたことで、俺の自信が頂点に達し、この力を呼び覚ましたんだ!
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!俺、最高ぉぉぉぉぉぉ!!!」
その俺の宣言に対し、アカマターの表情がみるみる険しくなり、怒りのオーラを周囲に放ち始める。彼の蛇の瞳は、燃えるような怒りでギラついている。
「貴様……!!!麗華は、我がものだ!!どうして……こんな下賤な人間風情が……!!!」
その怒りの声は空気を震わせ、大地さえ揺らした。俺の周りの木々がザワザワと音を立てる。だが、俺はまったく動じない。むしろ、彼を煽り倒す態度を見せつける。
「おいおい、アカマターさんよ。そんなにキレちゃ、血圧上がっちゃうぞ?蛇って血圧高いとヤバいんじゃねぇのか?」
わざとらしく心配するふりをしながら、俺は余裕の笑みを浮かべた。さらに、あえて言葉を重ねる。
「まぁ、麗華が俺を選んだんだから仕方ねぇよな!お前が甘い言葉で騙そうとしても、結局は俺のリアルな魅力が勝ったんだよ!やっぱり、ラブはファンタジーじゃなくて、現実的な部分が大事ってことだ!」
アカマターの顔がますます歪んでいくのが見て取れる。彼の怒りは頂点に達し、まるでその巨大な蛇の体が爆発しそうなほどだ。
「この……小癪な人間めぇぇぇぇぇぇ!!」
アカマターが叫び、巨大な体を震わせながら地面を踏み鳴らす。大地が揺れ、まるで地震のように周囲が揺れるが俺はまったくひるむことなく、さらに煽り倒しにかかる。
「おー、怖い怖い!でも、そんなに怒っても俺には通じねぇぞ。だってさ、俺、勝ったんだから!!」
俺は勝ち誇ったように胸を張り、アカマターを指さして嘲笑う。
「お前はただの蛇野郎!いくら偉そうなこと言っても、結局は麗華に選ばれなかったんだから、もう終わりだよ!俺たち、ラブラブなんだからさ!」
「貴様あああああ!!!」
アカマターが今にも襲いかかろうとするが、俺は動じるどころか、さらなる挑発を重ねる。
「ほらほら、そんなに怒ってるとシワが増えるぞ!せっかくのイケメン蛇が台無しになっちゃうんじゃねぇの?」
煽りが止まらない。アカマターの怒りは頂点に達し、もう理性を失ったように狂気に満ちた目で俺を睨み続けるが、全くお構いなしだ。
「おー、さっさと諦めろよ!俺たち、これから最高の未来が待ってるんだからさ!お前は、その辺で一人でうねうね泣いてろ!」
目の前には、超激おこのアカマターが仁王立ちしてる。全身がウネウネしてて、マジでムカついてるってのが丸わかりだ。巨大な蛇の体が地面を叩きつけるたびに、大地が揺れる。めちゃくちゃ怒ってんじゃん。
「貴様らあああああ!絶対に許さぬ!この屈辱、地獄の底で思い知るがよい!!!」
アカマターの声がビリビリと空気を震わせる。周りの木々がバサバサ揺れて、まるで俺たちを飲み込もうとしているかのような雰囲気だ。
でも――俺たちはもう引かねぇ。
「お前、そんなに怒ったって無駄だぜ!俺たちの絆はお前みたいな蛇野郎には壊せねぇんだよ!」
俺が叫ぶと、麗華が静かに頷いた。そのクールな表情には、迷いが一切ない。
「麗華、準備はいいか!?俺たちでアイツをぶっ倒して、最高の修学旅行の締めくくりにしてやろうぜ!」
麗華は、目を細めながら静かに頷いた。そのクールな表情が、まるで戦闘モードに切り替わった証拠だ。麗華がこうなったら、マジで強ぇんだよな。
「えぇ、飯田君。アカマターは私たちであの世に送ってやりましょう」
――おっ、カッコいいじゃねぇか!これぞ俺たちのコンビプレイだな!
「来い、蛇野郎!俺たちの愛と絆で、お前を地獄に送り返してやるぜぇぇぇ!!!」
修学旅行最後の大仕事――いよいよ、決着の時だ!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
【完結】オレの勇者パーティは全員アホだが強すぎる。
エース皇命
ファンタジー
異世界に来て3年がたった。
オレの所属する勇者パーティ、イレギュラーズは相変わらず王都最強のパーティとして君臨している。
エルフのクリス、魔術師のジャック、猫耳少女ランラン、絶世の美女シエナ。
全員チート級の強さを誇るけど、どこか抜けていて、アホ全開である。
クリスは髪のセットに命をかけて戦いに遅刻するし、ジャックは賢いもののとことん空気を読まない。ランランは3歩あるくだけで迷子になるし、シエナはマイペースで追い詰めた敵を見逃す。
そんなオレたちの周囲の連中もアホばかりだ。
この世界にはアホしかいないのか。そう呆れるオレだったけど、そんな連中に囲まれている時点で、自分も相当なアホであることに気づくのは、結構すぐのことだった。
最強のアホチーム、イレギュラーズは今日も、王都を救う!
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる