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第61話 修学旅行21
しおりを挟む俺は片手を天に掲げ、大きく声を張り上げる。
「根源解放――――Level 1!!」
天に掲げた手から雷が迸り、俺の周囲に強烈なオーラが広がる。その力が俺の体全体を包み込んでいく感覚に、胸が高鳴る。これが俺力――俺自身を信じることで湧き上がる俺だけの力だ!
黄色の閃光が、俺の拳を軋ませながら周囲に広がっていく。その光は眩しく、そして力強い。周囲の空気がビリビリと震え、足元の地面には無数の亀裂が走る。
俺は拳を握りしめ、自信満々に叫ぶ。
「麗華!俺が突っ込むから、麗華は援護してくれ!」
麗華が俺の方をチラリと見て、ふっと柔らかく微笑んだ。その微笑みが、俺の心に更なる力を与える。
「えぇ、分かったわ。私も全力でサポートするわね、飯田君。」
その言葉に、俺はぐっと拳を握り締め直した。頼りになる仲間がいるって、本当に最高だよな!
麗華のサポートがあれば、俺はどんな状況だって乗り切れるって信じてる。アカマターの体が巨大にうねり、まるで地獄の門から這い出てきた怪物みたいに睨みつけてきた。その姿は恐ろしいけど――負けるわけにはいかねぇ!
「いくぞ!!麗華!!」
俺は声を張り上げ、アカマターに向かって突っ込んだ。奴の巨体が地面を揺らしながら尾を振り上げた瞬間、俺はその動きを読み切り、ギリギリでかわした。
「――――雷脚・廻!!」
跳ね上がる勢いで俺の足が回転し、雷をまとった回し蹴りがアカマターの巨体を直撃する。
〈――――――ドゴン!!!〉
「……っ、重い……!」
けど、確かに効いてる!アカマターが一瞬動きを鈍らせたのを見て、俺はすぐに体勢を立て直す。
「やるわね、飯田君!」
麗華の冷静な声が響き、彼女の呪術が発動する。
「闇縛り!」
麗華の闇の力が鞭のように伸び、アカマターの巨大な体を絡め取る。動きが一瞬止まったその隙を見逃すわけがねぇ!
「ナイスだ、麗華!今だ!」
俺は足元を蹴り、空中へと舞い上がる。拳を握りしめ、全力でアカマターの頭を狙う。
「――――雷撃拳!!」
拳にまとった雷がアカマターの頭に炸裂し、奴の体が激しく震える。その衝撃にアカマターは怒りの咆哮を上げた。
「ぐぉぉぉぉぉぉ!!」
だけど、もう止まらねぇ!
「どうだ!蛇野郎!!」
俺はさらに挑発的に叫び、追撃の準備をする。
「畳み掛けるわ!闇刃舞!!」
麗華の声とともに、彼女の闇の薙刀が一閃。鋭い闇の刃がアカマターの体を切り裂き、奴の巨体が一瞬怯む。
「さすが麗華!お前と俺のコンビ、最高だな!」
でも――こいつはまだ終わっちゃいねぇ。アカマターは巨大な尾を振り上げ、地面に叩きつけた。その衝撃で周囲の地面が崩れ、瓦礫が舞い上がる。
「飯田君、気をつけて!」
しかし、その瞬間――。
アカマターの巨大な尾がムチのようにうねり、地面を抉り上げた。その勢いで砂埃が舞い上がり、俺の視界を完全に奪う。嫌な予感がした瞬間、砂埃の中から奴の大きな口が現れ、俺に向かって噛みついてきた。
「やべぇっ!!」
咄嗟に身を反らし、ギリギリでその攻撃をかわす。だが、アカマターの反撃は止まらない。すぐさま、さらに強烈な尾の一撃が俺に向かって振り下ろされる。地面が割れ、砂と瓦礫が激しく舞い上がる。
「見えねぇ!これ、マジでヤバイって!」
咄嗟に叫びながら俺は足を踏ん張る。だけど、この状況を一人でどうにかするのは無理だ。
「麗華!サポート頼む!」
「分かってるわ、飯田君!」
麗華の冷静な声が背中越しに聞こえた。次の瞬間、彼女の呪術が発動し、アカマターの尾を闇の鞭で絡め取る。捕縛された尾が一瞬止まる。
「さすが麗華!」俺は心の中でガッツポーズを決めるが――。
「な、なにこの力……!」
麗華の焦る声が響く。アカマターはその怪力で麗華の呪術を振りほどき、再び巨大な体をうねらせる。そして、今度は俺たち二人をまとめて狙ってきた。
「こいつ、意外に頭使うのかよ!」
俺は悪態をつきつつ、迫りくる尾の勢いを見極める。
だが――ここで麗華を危険にさらすわけにはいかねぇ!
「行くぞ、麗華!」
瞬時に決断し、俺は麗華をお姫様抱っこで抱き上げ、その場から全力で跳び退いた。
「ちょっ、飯田君!?何を――!」
「いいから黙ってろ!お前が怪我したら意味ねぇだろ!」
アカマターの尾が地面に叩きつけられた瞬間、爆発音のような轟音と共に地面が粉々に砕け散る。破片が飛び散り、衝撃で辺りの空気が震えた。
「……ふぅ、ギリギリ間に合ったか。」
俺は麗華をそっと地面に降ろし、彼女の顔を確認する。少し驚いた表情をしていたが、すぐに口元をきゅっと引き締め、俺を見つめた。
「ありがとう。でも、次はちゃんと相談してからにしてよね。」
「へいへい、次からな!」
俺は苦笑いしながら拳を握りしめ直す。奴はまだ動きを止めちゃいねぇ。むしろ、さらに怒りを増したようにその体を震わせている。
「暴れてて手がつけられねぇな……どうする?」
麗華も息を切らしながら、冷静に周囲を見渡していた。そして、決意したように俺の方を見て言う。
「飯田君、私に考えがあるわ。」
「おっ、なんだ?」
俺が答えると、麗華は俺の耳元にそっと口を近づけ、小声で作戦を伝える。その内容を聞いた瞬間、俺の口角がぐいっと上がった。
「おっしゃ!任せろ!!二人の初めての共同作業って訳だな!見せつけてやろうぜ!」
麗華は手から闇のエネルギーを生み出す。その黒い塊はぐにゃりと形を変え、柔らかくも力強い存在感を放つ。そして俺は、その端をしっかりと掴んだ。
「おお、これが麗華の闇か。意外と……なんだ、スライムみたいに伸びるんだな?」
「余計なこと言わないで。集中して!」
麗華がピシャリと言う。俺は苦笑いを浮かべながらも、その闇の端をしっかりと握り締めた。
「よし、行くぞ!」
俺はそのままアカマターに向かって突進する――――と見せかけて。
「雷光閃!!」
足に全ての俺力を注ぎ込み、一瞬で圧倒的な速度を生み出す。その勢いでアカマターの周囲をぐるりと一周。地面がえぐれるほどのスピードで駆け抜け、さらにジャンプ!空中で回転しながらアカマターの頭上を飛び越えた。
「麗華!今だ!!」
麗華の闇が瞬時に形を変えた。それはまるで網のような姿になり、アカマターを覆い包むように動き出す。
「な……何だこれは!?」
アカマターが驚愕の声を上げる。その巨大な体が網状の闇に絡め取られ、まるで捕らえられた魚のようにもがき始めた。
「すげぇな、麗華!これで奴は逃げられねぇ!」
俺は大声で叫び、拳を握りしめた。
麗華は冷静に、しかし強い意志を込めて呪文を唱え続ける。「闇の檻、完全拘束――!」その声に応じるように闇の網はさらに力を増し、アカマターの体を締め上げていく。
「ぐおおおおおおお!」
アカマターの苦しげな叫びが響く。だが、その目にはまだ戦意が宿っている。
「飯田君、今がチャンスよ!決めて!」
「おう!見てろよ、麗華!これが俺たちの力だ!!」
俺は拳を高く掲げ、雷の力を全身に集中させる。空気がビリビリと震え、周囲の瓦礫が浮き上がるほどのエネルギーが集まった。
「これで決める!」
アカマターの巨大な体が揺れ、その赤い瞳がこちらを睨む。その怒りと威圧感は尋常じゃないが、今の俺には通用しねぇ。俺の拳には、麗華との絆が込められている!
「ハーレム王のぉぉぉおお!!」
俺の声が響く中、拳に込めた雷のエネルギーが限界を超え、拳そのものが青白い火花を散らし始める。拳に宿る力が膨れ上がり、まるで周囲の時間が止まったかのように感じる。
「ラブ&ピースパンチ!!!!」
全力で叫びながら、俺は拳を振り下ろした。その瞬間、拳から放たれた雷が稲妻となり、アカマターの頭にまっすぐ突き刺さる!
――バチィィィィン!!!
雷が炸裂し、凄まじい閃光が辺り一帯を包み込む。その光は眩しすぎて、目を閉じても鮮明に感じられるほどだ。爆発の衝撃波が大地を揺るがし、瓦礫や砂埃が吹き飛ばされていく。
アカマターの頭に拳がクリーンヒットした瞬間、巨体がビクンと痙攣し、動きが完全に止まる。その顔には苦痛と敗北の色が浮かび、その瞳の赤い光が徐々に消えていく。
「ぐわああああああああああ!!!」
アカマターの絶叫が響き渡り、その巨大な体がゆっくりと崩れ落ちていく。その巨体が地面に倒れ込む音が、大地を震わせながら響いた。
俺は拳を下ろし、胸を大きく上下させながら息を整える。まだ手が雷の余韻で震えているが、それでも立ち上がったままの俺がそこにいた。
「ハァ……ハァ……やった……やってやったぜ!!」
俺の叫び声が静寂の中に響き、麗華がゆっくりと俺の隣に立った。
その時、麗華が静かに俺の隣に立ち、疲れた表情ながらも微笑みを浮かべている。
「飯田君……あなた、本当にすごいわ。」
その一言に、俺の胸がじんわりと温かくなった。やっぱり、麗華に褒められるのは最高だ。
しかし――。
「でも……技名、もうちょっとどうにかならなかったの?」
麗華は微妙に困ったような表情で俺を見つめている。
「……技名?」
俺は少し考えたあと、拳を掲げながら自信満々に言い返した。
「ラブ&ピースこそ、俺の生き様だぜ!」
自信満々にキメ顔で言った俺に、麗華は呆れたように眉を下げたが、すぐに肩をすくめて苦笑した。
「本当に、飯田君らしいわね。」
その言葉に俺は胸を張りながら笑った。
「だろ?俺の生き様が技名に出てるってことよ!最高じゃねぇか!」
麗華は小さくため息をつきながらも、どこか満足そうに俺を見つめていた。
「まぁ、いいわ……でも次は、もっと素敵な名前にしてみたらどう?」
「おう、次はもっとキザな名前にしてやるよ!『麗華ラブパンチ』とかどうだ?」
「それはやめて。」
麗華が即答し、俺は少し照れくさく笑いながら肩をすくめた。勝利の余韻に浸りつつも、次の技名を考え始める。やっぱり派手で俺らしいやつがいいよな――なんて思っていたその時だった。
――――光だ。
「な……なんだ!?」
俺の視界に、崩れたはずのアカマターの体が不気味に光り出す光景が飛び込んできた。鱗の隙間からまるで内側から発光しているような、異様な光景だった。
「大丈夫よ、飯田君。」
麗華が冷静に言葉をかけてくる。その声は落ち着いているが、眉間にはわずかに緊張が浮かんでいた。
「闇の檻で完全に拘束しているもの。抜け出せるはずがないわ。」
麗華がそう断言する中、俺も一瞬ホッとしかけた――が、次の瞬間。
「え……嘘だろ!?」
アカマターの体がズルリと光をまといながら変化を始める。鱗が一枚一枚外れ、滑るようにその巨大な体が檻の中から抜け出していく。
「まさか……脱皮してる!?」
目の前の信じられない光景に、俺は驚きと焦りで声を上げる。闇の檻がアカマターの抜け殻をそのまま拘束したまま、肝心の本体は新しい姿で完全に外に出てきた。
「こんなことが……」
麗華の声がかすかに震える。
アカマターの体は、脱皮によって再生されていた。傷ひとつない滑らかな鱗が光を反射し、その巨大な体はさらに威圧感を増している。俺たちの全力で追い詰めたはずの攻撃が、まるで無かったかのように――。
「おいおい、マジかよ……」
俺は思わず拳を握り直したが、その手には微かな汗がにじんでいた。
アカマターが再び俺たちを見下ろし、その瞳が赤く輝く。口元がにやりと歪むと、その冷たく低い声が耳に届いた。
「人間風情が、ここまでやるとはな……だが、まだ終わっていない……」
その声には、さっきまでの苦しみは一切感じられない。むしろ、余裕すら漂わせている。
「麗華、どうする!?こいつ、完全に復活してるぞ!」
俺が叫ぶと、麗華は険しい表情でアカマターを睨みつけた。
「次は、さらに慎重にいくしかないわ。飯田君……もう一度、全力で行くわよ!」
「おう、分かった!次こそ、絶対に終わらせる!」
俺は拳を握り直し、再び立ち上がろうとしたが、足が震えて力が入らねぇ。さっきまでの戦いで、ほぼ全力を使い果たした身体は限界に近い――それでも、諦めるわけにはいかねぇ!
その瞬間だった。
アカマターの瞳が不気味に赤く輝き始め、まるで地獄の炎が宿ったかのようにギラリと光る。
「人間よ、貴様に与えるのは――絶望だ。」
「な、なんだ!?」
その声と共に、俺の体が――ぴくりとも動かなくなった。
「!?なんだこれ!?動けねぇ!?」
足が地面に張り付いたように重くなり、腕は鉛の塊のように硬直する。まるで全身が石になっていくかのようだ。
「飯田君!!」
麗華が叫ぶ声が耳に届くが、俺の体は全く反応しない。
「これが我が『石化の魔眼』だ。貴様の体は徐々に石となり、完全に動けなくなる……そしてそのまま、永遠に石像として生き続けるがいい」
「な、なんだと!?そんなの……まるでギリシャ神話のメデューサかよ!?」
心の中で必死にツッコむが、状況はまるで笑えない。指先が徐々に石へと変わっていくのが目に見えて分かる。ヤバい、マジでヤバいぞ!!
「ちょっと待てって……!俺、まだ死ぬつもりねぇんだよ!」
だが、体の石化は止まらない。俺の視界の端で、アカマターがずりずりと巨大な体を引きずり、麗華に向かって近づいていく。その動きは、不気味で気味が悪い。
「また……お前に催眠をかけてやる……今度こそ、完全に俺のものにしてやるぞ……麗華……」
「そんな……!」
麗華の顔が恐怖に歪んでいるのが、俺の目に焼き付く。
アカマターの低く不気味な声が、まるで呪いのように耳にこびりつく。その巨大な体がじりじりと麗華へ近づき、彼女を完全に飲み込もうとしている。俺の心臓は激しく鼓動し、頭の中が真っ白になる。
「麗華……お前は俺のものだ……もう一度、完全に支配してやる……」
アカマターの瞳が赤く光り、その異様な光景に息が詰まる。
「飯田君……た、助けて…………!!」
麗華がか細い声で助けを求める。その涙目の視線が俺を貫き、胸が締め付けられるような痛みに襲われる。俺は彼女を見ていることしかできない――動けない。
くそっ、なんでだ!なんで動かねぇんだ!!
俺の体は鉛のように重く、まるで石のように硬直している。必死に力を込めるが、筋肉はまったく反応しない。
「さぁ……俺の目を見ろ……再び催眠にかかれ……」
アカマターの赤い瞳が輝きを増し、その光が麗華を捕らえようとしている。
――また麗華を失うのか?
俺の頭の中に、嫌な記憶がフラッシュバックする。
彼女を守れず、無力だったあの瞬間――いや、もう二度と繰り返さない!
「飯田君……!」
麗華が必死に俺を見つめる。その声、その姿――すべてが俺を奮い立たせる。
俺の中で何かが弾けた。
体は動かない。それでも俺の意志が叫ぶ。だったら更に強く――――――。深く、根源に潜り込め。
俺は力を振り絞り、できる限り大きな声で叫んだ。
「麗華!!!!俺を褒めろ!!!」
その瞬間、戦場に奇妙な静寂が訪れた。
麗華は目を見開き、呆然と俺を見つめている。隣のアカマターでさえ、一瞬動きを止めて、蛇の目を丸くした。
「……えっ?」
麗華がぽつりと漏らす声が、やけに響く。
「飯田君、何を――」
麗華が戸惑った顔で俺を見つめるが、俺はそれどころじゃない。全力で叫び返す。
「説明する暇はねぇ!とにかく褒めろ!」
俺の必死な声が、まるで命を懸けた願いのように響く。
麗華は戸惑いながらも、小さくうなずいた。
「……飯田君、すごい……今まで本当によく頑張ってきたわ……!」
その言葉が耳に届いた瞬間、何かが体の奥でカチリと音を立てた気がした。
「もっと!もっとだ!」
麗華がさらに焦ったように、声を張り上げる。
「えっ、えっと……!飯田君の雷の力は、誰にも負けないくらいかっこいいし……本当に頼りになるわ……!」
俺の体に微かな熱が戻り始める。筋肉がピリピリと震え、石のような重さが少しずつ解けていく感覚がする。
だが、これじゃまだ足りねぇ!もっとだ、もっと力を引き出さなきゃ――俺は叫ぶ。
「麗華!俺が言うことをそのまま繰り返せ!」
麗華は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに小さくうなずき、言葉を口にした。
「飯田君はかっこいい!!」
「い、飯田君はかっこいい!!」
その声が俺の体を駆け巡り、心臓が強く鼓動を打つ。
「飯田君最強最高!」
「飯田君最強最高!!」
麗華の声が響くたびに、俺の体の雷がどんどん強くなる。全身が熱くなり、まるで金縛りを振り払う準備をしているかのようだ。
「飯田君大好き!!」
「ッ――――飯田君……大好き」
その一言が、俺の体の中心を一気に燃え上がらせた。
「うっひょおぉおお!!」
俺の歓喜の声が雷の轟音と共に響き渡る。
「麗華!俺はお前が好きだ!俺と結婚するか!?」
麗華の目が驚きに大きく見開かれる。頬が赤く染まり、視線を一瞬逸らすが、決意を固めたように俺をまっすぐ見つめ返す。
「どうなんだ!?麗華!?」
俺は全身がまだ石化している状態で麗華に詰め寄る。その姿はおそらくかなりシュールだったが、麗華はついに決心したように息を吸い込み――
「わ、私も好き!!結婚して!!」
「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
その言葉が空気を揺るがすように響いた瞬間、俺の体内で俺力が爆発的に生まれた。眩しい光が俺を包み込み、全身を突き抜ける感覚が俺の力を完全に覚醒させる。
俺力、フルチャージだ――!
「麗華!任せろ!俺は……お前を絶対に守る!!」
そう呟いて、俺は拳を天高く掲げる。再び雷の力が体に宿り始めるが、今回は普通の雷じゃねぇ。もっと深い、俺の根源から湧き上がるエネルギーだ。
「根源解放―――解放Level2!!」
――バチッ!バチバチバチッ!!
過剰な程の雷のエネルギーが俺の全身を駆け巡る。その瞬間、全身に激痛が走る。皮膚が焼けるような感覚、筋肉が焦げるような熱さ――だが、痛みなんてもう関係ねぇ。
「うおおおおおお!!!」
雷鳴が轟き、雷の奔流が大地を砕く。 その力に呼応するかのように地面が震え、瓦礫が浮き上がる。稲妻が辺りを照らし、空気そのものがビリビリと震えた。
「何!?」
アカマターの目が驚愕に見開かれる。俺を縛っていた石化の呪いが、雷の力によって粉々に打ち破られる。 全身を覆っていた石の殻が砕け散り、俺は自由を取り戻した。
「やってやるぜ……!!」
全身の痛みが警鐘を鳴らすが、それすらも力に変える。この力は、麗華を守るためにあるんだ――そう信じて俺は飛び出した。
雷を纏った身体が稲妻そのものとなり、アカマターの巨体に向かって一直線に突進する。
「お前は麗華に触れさせねぇぇぇぇぇ!!!雷撃拳!!」
〈ズドン!!!!!!〉
雷の力を纏った拳が、アカマターの巨体にめり込む。拳が触れた瞬間、凄まじい衝撃波が辺り一帯に広がり、アカマターは何十メートルも吹き飛ばされた。
吹き飛ばされた先では、地面が大きく抉れ、その威力が如何に凄まじいものかを物語っていた。
「雷丸君……!」
背後から聞こえる麗華の声――その声に、俺の心はさらに熱く燃え上がる。 守るべき存在がいる。俺は絶対に守るんだ――!それだけだ!!
吹き飛ばされながらも、アカマターは吠え声を上げた。
「き、き、きさまぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
その声は怒りと苦痛に満ちていたが、同時に俺たちの反撃が奴を追い詰めている証拠だった。
俺は拳を握り直し、全身から迸る雷をさらに強める。これで終わりにしてやる――!
Level 2に到達したことで手にした新たな力――遠距離攻撃。それは、自分自身をも焼き焦がすほどの危険な雷の力だ。それでも構わねぇ。麗華を守るためなら、この身がどうなろうと関係ねぇんだ!
「雷鳴砲……チャージ完了だ!」
俺は両手を構え、全身に流れる雷のエネルギーを一点に集中させる。眩いばかりの青白い光が両手に収束し、まるで俺の意志そのものが形を成したかのようだ。
「アカマター!お前の終わりだ!!」
アカマターの巨体が大地を揺らしながら突進してくる。その目には怒りと絶望が混ざり合い、赤く燃え上がっている。だが、俺の決意はそれを遥かに凌駕する。
「雷鳴砲!!!!!」
俺の両手から放たれる雷の奔流――それは、地を裂き、空を引き裂くほどの凄まじいエネルギーだ。放たれた瞬間、雷が螺旋状に巻き上がりながら一直線にアカマターに向かって突き進む。
その光は目を焼き付けるように眩しく、周囲を完全に照らし出す。音は爆発的な轟音を伴い、空間全体を震わせる。木々は薙ぎ倒され、地面には深い亀裂が走る。
「ぐおおおおおおおおおお!!!!!」
アカマターの絶叫が轟く。雷がその巨体を直撃した瞬間、雷の力が奴の体を内部から蝕み、鱗が剥がれ、肉体が崩壊していく。
雷鳴砲のエネルギーが奴の体を貫き、その先にある大地すら抉り取る。爆発的なエネルギーが巻き起こり、衝撃波が辺りを吹き飛ばした。
煙と光の中、アカマターの巨体がゆっくりと崩れ落ちる。その姿は、もうただの残骸と化していた。奴の赤く燃え上がる瞳も、その光を失い、完全に沈黙する。
俺は膝に手をつきながら、荒い息をつく。全身が疲労で重く、筋肉が鋭い痛みを訴えている。汗が頬を伝い、地面にポタポタと落ちる音が耳に残る。だが、俺の心は達成感で満たされていた。
「……終わったぜ……麗華……!」
視線を上げると、そこには麗華が立っていた。微かな微笑みを浮かべて俺を見つめる彼女の姿は、まるで戦場に咲く一輪の花のようだった。目には涙が光り、震える手で胸元を押さえている。その安堵の表情が、俺にとって何よりも嬉しかった。
俺は疲れ切った体を無理やり起こし、ニヤリと笑みを浮かべて彼女に向かって言った。
「ハーレム王は、やっぱりただの男じゃねぇんだよ!」
その言葉に、麗華は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに吹き出したように笑い出した。肩を震わせながら笑う彼女は、戦いの緊張を忘れたようだった。
「……えぇ、まぁ、少なくとも普通じゃないわね。」
麗華はため息混じりに呆れたような口調で言うが、その顔にはどこか満足げな笑みが浮かんでいた。その瞬間、俺の心に温かい何かが広がるのを感じた。
辺りを見渡すと、戦いの痕跡が静寂の中に刻まれていた。大地には深い亀裂が走り、焦げた匂いが漂っている。だが、その全てが俺たちの勝利を物語っているように思えた。
俺は両手を腰に当て、胸を張って空を見上げる。そして、大きく息を吸い込み、全力で叫んだ。
「――――――――ハーレム王、ここにあり!!」
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