61 / 189
第61話 修学旅行21
しおりを挟む俺は片手を天に掲げ、大きく声を張り上げる。
「根源解放――――Level 1!!」
天に掲げた手から雷が迸り、俺の周囲に強烈なオーラが広がる。その力が俺の体全体を包み込んでいく感覚に、胸が高鳴る。これが俺力――俺自身を信じることで湧き上がる俺だけの力だ!
黄色の閃光が、俺の拳を軋ませながら周囲に広がっていく。その光は眩しく、そして力強い。周囲の空気がビリビリと震え、足元の地面には無数の亀裂が走る。
俺は拳を握りしめ、自信満々に叫ぶ。
「麗華!俺が突っ込むから、麗華は援護してくれ!」
麗華が俺の方をチラリと見て、ふっと柔らかく微笑んだ。その微笑みが、俺の心に更なる力を与える。
「えぇ、分かったわ。私も全力でサポートするわね、飯田君。」
その言葉に、俺はぐっと拳を握り締め直した。頼りになる仲間がいるって、本当に最高だよな!
麗華のサポートがあれば、俺はどんな状況だって乗り切れるって信じてる。アカマターの体が巨大にうねり、まるで地獄の門から這い出てきた怪物みたいに睨みつけてきた。その姿は恐ろしいけど――負けるわけにはいかねぇ!
「いくぞ!!麗華!!」
俺は声を張り上げ、アカマターに向かって突っ込んだ。奴の巨体が地面を揺らしながら尾を振り上げた瞬間、俺はその動きを読み切り、ギリギリでかわした。
「――――雷脚・廻!!」
跳ね上がる勢いで俺の足が回転し、雷をまとった回し蹴りがアカマターの巨体を直撃する。
〈――――――ドゴン!!!〉
「……っ、重い……!」
けど、確かに効いてる!アカマターが一瞬動きを鈍らせたのを見て、俺はすぐに体勢を立て直す。
「やるわね、飯田君!」
麗華の冷静な声が響き、彼女の呪術が発動する。
「闇縛り!」
麗華の闇の力が鞭のように伸び、アカマターの巨大な体を絡め取る。動きが一瞬止まったその隙を見逃すわけがねぇ!
「ナイスだ、麗華!今だ!」
俺は足元を蹴り、空中へと舞い上がる。拳を握りしめ、全力でアカマターの頭を狙う。
「――――雷撃拳!!」
拳にまとった雷がアカマターの頭に炸裂し、奴の体が激しく震える。その衝撃にアカマターは怒りの咆哮を上げた。
「ぐぉぉぉぉぉぉ!!」
だけど、もう止まらねぇ!
「どうだ!蛇野郎!!」
俺はさらに挑発的に叫び、追撃の準備をする。
「畳み掛けるわ!闇刃舞!!」
麗華の声とともに、彼女の闇の薙刀が一閃。鋭い闇の刃がアカマターの体を切り裂き、奴の巨体が一瞬怯む。
「さすが麗華!お前と俺のコンビ、最高だな!」
でも――こいつはまだ終わっちゃいねぇ。アカマターは巨大な尾を振り上げ、地面に叩きつけた。その衝撃で周囲の地面が崩れ、瓦礫が舞い上がる。
「飯田君、気をつけて!」
しかし、その瞬間――。
アカマターの巨大な尾がムチのようにうねり、地面を抉り上げた。その勢いで砂埃が舞い上がり、俺の視界を完全に奪う。嫌な予感がした瞬間、砂埃の中から奴の大きな口が現れ、俺に向かって噛みついてきた。
「やべぇっ!!」
咄嗟に身を反らし、ギリギリでその攻撃をかわす。だが、アカマターの反撃は止まらない。すぐさま、さらに強烈な尾の一撃が俺に向かって振り下ろされる。地面が割れ、砂と瓦礫が激しく舞い上がる。
「見えねぇ!これ、マジでヤバイって!」
咄嗟に叫びながら俺は足を踏ん張る。だけど、この状況を一人でどうにかするのは無理だ。
「麗華!サポート頼む!」
「分かってるわ、飯田君!」
麗華の冷静な声が背中越しに聞こえた。次の瞬間、彼女の呪術が発動し、アカマターの尾を闇の鞭で絡め取る。捕縛された尾が一瞬止まる。
「さすが麗華!」俺は心の中でガッツポーズを決めるが――。
「な、なにこの力……!」
麗華の焦る声が響く。アカマターはその怪力で麗華の呪術を振りほどき、再び巨大な体をうねらせる。そして、今度は俺たち二人をまとめて狙ってきた。
「こいつ、意外に頭使うのかよ!」
俺は悪態をつきつつ、迫りくる尾の勢いを見極める。
だが――ここで麗華を危険にさらすわけにはいかねぇ!
「行くぞ、麗華!」
瞬時に決断し、俺は麗華をお姫様抱っこで抱き上げ、その場から全力で跳び退いた。
「ちょっ、飯田君!?何を――!」
「いいから黙ってろ!お前が怪我したら意味ねぇだろ!」
アカマターの尾が地面に叩きつけられた瞬間、爆発音のような轟音と共に地面が粉々に砕け散る。破片が飛び散り、衝撃で辺りの空気が震えた。
「……ふぅ、ギリギリ間に合ったか。」
俺は麗華をそっと地面に降ろし、彼女の顔を確認する。少し驚いた表情をしていたが、すぐに口元をきゅっと引き締め、俺を見つめた。
「ありがとう。でも、次はちゃんと相談してからにしてよね。」
「へいへい、次からな!」
俺は苦笑いしながら拳を握りしめ直す。奴はまだ動きを止めちゃいねぇ。むしろ、さらに怒りを増したようにその体を震わせている。
「暴れてて手がつけられねぇな……どうする?」
麗華も息を切らしながら、冷静に周囲を見渡していた。そして、決意したように俺の方を見て言う。
「飯田君、私に考えがあるわ。」
「おっ、なんだ?」
俺が答えると、麗華は俺の耳元にそっと口を近づけ、小声で作戦を伝える。その内容を聞いた瞬間、俺の口角がぐいっと上がった。
「おっしゃ!任せろ!!二人の初めての共同作業って訳だな!見せつけてやろうぜ!」
麗華は手から闇のエネルギーを生み出す。その黒い塊はぐにゃりと形を変え、柔らかくも力強い存在感を放つ。そして俺は、その端をしっかりと掴んだ。
「おお、これが麗華の闇か。意外と……なんだ、スライムみたいに伸びるんだな?」
「余計なこと言わないで。集中して!」
麗華がピシャリと言う。俺は苦笑いを浮かべながらも、その闇の端をしっかりと握り締めた。
「よし、行くぞ!」
俺はそのままアカマターに向かって突進する――――と見せかけて。
「雷光閃!!」
足に全ての俺力を注ぎ込み、一瞬で圧倒的な速度を生み出す。その勢いでアカマターの周囲をぐるりと一周。地面がえぐれるほどのスピードで駆け抜け、さらにジャンプ!空中で回転しながらアカマターの頭上を飛び越えた。
「麗華!今だ!!」
麗華の闇が瞬時に形を変えた。それはまるで網のような姿になり、アカマターを覆い包むように動き出す。
「な……何だこれは!?」
アカマターが驚愕の声を上げる。その巨大な体が網状の闇に絡め取られ、まるで捕らえられた魚のようにもがき始めた。
「すげぇな、麗華!これで奴は逃げられねぇ!」
俺は大声で叫び、拳を握りしめた。
麗華は冷静に、しかし強い意志を込めて呪文を唱え続ける。「闇の檻、完全拘束――!」その声に応じるように闇の網はさらに力を増し、アカマターの体を締め上げていく。
「ぐおおおおおおお!」
アカマターの苦しげな叫びが響く。だが、その目にはまだ戦意が宿っている。
「飯田君、今がチャンスよ!決めて!」
「おう!見てろよ、麗華!これが俺たちの力だ!!」
俺は拳を高く掲げ、雷の力を全身に集中させる。空気がビリビリと震え、周囲の瓦礫が浮き上がるほどのエネルギーが集まった。
「これで決める!」
アカマターの巨大な体が揺れ、その赤い瞳がこちらを睨む。その怒りと威圧感は尋常じゃないが、今の俺には通用しねぇ。俺の拳には、麗華との絆が込められている!
「ハーレム王のぉぉぉおお!!」
俺の声が響く中、拳に込めた雷のエネルギーが限界を超え、拳そのものが青白い火花を散らし始める。拳に宿る力が膨れ上がり、まるで周囲の時間が止まったかのように感じる。
「ラブ&ピースパンチ!!!!」
全力で叫びながら、俺は拳を振り下ろした。その瞬間、拳から放たれた雷が稲妻となり、アカマターの頭にまっすぐ突き刺さる!
――バチィィィィン!!!
雷が炸裂し、凄まじい閃光が辺り一帯を包み込む。その光は眩しすぎて、目を閉じても鮮明に感じられるほどだ。爆発の衝撃波が大地を揺るがし、瓦礫や砂埃が吹き飛ばされていく。
アカマターの頭に拳がクリーンヒットした瞬間、巨体がビクンと痙攣し、動きが完全に止まる。その顔には苦痛と敗北の色が浮かび、その瞳の赤い光が徐々に消えていく。
「ぐわああああああああああ!!!」
アカマターの絶叫が響き渡り、その巨大な体がゆっくりと崩れ落ちていく。その巨体が地面に倒れ込む音が、大地を震わせながら響いた。
俺は拳を下ろし、胸を大きく上下させながら息を整える。まだ手が雷の余韻で震えているが、それでも立ち上がったままの俺がそこにいた。
「ハァ……ハァ……やった……やってやったぜ!!」
俺の叫び声が静寂の中に響き、麗華がゆっくりと俺の隣に立った。
その時、麗華が静かに俺の隣に立ち、疲れた表情ながらも微笑みを浮かべている。
「飯田君……あなた、本当にすごいわ。」
その一言に、俺の胸がじんわりと温かくなった。やっぱり、麗華に褒められるのは最高だ。
しかし――。
「でも……技名、もうちょっとどうにかならなかったの?」
麗華は微妙に困ったような表情で俺を見つめている。
「……技名?」
俺は少し考えたあと、拳を掲げながら自信満々に言い返した。
「ラブ&ピースこそ、俺の生き様だぜ!」
自信満々にキメ顔で言った俺に、麗華は呆れたように眉を下げたが、すぐに肩をすくめて苦笑した。
「本当に、飯田君らしいわね。」
その言葉に俺は胸を張りながら笑った。
「だろ?俺の生き様が技名に出てるってことよ!最高じゃねぇか!」
麗華は小さくため息をつきながらも、どこか満足そうに俺を見つめていた。
「まぁ、いいわ……でも次は、もっと素敵な名前にしてみたらどう?」
「おう、次はもっとキザな名前にしてやるよ!『麗華ラブパンチ』とかどうだ?」
「それはやめて。」
麗華が即答し、俺は少し照れくさく笑いながら肩をすくめた。勝利の余韻に浸りつつも、次の技名を考え始める。やっぱり派手で俺らしいやつがいいよな――なんて思っていたその時だった。
――――光だ。
「な……なんだ!?」
俺の視界に、崩れたはずのアカマターの体が不気味に光り出す光景が飛び込んできた。鱗の隙間からまるで内側から発光しているような、異様な光景だった。
「大丈夫よ、飯田君。」
麗華が冷静に言葉をかけてくる。その声は落ち着いているが、眉間にはわずかに緊張が浮かんでいた。
「闇の檻で完全に拘束しているもの。抜け出せるはずがないわ。」
麗華がそう断言する中、俺も一瞬ホッとしかけた――が、次の瞬間。
「え……嘘だろ!?」
アカマターの体がズルリと光をまといながら変化を始める。鱗が一枚一枚外れ、滑るようにその巨大な体が檻の中から抜け出していく。
「まさか……脱皮してる!?」
目の前の信じられない光景に、俺は驚きと焦りで声を上げる。闇の檻がアカマターの抜け殻をそのまま拘束したまま、肝心の本体は新しい姿で完全に外に出てきた。
「こんなことが……」
麗華の声がかすかに震える。
アカマターの体は、脱皮によって再生されていた。傷ひとつない滑らかな鱗が光を反射し、その巨大な体はさらに威圧感を増している。俺たちの全力で追い詰めたはずの攻撃が、まるで無かったかのように――。
「おいおい、マジかよ……」
俺は思わず拳を握り直したが、その手には微かな汗がにじんでいた。
アカマターが再び俺たちを見下ろし、その瞳が赤く輝く。口元がにやりと歪むと、その冷たく低い声が耳に届いた。
「人間風情が、ここまでやるとはな……だが、まだ終わっていない……」
その声には、さっきまでの苦しみは一切感じられない。むしろ、余裕すら漂わせている。
「麗華、どうする!?こいつ、完全に復活してるぞ!」
俺が叫ぶと、麗華は険しい表情でアカマターを睨みつけた。
「次は、さらに慎重にいくしかないわ。飯田君……もう一度、全力で行くわよ!」
「おう、分かった!次こそ、絶対に終わらせる!」
俺は拳を握り直し、再び立ち上がろうとしたが、足が震えて力が入らねぇ。さっきまでの戦いで、ほぼ全力を使い果たした身体は限界に近い――それでも、諦めるわけにはいかねぇ!
その瞬間だった。
アカマターの瞳が不気味に赤く輝き始め、まるで地獄の炎が宿ったかのようにギラリと光る。
「人間よ、貴様に与えるのは――絶望だ。」
「な、なんだ!?」
その声と共に、俺の体が――ぴくりとも動かなくなった。
「!?なんだこれ!?動けねぇ!?」
足が地面に張り付いたように重くなり、腕は鉛の塊のように硬直する。まるで全身が石になっていくかのようだ。
「飯田君!!」
麗華が叫ぶ声が耳に届くが、俺の体は全く反応しない。
「これが我が『石化の魔眼』だ。貴様の体は徐々に石となり、完全に動けなくなる……そしてそのまま、永遠に石像として生き続けるがいい」
「な、なんだと!?そんなの……まるでギリシャ神話のメデューサかよ!?」
心の中で必死にツッコむが、状況はまるで笑えない。指先が徐々に石へと変わっていくのが目に見えて分かる。ヤバい、マジでヤバいぞ!!
「ちょっと待てって……!俺、まだ死ぬつもりねぇんだよ!」
だが、体の石化は止まらない。俺の視界の端で、アカマターがずりずりと巨大な体を引きずり、麗華に向かって近づいていく。その動きは、不気味で気味が悪い。
「また……お前に催眠をかけてやる……今度こそ、完全に俺のものにしてやるぞ……麗華……」
「そんな……!」
麗華の顔が恐怖に歪んでいるのが、俺の目に焼き付く。
アカマターの低く不気味な声が、まるで呪いのように耳にこびりつく。その巨大な体がじりじりと麗華へ近づき、彼女を完全に飲み込もうとしている。俺の心臓は激しく鼓動し、頭の中が真っ白になる。
「麗華……お前は俺のものだ……もう一度、完全に支配してやる……」
アカマターの瞳が赤く光り、その異様な光景に息が詰まる。
「飯田君……た、助けて…………!!」
麗華がか細い声で助けを求める。その涙目の視線が俺を貫き、胸が締め付けられるような痛みに襲われる。俺は彼女を見ていることしかできない――動けない。
くそっ、なんでだ!なんで動かねぇんだ!!
俺の体は鉛のように重く、まるで石のように硬直している。必死に力を込めるが、筋肉はまったく反応しない。
「さぁ……俺の目を見ろ……再び催眠にかかれ……」
アカマターの赤い瞳が輝きを増し、その光が麗華を捕らえようとしている。
――また麗華を失うのか?
俺の頭の中に、嫌な記憶がフラッシュバックする。
彼女を守れず、無力だったあの瞬間――いや、もう二度と繰り返さない!
「飯田君……!」
麗華が必死に俺を見つめる。その声、その姿――すべてが俺を奮い立たせる。
俺の中で何かが弾けた。
体は動かない。それでも俺の意志が叫ぶ。だったら更に強く――――――。深く、根源に潜り込め。
俺は力を振り絞り、できる限り大きな声で叫んだ。
「麗華!!!!俺を褒めろ!!!」
その瞬間、戦場に奇妙な静寂が訪れた。
麗華は目を見開き、呆然と俺を見つめている。隣のアカマターでさえ、一瞬動きを止めて、蛇の目を丸くした。
「……えっ?」
麗華がぽつりと漏らす声が、やけに響く。
「飯田君、何を――」
麗華が戸惑った顔で俺を見つめるが、俺はそれどころじゃない。全力で叫び返す。
「説明する暇はねぇ!とにかく褒めろ!」
俺の必死な声が、まるで命を懸けた願いのように響く。
麗華は戸惑いながらも、小さくうなずいた。
「……飯田君、すごい……今まで本当によく頑張ってきたわ……!」
その言葉が耳に届いた瞬間、何かが体の奥でカチリと音を立てた気がした。
「もっと!もっとだ!」
麗華がさらに焦ったように、声を張り上げる。
「えっ、えっと……!飯田君の雷の力は、誰にも負けないくらいかっこいいし……本当に頼りになるわ……!」
俺の体に微かな熱が戻り始める。筋肉がピリピリと震え、石のような重さが少しずつ解けていく感覚がする。
だが、これじゃまだ足りねぇ!もっとだ、もっと力を引き出さなきゃ――俺は叫ぶ。
「麗華!俺が言うことをそのまま繰り返せ!」
麗華は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに小さくうなずき、言葉を口にした。
「飯田君はかっこいい!!」
「い、飯田君はかっこいい!!」
その声が俺の体を駆け巡り、心臓が強く鼓動を打つ。
「飯田君最強最高!」
「飯田君最強最高!!」
麗華の声が響くたびに、俺の体の雷がどんどん強くなる。全身が熱くなり、まるで金縛りを振り払う準備をしているかのようだ。
「飯田君大好き!!」
「ッ――――飯田君……大好き」
その一言が、俺の体の中心を一気に燃え上がらせた。
「うっひょおぉおお!!」
俺の歓喜の声が雷の轟音と共に響き渡る。
「麗華!俺はお前が好きだ!俺と結婚するか!?」
麗華の目が驚きに大きく見開かれる。頬が赤く染まり、視線を一瞬逸らすが、決意を固めたように俺をまっすぐ見つめ返す。
「どうなんだ!?麗華!?」
俺は全身がまだ石化している状態で麗華に詰め寄る。その姿はおそらくかなりシュールだったが、麗華はついに決心したように息を吸い込み――
「わ、私も好き!!結婚して!!」
「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
その言葉が空気を揺るがすように響いた瞬間、俺の体内で俺力が爆発的に生まれた。眩しい光が俺を包み込み、全身を突き抜ける感覚が俺の力を完全に覚醒させる。
俺力、フルチャージだ――!
「麗華!任せろ!俺は……お前を絶対に守る!!」
そう呟いて、俺は拳を天高く掲げる。再び雷の力が体に宿り始めるが、今回は普通の雷じゃねぇ。もっと深い、俺の根源から湧き上がるエネルギーだ。
「根源解放―――解放Level2!!」
――バチッ!バチバチバチッ!!
過剰な程の雷のエネルギーが俺の全身を駆け巡る。その瞬間、全身に激痛が走る。皮膚が焼けるような感覚、筋肉が焦げるような熱さ――だが、痛みなんてもう関係ねぇ。
「うおおおおおお!!!」
雷鳴が轟き、雷の奔流が大地を砕く。 その力に呼応するかのように地面が震え、瓦礫が浮き上がる。稲妻が辺りを照らし、空気そのものがビリビリと震えた。
「何!?」
アカマターの目が驚愕に見開かれる。俺を縛っていた石化の呪いが、雷の力によって粉々に打ち破られる。 全身を覆っていた石の殻が砕け散り、俺は自由を取り戻した。
「やってやるぜ……!!」
全身の痛みが警鐘を鳴らすが、それすらも力に変える。この力は、麗華を守るためにあるんだ――そう信じて俺は飛び出した。
雷を纏った身体が稲妻そのものとなり、アカマターの巨体に向かって一直線に突進する。
「お前は麗華に触れさせねぇぇぇぇぇ!!!雷撃拳!!」
〈ズドン!!!!!!〉
雷の力を纏った拳が、アカマターの巨体にめり込む。拳が触れた瞬間、凄まじい衝撃波が辺り一帯に広がり、アカマターは何十メートルも吹き飛ばされた。
吹き飛ばされた先では、地面が大きく抉れ、その威力が如何に凄まじいものかを物語っていた。
「雷丸君……!」
背後から聞こえる麗華の声――その声に、俺の心はさらに熱く燃え上がる。 守るべき存在がいる。俺は絶対に守るんだ――!それだけだ!!
吹き飛ばされながらも、アカマターは吠え声を上げた。
「き、き、きさまぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
その声は怒りと苦痛に満ちていたが、同時に俺たちの反撃が奴を追い詰めている証拠だった。
俺は拳を握り直し、全身から迸る雷をさらに強める。これで終わりにしてやる――!
Level 2に到達したことで手にした新たな力――遠距離攻撃。それは、自分自身をも焼き焦がすほどの危険な雷の力だ。それでも構わねぇ。麗華を守るためなら、この身がどうなろうと関係ねぇんだ!
「雷鳴砲……チャージ完了だ!」
俺は両手を構え、全身に流れる雷のエネルギーを一点に集中させる。眩いばかりの青白い光が両手に収束し、まるで俺の意志そのものが形を成したかのようだ。
「アカマター!お前の終わりだ!!」
アカマターの巨体が大地を揺らしながら突進してくる。その目には怒りと絶望が混ざり合い、赤く燃え上がっている。だが、俺の決意はそれを遥かに凌駕する。
「雷鳴砲!!!!!」
俺の両手から放たれる雷の奔流――それは、地を裂き、空を引き裂くほどの凄まじいエネルギーだ。放たれた瞬間、雷が螺旋状に巻き上がりながら一直線にアカマターに向かって突き進む。
その光は目を焼き付けるように眩しく、周囲を完全に照らし出す。音は爆発的な轟音を伴い、空間全体を震わせる。木々は薙ぎ倒され、地面には深い亀裂が走る。
「ぐおおおおおおおおおお!!!!!」
アカマターの絶叫が轟く。雷がその巨体を直撃した瞬間、雷の力が奴の体を内部から蝕み、鱗が剥がれ、肉体が崩壊していく。
雷鳴砲のエネルギーが奴の体を貫き、その先にある大地すら抉り取る。爆発的なエネルギーが巻き起こり、衝撃波が辺りを吹き飛ばした。
煙と光の中、アカマターの巨体がゆっくりと崩れ落ちる。その姿は、もうただの残骸と化していた。奴の赤く燃え上がる瞳も、その光を失い、完全に沈黙する。
俺は膝に手をつきながら、荒い息をつく。全身が疲労で重く、筋肉が鋭い痛みを訴えている。汗が頬を伝い、地面にポタポタと落ちる音が耳に残る。だが、俺の心は達成感で満たされていた。
「……終わったぜ……麗華……!」
視線を上げると、そこには麗華が立っていた。微かな微笑みを浮かべて俺を見つめる彼女の姿は、まるで戦場に咲く一輪の花のようだった。目には涙が光り、震える手で胸元を押さえている。その安堵の表情が、俺にとって何よりも嬉しかった。
俺は疲れ切った体を無理やり起こし、ニヤリと笑みを浮かべて彼女に向かって言った。
「ハーレム王は、やっぱりただの男じゃねぇんだよ!」
その言葉に、麗華は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに吹き出したように笑い出した。肩を震わせながら笑う彼女は、戦いの緊張を忘れたようだった。
「……えぇ、まぁ、少なくとも普通じゃないわね。」
麗華はため息混じりに呆れたような口調で言うが、その顔にはどこか満足げな笑みが浮かんでいた。その瞬間、俺の心に温かい何かが広がるのを感じた。
辺りを見渡すと、戦いの痕跡が静寂の中に刻まれていた。大地には深い亀裂が走り、焦げた匂いが漂っている。だが、その全てが俺たちの勝利を物語っているように思えた。
俺は両手を腰に当て、胸を張って空を見上げる。そして、大きく息を吸い込み、全力で叫んだ。
「――――――――ハーレム王、ここにあり!!」
0
あなたにおすすめの小説
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について
沢田美
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。
クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。
彼はその日から探索者――シーカーを目指した。
そして遂に訪れた覚醒の日。
「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」
スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。
「幸運の強化って……」
幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。
そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。
そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。
だが彼は知らない。
ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。
しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。
これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~
エース皇命
ファンタジー
学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。
そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。
「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」
なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。
これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。
※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる