異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴

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第72話 修学旅行32

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【那覇空港のフォトスポット】



 修学旅行ももう終わりってことで、なんだかみんな気が抜けた感じで写真撮影が始まってた。静香さんへの贈り物を買い終え、ぼんやりとしていた俺に突然背後から声が飛び込んできた。



「おい、飯田!写真撮ろうぜ!最後の思い出だ!」



 声の主は、小野寺雄二――サッカー部のエースで、やたら俺に絡んでくるヤツだ。俺は少し目を細めて小野寺を見た。



「お前、ほんと俺のこと好きだな?」



 軽く冗談を飛ばすと、小野寺はにやけながら肩をすくめた。



「そりゃあ、こんなハーレム王とは一生のうちで一回会えるかどうかだしな!記念写真ぐらい撮っとかねぇと、将来のネタになんねぇだろ?」

「おいおい、お前の人生の決め手が俺との写真かよ!」



 ツッコミを入れると、小野寺はスマホを構え、「ほら、さっさとこっち来いよ!伊集院さんも!」と手招きしてくる。


 しょうがない、クラスメイトも注目してるし、ここは一発カッコつけてやるか――俺は大きく息を吸い込み、堂々と宣言した。

 

「よし、分かった。じゃあ、俺の完璧ポーズを見せてやる!」



 胸を張り、足を広げて、いかにも「ハーレム王!」って感じのポーズを決めた瞬間――



「お兄ちゃん!私たちも映るー!」



 突然、後ろから貴音、焔華、そして雪華が勢いよく飛び込んできた。まるで背後から謎の柔らかい波が襲ってくる感覚だ。


 
「うわっ!お前らもかよ!?」



 貴音が俺の片腕にガッシリ絡みつき、焔華が反対側を占領。雪華は笑顔で俺の背中に回って、俺の肩に顔を寄せる。どう考えても修学旅行の写真にしてはおかしい光景だろ!



「雷丸様!私たちも一緒に記念を残したいんです!」

「わしらも撮らねば失礼じゃ!」

「お兄ちゃん、思い出だよ!」

「思い出ってお前ら……!」



 そこでふと目をやると、麗華が少し離れた場所から戸惑った様子で俺たちを見ているのが目に入った。


 普段はクールな彼女だが、大勢でのわちゃわちゃに慣れていないせいか、どこに立てばいいのか分からない様子だ。


 
「おーい麗華!そんな所にいないでこっち来いよ!」



 俺が声をかけると、麗華は一瞬驚いた表情を見せたが、恐る恐るこちらに近づいてきた。


 
「えっ……でも……」

「ほら、ハーレム王の婚約者なんだから、ここは堂々と来いって!」



 俺はそう言いながら彼女の手を取り、ぐいっと引き寄せた。

 

「ほれほれ!ファミリーの一員なんだからのう!」



 焔華が満面の笑みで麗華を歓迎する。貴音も「麗華さん!こっち来てー!」と手を引っ張る。雪華も「麗華さんがいないと、この写真は完成しませんね」と穏やかに微笑む。


 麗華は最初少し戸惑っていたが、俺たちに囲まれるとふわりと微笑んだ。

 

「ふふっ、みんな本当に……賑やかね。」



 麗華が柔らかく微笑みながらそう言った瞬間、俺たちを中心にした一大騒動が巻き起こった。

 

「わー!雷丸、やっぱりハーレム王じゃん!」

「さすがだな、雷丸。お前、ほんとに持ってるわ!」



 周りのクラスメイトたちが拍手喝采しながら騒ぎ立てる。特に男子連中は大興奮で、スマホを取り出して何枚も写真を撮っていた。

 

「おいおい!撮影会じゃねぇんだから、そんなに撮るなよ!」



 俺が軽く手を振るが、みんな止まる気配はない。むしろ、「もっとポーズ決めろ!」とか「麗華さんとのツーショットも!」とか、勝手な要求が次々と飛んでくる。


 そして、小野寺だ。


 こいつは俺の肩をバシバシ叩きながら、ずっとニヤニヤしている。

 

「おい飯田、お前が主役だぜ!さすがハーレム王!」

「ったく、叩くなよ!肩が外れる!」

「いいじゃねぇか、主役なんだから我慢しろって!お前、ほんとに人生の勝ち組だな!」



 俺は周囲の熱気に苦笑いしながらも、内心では――いや、まんざらでもない。


 
「麗華、お前も楽しんでるか?」



 俺が隣にいる麗華に声をかけると、彼女は少し照れくさそうに微笑んで頷いた。


 
「ええ。……こんなに騒がしいのは初めてだけど、悪くないわね。」



 その言葉に、俺は思わず笑顔になる。そうだ、これが俺たちの最高の修学旅行だ。


 
「ったく……こんな修学旅行の思い出、忘れられるわけねぇだろ!」



 俺がそう叫んだ瞬間、小野寺がスマホを構えた。


 
「はい、パシャッと撮るぞ!みんな、最高の笑顔でいけよ!」



 俺は腕を広げ、麗華、貴音、雪華、焔華を引き寄せる。そして――周りにはクラスメイトたちが笑顔で集まり、みんなで一斉にポーズを決めた。


 カシャッ――


 その一枚の写真には、俺たち全員の最高の笑顔が映っていた。


 俺は思う。この修学旅行は、俺にとって間違いなく人生最強の思い出だ。そして、この瞬間は、俺がハーレム王として刻んだ新たな一ページでもある。


 写真を撮り終えた後も、周りのみんなは笑顔で大騒ぎを続けていた。でも俺は――隣にいる麗華の微笑みを見ながら、そっと心の中で思った。


 
「ずっとこうやって、みんなで笑い合えるといいよな。」


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