異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴

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第89話 職場体験3

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 俺は少しムキになって、黒瀬に詰め寄った。


 
「じゃあ、お前の考えを教えろよ。俺の考えばかり話して、不公平じゃねぇか。」


 
 黒瀬は俺の言葉を受けて、ゆっくりとカップを置いた。まるでドラマの悪役みたいに、静かに見せつける動作が逆に不気味だ。なにその完璧な悪役ムーブ!


 
「……俺の考え、か」


 
 黒瀬は一瞬、天井を見上げたあと、冷ややかな視線を俺に向けてきた。おいおい、今から大演説でも始める気か?

 

「まず、俺はこの腐敗した世界を正すために、力を使う。お前みたいに甘ったるいハーレムを築くためじゃない。俺の目的はただ一つ。妖怪を根絶やしにし、人間の世界に安全と秩序を取り戻すことだ」


 
 こいつ、マジで真顔で言ってるし、急にスケールがデカくなったんだけど!?しかも、その言い方、妙に高貴な感じ出してくるし、カフェで聞く話じゃねぇだろ!?ここ普通にコーヒー飲んでるところなんだぜ!

 
 俺は一瞬ポカンとしながらも、なんとか頭の中で処理しようとする。

 

「いや、俺はただハーレムで平和に生きたいだけなんだけどさ……お前の目的、重すぎねぇか?」

「甘いな」


 
 また甘い言ってる!どんだけ甘さにこだわるんだよこいつ!

 

「お前が平和だと言っているハーレムの中にさえ、潜んでいる妖怪の脅威を見逃すことはできない。俺の使命は、人類のために全ての妖怪を排除することだ」

 

 ――何だよこの壮大なミッション!なんでこんな大義名分掲げてカフェでガムシロ入れまくってんだよ!俺、頭の中が追いつかねぇよ!


 貴音も隣で、ちょっと引いてる感じで黒瀬を見ている。いや、俺も同感だよ、貴音。


 
 黒瀬は一瞬、口元にニヤリとした笑みを浮かべながら続けた。


 
「お前にハーレムがある限り、お前は甘さを捨てきれない。俺はそこに付け込む。だが、もしお前がその甘さを克服できたら……話は別だ」

「俺のハーレムに文句つけてんじゃねぇよ!」


 
 俺は反射的に叫んだ。俺のハーレム、俺の生き様だぞ!それにいちいちケチつけられる筋合いはない!

 
 黒瀬は無言でコーヒーを一口飲む。まるで「お前はまだ全然わかっていない」って顔をしてる。しかも、さっき大量にガムシロップをぶち込んだはずなのに、まだ苦い顔してるんじゃねぇか。

 
 コーヒーが苦いのは分かるけど、なんで俺のハーレムも苦い顔されなきゃならねぇんだよ!

 
 俺は混乱しつつも、何とか気持ちを奮い立たせ、黒瀬に食い下がった。


 
「とにかく、俺だって守るべきもんがあるんだよ!そりゃハーレムは甘くても、俺自身は負けねぇ!」


 
 俺の言葉に対して、黒瀬は静かに俺を見据え、まるで何かを試すかのように言葉を返してきた。

 

「……お前がそう言うなら、いつか見せてもらおうか。その『甘くない』力をな」



 また『甘い』か『甘くない』か!?この人、ハーレムの話してるんじゃなくて、砂糖の量で俺をジャッジしてるのかよ!?

 

「だが、お前の行き着く先は絶望でしかない。それは決まっている。甘さに溺れている限り、結果は同じだ」



 え、急に重いぞ!?おいおい、いきなり人生の答えみたいな話すんのやめろよ!

 

「それが嫌なら、俺と一緒に来い、飯田雷丸」


 
 黒瀬の冷たい目が俺に突き刺さる。まるで「お前のハーレムなんて幻想だ、現実に向き合え」と言わんばかりの視線だ。

 
「俺と一緒に来い」って、なに?もしかして勧誘!?今このタイミングで!?いやいや、俺はハーレムの王だぞ!?何勝手に黒瀬派に引き込もうとしてんだよ!

 

「はぁ!?お前と一緒に来いって……お断りだよ!俺には俺のやり方があるんだよ!」

 

 黒瀬は再びため息をつきながら、コーヒーをもう一口飲んで静かに言った。


 
「お前がそう言うなら、せいぜい甘さに溺れず、足元を見失わないことだな。でなければ、すぐに後悔することになるだろう」


 
 ――――お前、本当にコーヒーに甘いもの入れすぎじゃねぇか!?


 
 黒瀬が席を立ち、静かに「話は終わりだ」と言い放った。その冷徹な声に、俺は一瞬で焦り、思わず叫んだ。


 
「あ、おい待て!!」



 黒瀬が立ち止まり、冷たい目で俺を見下ろしてくる。 
「まだ何かあるのか?」と、まるで「これ以上無駄な話はしないぞ」とでも言いたげな視線だ。


 
 ――――やべぇ、ここで何て言えばいいんだ?

 

 俺は一瞬、頭の中が真っ白になったが、すぐに無理やり口を開いた。

 

「なぁ、今日一日あんたに付いていってもいいか?」

「…………どういうつもりだ?」



 その冷たい目線は相変わらず刺さるが、ここで引き下がるわけにはいかない。俺は何とか言葉をひねり出した。


 
「え、えっとぉ……職場体験というか……?」

 

 えぇ……我ながら、こんな言い訳で通じるわけがねぇじゃん!と、思ったその瞬間、黒瀬は一瞬眉をひそめ、俺を見つめてきた。

「職場体験……?」と、呆れたように一言。そして、なぜかニヤリと笑った。


 
「まぁいい。お前が俺の活動を見て、何か感じるものがあるなら、それもいいだろう。気持ちが変わるかもしれないからな。着いてこい」


 
 ――えぇ!?いいの!?まさかこれでOK出るとは思わなかった!俺、今めっちゃラッキーじゃね!?

 その時、隣にいた貴音が手を挙げ、キラキラした目で言った。

 

「あ、私も一緒にいいですか!!??」



 黒瀬はその輝く瞳を一瞬見て、ため息混じりに「構わん」とあっさり了承した。

 構わん!?妹連れOKかよ!?黒瀬、意外と寛容じゃん!


 こうして、俺と貴音は黒瀬禍月の一日職場体験(?)に突入することになったのだった。
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