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第100話 ターニングポイント3
しおりを挟む俺も箸を持ち上げ、目の前のラーメンに向き合った。そして、ズルズルッと勢いよくすすった。
「これこれ!!」
――このこってり感、脂の風味、そしてガツンとくるにんにくのパンチ力!これぞ、俺が求めてた家系ラーメンだ!体に悪そうな感じが逆に最高なんだよな。もう体の中でジャンクの嵐が巻き起こるのがわかるぜ!
隣を見れば、黒瀬禍月は黙々とラーメンを食べ続けているが、口の周りの脂と戦っているのがバレバレだ。顔は真剣だけど、口元が光ってるんだよ、ピッカピカに!
鳥丸天道はというと、苦戦しながらも一口一口、ゆっくりとラーメンをすするたびに「あ、あぁ……なんという濃厚さ……」と苦悶の声を上げている。もう完全にラーメンに負けそうじゃねぇか?
「これが……ハーレム王の流儀……なのか……?」と、鳥丸が弱々しく俺に問いかける。
「そうだよ!これが本物の家系ラーメンの味だ!ガツンとパンチの効いたこの味を乗り越えなきゃ、真のハーレム王にはなれねぇ!」
俺は自信満々に言ってみせた。
でも、鳥丸の目がどんどん虚ろになっていくのを見て、俺は「いや、そんな無理しなくていいぞ……」と心の中でフォローを入れることにした。
黒瀬禍月がラーメンをすすり終え、脂まみれの口元をハンカチで拭きながら、険しい顔で俺を睨んできた。
「それで、飯田雷丸。さっさと要件を話せ。ただ、俺たちをラーメンに誘ったわけじゃないだろう?」
機嫌が悪そうに言う黒瀬の言葉に、俺は一瞬たじろいだ。いや、確かに飯誘ったのは悪かったけど、そんなにキレることかよ……。
静香さんも、ラーメンの油でぬるぬるになった手を拭きながら、俺の方をじっと見つめている。
「……雷丸君、何を話そうとしてるの?」
――うわぁ、これめっちゃ空気重くなってんじゃん!まるで闇金取り立てにあった気分だよ……。
でも、俺もここで逃げるわけにはいかねぇ。だって、今日ここに集めた理由はちゃんとあるんだから!
「ま、まぁ、そう焦るなよ。ラーメンぐらい味わってくれって!でも、話すことがあるのは確かだ……」
俺は深呼吸して、腹をくくった。
「今日、呼んだのは他でもない……お前らの提案についてだ。黒瀬、鳥丸。そして静香。お前ら、俺にそれぞれ殲滅派と崇拝派、そして中立派に誘ってくれたよな?その答えを出すために、ここに集まってもらったんだ!」
その瞬間、黒瀬の目が鋭く光り、鳥丸も興味深げに俺を見つめた。静香は心配そうな顔をしている。完全に三人の視線が俺に集中している。
「俺は……」
――さぁ、言え雷丸!ここが勝負の時だ!
俺は――――――――
まるで、俺が好きなギャルゲー『異世界ハーレム対戦』の選択肢画面が目の前に浮かんだかのようだ。
①ハーレム大統領になる!!
②ハーレム教祖になる!!
③ハーレム親子丼をする!!
――いやいや待て、これは選択肢っていうより罠だろ!?
まず①「ハーレム大統領になる!!」って選んだら、黒瀬禍月が俺を徹底的に鍛え上げるだろうし、妖怪殲滅とかいう超物騒な仕事が待ってるに違いない。政治家とか、俺のハーレムに全然合わねぇんだよな……。
次に②「ハーレム教祖になる!!」。これを選んだら、鳥丸天道の狂信者たちに崇められて、毎日「教祖様~」とか呼ばれながら教義を広めなきゃならない。でもな、教祖とか言いながら実はめっちゃ大変だろうし、下手したら夜も寝かせてもらえねぇ!いやいや、俺、そんな教祖業はごめんだぜ!
そして――③「ハーレム親子丼をする!!」。これ、ちょっと意味がわからないって思ってたけど、よく考えたら静香さんと麗華の親子丼のことじゃねぇか!?どんだけ俺の脳内がハーレム王モード全開なんだよ!?
――と、俺の脳内でハーレムギャルゲーの選択肢が暴走し始めたところで、冷静に現実に戻ることにした。まさかこんなクソ選択肢で、今後の人生を決めるなんてありえない!
俺は頭をガシガシ掻きながら、三人を前に堂々と宣言した。
「俺は中立派!!伊集院家を選ぶ!!」
正確には静香さんだ!!
――その瞬間、時が止まったような気がした。黒瀬と鳥丸はピタッと動きを止め、ただ俺を見つめている。が、何よりも一番の反応は静香さんだった。
静香さんはまるでプロポーズされた女の子みたいに固まり、目に涙を浮かべているじゃねぇか!さらに口元を両手で押さえて、頬はほんのりピンク色。
――いやいや、何でそんな反応してんの!?俺、ハーレム王として決めただけなんだが!?
「雷丸君……!」
静香さんが震えた声で俺の名前を呼んだ。
――ちょっと待て、この空気、何か誤解されてないか!?俺が選んだのは、あくまで伊集院家としての選択肢だぞ!?プロポーズじゃねぇからな!?
黒瀬と鳥丸も驚いた顔で静香さんを見ている。完全に「え、これってそういう展開なの?」って顔だ。いや、俺も同じこと思ってるんだって!!
「……私を選んでくれるなんて、雷丸君……!!」
静香さんは感極まった表情で、涙をぬぐっている。
――やべぇ、これ完全にプロポーズモードになっちまってる……どうすんだこれ!?
俺は慌てて手を振りながら、「あ、いやいや、ちょっと待って!俺が言いたかったのは、あの、ハーレム的な意味でじゃなくてだな……!」と必死に訂正しようとするが、もう時すでに遅し。
静香さんは「もう……恥ずかしいわね」と、照れ笑いしながら俺の方を見つめていた。
――うわぁ、ハーレム王として、まさかこんな展開になるとは思わなかったぞ……。
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