異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴

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第119話 ワールドカップ14

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【日本代表ミーティングルーム】
 


 オープニングセレモニーの余韻も冷めやらぬまま、日本代表はミーティングルームへと集められた。


 これから数十分後には、いよいよワールドカップ本戦初戦のキックオフ。


 張り詰める空気。
 それぞれの顔には緊張と興奮、そして覚悟が入り混じっていた。

 
 監督・藤堂がホワイトボードの前に立ち、手にしたマーカーをトントンとボードに当てる。
 その音だけが静かな室内に響く。


 
「まずは改めて、本戦のルールを再確認しておくぞ。」



 選手たちは背筋を伸ばし、真剣な眼差しを向ける。


 
「これから行われるワールドカップ本戦は、各地区予選を突破した世界トップの10チームによる頂上決戦だ。」



 ボードには10ヵ国の国旗が並んでいた。

 
 日本、フランス、ベルギー、スペイン、アルゼンチン、ブラジル、ドイツ、イタリア、イングランド、オランダ。


 どの国も、名だたる強豪ばかり。


 
「この10チームがA・Bの2グループに分かれて総当たり戦を行う。勝ち点制だ。勝利で3点、引き分けで1点、負けは当然0点。」

「俺たち日本はAグループに入った。対戦相手はフランス、ベルギー、スペイン、アルゼンチンだ。」



 藤堂監督の言葉に、どよめきが広がる。
 いきなり強敵揃い――誰もが覚悟していたが、実際に並べられると改めてその厳しさを実感する。


 
「この5チームの中で、上位2チームが決勝トーナメントに進出できる。
つまり、グループリーグではどれだけ勝ち点を積み上げるかが何より重要だ。」

 

 ボードに書かれた国名を見つめる。
 どの国も、世界中が知る名門国ばかり。

 その中に並ぶ”JAPAN”の文字が、俺には誇らしくもあり、同時に燃え上がる炎のように感じられた。


 
「簡単に言えば、勝たなきゃ意味がない。それくらい厳しい戦いになるってことだ。」

 

 藤堂監督の言葉に、全員が無言で頷く。
 最初からわかっていた。
 ここに”楽な相手”なんていない。


 どこも強い。
 でも、だからこそ――
 ぶっ倒して伝説を作る価値がある。


 
「お前達。いいか。最初からビビる必要なんてない。俺たちがここにいる理由は一つだけだ。優勝するためだ。」

「世界を驚かせる準備はできてるか?」



 監督の問いかけに、誰もが力強く頷く。


 
「「「「はい!!!!!!」」」」

 

 

 ――――――――――――

 




 スタジアム全体が緊張と熱狂に包まれる中、
 日本代表の向かい側――フランス代表がゆっくりと入場してきた。


 そして、その先頭に立つのがフランスのキャプテン、ルイ・バルテルミー。


 ピッチに足を踏み入れた瞬間、まるで舞台に主演俳優が登場したかのように、空気が一変する。


 
「ボンジュール、日本!」



 爽やかな笑顔と共に、信じられないほど澄んだ声で挨拶をするバルテルミー。

 
 その瞬間、キャーッ!!!という黄色い歓声がスタジアム中に響き渡る。


 
「は?」


 
 俺は思わず耳を疑った。
 サッカーの試合だよな?アイドルのコンサートじゃねぇよな?

 
 光り輝く白い歯が、南米の強烈な太陽光を反射してキラーンと輝く。
 眩しすぎて目を細めるほどだ。
 あれはもう……サングラス必須のレベルだろ。

 
 そして歩くたびに、あのセンターパートがファサッ…ファサッ……とスローモーションで揺れる。
 まるでヘアケアCMのワンシーンかってくらい、完璧にキマってる。


 
「おい……あいつ、サッカーしに来たんだよな?パリコレのランウェイと勘違いしてねぇか?」



 村岡のツッコミに俺も深く頷きながら、目の前の“フランスのキャプテン”に視線を向ける。


 
「よぉ、ルイ・バルテルミー。」



 俺はあえてニヤリと笑い、軽く鼻で笑いながら声をかけた。


 
「なぁ、その髪型、どれだけ時間かけてセットしてんだ? なんなら俺が日本のスタイリスト紹介してやろうか? 3分で決まるヤツ教えてやるよ。」



 言ってやったぜ――そう思ったその瞬間。


 ルイは一瞬、目を見開いたが、すぐに完璧なスマイルで返してきた。
 太陽光を反射して輝く白い歯。
 


「アハ、モンアミ(友人)。」



 さらりとそう呼ばれて、一瞬「俺たち友達だっけ?」と戸惑う。


 
「君のスタイルも悪くないけどね。
でも、フランスの美しさというのは――芸術なんだ。
この髪型もただのセットじゃない。
魂のセットアップだよ。
髪一本一本に、フランスの誇りと情熱を込めるんだ。」

「なにぃ!?魂のセットアップだと!?」



 思わず声が裏返る俺。

 
 髪をセットするのに魂まで込めるって……おいおい、どんだけ気合入ってんだよ!?




「お前ら……サッカーの話はどこ行ったんだ?」

 

 長谷川キャプテンが、頭を抱えながらため息まじりにボソッと呟く。



 だが――俺はひるまねぇ。



 確かにバルテルミーの髪は完璧だった。
 歩くだけで、風を味方につけたようにファサッ、ファサッと理想的に舞い、見る者を惹きつける。


 けどな――こっちには俺のオールバックがある!


 
「魂なんて込めなくても、このオールバックで充分だぜ!!」



 俺は頭をガシッと撫でつけ、自慢のオールバックをこれでもかと見せつける。


 汗と情熱だけで作り上げたこの髪型、実戦仕様の“戦うオールバック”だ!


 ルイはそんな俺を見て、まるで子供が無邪気な挑発をしてきた時のようにクスッと微笑んだ。
 そして――



 スッ……



 あいつは、指先だけで前髪を軽くかき上げる。

 
 その瞬間、ファサァ……とスローモーションで美しくセンターパートが舞った。
 まるでシャンプーのCMの1シーンみたいに、完璧な演出。


 そして、口角を軽く上げながら、柔らかく、けれど挑発的な一言。

 

「なるほど。君には、少しフランスの美学を学ぶ必要があるね。」



 美学ってなんだよ……。


 ――でも、こいつが本気で“美”を背負ってピッチに立つなら、受けて立つしかねぇ。


 
「じゃあ、センターパートとオールバック。どっちが本物か、試合で決めようぜ!」



 俺が右拳を突き出すと、バルテルミーはエレガントな仕草で軽く頷き、あろうことかウインクまで飛ばしてきやがった。
 しかもその瞬間、またファサッと髪が舞う。もう狙ってんだろこれ。


 
「楽しみにしてるよ、Mr.雷丸。」



 そう言い残すと、バルテルミーはまるで映画のワンシーンみたいに優雅にピッチへと歩き出した。
歩くたびに風が起こり、センターパートの神髪が美しく弧を描く。


 まるで彼が歩くだけで、そこに一本のランウェイが生まれているような、圧巻のオーラ。


 俺はその背中を見送りながら、改めて実感する。


 
「クセ強ぇな、フランス……。」



 でも、こういう強烈な奴らが集まるからこそ、ワールドカップは面白ぇんだよな。


 よっしゃ、派手にやってやろうじゃねぇか――このオールバック魂、見せつけてやるぜ!


 
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