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一族②
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10時10分前。美智さんに呼ばれてる時間まで後少しだ。朝食の後は歯を磨いてからぼんやりしていた。本も持ってきてない、勉強道具もない。
仕方がないから昨日遅かった分、少しだけウトウトしてみた。寝られるなという頃晴空を思い出してしまいダメだった。
この部屋に感じてた違和感、窓がない。地下だから当たり前といえば当たり前なんだけど、二階の僕の部屋の窓を開くと風向きによって海の潮の香りがした。あれが僕の当たり前だったから不思議な感じがする。
まだこの家は僕にとって巨大迷路だから、隣室の貴嶺さんに頼って美智さんに呼ばれてる部屋に連れてってもらう。一緒に入ってくれるのかと思ってた貴嶺さんの方から足音がしないから振り替えってみたら「俺も色々と忙しいんだよ、凪だけ行ってきな」と、僕が入るのを見送ってくれた。帰り道…う~ん、何となくなら分かるかもしれない。
「あの、美智さんえっと…」
「とりあえず座りなさいよ」
昨日と同じ位置で座って待っててくれた美智さんはどうにも迫力があって、口ごもってしまった。
僕も昨日と同じ位置、美智さんの対面に座る。
「足崩して。長話苦手だから簡潔に話そうと思ってはいるけど」
「あっ、はい」
「ここ近江家の話は一切両親からは訊いてないのね?」
「はい。親戚の話は聞いた事なかったからいるなんて知らなかったし、お母さんに双子の妹がいたのも…」
「そう。単刀直入に話すと、うちは視える者が産まれやすい家系なの。中でも双子が産まれるとそのどちらかは必ずと言っていい程に視えるの。それは霊的な物だったり、未来予知だったり。未来予知は出来なくても霊的なモノにアドバイスしてもらう事が出来たり、中には自分の中に死んだ人だの予知能力者を呼んで予知を行うものも。そういった能力を使って代々政界と関わってきた家系なのよ。昔はそういった方々の住んでいる都に近江家も家を構えてたんだけど、この島の位置が霊的能力を向上させやすいって分かってからはここに一族全員で住んでるって話なの。私達の場合は私が産まれた時から強い力を持ってうまれて、姉さんは劣性だった。あっ、力を持ってない者が劣性ね。あなたのお父さんも劣性だったわ」
ここまで喋った美智さんはふぅっと溜め息をつき手元のベルを押した。ほんの少しの間待っただけでお茶とお菓子が運ばれてきた。
「お茶でいいわよね?はぁ、私あんまり説明とかするのは苦手なのよ。凪は学校の勉強は好きだった?」
「好き…でも嫌いでもなくやらなきゃって感じだったかな…。本を読んでる方が好きだった」
「インドア派なの?」
「昔から熱を出したり、風邪をひきやすかったから、室内にいる事が多くて…。そんなだから自然と本を読むようになった…って感じかな。晴空がよく隣に居てくれた時は……」
ベッドで転がる僕の横に座ってる晴空を思い出した。熱があったら額のシートを代えてくれたり、手を握ってくれたり。だから僕は寝込むのが嫌いじゃなかったんだ。
「晴空ってあなたの双子の兄よね」
「そう、です」
「ふぅん…」
お茶を飲んで一息ついている美智さんを真似て僕も飲んでみた。
晴空、晴空に会いたいと考えたら胸が熱くて、何かが込み上げてきそうだった。涙も出そうだった。貴嶺さんに着いていくと決めた時に泣かない、弱音もはかないつもりだったのに、既に涙が出そうで情けなくなる。
「まだ家族と離れるには幼かったみたいね。仕方がないわ、力を持ってしまったんだもの。と言ってもあなたの力はまだ安定してないって聞いてる。地下の部屋の近くに通路があるから、その通路から外に出た泉で力の使い方学びなさい。しばらくはそれが課題ね。学校?そんなもの行かなくていいわよ。ここにはないし。学校行かなくてもここで稼げるようになるんだから。どうしても勉強もしたかったら『知』の建屋に行けば図書室あるわよ。貴嶺に聞いてね」
美智さんがお茶を飲みきって、目の前の急須から注いでまた飲み干す。
「説明するって喉渇くわよね。あとここの島、うちの一族しか住んでないからどこ行っても凪の事はもう知れ渡ってるはずよ。迷子になったらその辺の人探して。この屋敷の中で同じ格好してる人達は私たちの世話をしてくれたり……まぁもう1つの役目もあるんだけど。アレルギーとかは?」
「ない、です。風邪ひきやすいのもなくなってきたし…」
「そう。良かった。とりあえずこの辺話しとけばいいかしら。…姉さんに目元が似てるわね。あっ、そしたら私にも似てるってことね」
ふふふと可笑しそうに笑った美智さんはやっぱり双子だけあってお母さんと笑いかたが似ていた。
仕方がないから昨日遅かった分、少しだけウトウトしてみた。寝られるなという頃晴空を思い出してしまいダメだった。
この部屋に感じてた違和感、窓がない。地下だから当たり前といえば当たり前なんだけど、二階の僕の部屋の窓を開くと風向きによって海の潮の香りがした。あれが僕の当たり前だったから不思議な感じがする。
まだこの家は僕にとって巨大迷路だから、隣室の貴嶺さんに頼って美智さんに呼ばれてる部屋に連れてってもらう。一緒に入ってくれるのかと思ってた貴嶺さんの方から足音がしないから振り替えってみたら「俺も色々と忙しいんだよ、凪だけ行ってきな」と、僕が入るのを見送ってくれた。帰り道…う~ん、何となくなら分かるかもしれない。
「あの、美智さんえっと…」
「とりあえず座りなさいよ」
昨日と同じ位置で座って待っててくれた美智さんはどうにも迫力があって、口ごもってしまった。
僕も昨日と同じ位置、美智さんの対面に座る。
「足崩して。長話苦手だから簡潔に話そうと思ってはいるけど」
「あっ、はい」
「ここ近江家の話は一切両親からは訊いてないのね?」
「はい。親戚の話は聞いた事なかったからいるなんて知らなかったし、お母さんに双子の妹がいたのも…」
「そう。単刀直入に話すと、うちは視える者が産まれやすい家系なの。中でも双子が産まれるとそのどちらかは必ずと言っていい程に視えるの。それは霊的な物だったり、未来予知だったり。未来予知は出来なくても霊的なモノにアドバイスしてもらう事が出来たり、中には自分の中に死んだ人だの予知能力者を呼んで予知を行うものも。そういった能力を使って代々政界と関わってきた家系なのよ。昔はそういった方々の住んでいる都に近江家も家を構えてたんだけど、この島の位置が霊的能力を向上させやすいって分かってからはここに一族全員で住んでるって話なの。私達の場合は私が産まれた時から強い力を持ってうまれて、姉さんは劣性だった。あっ、力を持ってない者が劣性ね。あなたのお父さんも劣性だったわ」
ここまで喋った美智さんはふぅっと溜め息をつき手元のベルを押した。ほんの少しの間待っただけでお茶とお菓子が運ばれてきた。
「お茶でいいわよね?はぁ、私あんまり説明とかするのは苦手なのよ。凪は学校の勉強は好きだった?」
「好き…でも嫌いでもなくやらなきゃって感じだったかな…。本を読んでる方が好きだった」
「インドア派なの?」
「昔から熱を出したり、風邪をひきやすかったから、室内にいる事が多くて…。そんなだから自然と本を読むようになった…って感じかな。晴空がよく隣に居てくれた時は……」
ベッドで転がる僕の横に座ってる晴空を思い出した。熱があったら額のシートを代えてくれたり、手を握ってくれたり。だから僕は寝込むのが嫌いじゃなかったんだ。
「晴空ってあなたの双子の兄よね」
「そう、です」
「ふぅん…」
お茶を飲んで一息ついている美智さんを真似て僕も飲んでみた。
晴空、晴空に会いたいと考えたら胸が熱くて、何かが込み上げてきそうだった。涙も出そうだった。貴嶺さんに着いていくと決めた時に泣かない、弱音もはかないつもりだったのに、既に涙が出そうで情けなくなる。
「まだ家族と離れるには幼かったみたいね。仕方がないわ、力を持ってしまったんだもの。と言ってもあなたの力はまだ安定してないって聞いてる。地下の部屋の近くに通路があるから、その通路から外に出た泉で力の使い方学びなさい。しばらくはそれが課題ね。学校?そんなもの行かなくていいわよ。ここにはないし。学校行かなくてもここで稼げるようになるんだから。どうしても勉強もしたかったら『知』の建屋に行けば図書室あるわよ。貴嶺に聞いてね」
美智さんがお茶を飲みきって、目の前の急須から注いでまた飲み干す。
「説明するって喉渇くわよね。あとここの島、うちの一族しか住んでないからどこ行っても凪の事はもう知れ渡ってるはずよ。迷子になったらその辺の人探して。この屋敷の中で同じ格好してる人達は私たちの世話をしてくれたり……まぁもう1つの役目もあるんだけど。アレルギーとかは?」
「ない、です。風邪ひきやすいのもなくなってきたし…」
「そう。良かった。とりあえずこの辺話しとけばいいかしら。…姉さんに目元が似てるわね。あっ、そしたら私にも似てるってことね」
ふふふと可笑しそうに笑った美智さんはやっぱり双子だけあってお母さんと笑いかたが似ていた。
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