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第43話 2007インパクト
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14th2007AFCアジアカップ インドネシア・マレーシア・タイ・ベトナム大会は、イラクの初優勝で幕を閉じた。5日間のOFFを経て、薫達はアジアカップで撮影した写真を編集。次の撮影の段取りを考える。7月はベトナムとインドネシアに行ったので、8月はタイとカンボジアに行くことにした。期間は8月19日から28日までの10日間。タイではバンコク・プーケット、カンボジアではプノンペン・シェムリアップに行く。南国の光と影と言うことで、タイの売春宿やカンボジアの地雷が埋まっているエリアなどにも行く。
「カンボジア、地雷埋まってるやんな?薫君。」
「あるで。「「地雷を踏んだらサヨウナラ」」って映画があるくらいやからな。」
計画を練り、ホテルと航空券を確保。お盆休みを経て、8月19日、タイへ向かった。
9時に出発し、13時30分にタイに到着。手荷物受取と入国審査を済ませ、バンコクの市街地に出た。
「暑い~!!!!」
高温多湿の東南アジア。猛暑は堪える。仏教国のタイは、寺院が多く、僧侶が街を歩いている。遅い昼食として、バンコクの屋台でいただく。喜美子はトムヤムクン、久美はパッキーマオを注文して食べる。辛いものが苦手な薫は、パッキーマオの湯気だけでむせた。
「ゲホゲホッ!!湯気が辛い!!」
辛くないカオマンガイを食べる。
「ハァ~、アッサリして美味い。」
バンコクで撮影。仏教が生活に根付いており、敬虔な印象を受ける。ホテルでくつろぎ、1日目は終わり。スケジュールとしては、8月19日から23日までタイに滞在し、24日から28日までカンボジアに滞在するというもの。20日はバンコクで撮影。タイでもサッカーが人気で、先月のアジアカップでは、開催国として出場。イラク・オマーン・オーストラリアと対戦し、1勝1分1敗 勝ち点4 3得点5失点となるも、オーストラリアとの直接対決に敗れて一歩及ばず。それでも記念すべきアジアカップ初勝利を挙げるなど、大会序盤戦を湧かせた。タイは1996年にプロサッカーリーグが開幕。2007年当時は、タイ・プレミアリーグという名称。
「タイもサッカー人気やけんね。」
「だってな、タイはアジアカップ結構出とるからな。」
タイがアジアカップに初出場したのは、5th1972AFCアジアカップ タイ。1992から2007まで5大会連続出場。だが、6大会の成績は20試合で1勝8分11敗とまだまだ及ばない。
タイの有名な寺院 ワット・プラケオを訪問。エメラルド仏が安置され、多くの観光客が訪れる。
「神秘的。」
「ええ所やな。」
ここまでは、微笑みの国 タイの光の部分。3日目の21日からは、影の部分を撮影していく。バンコクのクロントゥーイ区に行く。ボロボロの掘っ立て小屋が建ち並び、不穏で乱雑な空気で満ちている。香港に合った九龍城砦や中国の地方都市も、似たような雰囲気がある。混沌とした世界を、余す所なく収める。
「雑然とした世界やけんね。」
スラム街のゴミや煙にまみれた路上の屋台で、タイ料理をいただく。
「博多の屋台思い出すと。」
「生活感満載で、面白い所やね。」
「チキンライス美味いわ~!」
22日、南部のプーケットに赴く。水上マーケットの活気ある市場を撮影。
「乙やな。」
象と共に撮影。リゾート地を楽しむ。タイでの最終日の23日、バンコクのスラム街で売春を目撃。
「嘘やん。エロイな、ホンマに。」
「薫君、逃げた方が良さそうやけん。」
久美には、先に空港に行ってもらっており、キャリーバッグも預かっている。気づくと、怪しい人達に囲まれていた。
「よし、忘れ物無いな、喜美子。走るで!!」
ダッシュでスラム街から逃げ出し、電車で空港へ逃げた。午後に飛行機でカンボジアに向かった。
カンボジアのプノンペン国際空港に到着した。のどかな田園風景が広がり、タイに比べると、田舎の雰囲気がある。首都 プノンペンは経済発展しており、ビルが乱立している。ホテルにチェックインし、夜のプノンペンに繰り出す。カンボジア料理に舌鼓。
「バイン・セオ美味か~!!」
「カンボジアのカレーは美味しいわ。」
タイのスラム街で、危うく殺されかけたこともあり、薫は粥をチビチビと食べる。
「ホンマにビビったで。中国の反日とは、また違うカオスやったわ。」
翌日、シェムリアップに移動。シェムリアップはカンボジア北西部の都市で、人口が集中している。郊外は農村が広がっている。クメール・ルージュによる内戦が終結した後、観光都市として発展した。アンコール遺跡群に向かい、クメール王朝時代の遺跡を見学。
「これが、アンコール・ワットか。」
熱心に撮影する薫。内部に入ると、壁には銃弾がめり込み、仏像などが盗掘された跡がある。
「内戦の跡が残ってると。」
「こんな素晴らしい遺跡があるのにな。」
カンボジアでの撮影で、東南アジアは経済発展しているが、富裕国と最貧国の格差が激しいことや内戦の傷が尾を引いていることが分かった。27日、カンボジアの地雷が詰まっているエリアで撮影。地雷がある所には、ドクロが描かれた注意書きがある。
「地雷、踏んだら終わりやな。」
「このドクロから、先に入ったらアカンで。」
すると、誰かが地雷原に入ってしまった。歩き回っていると、地雷を踏んだのか、大爆発が起こった。
「えぇぇぇぇぇ!!!!!」
「ウソやろ…。」
その瞬間を、カメラに収めた薫。しばらく言葉が出なかった。帰国後、この光景は忘れられなかった。
「あの人、死んでもうたんか?」
9月、ここまで撮影した写真をまとめ、特集として編集する。最後の撮影地は、ミャンマーである。軍事政権による政情不安の中、突っ込んでいくことになる。期間は9月24日から28日。24日の午後、ミャンマーのヤンゴン国際空港に到着。ホテルにチェックインし、段取りを確認。当時、ミャンマーでは僧侶達による抗議活動が18日から起き、軍事政権と衝突している。
「ここで何が起きてるかを、しっかり撮るんや。」
ヤンゴンやマンダレーで起きた抗議活動を撮影。警官は警棒や催涙ガスで、参加者を攻撃。
「エライことやけん。」
「自由が弾圧されてる現状や!」
27日、日本人ジャーナリストの長井健司が射殺される事件が起きた。28日、薫達は命からがらミャンマーから脱出した。東南アジアで撮影した全ての写真をまとめ、11月に特集「アジアの今」が無事に刊行された。2007年は、薫にとっては、海外の光と影を両方見た1年であった。
「グラビアカメラマンが、半端な覚悟でジャーナリストの真似事しちゃいけなかったんだ…。」
長井健司の死を知り、薫はショックを受けた。
「カンボジア、地雷埋まってるやんな?薫君。」
「あるで。「「地雷を踏んだらサヨウナラ」」って映画があるくらいやからな。」
計画を練り、ホテルと航空券を確保。お盆休みを経て、8月19日、タイへ向かった。
9時に出発し、13時30分にタイに到着。手荷物受取と入国審査を済ませ、バンコクの市街地に出た。
「暑い~!!!!」
高温多湿の東南アジア。猛暑は堪える。仏教国のタイは、寺院が多く、僧侶が街を歩いている。遅い昼食として、バンコクの屋台でいただく。喜美子はトムヤムクン、久美はパッキーマオを注文して食べる。辛いものが苦手な薫は、パッキーマオの湯気だけでむせた。
「ゲホゲホッ!!湯気が辛い!!」
辛くないカオマンガイを食べる。
「ハァ~、アッサリして美味い。」
バンコクで撮影。仏教が生活に根付いており、敬虔な印象を受ける。ホテルでくつろぎ、1日目は終わり。スケジュールとしては、8月19日から23日までタイに滞在し、24日から28日までカンボジアに滞在するというもの。20日はバンコクで撮影。タイでもサッカーが人気で、先月のアジアカップでは、開催国として出場。イラク・オマーン・オーストラリアと対戦し、1勝1分1敗 勝ち点4 3得点5失点となるも、オーストラリアとの直接対決に敗れて一歩及ばず。それでも記念すべきアジアカップ初勝利を挙げるなど、大会序盤戦を湧かせた。タイは1996年にプロサッカーリーグが開幕。2007年当時は、タイ・プレミアリーグという名称。
「タイもサッカー人気やけんね。」
「だってな、タイはアジアカップ結構出とるからな。」
タイがアジアカップに初出場したのは、5th1972AFCアジアカップ タイ。1992から2007まで5大会連続出場。だが、6大会の成績は20試合で1勝8分11敗とまだまだ及ばない。
タイの有名な寺院 ワット・プラケオを訪問。エメラルド仏が安置され、多くの観光客が訪れる。
「神秘的。」
「ええ所やな。」
ここまでは、微笑みの国 タイの光の部分。3日目の21日からは、影の部分を撮影していく。バンコクのクロントゥーイ区に行く。ボロボロの掘っ立て小屋が建ち並び、不穏で乱雑な空気で満ちている。香港に合った九龍城砦や中国の地方都市も、似たような雰囲気がある。混沌とした世界を、余す所なく収める。
「雑然とした世界やけんね。」
スラム街のゴミや煙にまみれた路上の屋台で、タイ料理をいただく。
「博多の屋台思い出すと。」
「生活感満載で、面白い所やね。」
「チキンライス美味いわ~!」
22日、南部のプーケットに赴く。水上マーケットの活気ある市場を撮影。
「乙やな。」
象と共に撮影。リゾート地を楽しむ。タイでの最終日の23日、バンコクのスラム街で売春を目撃。
「嘘やん。エロイな、ホンマに。」
「薫君、逃げた方が良さそうやけん。」
久美には、先に空港に行ってもらっており、キャリーバッグも預かっている。気づくと、怪しい人達に囲まれていた。
「よし、忘れ物無いな、喜美子。走るで!!」
ダッシュでスラム街から逃げ出し、電車で空港へ逃げた。午後に飛行機でカンボジアに向かった。
カンボジアのプノンペン国際空港に到着した。のどかな田園風景が広がり、タイに比べると、田舎の雰囲気がある。首都 プノンペンは経済発展しており、ビルが乱立している。ホテルにチェックインし、夜のプノンペンに繰り出す。カンボジア料理に舌鼓。
「バイン・セオ美味か~!!」
「カンボジアのカレーは美味しいわ。」
タイのスラム街で、危うく殺されかけたこともあり、薫は粥をチビチビと食べる。
「ホンマにビビったで。中国の反日とは、また違うカオスやったわ。」
翌日、シェムリアップに移動。シェムリアップはカンボジア北西部の都市で、人口が集中している。郊外は農村が広がっている。クメール・ルージュによる内戦が終結した後、観光都市として発展した。アンコール遺跡群に向かい、クメール王朝時代の遺跡を見学。
「これが、アンコール・ワットか。」
熱心に撮影する薫。内部に入ると、壁には銃弾がめり込み、仏像などが盗掘された跡がある。
「内戦の跡が残ってると。」
「こんな素晴らしい遺跡があるのにな。」
カンボジアでの撮影で、東南アジアは経済発展しているが、富裕国と最貧国の格差が激しいことや内戦の傷が尾を引いていることが分かった。27日、カンボジアの地雷が詰まっているエリアで撮影。地雷がある所には、ドクロが描かれた注意書きがある。
「地雷、踏んだら終わりやな。」
「このドクロから、先に入ったらアカンで。」
すると、誰かが地雷原に入ってしまった。歩き回っていると、地雷を踏んだのか、大爆発が起こった。
「えぇぇぇぇぇ!!!!!」
「ウソやろ…。」
その瞬間を、カメラに収めた薫。しばらく言葉が出なかった。帰国後、この光景は忘れられなかった。
「あの人、死んでもうたんか?」
9月、ここまで撮影した写真をまとめ、特集として編集する。最後の撮影地は、ミャンマーである。軍事政権による政情不安の中、突っ込んでいくことになる。期間は9月24日から28日。24日の午後、ミャンマーのヤンゴン国際空港に到着。ホテルにチェックインし、段取りを確認。当時、ミャンマーでは僧侶達による抗議活動が18日から起き、軍事政権と衝突している。
「ここで何が起きてるかを、しっかり撮るんや。」
ヤンゴンやマンダレーで起きた抗議活動を撮影。警官は警棒や催涙ガスで、参加者を攻撃。
「エライことやけん。」
「自由が弾圧されてる現状や!」
27日、日本人ジャーナリストの長井健司が射殺される事件が起きた。28日、薫達は命からがらミャンマーから脱出した。東南アジアで撮影した全ての写真をまとめ、11月に特集「アジアの今」が無事に刊行された。2007年は、薫にとっては、海外の光と影を両方見た1年であった。
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